概要情報
事件名 |
大久保製壜所 |
事件番号 |
最高裁平成 7年(行ツ)第89号
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上告人 |
株式会社 大久保製壜所 |
被上告人 |
中央労働委員会 |
被上告人参加人 |
東京東部労働組合大久保製壜所支部 |
判決年月日 |
平成 7年 9月22日 |
判決区分 |
上告の棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、(1)会社管理職らが、新労組を結成しようとした従業員らに対し、新労組への加入を妨害する言動を行い、新労組結成後も組合員に対し、脱退慫慂や強要の言動を行ったこと、(2)組合員X1に対する暴力行為に関して、会社が同人に「警告書」を発したこと、(3)会社の新労組に対する団体交渉の態度が不誠実であること等が不当労働行為であるとして申立てがあった事件である。 初審東京地労委は、これを不当労働行為に当たるとして、支配介入の禁止、組合員X1に対して発した「警告書」の撤回、上記(1)から(2)にまでに関する文書掲示等を命じ(平2・3・6決定)、中労委もこれを維持したところ(平5・2・3決定)、会社はこれを不服として行政訴訟を提起した。 第一審東京地裁(平6・9・8判決)は、会社の請求を、第二審東京高裁(平7・2・14判決)は、会社の控訴を棄却したため、会社は上告していたが、平成7年9月22日、最高裁は、会社の上告を棄却した。 |
判決主文 |
本件上告を棄却する。 上告費用は上告人の負担とする。 |
判決の要旨 |
2610 職制上の地位にある者の言動
2625 非組合員化の言動
管理職らによる新労組加入予定者に対する新労組結成大会への参加及び新労組への加入を抑制する旨の発言は個人的関係による言動とは認められず、会社がかねてから嫌悪している東部労組と関係をもつ新組合の結成を好ましくないとして行った支配介入であるとした原審の認定判断が相当とされた例。
2700 威嚇・暴力行為
会社が組合執行副委員長X1に警告書を発したことは、偶発的に発生した本件トラブルを奇貨として警告書を発して組合に動揺を与え、その弱体化を意図した支配介入であるとした原審の認定判断が相当とされた例。
2621 個別的示唆・説得・非難等
組合員が多く入居していた従業員寮に、寮監としてX1を採用して寝泊まりさせたのは寮の監視を強め、組合員に対する脱退工作を行わせることを目的としたものとした原審の認定判断が相当とされた例。
3411 その他の従業員の言動
別労組の副書記長による組合の組合員X2に対する発言は、別労組組合役員としての立場からなされたものとはいえず、会社の意を受けて組合の弱体化ないし壊滅させることを意図してその運営に支配介入したものであるとした原審の認定判断が相当とされた例。
2249 その他使用者の態度
会社の不当労働行為を議題とする団交に臨む会社の態度が誠意をもって応じたとはいえず、そのことに正当な理由があったとはいえないから、労組法7条2号の団交拒否に当たるとした原審の認定判断が相当とされた例。
4300 労組法7条2号(団交拒否)の場合
単に会社・組合間で交渉議題とされなくなってから長期間を経過したというだけでは団交拒否についての被救済利益が消滅するものではないとした原審の認定判断が相当とされた例。
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業種・規模 |
その他の製造業 |
掲載文献 |
労働委員会関係裁判例集30集462頁 |
評釈等情報 |
 
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