通知

厚生労働省発中1001第1号
平成24年10月1日
都道府県労働委員会会長あて
中央労働委員会会長

労働委員会規則の一部を改正する規則の施行について

当委員会は、今般、労働委員会規則の一部を改正する規則(平成24年中央労働委員会規則第1号)を定め、同規則は平成24年10月1日公布、即日施行された。

今回の労働委員会規則(以下「規則」という。)の改正は、全国労働委員会連絡協議会労働委員会活性化のための検討委員会第2次報告書(平成23年6月)において、審査手続を簡素化し、その実効性を高める方策の一つとして、「審問を経ずに命令交付する手続」及び「三者委員による解決策の勧告」が提案されたことを踏まえ、所要の規定の整備を行うものであり、その要旨は下記のとおりであるので、御留意の上、その円滑な施行につき御配慮を願いたい。

1 審問を経ずに命令を発する手続について(第43条第4項の新設)

(1)不当労働行為事件の再審査においては、既に規則に審問を経ないで命令を発することができる旨の規定が設けられている(第55条第2項)が、今般、初審においても、事件の内容に照らし、申立書その他当事者から提出された書面等により、命令を発するに熟すると認めるときは、審問を経ないで命令を発することができることとしたものであること。

(2)「事件の内容に照らし」とは、調査を実施した結果、当事者間で主要な事実関係に争いがなく、容易に事実を認定でき、そのために審問を開くことを必要としない内容の事件である場合をいう。したがって、調査(主張・証拠の提出、証拠調べ、争点の整理等)まで省略できるものではないことに留意すること。

(3)「申立書その他当事者から提出された書面等」には、申立書、答弁書等当事者から提出された書面のほか、書証、文書に準ずる物件、担当職員の作成した調書(第41条の2第7項)が含まれること。

(4)「命令を発するに熟すると認めるとき」に該当するか否かの判断に当たっては、期日において当事者が同席して調査を進める等当事者の攻撃防御の機会を適正に確保し、かつ当事者の陳述の機会を十分に与えて争点及び証拠の整理を行うこと、及び審問を経ないで証拠調べを終結することについての当事者双方の意向及び労使参与委員の意見を総合的に勘案すること。

(5)本項により審問を経ずに命令を発する場合には、審査の計画(労働組合法(以下「労組法」という。)第27条の6)は定めなくともよいが、争点及び証拠を整理した表を作成する等により審査が的確に行われるよう留意すること。

2 事件の解決のための勧告について(第45条の8及び第45条の9の新設)

(1)会長(以下、第37条第2項によって読み替えられた審査委員又は審査委員長を含む。)は、不当労働行為事件の審査の途中において、いつでも当事者に和解を勧めることができることとされているが、当事者間の感情的な対立等から、和解の成立が困難な場合がみられる。
 しかしながら、事件によっては、労使参与委員が当事者に接触する過程で、当事者の意向を把握し、その意を十分に踏まえて、公労使の三者委員(以下「三者委員」という。)が事件の解決のために適切と考える方策を、三者委員の見解として会長が勧告することによって、当事者双方がこれを受け入れ、事件の終結が図られる可能性がある場合が考えられる。
 この取扱いは、現行の制度でも運用上実施が可能であるが、規則に明確に位置付けることによって、事件の解決のためより実効性が高まると考えられることから、今般規定を新設することとしたものであること。

(2)「相当と認めるとき」とは、三者委員の意見が一致した方策を見解として提示することが事件の解決のために適当と判断される場合をいうものである。したがって、三者委員の意見が一致しない場合は、勧告を行うのに「相当と認めるとき」には該当せず、もとより、複数の異なる見解を示して勧告を行うことは想定されていないことに留意すること

(3)「調査又は審問を行う手続に参与する委員」は、審査委員や労使参与委員が各側複数選任されている場合には、全ての審査委員長以外の審査委員及び労使参与委員が含まれること。

(4)事件の解決のための勧告の内容は、申立人が申し立てた「請求する救済内容」の範囲にとらわれるものではないが、不当労働行為の成否についての心証開示に当たると思われるものや予断を与える内容のものは不適切であることに留意すること。

(5)本勧告の内容を当事者が受け入れた場合においては、労組法第27条の14及び規則第5章第2節第7款に定める和解の手続又は規則第34条に定める申立ての取下げに進むことにより事件が終結するものである。また、当事者が受け入れない場合には、調査又は審問を続行することとなる。したがって、本条の新設により現行の各手続に影響が及ぶものではないこと。

3 その他所要の整備について(第37条第2項、第56条第1項及び第3項、第56条の2第2項並びに第56条の3第11項の改正)

 上記1及び2の規定の新設に伴い、特定独立行政法人等に係る不当労働行為事件の審査等の手続について、これを適用する等のため所要の規定の整備を行うこととしたものであること。



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