事件名 |
フィルグラフィックス |
事件番号 |
神奈川地労委 平成11年(不)第1号
神奈川地労委 平成11年(不)第4号
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申立人 |
労働組合東京ユニオン |
被申立人 |
フィルグラフィックス |
命令年月日 |
平成12年12月19日 |
命令区分 |
全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) |
重要度 |
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事件概要 |
(1)未払賃金の支払い等に関する団交を拒否したこと、(2)別組
合を結成させ、その組合員に脱退勧奨させたこと、(3)自己破産を申し立て、組合員を含む従業員全員を解雇したことが、不当
労働行為であるとして争われた事件で、(1)会社に対するポストノーティス、(2)会社を実質的に支配していた個人Bに対す
る文書手交を命じた。 |
命令主文 |
1 被申立人フィルグラフィックス株式会社は、本命令受領後、速や
かに下記の文書を縦1メートル、横1.5メートルの白紙にかい書で明瞭に大きく記載し、被申立人の第3工場の出入り口付近の
見やすい場所に、毀損することなく10日間掲示しなければならない。
記
当社が、貴組合から申し入れのあった団体交渉について不誠実な対応をしたことは、労働組合法第七条第二号及び第三号に該
当する不当労働行為であり、また、破産申立てに伴い貴組合員らを解雇したこと及び別組合を結成させ、その執行委員長らを通じ
て貴組合員らに脱退を働き掛けたことは、労働組合法第七条第三号に該当する不当労働行為であると神奈川県地方労働委員会にお
いて認定されました。
平成 年 月 日
労働組合東京ユニオン
執行委員長 X1 殿
フィルグラフィックス株式会社
代表取締役 Y1
2 被申立人Y1は、本命令受領後、速やかに下記の文書を申立人に手交しなければならない。
記
Y1が、貴組合から申し入れのあった団体交渉について不誠実な対応をしたことは、労働組合法第七条第二号及び第三号に該
当する不当労働行為であり、また、破産申立てに伴い貴組合員らに解雇の通告をしたこと及び別組合を結成させ、その執行委員長
らを通じて貴組合員らに脱退を働き掛けたことは、労働組合法第七条第三号に該当する不当労働行為であると神奈川県地方労働委
員会において認定されました。
このことを真摯に受け止め、繰り返さないようにいたします。
平成 年 月 日
労働組合東京ユニオン
執行委員長 X1 殿
Y1 |
判定の要旨 |
4916 企業に影響力を持つ者
代表取締役であるY1個人が、会社の経営全般について決定し、実質的に会社を支配していたものであり、「労働条件等について
支配・決定し得る」地位にあったと言わざるを得ず、会社だけではなくY1個人も被申立人適格を有すると判断された例。
1800 会社解散・事業閉鎖
2000 人員整理
2500 別組合の結成・援助
3104 別組合利用・別組合員宅訪問
支部結成直後に企業内組合を結成させ、その執行委員長らに脱退勧奨させ、また、破産申立てをし、本件解雇等をした会社の一連
の行為は、組合の弱体化を企図してなされたものであり、組合の運営に対する支配介入として労働組合法第七条第三号に該当する
不当労働行為であるとされた例。
1800 会社解散・事業閉鎖
組合員の解雇は、会社が過大投資や売上減少等により支払不能や債務超過に陥っていたものであり、累積損失を抱えて今後業績向
上の見通しもなく、これ以上の事業継続が不可能な状態に陥っていたことから、本件破産申立てに至ったものであり、また、従業
員の解雇も全員一律にされており、合理性が認められることから、労働組合法第七条第一号の不利益取扱いであるとは認められな
いとされた例。
2240 説明・説得の程度
会社は、本件破産前にあっては、本件団交申入れ事項のうち、未払賃金の支払いや給与遅配の原因については、団体交渉の場で資
料を示すなどして支部組合員に説明し、納得を得るように努力すべきであったにもかかわらず、それを行っていないのであり、ま
た、本件破産宣告後にあっては、破産財団の管理処分権に属する事項以外の団交事項については、なお団交応諾義務があり、これ
に応ずべきものであったところ、会社が本件団交申入れに誠実に応じなかったことは、正当な理由なく団体交渉を拒否したもので
あり、また、組合を無視・軽視するものであって、労働組合法第七条第二号及び第三号に該当する不当労働行為であると判断され
た例。
4916 企業に影響力を持つ者
Y1個人が実質的に会社を支配していると認められる以上、同人は会社と実質的同一性を有するものであるから、組合への運営に
対する支配介入及び団交申入れへの対応に係る不当労働行為は、Y1個人にも帰責せざるを得ないとされた例。
4610 P.Nに併せて文書手交を命じた例
4615 P.Nを認めないことに理由を付した例
本件解雇には合理性があり、また、本件団交申入れに誠実に応じなかったのはY1個人であり、Y2管財人にあっては本件破産宣
告後の組合及び支部との交渉に誠実に応じていることや第1回債権者集会において営業廃止の継続が決議されていることなどを斟
酌して、会社に対しポストノーティス、Y1に対し文書手交を命じた例。
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業種・規模 |
出版・印刷・同関連産業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集118集353頁 |
評釈等情報 |
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