概要情報
事件名 |
オリエンタルチェン工業 |
事件番号 |
石川地労委 昭和51年(不)第4号
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申立人 |
日本労働組合総評議会全国金属労働組合石川地方本部オリエンタルチェン工業支部 |
申立人 |
日本労働組合総評議会全国金属労働組合石川地方本部 |
被申立人 |
オリエンタルチェン工業 株式会社 |
命令年月日 |
昭和53年11月14日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、50年度賃上げ、同年年末一時金、51年度賃上げ分支給に当り、申立人支部の組合員について、別組合員よりも低く考課査定したことが争われた事件で、支部組合員の査定率の平均が9.86%となるよう再査定の実施、再査定後の差額支給及び申立人支部組合に対する是正結果及び差額内容の通知並びに労委への履行状況報告、賃金引上げ及び一時金の考課査定の差別禁止を命じ、謝罪文の手交、掲示及び新聞広告についての救済申立ては棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、昭和50年度の賃金引上げ、同年年末一時金及び昭和51年度の賃金引上げにおける当時の申立人支部組合員の考課査定について、それぞれの組合員の既査定額を下回ることなく、かつ、各賃金決定時の支部組合員の査定率の平均が9.86パーセントとなるよう、すみやかに適正な再査定を行なわなければならない。 2 被申立人は、前項の再査定の結果に基づき、前記支部組合員の昭和50年度及び同51年度の基本給、職能手当等の額、並びに昭和50年年末一時金の額を是正し、以降、これらの是正によって影響する全ての賃金の額を修正するとともに、既に支払った賃金との差額を同人らに対してすみやかに支給しなければならない。また、これらの措置に併せて、その履行状況を当委員会に文書をもって報告するとともに、是正結果及び差額内容の明細を申立人支部組合に通知しなければならない。 3 被申立人は、申立人支部組合員に対し、申立人支部組合に所属することを理由として賃金引上げ及び一時金の考課査定について、他の従業員と差別することにより組合の運営に支配介入してはならない。 4 申立人らのその余の申立ては、これを棄却する。 |
判定の要旨 |
4415 賃金是正を命じた例
本件救済方法としては、組合分裂前の昭和47年度及び同48年度の賃金引上げ時の査定結果が最も公正妥当で信用するに足るものと考えられるので、上記両年度の平均査定率9.80%と9.92%の平均値9.86%相当額を全体の基準とし、再査定を命ずることが相当である。
5121 挙証・採証
会社は、新労の賃金台帳は人事管理上障害が発生するおそれがあり低率査定の根拠については資料が残存しない。また組合分裂前の査定資料についても廃棄処分を行った等の理由により、最も必要とされる比較資料については3表以外の提出を拒否し、新労の平均査定率さえ明らかにせず、会社が積極的に疎明を行わない以上、提出された書証により審査するのほかないが、かりに会社の拒否理由が正当であるとしても立証拒否から生ずる判断上の不利益を免れることはできない。
5201 継続する行為
賃金と一時金はその性格が異っていても、考課査定自体は同種の行為と見なしうるところ、会社は前記認定のとおり明らかに支部を嫌悪し、まず、昭和50年度賃上げで差別査定を行い、その後、支部より格別の抗議がないことを奇貨として、年末一時金においても同様の差別を積み重ね、さらに翌年度賃金引上げに至るまで差別査定という同種の不当労働行為を繰り返し行ってきたのであり、これら一連の行為を考察するに、その意図、目的、態様において相互に密接不可分の関連を有することが認められ、まさに「継続する行為」に該当するものである。
1201 支払い遅延・給付差別
1202 考課査定による差別
会社が行った賃上げ及び一時金の考課査定行為について、その主張には合理的根拠が乏しく認容できないとして不当労働行為とされた例。
4422 その他
救済の目的を全うさせるため支部組合に対する明細通知を命じた例。
4601 「抽象的不作為命令」を命じた例
同様の不当労働行為が発生することがないようにとの配慮から、不作為を命じた例。
4823 上部団体
支部の上部団体である地本は、別件不当労働行為事件命令で判断したとおり申立人適格を有すると判断した例。
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業種・規模 |
一般機械器具製造業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集64集420頁 |
評釈等情報 |
 
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