概要情報
事件名 |
報知新聞社 |
事件番号 |
東京地労委昭和45年(不)第86号
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申立人 |
X1ほか31名 |
申立人 |
日本新聞労働組合連合 |
申立人 |
報知新聞労働組合 |
被申立人 |
株式会社 報知新聞社 |
命令年月日 |
昭和48年 5月 1日 |
命令区分 |
全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) |
重要度 |
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事件概要 |
争議終結後、争議中の違法行為に対する責任追及として委員長はじめ32名の活動家を処分した事件で、退職者を除く申立人全員の処分撤回、原職復帰、バックペイおよび誓約文の掲示を命じた。 |
命令主文 |
1 被申立人株式会社報知新聞社は、後記当事者目録記載の申立人X1ら32名に対して、次の措置を含め、懲戒処分を行なわなかったと同様に取扱わなければならない。 (1) 昭和45年10月31日付懲戒処分を同日に遡って撤回すること。 (2) 懲戒解雇された者および役職解除、役職降下された者を、処分前の原職に復帰させ、その他の者(但しX5を除く)を原職に就労させること。 (3) 懲戒処分がなされなかったとすれば受けるはずであった給与相当額を支払うこと。 2 被申立人会社は、下記の文言を縦1メートル、横2メートルの白紙に明瞭に墨書し、東京本社正面玄関付近の従業員の見易い場所に、1週間掲示しなければならない。 記 当社が、貴組合員X1ら32名に対して行なった昭和45年10月31日付懲戒処分は不当労働行為に該当すると、東京地方労働委員会において認定されました。今後このような方法で貴組合の運営に支配介入いたしません。 同労働委員会の命令によってこの掲示をいたします。 昭和 年 月 日 株式会社 報知新聞社 代表取締役 Y1 報知新聞労働組合 執行委員長 X2 殿 日本新聞労働組合連合 中央執行委員長 X3 殿 (注 年月日は文書を掲示した日を記載すること。) 3 被申立人会社は、すみやかに、文書で本命令の履行状況を当委員会に報告しなければならない。 |
判定の要旨 |
0200 宣伝活動
0208 暴力・不穏当な言動を伴った組合活動
組合の教宣活動中には、表現に不当なものもあるが、激しい労使対立の中で、既に他社争議でも使われた誇張的表現を借りたものであったり、社長の攻撃も、その、労務政策を批判したものであること、他方会社側も対抗的に極端な表現を使っていること、双方とも既に相互に遺憾の意を表し合っていること等を総合すれば、多くの行きすぎはあったにしても、正当な組合活動である。
0204 団交・争議に付随する行為
0206 他組合の争議支援
組合員が争議中に組合を脱退した者の自宅を訪ねて出社しないように説得したことは好ましくないが、平素親しい者を選び平穏裡に説得したもので就労妨害とはいえず、他の従業員への説得も人数・態度・言葉づかい等からみて、程度を超えたものではなく、正当な組合活動である。
0414 ピケッティング
0419 ロックアウトとの関連
デモ隊の一部が新聞輸送用トラックの出荷を阻止したため新聞発送が遅れたことは認められるが、誰が阻止したのか、運転手が組合の説得に応じて下車したためなのか、またロック・アウト中でもあり発送者の人手不足や不慣れによる疑いもあるし、したがって、遅延の全責任を組合に帰することは当をえない。
0205 第三者・取引先等への働きかけ
X4が寄稿者に面会して寄稿しないよう働きかけたことを営業妨害と指摘しているが、それは口頭による説得、依頼の域を出ておらず、組合が使用者の取引先に働きかけて、その取引先を通じて使用者に圧力を加えることは一般に許されており、本件処分はまさに組合活動自体を対象としたものである。
1400 制裁処分
3600 処分の差別
上司の注意に対し反抗的な態度を示したり、就労中の組合脱退者を取り囲むなどは、不穏当であり反省を要する点もあるが、処分理由中には課員としての意見を述べたに過ぎないものまで含まれており、当時の激しい労使間の対立を考慮すると、これらを処分の理由とすることは妥当でない。
4400 原職相当職への復帰を命じたもの
主文における原職とは、会社がロック・アウトを解除し全員を局付としたその地位ではなく、それ以前の原職をいう。
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業種・規模 |
出版・印刷・同関連産業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集50集146頁 |
評釈等情報 |
 
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