概要情報
事件名 |
五十川タクシー |
事件番号 |
福岡地労委 昭和54年(不)第10号
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申立人 |
全自交福岡地連五十川タクシー労働組合 |
被申立人 |
五十川タクシー 有限会社 |
命令年月日 |
昭和56年 4月13日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
会社役員らによる組合脱退等の一連の言動、組合員に対する別組合員との勤務上の差別(出社、帰庫、時間外労働)、上司に対する反抗等を理由にした執行委員長に対する出勤停止及び減給処分、別組合員との喧嘩口論についての事実報告提出命令通告等が争われた事件で、組合脱退慫慂、別組合員との差別などによる支配介入の禁止、執行委員長に対する出勤停止及び減給処分がなかったものとしての取扱い及びバック・ペイ、並びにポスト・ノーティスを命じ、事実報告提出命令通告及び雇用期間満了による組合員1名の更新拒否については申立てを棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人五十川タクシー有限会社は、申立人全自交福岡地連五十川タクシー労働組合の組合員に対し、同組合からの脱退を慫慂したり、申立外五十川タクシー労働組合への加入を慫慂し、または、乗務員の出社時間及び帰庫時間の取り扱いについて、申立人組合員と申立外五十川タクシー労働組合員との間で差別する等して、申立人組合の運営に介入してはならない。 2 被申立人会社は、申立人組合員X1に対する昭和54年5月28日から同年6月11日までの15 日間の出勤停止処分及び同人に対する同年7月7日付減給処分がそれぞれなかったものとし て取り扱い、同処分がなければ同人が受ける筈であった賃金相当額を支払わなければならな い。 3 被申立人会社は、本命令交付の日から7 日以内に、下記の文書を縦2m×横1.5mの白紙 に明瞭に墨書して、本社の従業員の見やすい場所に10日間掲示しなければならない。 記 会社の下記の行為については、福岡県地方労働委員会の命令により労働組合法第7条第3 号の不当労働行為と認定されましたので、今後このような行為は致しません。 記 全自交福岡地連五十川タクシー労働組合の組合員に対し組合脱退を慫慂したり、五十川タ クシー労働組合に加入を慫慂し、または、乗務員の出社時間及び帰庫時間の取り扱いについ て、貴労働組合の組合員と五十川タクシー労働組合の組合員との間に差別をしたこと。 昭和 年 月 日 全自交福岡地連五十川タクシー労働組合 執行委員長 X1 殿 五十川タクシー有限会社 代表取締役 Y1 4 申立人のその余の申立は、棄却する。 |
判定の要旨 |
1400 制裁処分
組合執行委員長について上司への反抗等を理由に出勤停止処分及び減給処分に付したことが不当労働行為とされた例。
2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
会社役員による組合脱退慫慂等一連の言動が支配介入とされた例。
1302 就業上の差別
2900 非組合員の優遇
申立組合員には出社時間、帰庫時間を厳守させたり、時間外勤務から除外した会社の措置は、支配介入にあたるとされた例。
1106 契約更新拒否
臨時雇用期間の満了を理由とする退職について組合は不当な解雇だと主張するが、本人はその日までの賃金を受領し、4月後には他社に勤務しており、契約期間満了による退職とみられ、また、在職中には特段の組合活動を行っていたとも認められないから、不当労働行為とはならないとされた。
3020 組合活動への制約
申立組合執行委員長と別組合副委員長との喧嘩口論について会社が事実報告提出命令通告書を出したことは、企業秩序維持の立場から、当然の措置であり、不当労働行為ではないとされた例。
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業種・規模 |
道路旅客運送業(ハイヤー、タクシー業) |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集69集411頁 |
評釈等情報 |
 
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