概要情報
事件名 |
秋商産業 |
事件番号 |
秋田地労委 昭和56年(不)第3号
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申立人 |
秋田米菓労働組合 |
被申立人 |
秋商産業 合資会社 |
命令年月日 |
昭和58年 3月 7日 |
命令区分 |
全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) |
重要度 |
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事件概要 |
経営難を理由として旧会社を解散し、全従業員を解雇したこと、その後新会社を設立し、その従業員の雇用にあたり、解散した旧会社の従業員のうち非組合員のみを雇用し、組合員を雇用しなかったことが争われた事件で、新会社に対し、組合を通して雇用を申し出た組合員の雇用を命じた。 |
命令主文 |
被申立人は、申立人組合の下記組合員のうち、同組合を通して雇用するよう申し出た者については、速やかに雇用しなければならない。 記 X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7、X8、X9、X10、X11 |
判定の要旨 |
1500 不採用
新会社が従業員の雇用にあたり、解散した旧社の従業員のうち非組合員のみを雇用し、加えて新規に数名を雇用しながら組合員を雇用しなかったことについて、組合員が非組合員に比して、職務遂行能力が劣るとの疎明がないこと、組合が旧社の再建計画について団交を要求するなど活発化していたことを会社が嫌悪していたこと等からみて、組合員であることを理由としてなした不当労働行為にあたるとされた例。
1700 偽装解散
経営を持続していくことが客観的に不可能であったとは思えないが、当時組合を嫌悪していたことも認められない以上、旧社を解散し、全従業員を解雇したこと自体は不当労働行為とはいえず、また、新社が組合員を雇用しなかったことについて意を通じていた事実もない以上、偽装解散とも認められないとされた例。
4410 雇入拒否の場合
4503 他の救済との関係で団交の必要性を認めなかった例
旧社を解散し、新社において旧社の組合員を採用しなかった件に関し、組合側が、組合員と非組合員を差別せず希望者全員を稼働させること及び速やかな団交の応諾を求めたのに対し、組合を通して雇用を申し出た組合員を速やかに雇用しなければならない旨命令することが相当であるとされた例。
4911 解散事業における使用者
会社は解散した旧社とは全く別個の法人であり、組合員との間には何ら雇用関係ないしは労働契約関係は存しない以上、当事者適格を有しないとして、申立ての却下を求める会社主張につき、会社は旧社の取引先を承継し、その使用する土地、建物、機械設備も同一であること、会社役員についても、旧社の役員と同一の者がいることなどから、会社と旧社は実質的に同一企業であり、会社は当事者適格を有するとされた例。
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業種・規模 |
食料品製造業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集73集173頁 |
評釈等情報 |
労働経済判例速報 昭和58年8 月10日 1159号(34巻22号) 17頁 
労働法律旬報 1983年6 月25日 1074号 45頁 
労働判例 1983年7 月1 日 407 号 70頁 
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