概要情報
事件名 |
成長タクシー |
事件番号 |
青森地労委 昭和57年(不)第8号
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申立人 |
全国自動車交通労働組合連合会青森地方連合会成長タクシー支部 |
命令年月日 |
昭和58年 3月16日 |
命令区分 |
全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) |
重要度 |
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事件概要 |
一時金支給について労働協約や就業規則等に根拠規定はなく、また慣行もなく、しかも直前の組合の長期ストによって多額の損害を被ったことにより一時金は支給できないとして、昭和56年度夏季一時金を支給しなかったことが争われた事件で、会社は組合と協議の上、支給額を定め、組合員に支給すること及び命令書の写しの交付の日から1 箇月以内に前期協議が調わないときは、会社は、組合の同意を得て当該労委に対して仲裁を申請し、その裁定に従うこと並びにポスト・ノーティスを命じた。 |
命令主文 |
1 被申立人成長タクシー株式会社は、申立人全国自動車労働組合連合会青森地方連合会成長タクシー支部組合員に対する昭和56年度夏季一時金につき、申立人と協議の上、次に掲げる事項を勘案して額を定め、これを申立人組合員に支給しなければならない。 (1) 被申立人の従業員に対する夏季一時金及び冬季一時金の支給に関する従来の慣行 (2) 被申立人の従業員に対する昭和56年度冬季一時金の支給状況 (3) 昭和56年度夏季一時金の支給に係る計算期間中の申立人組合員の稼働額 (4) 申立人の昭和56年4月29日から同年6月12日にかけての同盟罷業実施期間中就業した被申立人の従業員に対して支給された昭和56年度夏季一時金の支給状況 (5) 株式会社青森中央タクシー及び株式会社丸富タクシーの従業員に対して支給された昭和56年度夏季一時金の支給状況 2 この命令書の写しの交付の日から1箇月以内に前項の協議が調わないときは、被申立人は、申立人の同意を得て当委員会に対して仲裁を申請し、その裁定に従わなければならない。 3 被申立人は、この命令書の写しの交付の日から7日以内に下記の文書を申立人に交付するとともに、同一内容の文書を縦1メートル、横2メートルの白色木板に読みやすく墨書して、被申立人会社の正面玄関その他の見やすい場所に10日間掲示しなければならない。 記 昭和 年 月 日 全国自動車交通労働組合連合会青森地方連合会 成長タクシー支部 執行委員長 X1殿 成長タクシー株式会社 取締役社長 Y1 当社が貴組合の同盟罷業の実施を理由に、今日まで貴組合の組合員に対して昭和56年度夏季一時金を支給しなかったことは、労働組合法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為であると青森県地方労働委員会に認定されました。よって、当社は、今後このような不当労働行為を繰り返さないことを誓います。 (注 年月日は、文書を掲示する日を記載すること。) |
判定の要旨 |
1201 支払い遅延・給付差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
昭和56年度夏季一時金に関し、直前の組合の長期ストによって多額の損害を被ったこと、労働協約や就業規則に一時金を支給するといった根拠規定もなく、また支給の慣行も存していないこと等を理由に組合員に一時金を支給しなかったことについて、一時金を支給する慣行は成立しており、56年度夏季一時金も一部の非組合員には支給し、ストによる損害の疎明のないこと等からみて、長期ストに対する報復の意図をもってなされた組合員に対する不利益取扱いであるとともに、組合の運営に対する介入行為であるとされた例。
4407 バックペイの支払い方法
昭和56年度夏季一時金の不支給に対する救済にあたり、同夏季一時金の額や支給条件の細目が定められていないことから、単に支給を命ずるのみでは、十分救済の目的を達することができないとして、(1)夏季・冬季各一時金支給に関する従来の慣行、(2)同年度冬季一時金の支給状況、(3)同夏季一時金の支給に係る計算期間中の組合員の稼働額、(4)組合のスト実施期間中に就労した従業員に対し支給された同夏季一時金の支給状況、(5)組合及び申立外の2支部に係る同夏季一時金要求につき、交渉を行った申立外2社の従業員に対して支給された同夏季一時金の支給状況を勘案して支給額を定め支給するよう命じた例。
4417 条件付命令・協議命令
昭和56年度夏季一時金の不支給に対する救済として、組合と協議の上、支給額を定め、支給するよう命じるにとどまらず、命令の実効性を十分確保するためとして、命令書の写しの交付の日から1箇月以内に前期協議が調わないときは、被申立人は、申立人の同意を得て当該労委に仲裁を申請し、その裁定に従うよう命じた例。
5110 申立人の追加
上部団体である地連及び申立人組合が行った同地連を申立人として追加する申立て及び組合が行った組合員個々人を申立人として追加する申立てにつき、組合の組合員の大多数の者が組合から脱退したとはいえ、組合が消滅するに至っておらず、その必要性はないとして斥けた例。
5122 和解・取下
申立人組合から脱退した多数の者(107名)が別組合を結成し、それが申立人組合を承継するものとして申立ての取下書を提出したのに対し、申立人組合(結審時3名)が存在している以上、本件取下書の提出により本権申立てが終結したものとは認められないとされた例。
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業種・規模 |
道路旅客運送業(ハイヤー、タクシー業) |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集73集203頁 |
評釈等情報 |
 
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