概要情報
事件名 |
西日本旅客鉄道(西労団交等) |
事件番号 |
東京高裁平成18年(行コ)第311号 |
控訴人 |
西日本旅客鉄道株式会社 |
被控訴人 |
国(処分行政庁 中央労働委員会) |
被控訴人補助参加人 |
ジェーアール西日本労働組合 |
判決年月日 |
平成19年3月29日 |
判決区分 |
棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、会社が、①新幹線運転士を車掌に運用する在勤発令に当たり、組合との団体交渉に誠実に応じなかったこと、②当該発令に係る人選において組合間差別を行ったこと、③昇格試験及び指導員担務指定において組合間差別を行ったことが不当労働行為であるとして、申立てがあった事件である。初審福岡地労委は、会社に対し、誠実団交応諾、誓約書の手交を命じ、中労委は、初審命令主文の一部を変更し、その余の再審査申立てを棄却した。会社は、これを不服として東京地裁に控訴を提起したところ、同地裁が会社の請求を棄却した。これに対し、会社は、東京高裁に控訴を提起し、同高裁は本件控訴を棄却するとの判決を言い渡した。
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判決主文 |
1.本件控訴を棄却する。 2.控訴費用は控訴人の負担とする。 |
判決の要旨 |
① 本件は、組合が平成6年3月30日から同年6月3日にかけて新幹線乗務員の運用等について団体交渉の開催を申し入れたのに対して、会社がこれに応じなかったのが不当労働行為であるとして誓約書の手交を命じた中労委の救済命令には誤りがあるとして、会社がその取消しを求めた事案であり、原判決が中労委命令を支持したところ、会社はこれを不服として控訴したものであるが、会社の請求には理由がないとされた例。 ② 組合の本件団体交渉申入れの内容は、原判決の認定どおり、労働条件に関する事項として、義務的団体交渉事項に該当するが、会社は組合との労働協約において、労使の話合いの場として、「団体交渉」、「経営協議会」、「苦情処理」の3つを合意しており、本件の申入れ事項は、「団体交渉」ではなく「経営協議会」の対象であると補充主張するが、本件申入れ事項は労働条件に関する事項であるから、「経営協議会」における議題には含まれず、会社は誠実に団体交渉に当たる義務があるとされた例。 ③ 会社は事前交渉は、実質的に団体交渉である旨主張するが、事前交渉において必要にして、十分な説明をしたといえず、これが団体交渉であったとしても、本件団体交渉を否定し得る正当な理由があったとまでは認められないとされた例。 ④ 会社の提案に基づく在勤発令により、在勤発令を受けた組合員は全員原職又は原職相当職に復帰しており、今後会社から同様の発令が行われる可能性も認められないけれども、会社が労働委員会の審理手続及び本件訴訟において本件団体交渉申入れ事項は団体交渉事項に当たらないと団交拒否の正当性を主張していることは明らかであるから、今後の労使関係の安定等を考慮すると、誓約書の交付についてはなお救済の必要性を肯定し得るとされた例。 ⑤ よって、これと同旨の原判決は相当であり、本件控訴は理由がないから棄却するとされた例。 |