概要情報
事件名 |
佐川急便 |
事件番号 |
大阪地労委 平成 5年(不)第42号
大阪地労委 平成 5年(不)第58号
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申立人 |
佐川急便労働組合 |
申立人 |
全日本運輸産業労働組合大阪府連合会 |
被申立人 |
佐川急便 株式会社 |
命令年月日 |
平成 6年 6月 7日 |
命令区分 |
全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、会社が、委員長らの組合員に組合脱退を強要し、嫌がらせを行ったことが不当労働行為であるとして争われた事件である。 大阪地労委は、文書掲示を命じた。 |
命令主文 |
被申立人は、1m×2m大の白色板に下記のとおりに明瞭に墨書して、被申立人深江営業所玄関付近の従業員の見やすい場所に10日間掲示しなければならない。 記 年 月 日 全日本運輸産業労働組合大阪府連合会 執行委員長 X1 殿 佐川急便労働組合 執行委員長 X2 殿 佐川急便株式会社 代表取締役 Y1 当社が行った下記の行為は、大阪府地方労働委員会において、労働組合法第7条第3号に 該当する不当労働行為であると認定されましたので、今後このような行為を繰り返さないよ うにいたします。 記 1平成5年8月9日、当社深江営業所の街店長らが貴佐川急便労働組合執行委員長X2氏ら に対し、組合活動の中止及び貴組合からの脱退を求める発言を行ったこと。 2平成5年8月10日、郡営業課長が貴組合員に対し、貴組合からの脱退を求めたこと。 3貴佐川急便労働組合執行委員長X2氏に対し、次の行為を行ったこと。 (1)平成5年8月10日以降、同氏の業務を監視したり、他の従業員から孤立するよう仕向け たこと。 (2)同月12日以降、同氏に対し、荷受け作業を1人で行わせたり、同年9月2日から約1か 月にわたり、「引き師」業務を命じる等して業務上の嫌がらせを行ったこと。 (3)同月31日、同氏を賞罰委員会にかけ、同氏が従業員のための病気見舞金を組合活動資金 に流用したかのような疑惑を煽り、同氏及び貴組合の信用を失墜させようとしたこと。 4平成5年8月11日、貴組合員の運転する営業車に係長らが同乗し、貴組合からの脱退を求 めたこと。 5平成5年8月19日以降、貴佐川急便労働組合執行委員長X2氏を全体朝礼に出席させた 上、脱退した組合員をして、同月19日の朝礼で更に組合脱退を促す発言をさせ、同様に同 月21日の朝礼においても、同氏に脱退届を手渡させて従業員の組合離れを煽ったこと。 6平成5年8月25日及び同月27日に、貴全日本運輸産業労働組合大阪府連合会が行った街頭 宣伝に対して、誹謗中傷を行う等して、従業員の反組合感情を煽ったこと。 7平成5年8月31日、時吉労務課長が貴佐川急便労働組合執行委員長X2氏に対し、貴佐川 急便労働組合と貴全日本運輸産業労働組合大阪府連合会間の分断を図る発言をしたこと。 |
判定の要旨 |
4820 単一組織の支部・分会等
組合規約が申立時に不備があっても、その後組合大会で規約改正を行い、法5条2項に適合するものとなったので、組合は申立人適格を有するとされた例。
2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
3410 職制上の地位にある者の言動
組合結成直後の執行委員長らに対する脱退強要、残留組合員に対する組合員への嫌がらせ等の会社職制の行為は、その状況からみて会社の組織的行為であり、7条3号の不当労働行為であるとされた例。
3102 争議対抗手段
執行委員長に対する賞罰委員会にかけたのは、同人が従業員への見舞金を組合活動資金に流用していないことがわかっていたのに、あえて疑惑を従業員に抱かせ、信用を失墜させることにより、従業員の組合ばなれを企図したものとされた例。
2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
組合の上部団体の街頭宣伝について、労務課長が誹謗中傷したことが、同街頭宣伝を奇貨として組合及び上部団体のイメージダウンを図り、組合と分断させようとした不当労働行為とされた例。
1602 精神・生活上の不利益
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
執行委員長に対して、その仕事を監視したり、1人個室で作業するよう指示したり、朝礼で元書記長から、脱退届を一括して手渡させたりしたことは、同人に肉体的精神的苦痛を与え、組合の弱体化を企図したものとされた例。
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業種・規模 |
道路貨物運送業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集99集772頁 |
評釈等情報 |
 
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