労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  大阪地裁平成29年(行ウ)第67号
文際学園不当労働行為救済命令取消請求事件
原告  学校法人X1(「法人」) 
被告  大阪府(処分行政庁・大阪府労働委員会) 
被告補助参加人  労働組合Z(「組合」) 
判決年月日  平成30年2月28日 
判決区分  棄却 
重要度   
事件概要  1 本件は、組合からの組合員A1の再雇用後の労働条件を議題とした団体交渉申入れに対し、法人が、労働条件に当たらず義務的団交事項でないとして、当該議題の団体交渉に応じないことが不当労働行為に当たるとして救済申立てがあった事件で、大阪府労働委員会は、法人に対し、団交応諾及び文書の手交を命じた。
2 法人は、これを不服として大阪地裁に訴訟を提起したところ、同地裁は法人の請求を棄却した。 
判決主文  1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用(補助参加によって生じた費用を含む。)は、原告の負担とする。 
判決の要旨  1 本件の争点
  組合の平成27年7月21日,同年9月18日及び同年10月14日付けの団体交渉申入れに対する法人の対応が,労組法7条2号の不当労働行為に当たるか否か。
2 争点に関する当裁判所の判断
(1)義務的団交事項か否か
 法人は,定年退職日をもって雇用関係が一旦途切れる,再雇用時の労働条件は新たな労働条件の設定である旨指摘する。しかしながら,定年によって退職した時点において,それまでの雇用契約が一旦終了し,再雇用契約を締結することによって,新たな雇用契約関係が発生することになるとしても,当該新契約の労働条件は,組合の構成員たる労働者の労働条件であることに何ら変わりはなく,法人と組合との間で締結した「継続雇用制度の対象となる高年齢者に係る基準に関する協定書」の内容をも併せ鑑みれば,組合員A1が定年退職後に法人と再雇用契約を締結する際の労働条件は,義務的団体交渉事項に当たるというべきである。
(2)労組法7条2号の不当労働行為に当たるか否か
ア 組合の平成27年7月21日付け団体交渉申入れを受けた同年8月6日及び同月27日開催の団体交渉において,法人は,A1の再雇用後の具体的な労働条件についての協議を拒否したこと,法人は,組合からの平成27年9月18日付け及び同年10月14日付け団体交渉申入れについて,定年退職後の処遇については団体交渉事項ではないので協議する必要はない旨の回答書を送付するにとどまったことが認められる。
イ 法人は,労働条件やその決定方法について説明を行っている,A1との個別面談において十分協議を行っている旨主張する。しかしながら,同年8月6日開催の団体交渉における法人の組合に対する説明は飽くまでも一般論にとどまっている上,労組法7条2号の趣旨は,労働条件等に関する問題について労働者の団結力を背景とした交渉力を強化して労働者の団体交渉権を実質的に保障しようとするものであるから,使用者が組合員であるA1と個別に面談等を行ったとしても,同事実が団体交渉を拒否する正当な理由にはならないというべきである。
ウ よって,法人の対応は,正当な理由のない団体交渉の拒否というほかなく,労組法7条2項の不当労働行為に該当すると認められる。 
その他   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
大阪府労委平成27年(不)第57号 全部救済 平成29年3月13日
大阪高裁平成30年(行コ)第37号 棄却 平成30年8月30日
 
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