事件名 |
電装舎 |
事件番号 |
大阪高裁平成14年(行コ)第72号
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控訴人 |
個人Y1 |
被控訴人 |
兵庫県地方労働委員会 |
被控訴人参加人 |
関西合同労働組合 |
判決年月日 |
平成15年12月18日 |
判決区分 |
一審判決の全部取消し |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、会社及び個人Y1が、従業員X1が組合に加入したことを契
機に、(1)配車差別、業務差別を行い歩合給を減額したこと、(2)(1)に関する団体交渉を誠実に応じなかったこと、
(3)脱退勧奨を行ったことが不当労働行為であるとして争われた事件である。兵庫地労委は、会社及びY1に対し、(1)他の
従業員に支払われた歩合給の平均額とX1に支払われた歩合給との差額の支払、(2)X1の労働条件に関する団交応諾、(3)
脱退勧奨などによる支配介入の禁止、(4)文書手交を命じ、その余の申立ては棄却したところ、これを不服とし、Y1が行政訴
訟を提起したところ、神戸地裁は、兵庫地労委の命令を支持し、請求を棄却した。Y1はこれを不服として、大阪高裁に控訴を提
起したが、同高裁は、原判決を取り消し、初審命令中、Y1に関する部分を取り消した。 |
判決主文 |
1 原判決を取り消す。
2 被控訴人が兵庫県地方労働委員会平成10年(不)第4号、第8号事件について平成12年5月9日付けでした命令の主文1
項ないし4項のうち控訴人に関する部分を取り消す。
3 訴訟費用は第1、2審を通じ、被控訴人の負担とする。 |
判決の要旨 |
4916 企業に影響力を持つ者
労働組合法第7条にいう「使用者」とは、労働契約の一方当事者である雇主及びこれに準ずる地位にある者、すなわち、労働契約
関係に隣接ないし近似する関係にある者をいい、単に、労働関係上の諸利益に対し事実上の影響力ないし支配力を及ぼし得るに止
まる者、例えば、雇用主たる企業の代表者等の機関や、労働者の労働条件について実際上の支配力を有する第三者などはこれに含
まれないとされた例。
4916 企業に影響力を持つ者
本件では、X1と労働契約を締結している雇主は会社であって、Y1でないことが明らかであり、また、X1とY1との間には、
労働契約関係に隣接する関係や近似する関係も認められないことから、Y1は、X1との関係で、労働組合法第7条にいう「使用
者」には当たらないというべきであり、さらに、Y1は、実質的な代表者として活動していたものとは評価し得るが、その実質関
係を重視しても、単に、X1の労働関係上の諸利益に対し事実上の影響力を有する者というに止まるとされた例。
4916 企業に影響力を持つ者
会社とY1との間で財産に混同が生じていることや、会社の業務とY1個人の経済活動とが反復継続的に混同されていることを窺
わせるような事情は認められないこと、また、Y1やY1の親族が代表取締役を務める会社グループ各社とY1との間で、収支や
財産の混同、会社グループ各社とY1個人の経済活動とが反復継続的に混同されているといった事情も窺われないことから、その
実質がY1の完全な個人企業であるとまでは断定し難く、会社とY1との実質的な同一性を基礎付けることもできないから、会社
の法人格が形骸化していることを理由として、会社とY1とを同視することはできず、また、法人格が濫用されているというため
には、当該法人の法人格を利用しない限り、法人格否認の法理により当該法人と同視されるべき者に当該法律が適用されるという
関係があることが前提となるが、Y1はそもそもX1に対する不当労働行為の主体とはなり得ない者であり、法人格の濫用を理由
として、会社の法人格を否認すべしとの主張は、その前提を欠くことから、Y1が、会社と同様に労働組合法第7条の「使用者」
としての責任を負うということはできないとされた例。
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業種・規模 |
自動車整備業 |
掲載文献 |
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評釈等情報 |
中央労働時報 2004年5月10日 1028号 73頁
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