概要情報
事件名 |
亮正会高津中央病院 |
事件番号 |
神奈川地労委 昭和61年(不)第10号
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申立人 |
総評全国一般労働組合神奈川地方連合川崎地域支部高津中央病院分会 |
申立人 |
総評全国一般労働組合神奈川地方連合川崎地域支部 |
被申立人 |
医療法人 社団亮正会 |
命令年月日 |
昭和62年 7月15日 |
命令区分 |
全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) |
重要度 |
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事件概要 |
社団が、ナースコンパニオンX1及びX2両名が就労するに際しての労働条件等に関する団交申入れに対し、交渉人員に固執し、団交を拒否したこと、両名の時給を同期採用の非組合員より低くしたこと及び仕事上差別扱いや嫌がらせを行ったことが争われた事件で、賃金是正(年5分加算)、仕事上の差別的扱い等の禁止及び文書掲示を命じた。 |
命令主文 |
主 文 1 被申立人は、申立人組合員X1及びX2両名に対し、X1については昭和61年2月19日以降、X2については昭和61年3月3日以降、同人らの同期採用者たるナースコンパニオンと同一の時間給により算出した賃金相当額から同人らが現に支給を受けた金額を控除した金額に年5分相当額を加算して支払わなければならない。 2 被申立人は、申立人組合員X1及びX2両名に対し、直接又は職場の責任者らをして、仕事上の差別的扱い及びナースコンパニオンのミーティング、研修、健康診断などについて事前に出席の指示ないしは伝達をしないなどの行為をさせてはならない。 3 被申立人は、本命令受領後速やかに下記陳謝文を、縦1メートル、横2メートルの白色木板に楷書で明瞭に墨書し、被申立人の経営する食堂内の従業員の見やすい場所に、見やすい状態で10日間掲示しなければならない。 陳 謝 文 当社団の次の行為は、神奈川県地方労働委員会によりいずれも労働組合法第7条に該当する不当労働行為であると認定されました。当社団は、ここに深く陳謝するとともに、今後このような行為を再び繰り返さないことを誓約いたします。 (1)昭和61年春季賃上げに関する貴組合との団体交渉において、賃上げ額の回答根拠などについて十分に説明をすることなく、不誠実な対応をしたこと。 (2)貴組合員X1及びX2両名に対し、賃金差別、仕事上の差別的扱い及び嫌がらせを行って不利益を与えるとともに、貴組合に対する支配介入を行ったこと。 昭和 年 月 日 医療法人 社団亮正会 理事長 Y1 総評全国一般労働組合神奈川地方連合川崎地域支部 執行委員長 X3 殿 同 高津中央病院分会 執行委員長 X4 殿 |
判定の要旨 |
1201 支払い遅延・給付差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
組合員X1ら2名と同期採用のナースコンパニオンとの賃金格差を設けたことは、裁判所の仮処分決定により職場復帰した同人らを嫌悪してなした不当労働行為であるとされた例。
2213 交渉人数
社団が、組合からの組合員X1ら2名の労働条件、仕事上の差別問題に関する団交申入れに対し、組合が交渉人員を制限しないこと等を理由にした拒否は団交拒否に当たるとされた例。
2700 威嚇・暴力行為
3106 その他の行為
組合員X1ら2名が、仮処分決定による職場復帰したものの、社団の、仕事上の差別扱い及び嫌がらせの行為は、同人らを動揺させることにより組合の弱体化をも意図した支配介入であるとされた例。
4300 労組法7条2号(団交拒否)の場合
団交拒否に係る救済は、原職復帰、バックペイに伴う既救済命令において、誠実団交応諾を発しており、社団は、いまだ同命令の不履行を継続しているもので重なる救済措置を命じる特別の必要は認められないとされた例。
4617 その他
社団に対し、本件ほか既に6件の命令を発しているにもかかわらず、これら命令を一切考慮することなく不当労働行為事件を引き起こしていることから陳謝文の掲示を命じた例。
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業種・規模 |
医療業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集82集54頁 |
評釈等情報 |
 
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