概要情報
事件名 |
明泉学園 |
事件番号 |
東京地労委 平成 7年(不)第9号
東京地労委 平成 8年(不)第51号
東京地労委 平成 9年(不)第47号
|
申立人 |
明泉学園教職員組合 |
申立人 |
東京私立学校教職員組合 |
被申立人 |
学校法人明泉学園 |
命令年月日 |
平成11年11月 2日 |
命令区分 |
全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) |
重要度 |
|
事件概要 |
学園が、(1)団体交渉の開催期日を理由もなく引き延ばす等誠実に対応しなかったこと、(2)組合結成に当たって学園を誹謗した趣意書を配布したことを理由に組合員3名を譴責処分に付したこと、(3)組合員4名の年末賞与等について減額査定をしたことが不当労働行為であるとして争われた事件で、学園に対し、(1)申立人組合が団体交渉を申し入れた時は、学園が提案する団交開催日時に固執することなく、誠実に団交に応ずること、(2)組合員3名に対する譴責処分等はなかったものとしての取扱い、(3)組合員4名に対する年末賞与等を人事考課率の是正のうえ再計算及び差額支払い、(4)(3)の履行報告を命じた。 |
命令主文 |
1 被申立人学校法人明泉学園は、申立人明泉学園教職員組合が団体交渉を申し入れたときには、学園の提案する団体交渉開催日時に固執することなく、組合の要求に対する学園の回答の根拠を具体的に説明するなどして、誠意をもって速やかに団体交渉に応じなければならない。 2 被申立人学園は、平成6年11月19日付で行った申立人明泉学園教職員組合の組合員X1、X2およびX3に対する譴責処分および平成6年11月19日から同7年1月20日までの間に行った上記3名に対する26回の制裁処分通知をすべてなかったものとして取り扱わなければならない。 3 被申立人学園は、申立人明泉学園教職員組合の組合員X1およびX2に対する平成6年度年末賞与、平成7年度夏季・年末賞与、平成8年度夏季・年末賞与の人事考課率をいずれも95パーセントに、同組合員X3に対する平成6年度年末賞与、平成7年度夏季・年末賞与、平成8年度夏季・年末賞与の人事考課率およびX4に対する平成8年度夏季・年末賞与の人事考課率を、いずれも100パーセントに是正し、それぞれ支給すべき額を再計算のうえ、既に支払った分との差額を支払わなければならない。 4 被申立人学園は、第三項を履行したときは、すみやかに当委員会に文書で報告しなければならない。 |
判定の要旨 |
4825 その他
組合員X2は、組合結成当時、特別活動部長であったが、当該職は、労組法第二条但書第一号中の「昇進又は異動に関して直接の権限を持つ監督的地位にある労働者」には該らず、また、組合結成趣意書には、職員の地位の向上及び労働条件の改善のための会を結成する旨が記載されており、組合は労組法第二条のいわゆる自主性の要件を欠き、したがって本件申立は却下すべきであるとの主張は理由がないとされた例。
2240 説明・説得の程度
2245 引き延ばし
団体交渉の開催期日を理由もなく引き延ばした上、団体交渉の席上でも、さしたる必要性が感じられないにも関わらず、ことさら組合側交渉担当者の特定に時間を費やしたり、写真撮影を行ったりするなど異例な対応を行い、肝心な回答については、その根拠を十分に示さなかったことは、真摯に団体交渉を行っているとは到底認められず不当労働行為にあたるとされた例。
4505 その他
団体交渉に対するこれまでの学園の態度から、将来にわたる救済命令が必要であるが、団体交渉において使用者が組合に提示すべき資料は、特定された団体交渉議題との関係においてその都度異なるものであるから、使用者に対し、将来にわたって包括的に、組合が求める資料の提出を命ずることは適当ではないとされた例。
1400 制裁処分
組合員に対する譴責処分は、組合を結成したうえ、学園理事長に対する批判を含む趣意書を学園関係者に配布したことから、組合員に対する憎悪の情を増幅させ、自主的な協議・決定に基づく組合活動を封じる目的として行われたものであり、不利益扱いであるとともに、組合の自主的運営に対する支配介入にも該る不当労働行為であるとされた例。
1202 考課査定による差別
組合員に対する賞与の減額査定及び減額支給について、不公平な勤務評価を行い、賞与の支給において他の教職員との差別を行ったことが認められ、組合活動を理由とする支配介入にも該るとして不当労働行為であるとされた例。
|
業種・規模 |
|
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集115集237頁 |
評釈等情報 |
 
|