概要情報
事件名 |
ネッスル(東京販売事務所) |
事件番号 |
東京地労委昭和58年(不)第56号
東京地労委昭和58年(不)第66号
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申立人 |
ネッスル日本労働組合 |
申立人 |
ネッスル日本労働組合東京支部 |
被申立人 |
ネッスル 株式会社 |
被申立人 |
ネッスル 株式会社 東京販売事務所 |
命令年月日 |
昭和59年 7月 3日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
申立人組合からの組合休暇、組合費のチェック・オフ等に関する団交申入れに対し、会社には従前から存在する申立人組合と同一名称の申立外組合しか存在しないとして団交を拒否したこと、申立人組合の組合員からチェック・オフした組合費を申立外組合に交付したことが争われた事件で、団交拒否の禁止、チェック・オフの禁止、二つの組合の存在が明白となった58年4月以降のチェック・オフ相当額の支払い及びポスト・ノーティスを命じ、組合本部の団交申入れの拒否、58年1~3月分のチェック・オフ及び、東京販売事務所を被申立人とする申立てについては棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人ネッスル株式会社は、被申立人ネッスル株式会社東京販売事務所だけに関係する事柄について、申立人ネッスル日本労働組合東京支部(同支部執行委員長X1)から団体交渉の申し入れがあったときは、「被申立人ネッスル株式会社には、申立外ネッスル日本労働組合(同本部執行委員長X2)一つしか存在せず、申立外ネッスル日本労働組合(同本部執行委員長X3)は存在しない。従ってまた被申立人ネッスル株式会社東京販売事務所には、申立外ネッスル日本労働組合東京支部(同支部執行委員長X4)一つしか存在せず、申立人ネッスル日本労働組合東京支部(同支部執行委員長X1)は存在しない」との理由で、これを拒否してはならない。 2 被申立人ネッスル株式会社は、今後、「ネッスル日本労働組合」との間の従前のチェックオフ協定に基づくと称して、申立人ネッスル日本労働組合東京支部(同支部執行委員長X1)所属の各組合員の給与から組合費のチェックオフをしてはならず、また、同支部に所属する組合員の給与から、昭和58年4月分以降、チェックオフした組合費相当額を同支部に支払わなければならない。 3 被申立人ネッスル株式会社は、本命令書受領の日から、一週間以内に55センチメートル×80センチメートル(新聞紙2頁大)の白紙に、下記のとおり楷書で明瞭に墨書し、本社および東京販売事務所の従業員の見易い場所に10日間掲示しなければならない。 記 昭和 年 月 日 ネッスル日本労働組合 本部執行委員長 X3 殿 ネッスル日本労働組合 東京支部執行委員長 X1 殿 ネッスル株式会社 代表取締役 Y1 当社が貴組合東京支部(同支部執行委員長X1氏)から申入れのあった昭和58年5月12日付団体交渉を拒否したこと並びに貴組合東京支部所属の組合員の給与から昭和58年4月分以降の組合費をチェックオフしたことは、いずれも不当労働行為であると東京都地方労働委員会で認定されました。今後、かかることのないよう留意します。 (注、年月日は掲示した日を記載すること。) 4 被申立人ネッスル株式会社は、前記第2項、第3項を履行したときは、当委員会に文書で報告しなければならない。 5 その余の申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
1603 組合活動上の不利益
2800 各種便宜供与の廃止・拒否
組合が二つの組合に分離・独立して存在することが、会社にとって明白となったと認められた以降において、その一つの組合である申立人組合が所属組合員の氏名を明らかにし、同人らの組合費のチェック・オフの中止を申し入れた以上、会社がこれを無視し、チェック・オフを続けこれを他組合に引き渡していることは、不利益取扱いであるとともに組合の弱体化を意図した不当労働行為であるとされた例。
1603 組合活動上の不利益
2800 各種便宜供与の廃止・拒否
組合が二つの組合に分離・独立して存在することが会社にとって確定的に認識しえなかった段階においては、一方の組合である申立人組合から所属組合員の組合費のチェック・オフ中止申入れがあったとしても、会社が従前の「組合費控除対象者リスト」に従ってチェック・オフを続けても不当労働行為にはあたらないとされた例。
2114 組合の不存在
二つの組合が存在することを会社が認識したと認められる以上、団交に応ずべきであり、会社及び東京事務所には従前から存在する申立人組合と同一名称の申立外組合しか存在しないことを理由に、申立人組合東京支部からの組合休暇、チェック・オフ等に関する団交を拒否したことが、不当労働行為とされた例。
2131 支社等の出先機関
東京事務所だけに関係する事柄については、従来から組合支部との間でのみ交渉を行うという方式が定着している以上、組合本部の申し入れた団交を拒否しても不当労働行為にはあたらないとされた例。
4905 経営補助者
会社東京事務所を被申立人とした申立てに対し、同事務所は会社の一組織にすぎす、同所長も交渉担当者にすぎないのであるから被申立人とすることは相当でなく、会社のみを被申立人とすれば足りるとされた例。
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業種・規模 |
卸売業、小売業、飲食店 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集76集60頁 |
評釈等情報 |
労働法律旬報 1984年8月10日 1102号 66頁 
労働判例 1984年11月15日 437号 69頁 
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