概要情報
事件名 |
阿部商事 |
事件番号 |
神奈川地労委 昭和57年(不)第10号
神奈川地労委 昭和57年(不)第16号
神奈川地労委 昭和57年(不)第18号
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申立人 |
阿部商事 労働組合 |
申立人 |
X1他10名 |
被申立人 |
阿部商事 株式会社 |
命令年月日 |
昭和58年 2月 5日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
機構改革等を理由とする組合員X2ら11名に対する配転命令及び同配転命令を拒否し新任務に就労しなかった組合員X1ら7名に対する不就労期間の賃金の控除、組合の実施したスト期間中の多忙を理由とした非組合員に対する5万円の特別手当の支給、昭和57年賃上げ、同56年年末一時金等の要求事項及び労働協約に関する誠意ある団交の不実施が争われた事件で、組合員X2ら11名に対する人事異動命令の撤回、原職復帰、組合員X1ら7名に対する控除した賃金相当額の支給、組合員 147名に対する各5万円の支給、労働協約案等未解決事項に関する誠意ある団交応諾及びポスト・ノーティスを命じ、昭和56年年末一時金及び同57年賃上げ問題に関する団交応諾の申立てについては、同問題は既に会社案により実施され、組合員も受領していることから申立てを棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、申立人X2、同X1、同X3、同X4、同X5、同X6及び同X7に対する昭和57年4月1日付けの人事異動命令並びに申立人X8、同X9、同X10及び同X11に対する同年5月10日付けの人事異動命令を撤回し、同人らをそれぞれ上記命令前の原職に復帰させなければならない。 2 被申立人は、申立人X1、同X3、同X5、同X8、同X9、同X10及び同X11に対し、同人らが、前項の人事異動命令を拒否し、赴任先において就労しなかったことを理由に控除した賃金相当額を直ちに支給しなければならない。 3 被申立人は、別表に記載する者147 名に対し、それぞれ金5万円を直ちに支給しなければならない。 4 被申立人は、申立人阿部商事労働組合が昭和56年1月に提案した労働協約(案)及び昭和57年3月15日付けで要求した事項のうちの未解決事項に関し、誠意をもって同組合との団体交渉に応じなければならない。 5 被申立人は、下記の誓約書を縦、横各1メートル以上の白紙に明瞭に墨書し、本社及びスーパーの各店舗内における従業員の見やすい場所に、本命令書受領後直ちに、1週間にわたり掲示しなければならない。 誓 約 書 会社が行った次の行為は、いずれも不当労働行為であると神奈川県地方労働委員会より認定されました。 1 貴組合のX2、X1、X3、X4、X5、X6及びX7の各組合員に対する昭和57年4月1日付けの人事異動命令 2 貴組合のX8、X9、X10及びX11の各組合員に対する昭和57年5月10日付けの人事異動命令 3 貴組合のX1、X3、X5、X8、X9、X10及びX11の各組合員が、前2項の人事異動命令を拒否し、赴任先において就労しなかった期間の賃金を控除したこと。 4 非組合員に対し特別手当金5万円を支給しながら、貴組合の組合員に対してはこれを支給しなかったこと。 5 労働協約及び昭和57年3月15日付けの要求書にかかる貴組合との団体交渉を誠意をもって行わなかったこと。 以上の件につき、会社としては、神奈川県地方労働委員会の命令を誠実に履行するとともに、今後、このような不当労働行為を繰り返さないことを誓約します。 年 月 日 阿部商事労働組合 執行委員長 X12殿 阿部商事株式会社 代表取締役社長 Y1 6 申立人らのその余の申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
1203 その他給与決定上の取扱い
配転命令を拒否し、新任務に就労しなかった組合員X1ら7名に対し、その不就労期間の賃金を控除したことが、人事異動が不当労働行為であることから、賃金控除もまた不当労働行為とされた例。
1205 別組合員に対する特別手当の支給
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
組合の9日間のストによる多忙を理由として、スト不参加の非組合員に対して5万円の特別手当を支給したことが、その支給基準等に合理性がなく、恣意的に支給したものといわざるをえないことなどから、組合のストに参加した者に対し、非組合員と差別して不利益取扱いをすることにより、組合活動を抑圧・けん制し、組合の弱体化を意図した不当労働行為とされた例。
1300 転勤・配転
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
会社組織活性化のための機構改革に伴う必要性を理由とする組合員X1ら7名に対する配転について、配転の必要性は認められるとしても、団交に応ずることなく強行実施していること、非組合員との比較において組合員の場合は不利益な配転となっていること及び本件配転に至る労使事情等からみて、組合の弱体化を意図した組合対策としてなされたもので、不当労働行為に当たるとされた例。
1300 転勤・配転
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
精肉部の活性化を理由とする組合員X8ら4名に対する配転について、事前に予告せず、組合とも交渉せずに突如発令したことなどからみて、組合の弱体化を意図した組合対策としてなされたもので、不当労働行為に当たるとされた例。
2248 実質的権限のない交渉担当者
親和会等非組合員との折衝には社長が出席していながら、組合の申し入れた賃上げ、年末一時金等の要求事項及び組合の提案した労働協約案に関する組合との団交には社長が出席していないなど誠意ある団交を行わなかったことが不当労働行為とされた例。
4413 給与上の不利益の場合
組合のスト中の多忙を理由として非組合員に対し特別手当てを支給したことについての救済として、就労日数による同手当の支給基準にかかわりなく組合員に対しても一律5万円あて支給するよう命じた例。
4825 その他
会社の管理職を構成員としている組合は、労組法上の適格性を欠くものであり、組合の本件申立ては却下されるべきであるとの会社の主張につき会社が管理職の扱いをしているスーパー課長、課長、店長(課長心得ないし係長)らは、その職務内容からみて労組法第2条但し書第1号に該当するものとは認め難いとして会社主張を斥けた例。
4825 その他
就業時間中の組合活動につき賃金控除されていないことを理由として、組合は労組法上の適格性を欠くものであり、組合の本件申立ては却下されるべきであるとの会社主張につき、本社及び各店間の連絡、巡回が会社の日常的業務とされている勤務の状態からみて、会社の主張をそのまま認めることはできず、いずれにしても経費援助に該当するものではないとして会社主張を斥けた例。
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業種・規模 |
卸売業、小売業、飲食店 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集73集89頁 |
評釈等情報 |
労働判例 1983年5 月15日 404 号 77頁 
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