概要情報
事件名 |
綿屋田島酉二郎商店 |
事件番号 |
東京地労委 平成10年(不)第22号
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申立人 |
東京東部労働組合たじま支部 |
申立人 |
東京東部労働組合 |
被申立人 |
有限会社綿屋田島酉二郎商店 |
命令年月日 |
平成13年12月18日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、①組合ビラ等の文書の掲示・配布を禁止し、掲示物を撤去したこと、②組合書記長に対し、ビラ配布を理由に厳重注意処分及び訓戒処分等をしたこと、③同人に退職を強要し更に、配置転換をしたことが争われた事件で、①組合書記長に対する厳重注意処分及び訓戒処分がなかったものとしでの取扱い、②文書交を命じ、その余の申立てを棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人有限会社綿屋田島酉二郎商店は、申立人東京東部労働組合及び同東 京東部労働組合たじま支部の組合員X1に対して行った平成10年4月16日 付厳重注意及び同年5月9日付訓戒処分をなかったものとして取り扱わなけれ ばならない。 2 被申立人会社は、申立人組合及び同支部に対し、本命令書受領の日から1週 間以内に、下記内容の文書を交付しなければならない。 記 年 月 日 東京東部労働組合 執行委員長 X2 殿 東京東部労働組合たじま支部 執行委員長 X3 殿 有限会社綿屋田島酉二郎商店 代表取締役 Y1 当社が、貴組合に対し団体交渉を申し入れるなどして協議を行うことなく、 平成10年3月6日から同月13日にかけて亀戸店従業員休憩室に掲示されて いた組合ビラを撤去したこと、貴組合員X1氏に対し、組合ビラ配布に関して 10年4月16日付厳重注意及び同年5月9日付訓戒処分を行ったことは、不 当労働行為であると東京都地方労働委員会において認定されました。 今後このような行為を繰り返さないよう留意します。 (注、年月日は文書を交付した日を記載すること。) 3 被申立人会社は、第二項を履行したときは、すみやかに文書で当委員会に報 告しなければならない。 4 その余の申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
0200 宣伝活動
1400 制裁処分
会社が行ったビラの掲示の禁止実力破棄した行為は、支部結成直後から4年半にわたり積み重ねられてきたビラの掲示と配布活動を一方的に覆し、自らの意思を押し付ける行為であり、支部とその他の従業員との間の情報交流を全て遮断する支配介入にあたり、また、ビラ配布の実行者に対する厳重注意処分と懲戒処分も、同じ意図の下になされた支配介入行為にあたるとともに不利益取扱いに該当するとされた例。
2621 個別的示唆・説得・非難等
社長室長の発言は、「和解の方法として」同室長が考えたそれなりの案を提示したものであり、また、この発言を執拗に繰り返して組合側に押しつけた事実や強制的な面も認められず、組合員や組合の自由な意思決定を妨げる行為であったと認めることはできないから、支配介入行為に当たらないとして棄却した例。
1300 転勤・配転
会社が、倒壊の危険が明らかになった店舗を閉鎖し、それを機会に雇用確保の方策として、かねてから構想のあった新規部門を立ち上げ、そこに過員となった人材を配転した会社の措置には相当の合理性が認められることから、組合員の配転は不当労働行為に当たらないとして棄却した例。
1300 転勤・配転
組合の「請求する救済の内容」には書記長に対する懲戒処分等の撤回を求める記載はないが、懲戒処分等についての不当労働行為性が争われた審査の経過及び組合が最終準備書面において、このことに関して主張、立証を試みていることからみて、組合は懲戒処分等の撤回も求めていたと解すべきであり、会社もこの点について反証を試みていることは審査の全課程より明らかであるから、救済方法としては、当該処分がなかった状態に回復することを命じるのが相当であるとされた例。
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業種・規模 |
卸売業、小売業、飲食店 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集121集462頁 |
評釈等情報 |
 
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