概要情報
事件名 |
富田機器製作所 |
事件番号 |
三重地労委昭和47年(不)第5号
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申立人 |
全国金属労働組合三重地方本部 |
申立人 |
全国金属労働組合富田機器支部 |
申立人 |
全国金属労働組合 |
被申立人 |
住友重機械工業株式会社 |
被申立人 |
株式会社 富田機器製作所 |
命令年月日 |
昭和51年 2月17日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
社長らによる申立人組合に対する中傷・誹謗、組合役員選挙・スト権確立投票への干渉、組合活動へ不参加慫慂等をめぐる事件で、上記各支配介入行為の禁止及び謝罪文の掲示を命じ、親会社正門への謝罪文掲示の申立ては棄却した。 |
命令主文 |
1. 被申立人らは、申立人全国金属労働組合富田機器支部の組合およびその組合員に対し、文書または口頭により、中傷・誹謗したり、組合員に対し組合活動に参加しないよう慫慂したり、または、組合の役員選挙投票、スト権確立投票等に干渉するなどして、申立人組合の組織ないし運営に支配介入してはならない。 2. 被申立人らは、株式会社富田機器製作所の正門入口に、下記の謝罪文を縦1メートル、横3メートルの木板に墨書し、本命令書受領後5日以内から10日間継続して掲示しなければならない。 記 当社は、文書もしくは口頭により、貴組合および貴組合員を中傷、誹謗したり、貴組合員に対して、貴組合の活動に参加しないよう慫慂したり、または、貴組合の行なう役員選挙に支配介入したことを深謝し、今後かかる不当労働行為を一切行なわないことを誓約します。 昭和 年 月 日 全国金属労働組合 代表者 中央執行委員長 X1殿 全国金属労働組合三重地方本部 代表者 執行委員長 X2殿 全国金属労働組合富田機器支部 代表者 執行委員長 X3殿 住友重機械工業株式会社 代表者 代表取締役社長 Y1 株式会社 富田機器製作所 代表者 代表取締役 Y2 3. 申立人のその余の申立はこれを棄却する。 |
判定の要旨 |
4915 親会社
子会社であるT社は資金面において全く親会社であるS社に依存していること、役員は親会社からの出向者・親会社の前身会社の出身者でほとんど占められていること、経理面で不明確、混交があること、親会社が子会社の労務政策に対し指導、支配の役割を果していることなどから、親会社と子会社との関係は構造的に、前者が後者を綜合的・継続的に支配ないし管理する体制が形成されていたものと推認し得るので、本件の親会社は被申立人適格を有する。
2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
社内報に掲載した会社役員の文章が、組合組織を中傷・誹謗した支配介入とされた例。
2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
職制懇談会における社長の発言が組合を中傷・誹謗した支配介入とされた例。
2624 組合人事への干渉
組合役員選挙への干渉が支配介入とされた例。
3410 職制上の地位にある者の言動
下級職制の職場懇談会における言動及び役員選挙に干渉した行為が会社に帰責されるものとされた例。
3500 処分の時期
会社役員が社内報に組合を中傷する文章を発表したことが、会社が職制懇談会を活用して組織分断を行っている時期になされたものであることなどから支配介入とされた例。
5201 継続する行為
親会社が子会社の組合に対して特定の意図と目的のもとに計画的、継続的に実行した支配介入諸策動の一環としてなされた行為は、除斥期間経過以前の事実であっても、一連の継続する事実として判断の対象とすることができるとされた例。
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業種・規模 |
輸送用機械器具製造業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集58集200頁 |
評釈等情報 |
労働法律旬報 筒井 信隆 昭和51年 4月25日 902号 58頁 
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