概要情報
事件名 |
ビュッフェ・クランポン |
事件番号 |
東京地労委 平成 9年(不)第11号
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申立人 |
個人X1 |
申立人 |
全国一般労働組合東京南部 |
命令年月日 |
平成11年 9月21日 |
命令区分 |
全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、(1)組合員X1の夏期及び冬期一時金に関する団体交渉申入れに対し、組合は一人組合であって団体交渉の当事者たり得ないこと等を理由に拒否したこと、(2)組合員X1に対する未払いの時間外労働賃金を支給しなかったことが争われた事件で、(1)誠実団交応諾、(2)未払い時間外労働賃金の支払い(年5分加算)、(3)ポスト・ノーティス、(4)履行報告を命じた。 |
命令主文 |
1 被申立人ビュッフェ・クランポン株式会社は、申立人全国一般労働組合東京 南部が平成8年5月21日付および同年11月22日付で申し入れた、同年度の 夏期および冬期の「一時金」に関する団体交渉について、具体的な説明資料を提 示するなどして誠意をもって応じなければならない。 2 被申立人会社は、申立人X1に対して、7年12月から8年12月の間の、未 払いとなっている「時間外労働賃金」982,549円を9年1月の給与支給日 の翌日から年5分の割合による金員を付加して支払わなければならない。 3 被申立人は、本命令書受領の日から1週間以内に、55センチメートル×8 0センチメートル(新聞紙2頁大)の白紙に、下記内容を楷書で明瞭に墨書して、 被申立人会社の正面玄関前の見やすい場所に10日間掲示しなければならない。 記 平成 年 月 日 全国一般労働組合東京南部 執行委員長 X2 殿 ビュッフェ・クランポン株式会社 代表取締役 Y1 当社が、(1)貴組合が申し入れた、組合員X1氏の平成8年度の夏期および冬 期のいわゆる「一時金」に関する団体交渉に応じなかったこと、(2)同X1氏の いわゆる「時間外労働賃金」を支払わなかったことは、いずれも東京都地方労働 委員会において不当労働行為にあたると認定されました。 今後このような行為を繰り返さないよう留意します。 (注;年月日は、掲示した日を記載すること。) 4 被申立人は、前記各項を履行したときは、速やかに当委員会に文書で報告し なければならない。 |
判定の要旨 |
4821 合同労組
組合員が会社の従業員中X1のみであっても、組合は、X1のほか複数の組合員で構成され、規約・財政及び運営組織を有していることは明らかであり、労組法上の団体性の要件は確保されているから、組合の不当労働行為救済申立資格が云々される余地はないとされた例。
2113 交渉団体として不適格
2300 賃金・労働時間
事実上、組合員X1の一時金は当時の常務取締役が組合と協議のうえ合意、決定し、支給してきたのであるから、同常務取締役の退任以降、会社が一時金の制度はないと反論し、また、組合の交渉当時者適格等に籍口して、団体交渉に応じていないことは、基本的な労働条件についての組合との合意やその形成過程を無視して、組合が正当に申し入れた団体交渉に合理的な理由なく応じなかったものとされた例。
3106 その他の行為
会社が、組合員X1の未払い時間外労働賃金を支払わなかったことは、元常務取締役と組合が労使協議により処理してきたという経緯を嫌悪し、それを反故にして、組合の組織運営の打撃を与えることを企図して、組合員X1への同賃金の支払いを拒んでいるものであり、支配介入であるとされた例。
4603 その他
労組法七条三号の救済にバックペイ及び年5分の利息付加を命じた例。
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業種・規模 |
卸売業、小売業、飲食店 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集115集50頁 |
評釈等情報 |
 
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