概要情報
事件名 |
千代田化工建設(昇給昇格) |
事件番号 |
神奈川地労委平成 1年(不)第17号
神奈川地労委平成 3年(不)第2号
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申立人 |
X1外4名 |
被申立人 |
千代田化工建設 株式会社 |
命令年月日 |
平成 4年 2月28日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、組合員X1ら5名に対し、昭和50年頃から昇給・昇格について差別を継続していることが争われた事件で、昭和63年4月1日に溯ってX1ら5名の基準内賃金の是正及びバックペイ、X1を除く4名について是正された賃金に見合う職能資格への昇格、組合活動を理由とする差別の禁止及び文書掲示を命じ、その余の申立てを棄却した。 |
命令主文 |
主 文 1.被申立人千代田化工建設株式会社は、申立人X2に対し、昭和63年4月1日に溯って、その基準内賃金を同学歴、同年齢の社員の平均を下まわらない額に是正し、申立人X1、同X3、同X4、同X5に対しては、昭和63年4月1日に溯って、その基準内賃金を同学歴、同期の社員の平均を下まわらない額に是正し、更に上記5名が同日から是正までの間、受けるはずであった諸給与相当額(賞与を含む。)と既支給額との差額に年5分の割合による金員を加算して、申立人に支給しなければならない。 2.被申立人千代田化工建設株式会社は、X2を除く申立人を主文1により是正された基準内賃金に見合う職能資格に昇格させなければならない。 3.被申立人千代田化工建設株式会社は、昇給及び昇格に当たり、申立人に対して組合活動を理由として差別を行ってはならない。 4.被申立人千代田化工建設株式会社は、本命令交付の日から速やかに、次の誓約書を、縦1メートル、横 1.5メートルの白紙に楷書で鮮明に墨書し、被申立人の本店2号館正面前に10日間破損することなく掲示しなければならない。 誓 約 書 当社が、貴殿らに対し、賃金、資格につき他の社員と格差をつけていたことは、神奈川県地方労働委員会において労働組合法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為であると認定されました。 今後、当社は、再びこのような行為を行なわないことを誓います。 平成 年 月 日 X2 殿 X1 殿 X3 殿 X4 殿 X5 殿 千代田化工建設株式会社 代表取締役 Y1 5.申立人のその余の申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
0120 政治(党)活動
本件申立人らは、例え政党名を用いることがあっても、組合員の労働条件の改善のために活動しており、これをすべて組合活動とは無縁の政治活動と断ずることはできないとされた例。
1201 支払い遅延・給付差別
2901 組合無視
申立人らは、同期の平均と比較して、賃金及び資格において格差が認められる反面、特に能力が劣り勤務成績が悪いとは認められず、本件差別取扱いは不当労働行為であるとされた例。
4415 賃金是正を命じた例
賃金及び職能資格差別の救済として、申立人の基準内賃金の同期平均を下回らない額への是正及び関連する手当等の是正、並びにこれに見合う職能資格制度上の資格への昇格を命じた例。
5007 謝罪・陳謝・誓約文の手交・掲示
誓約書の掲示を命じたからといって、直ちに会社の表現の自由が侵害されたということにはならないとされた例。
5201 継続する行為
昭和50年度から申立ての時点まで会社の査定による不利益取扱いが毎年継続してなされ、申立時の格差に至ったというのであれば、その期間にわたる年度ごとの査定相互の関連と連続性が疎明されて初めて「継続する行為」としての不利益取扱いが認められるとされた例。
5124 その他の審査手続
労働協約上の苦情処理制度の仲裁裁定は両当事者を拘束する旨の規定は、再度苦情申立てはできないという趣旨に解すべきで、不当労働行為救済申立ての権利を制約するものではないとされた例。
5201 継続する行為
申立人らの賃金及び資格に関する不利益取扱いとして、昭和50年度から始まり継続して申立時に及ぶ不当労働行為であるとの疎明は十分ではなく、労組法27条2項の規定による救済の対象とはならないとされた例。
5200 除斥期間
賃金決定とこれに基づく毎年の賃金支払行為とは一体的なものであり、賃金決定行為が不当労働行為に該当するときは、これに基づきその後毎月反復される各賃金支払行為もその都度不当労働行為を構成するから、申立て1年前の賃金支払行為のもとをなした賃金決定行為以降が救済の範囲内に含まれるとされた例。
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業種・規模 |
建設業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集94集76頁 |
評釈等情報 |
 
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