概要情報
事件名 |
大久保製壜所 |
事件番号 |
東京地労委昭和51年(不)第107号
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申立人 |
X1ほか10名 |
申立人 |
東京東部労働組合大久保製壜支部 |
被申立人 |
株式会社 大久保製壜所 |
命令年月日 |
昭和59年 3月27日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
組合が中心的活動基盤としている検査課所属の副執行委員長及び書記長に対して、他の職場に配転を命じたこと、副執行委員長ら組合員10名に対して、新勤務体制実施の説明会開催をめぐって組合員が会社との間にトラブルを起したことを理由に、今後このような行為を行わないことを誓約する旨の始末書の提出を求めたうえ、出勤停止処分又は減給処分に付し、さらに3名については組長又は班長の職を解任したこと及び「日中友好青年の翼訪中団」に加わり旅行をする執行委員長X1の欠勤届を無断欠勤扱いとし、同人を出勤停止処分にしたことが争われた事件で、副執行委員長ら2名の配転命令の撤回及び原職復帰、組合員10名に対する組長又は班長の解任を含め、出勤停止処分又は減給処分がなかったっものとしての取扱い並びにポスト・ノーティスを命じ、Sの出勤停止処分については申立てを棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人株式会社大久保製壜所は、申立人X2及び同X3に対して、昭和51年7月22日付で行った配転命令を撤回し、両名を原職に復帰させなければならない。 2 被申立人会社は、申立人X2、同X3、同X4、同X5、同X6、同X7、同X8、同X9および同X1に対して、次の措置を含め、昭和51年10月13日付懲戒処分を行わなかったと同様に取り扱わなければならない。 (1) X2、X3、X4、X5、X6およびX7に対する出勤停止処分を撤回すること。 (2) X8、X9およびX1に対する減給処分を撤回すること。 (3) X5に対する組長解任、X8およびX9に対する班長解任の各処分をそれぞれ撤回し、同人らを処分前の原職もしくは原職相当職に復帰させること。 (4) 上記懲戒処分がなされなかったとすれば、受けるはずであった諸給与相当額を支払うこと。 (5) 同人らに対する始末書提出命令を撤回すること。 3 被申立人会社は、本命令書受領の日から一週間以内に、55センチメートル×80センチメートル(新聞紙2頁大)の大きさの白紙に、下記の内容を楷書で明瞭に墨書して、被申立人会社の工場正門前の見やすい場所に10日間掲示しなければならない。 記 昭和 年 月 日 東京東部労働組合大久保製壜支部 支部執行委員長 X1 殿 株式会社 大久保製壜所 代表取締役 Y1 当社が行った下記の行為は、不当労働行為であると東京都地方労働委員会において認定されました。今後このような行為を繰り返さないよう留意します。 記 1 貴組合員X2氏、同X3氏を昭和51年7月22日付で、ならびに貴組合員であったX10氏を同年8月21日付で、それぞれ配転したこと。 2 貴組合員X2氏、同X3氏、同X4氏、同X5氏、同X6氏、同X7氏、同X8氏、同X9氏、同X1氏および貴組合員であったX11氏を、昭和51年10月13日付で懲戒処分に付したこと。 (注、年月日は掲示した日を記載すること。) 4 被申立人会社は、上記各項を履行したときは、すみやかに当委員会に文書で報告しなければならない。 5 その余の申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
1300 転勤・配転
定年真近かな高齢組合員X10の激務の職場への配転は、追加異動に名を借り、組合に踏みとどまっていることを嫌悪して行った不利益取扱いであるとされた例。
1400 制裁処分
執行委員長X1が訪中を理由とする欠勤届を会社に提出したが、会社はこれを無許可としたにもかかわらず、同人が訪中したことに対し出勤停止処分にしたことは、組合執行委員長なるがゆえのものではないとし、不当労働行為ではないとされた例。
1400 制裁処分
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
新勤務体制の実施をめぐる会社とのトラブルを理由に組合員10名に対し出勤停止処分又は減給処分を行ったことは、同人らを不利益に取扱うとともに組合の弱体化を意図した不当労働行為であるが、新勤務体制の実施そのものは、不当労働行為にあたらないとされた例。
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
副執行委員長X2と書記長X3の両名を配転したことは、全社的規模の異動に名を借り、組合のリーダー格である健常者の両名を他の職場へ移動させることにより組合が主要な活動基盤としている検査課職場の心身障害者の組合員に組合活動上の打撃を与え、団結意志を沮喪させようとするものであり、支配介入であるとされた例。
4422 その他
既に定年退職している組合員X10についての救済は、ポスト・ノーティスを命ずるにとどめるとされた例。
4422 その他
既に定年退職した組合員X10についての救済は、ポスト・ノーティスを命ずるにとどめるとされた例。
4603 その他
副執行委員長X2と書記長X3の両名が配転された以降7年有余も経過しているが、会社がX2には見習工の作業に、またX3には雑用に従事させていたことを考慮すれば、救済として両名の原職復帰を命ずるのが相当であるとされた例。
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業種・規模 |
その他の製造業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集75集250頁 |
評釈等情報 |
 
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