概要情報
事件名 |
西仙台病院 |
事件番号 |
宮城地労委 昭和60年(不)第2号
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申立人 |
西仙台病院労働組合 |
被申立人 |
医療法人財団 明理会 |
命令年月日 |
昭和61年 7月22日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
病院が、(1)昭和60年の春闘における団交で誠実な対応をせずに賃金引上げを決定し、組合との合意のないまま給与を支給したこと、(2)委員長の処遇改善を求める団交を拒否したこと、(3)婦長に昇格した書記長に対して組合脱退を示唆したこと、(4)親睦会との間に、掲示板の貸与等に関し取扱いを異にしていることが争われた事件で、(1)賃金改定を行うについては、具体的な根拠に基づいて説明するなど、誠実に団交をするとともに、委員長の処遇改善に関する団交拒否の禁止、(2)書記長に対して脱退示唆などしての支配介入の禁止、(3)これらに関する文書の手交を命じ、親睦会との差別扱いの申立ては棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人医療法人財団明理会は、申立人西仙台病院労働組合との間において、賃金の改定 を行うについては、申立人に対し具体的な根拠に基づいて説明をするなど、誠実に団体交渉 をするとともに、申立人組合からの「X1執行委員長の処遇改善を行うこと」なる団体交渉要 求については、これを拒否してはならない。 2 被申立人医療法人財団明理会は、申立人西仙台病院労働組合書記長X2に対し、組合脱退を 促し、又はこれを示唆するなどして、申立人組合の運営につき支配介入してはならない。 3 被申立人医療法人財団明理会は、申立人西仙台病院労働組合に対し、下記文書を、本命令 書写しの交付後速やかに手交しなければならない。 記 当医療法人財団明理会が、貴組合に対し、昭和60年春闘時の賃金改定に係る団体交渉にお いて、具体的な根拠に基づいて説明をするなどの誠実な交渉を行わなかったこと、及び貴組 合から申し入れのあった「X1執行委員長の処遇改善を行うこと」に係る団体交渉に応じなか ったことが労働組合法第7条第2号に該当し、更に貴組合X2書記長に対し組合脱退を促し、又はこれを示唆するなどの行為を行ったことが労働組合法第7条第3号に該当する不当労働行為であると宮城県地方労働委員会により認定されました。 よって当医療法人財団明理会は、貴組合及び貴組合員に陳謝するとともに、今後はこのような行為を繰り返さないことを、ここに明らかにします。 昭和 年 月 日 西仙台病院労働組合 執行委員長 X1 殿 医療法人財団明理会 代表理事 Y1 4 申立人のその余の申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
2249 その他使用者の態度
賃上げに関する団交において、既に決定した内容を告知するのみという使用者の態度が不当労働行為であるとされた例。
2301 人事事項
委員長の不当処遇改善要求に関する団交申入れに対し、同要求は人事問題であることを理由に団交を拒否したことが不当労働行為であるとされた例。
2621 個別的示唆・説得・非難等
婦長昇格後の書記長に対し、組合脱退を示唆したことが不当労働行為であるとされた例。
2800 各種便宜供与の廃止・拒否
2901 組合無視
親睦会に掲示板の貸与が認めていながら、組合には異なる扱いをしたことが不当労働行為であるとされた例。
2901 組合無視
親睦会は組合としての性質を有しないと認められるので、使用者が親睦会との対比で組合に対し異なる対応をしたとしても、直ちに組合を差別扱いしたとはいえないとされた例。
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
委員長に対し、課長職勧誘を行って組合離脱を計ったことが不当労働行為であるとの主張が斥けられた例。
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業種・規模 |
医療業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集80集134頁 |
評釈等情報 |
 
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