事件名 |
九州旅客鉄道(大分不採用)(第十三事件) |
事件番号 |
東京地裁平成 7年(行ウ)第204号
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原告 |
九州旅客鉄道株式会社 |
被告 |
中央労働委員会 |
被告参加人 |
国鉄労働組合 |
被告参加人 |
国鉄労働組合大分地方本部 |
判決年月日 |
平成10年 5月28日 |
判決区分 |
救済命令の全部取消し |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、国鉄改革の際に、国労組合員が採用を希望した九州旅客鉄道
株式会社の会社設立にあたり、会社の職員として採用されなかったことは不当労働行為であり、その責任は会社が負うべきである
として、申し立てた事件で、初審地労委は、会社に不当労働行為の責任があるとしたうえで、本件国労組合員を会社の職員に採用
しなかったことが不当労働行為に当たると判断し、会社に対して、(1)昭和62年4月1日以降会社の職員として取り扱うこ
と、(2)就労すべき職場、職種等について、組合と協議すること、(3)バックペイ及び(4)文書手交・掲示を命じたとこ
ろ、会社はこれを不服として再審査を申し立てた。中労委は、不採用に関して不当労働行為が成立する場合には、会社がその責任
を負わなければならないとして初審命令の判断を結論において支持し、本件国労組合員の不採用に関しては、少なくとも一部につ
き不当労働行為が成立すると判断し、これに基づき初審命令の救済内容を変更した。なお、命令は、本件国労組合員のうち、平成
元年4月1日付で貨物会社に追加採用された者及び再審査被申立人が救済対象者から削除する旨申し出た者は、救済対象者から除
外している。会社はこれを不服として、東京地裁に行政訴訟を提起していたが、同地裁は、救済命令を全部取り消し
た。 |
判決主文 |
1 被告がした別紙命令一覧表記載の各命令のうち、いずれも主文Ⅰ
項の1ないし5及びⅡ項を取り消す。
2 第3、第4、第7、第8、第11、第12及び第14事件各原告の訴えをいずれも却下する。
3 訴訟費用は、第1ないし第14事件を通じてこれを10分し、その9を被告の負担とし、その余を第3、第4、第7、第8、
第11、第12及び第14事件各原告の負担とし、補助参加によって生じた費用は各補助参加人の負担とする。 |
判決の要旨 |
1500 不採用
3900 「不利益の範囲」
4909 事業分離後の新企業体
4911 解散事業における使用者
改革法上、設立委員は、採用候補者の具体的選定・名簿作成過程を現実的かつ具体的に支配できる地位にはなかったものと認めら
れるとして、昭和62年4月1日の採用に関して国鉄の行った採用候補者の選定・名簿作成に不当労働行為に該当する行為があっ
たとしても、その行為に関する労組法七条の使用者としての責任は設立委員、JR各社が負うべきものではないとされた例。
1500 不採用
4909 事業分離後の新企業体
4911 解散事業における使用者
改革法二三条は、承継法人における労働契約関係の創設を段階的に行うものと定め、各段階における設立委員及び国鉄の権限の範
囲並びにその主体を法定しているものと解すべきであるとして、国鉄は設立委員の補助機関の地位にあったとはいえないとされた
例。
1500 不採用
4909 事業分離後の新企業体
4911 解散事業における使用者
国鉄とJR各社の間に実質的な同一性があるといえるのか疑問であるとされた例。
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業種・規模 |
鉄道業 |
掲載文献 |
労働委員会関係裁判例集33集367頁 |
評釈等情報 |
中央労働時報 1998年6月 939号 27頁
中央労働時報 野川忍 1999年7月 955号 2頁
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