概要情報
事件名 |
国際空港事業 |
事件番号 |
東京地労委 平成 4年(不)第19号
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申立人 |
IAU労働組合 |
被申立人 |
国際空港事業株式会社 |
命令年月日 |
平成 9年 2月18日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、<1>組合の方針等を変質させるため、体質改善推進委員会を設置し、活動したこと、<2>同委員会小委員会の場を利用して小委員会委員である組合員に対し組合の方針、活動に反対するよう仕向けたこと、<3>新人事制度実施の際、組合役員をチーフ職から排除したことが争われた事件で、体質改善推進委員会小委員会の場を利用し、会社役員らをして小委員会委員である組合員に対し、組合の運動方針を非難する発言をさせることによる支配介入の禁止を命じ、その余の申立てを棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人国際空港事業株式会社は、体質改善推進委員会の小委員会の場を利用し、会社役員らをして、小委員会の委員に任命された申立人IAU労働組合所属の組合員に対し、組合の争議権の確立および争議権の行使に関する組合の運動方針を非難し、これらの変更を目指して活動されたいとの趣旨の発言をさせることによって、組合の運営に支配介入してはならない。 2 その余の申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
3106 その他の行為
会社が、事業基盤及び体質の改善について基本方針の設定と具体的推進を行うことを目的として体質改善推進委員会を設置したこと及び重点課題として「社内コミュニケーションの充実」などを掲げたこと自体は、その経営上の裁量の範囲内の事項にすぎず、これが組合の運動方針と相違するからといって直ちに組合運営に対する支配介入となるものではないとされた例。
3106 その他の行為
体質改善推進委員会の下に設置された各小委員会での討議及び討議結果に基づく活動の内容はすこぶる広範囲にわたっており、組合の方針との間に著しい差があるとも考えがたいものも随所にみられ、推進委員会の活動がもっぱら組合の運動方針を変えさせるために行われたとまで認めることはできないとされた例。
2620 反組合的言動
専務取締役Y1の発言は、安全対策の確立が緊急課題となっていたことを考慮すれば、労使一丸となって上記緊急課題の実現に取り組んでいる姿勢を内外に示すために、組合もストライキを自粛する態度が必要ではなかったかとの思いを、極めて率直に吐露したものであると解され、特に、威嚇、報復、利益誘導、不利益慫慂又は組合に対する組合員の不信感を煽るような要素は見いだせないから、いまだ不当労働行為に該当する程のものとまでは断定できないとされた例。
2620 反組合的言動
第2事業本部副本部長Y2の発言は、組合の方針に従っているかぎりいずれは組合員の雇用問題も生じかねないとの趣旨を暗示し、威嚇し、それを聞いた組合員に組合の運動方針に現実的な変更のための行動を起こすことを迫ったものと認めざるを得ず、組合の運営に対する支配介入に該るとされた例。
2620 反組合的言動
組合の争議権の確立投票が行われている時期に、業務課長Y3が組合員多数を含む小委員が出席している会議で、会社の強硬な態度を誇示したうえ、不利益の招来を仄めかしたことは、Y3の個人的な発言とは考えられず、会社の意を体して発言したものとみるのが相当であり、発言の場、時期、背景及び対象等に鑑み組合の運営に対する支配介入に該るとされた例。
1200 降格・不昇格
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
体質改善推進委員会の小委員の任用率が高いことをもって、チーフ任用に何らかの会社の意図が働いたと認めることはできず、組合役員経験者全体のチーフ任用率が平均任用率とほぼ等しいこと等を総合すれば、会社がチーフ任用にあたって、殊更、組合の役員経験者を差別し、不利益に取り扱ったとまではいえないとされた例。
4615 P.Nを認めないことに理由を付した例
申立人はポスト・ノーティスをも求めているが、本件の救済としては、会社に組合の運営に対して支配介入行為があったことを確認し、同種の不当労働行為を将来再び惹き起こさないよう戒めることをもって足りるとされた例。
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業種・規模 |
運輸に附帯するサービス業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集107集176頁 |
評釈等情報 |
 
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