概要情報
事件名 |
ブラザー販売 |
事件番号 |
大阪地労委 平成13年(不)第44号
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申立人 |
大阪一般合同労働組合ブラザー支部 |
被申立人 |
ブラザー販売株式会社 |
命令年月日 |
平成16年 5月27日 |
命令区分 |
棄却(命令主文が棄却のみ又は棄却と却下) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、(1)組合と誠実な団体交渉を行わないまま、組合員多数が勤務するA店舗を廃止したこと、(2)同店舗に勤務していた組合員及び同店舗所在建物内に勤務していた組合支部長を配置転換するとともに一部職種を廃止したこと、(3)組合との間でファクシミリを無償で貸与する旨の協定を交わさず、在宅勤務となった一部の従業員に対しファクシミリを有償で貸与したこと、(4)組合員に対し脱退工作したことが不当労働行為であるとして争われた事件で、申立てを却下又は棄却した。 |
命令主文 |
1 申立人の組合員に対する組合脱退工作の禁止に関する申立てのうち、元執行委員X1及び元執行委員X2に係る部分については、却下する。 2 申立人のその他の申立ては棄却する。 |
判定の要旨 |
3020 組合活動への制約
会社の店舗の統廃合に関する決定について、組合はあえて反対していないこと、廃止店舗の選定基準に特段不合理な点があるとまでいえないこと、A店舗の廃止に関する会社の説明内容には特段不合理な点がないこと等を考え併せると、組合員が多く所属する組合活動の拠点であることを理由に会社がA店舗を廃止したとすることはできず、同店舗の廃止が不当労働行為に該当するとはいえないとされた例。
1300 転勤・配転
3020 組合活動への制約
A店舗廃止に伴う支部長及び組合員2名に対する本件配転については、組合員2名の配転先のB店舗はA店舗から数キロ程度の距離にあること、支部長の配転先は長年勤務してきた市内に所在していること、支部長は配転後も以前とほぼ同じ業務を行っていること、支部長及び組合員2名が組合活動を行う上で特に支障があったことについての具体的な疎明はないことから、本件配転は組合員のみが待遇面や組合活動面で不利益を受けたとはいえず、不当労働行為に該当するとはいえないとされた例。
2235 その他組合の態度
2240 説明・説得の程度
会社は、労使委員会で店舗統廃合の選定基準について説明していること、団交の場で会社の経営状況、再建策の具体的内容、店舗統廃合の必要性及びそれに伴う人員整理策等を資料を示した上で説明していること、一方組合は、団体交渉時において、A店舗の経営状況について積極的に資料の開示を求めていなかったこと、準職員制度の廃止に関する団交における会社の対応については、会社は一定程度説明を行ったとみることができること等から、店舗統廃合及び準職員制度の廃止に係る会社の団交態度は不誠実とまでいうことができないとされた例。
2620 反組合的言動
11店舗の統廃合により生ずる在宅勤務者に対するファクシミリの無償貸与については、組合と会社との間において合意があったが、その合意が114店舗が対象となる将来の統廃合に及ぶかどうかについては労使間に対立があったから、両者間で合意が成立していたということはできず、会社がこれについて文書化を拒否し、在宅勤務者に対するファクシミリの無償貸与を実施しなかったことが組合に対する支配介入であるとすることはできないとされた例。
2610 職制上の地位にある者の言動
2625 非組合員化の言動
5200 除斥期間
組合員2名に対する脱退工作については、本件申立てから1年以上経過した時期に行われているから却下するとし、書記長に対する会社Y1課長の言動については、同課長が将来課長をやってみる気はないかという旨の話をしたこと、課長昇格の内諾をとっているから早く身辺整理をしたらとどうかという趣旨の話をしたこと、組合を脱退した旨の証明書の提出を求めたこと等が認められるが、これを知った組合があえて問題視しなかったことからすると、本人及び組合は、会社による脱退工作と認識していなかったと解せられ、また、同課長が会社の意を受けて脱退工作を行ったと認めるに足る疎明もないとして、組合の申立てを棄却した例。
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業種・規模 |
卸売業、小売業、飲食店 |
掲載文献 |
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評釈等情報 |
 
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