概要情報
事件名 |
明秀学園 |
事件番号 |
茨城地労委 平成 9年(不)第1号
茨城地労委 平成 9年(不)第3号
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申立人 |
明秀学園日立高等学校ユニオン |
被申立人 |
学校法人明秀学園 |
命令年月日 |
平成10年12月17日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、被申立人明秀学園が、(1)組合員に対して、別組合の行っている公費助成のための署名活動への参加を強制したこと、(2)平成8年度給与改定について、団交拒否したこと、(3)組合委員長に対して、出勤停止処分をしたこと、(4)組合員4名の授業時間を大幅に削減したこと、(5)組合員3名をクラス担任から外し、組合員を工務分掌の役職から外したことなどが不当労働行為であるとして争われた事件で、茨城地労委は、組合員4名に対して他の教員と差別することなく同等の授業時間を持たせることを命じ、その余の申立ては棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人学校法人明秀学園日立高等学校ユニオン組合員X1、同X2、同X3及び同X4に対して、各担当教科内の他の教員と差別することなく同等の授業時間を持たせなければならない。 2 申立人明秀学園日立高等学校ユニオンのその余の申立ては棄却する。 |
判定の要旨 |
0211 その他の組合活動
別組合系列の団体が行う署名活動は、生徒保護者や教職員の協力のもとに続けられてきた活動である。申立人組合が改善を求めるのであれば手順を踏んで生徒保護者及び教職員に十分説明するなど努力すべきであるが、自らそれを放棄し、組合活動とは関係もない生徒及びその保護者への妨害行為ともとれる一連の行為は正当性の域を越えている。よって申立人組合の主張は認めることができない。
4300 労組法7条2号(団交拒否)の場合
団体交渉の拒否について、被申立人は、本件申立て後、申立人組合との団体交渉に応じ、平成8年度賃金について合意に達し、その支払いを完了しているので、被救済利益は喪失したものと考えられ、不当労働行為を構成する事実の存否を判断する理由がない。
1400 制裁処分
X1に対する出勤停止処分については、学園が主張する処分の具体的事由については相当な理由があり、それが本件懲戒処分の決定的動機と思料され不当労働行為に当たらない。
1302 就業上の差別
申立人組合員3名に対するクラス担任外しについては、被申立人の裁量が広く認められるものであり、申立組合員が学年主任及びクラス担任からことごとく外されている事実は作為的・不自然とも思えるが、合理的な理由があり、不当労働行為と判断するに足る具体的事実の疎明もなされていないのであるから、申立人組合の主張は採用できない。
1302 就業上の差別
申立人組合員4名に対する授業持ち時間なしの決定は、その手順や理由面において是認出来るものではなく、当時労使関係で対立していた申立人組合がストライキを行ったことを奇貨として、申立組合員4名の組合活動を嫌悪してなされた不当労働行為と判断する。
1302 就業上の差別
校務分掌については、毎年変更がなされており、部長や係長を務めることにより、賃金や手当て等に影響はなく、他の職員に対して指揮命令する権限を有するものではない。したがって、申立人組合員が校務の役職についていないことをもって不当労働行為であるとすることはできない。
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業種・規模 |
教育(自動車教習所を含む) |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集112集505頁 |
評釈等情報 |
 
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