概要情報
事件名 |
共立 |
事件番号 |
東京地労委 昭和50年(不)第140号
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申立人 |
東京三多摩金属労働組合 外個人3名 |
被申立人 |
株式会社 共立 |
命令年月日 |
昭和56年 7月 7日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が昭和41年度以降50年度までの間の賃上げ及び一時金について申立人3名の人事考課を他の従業員より低く査定し支給したことが争われた事件で、48年度以降の賃金を申立人が属する各職級の中位にあったものとして再計算するとともに、これに基づき一時金も再計算し、それらに伴う差額を支払うよう命じ、46年夏期一時金以前にかかる申立て及び損害賠償請求については却下し、46年冬期一時金以降47年冬期一時金までの分に関する申立てについては棄却した。 |
命令主文 |
主 文 1 被申立人株式会社共立は、申立人X1、同X2、同X3に対して、次の措置を講じなけれ ばならない。 (1)昭和48年度から昭和50年度までの賃金を、申立人3名が属する各職級の中位の賃金にあ ったものとして是正し、それに基づいて再計算した金額と、既に支給済の賃金との差額 を支払うこと。 (2)昭和48年から昭和50年までの夏季及び冬季一時金を、前期(1)で是正した賃金に基づき、 考課部分を60%として再計算し、既に支給済の一時金との差額を支払うこと。 2 昭和46年夏季一時金以前に係る申立て及び損害賠償請求に係る申立てを却下し、昭和46年 冬季一時金、昭和47年度賃上げ、同年夏季一時金及び同年冬季一時金についての申立てを棄 却する。 |
判定の要旨 |
1202 考課査定による差別
2900 非組合員の優遇
46年度ないし50年度の申立人X1ら3名の賃金・一時金の成績査定を従業員の平均以下に査定したことにつき、合理的根拠がなく組合員であるが故の不当労働行為であるとされた例。
4407 バックペイの支払い方法
46年度ないし50年度の賃金・一時金差別について不当労働行為の成立を認めたものの、労使関係の正常化と安定にとって無制限に遡って救済するのは好ましくないので、諸般の事情を勘案して申立ての日から3年程度遡って救済することが相当であるとして、48年度以降の賃金・一時金についての是正のみを命じた例。
4413 給与上の不利益の場合
賃上げ格差の是正方法として、申立人3名の勤務成績が特段優れているとの疎明もないことから、その所属する各職級の中位の賃金であったものとして取り扱うことが相当とされた例。
4407 バックペイの支払い方法
一時金差別の是正方法として、会社の一時金の考課部分の平均が60%であることから、是正賃金に基づき考課部分を60%として再計算し、差額相当額を支給することが相当とされた例。
5005 損害賠償の請求
会社の差別攻撃により、組合員が減少し、そのため組合費の収入が減少したとして、その回復を求める申立てが、損害賠償を求める救済申立ては労委の判断に馴染まないとして却下された例。
5201 継続する行為
41年度から50年度までの昇給及び一時金差別についての申立てのうち、46年冬季一時金以降に係る部分については、組合が会社の差別に対し明白に抗議し会社はいずれもこれに応じていないことなどから、会社が組合を嫌悪し、組合員を差別する意図の下になした差別の繰り返しの具体的微表が顕在化して継続しており、いわゆる「継続する行為」と認められるが、それ以前の差別については、それが認められないので、申立期間徒過により却下さるべきであるとされた例。
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業種・規模 |
一般機械器具製造業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集70集85頁 |
評釈等情報 |
労働判例 昭和56年12月1日 372号 87頁 
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