通知

中労委文発第391号
昭和26年5月21日
各地方労働委員会会長 あて
中央労働委員会会長

中央労働委員会規則一部改正に伴う施行について

標記中央労働委員会規則一部改正は、五月十二日付官報で公布せられたが、これが施行に当つては、特に左記事項御留意のうえ処理せられたく通知します。

この規則は、もともと労働委員会の権限職務の迅速且つ公正な遂行を目的として定められたものであること言を俟たないが、今次の改正は、 この目的に基づき、従来事案処理上手続の面において、とかく迂遠に流れ煩瑣に過ぎる傾きなしとしなかつた点を是正し以て事案処理の促進を図ると共に、 明確性または弾力性を欠くと見られていた若干の点を改正するに止められ、それに一部用句用字の修正および条文の整理が付加された部分的な改正である。 したがつて基本的には、従来の施行方針に特段の変更が加えられたものではないが、左の諸点については、その取扱上、 法の認める範囲において改正の主旨に極力合致するよう注意が払わるべきこと。

一、第四条関係  第五項に規定する場合の総会は、その必要が生じたとき出来る限り速かに招請されることが望ましく、総会成立後会長が選出される までの議事進行については、年長公益委員の司会その他適宜の方法によつて行なわるべきこと。なお、この総会は、会長選挙という目的事項の性質上、 出来得れば、全員の出席が望ましいと考えられること。

二、第二十二条関係  第三号削除は、職安関係手続方法の改正に伴なつてなされたものであり、従来とても第四号ある限り本号の必要なきようにも 考えられたものであるから、実質的には何らの変更はないこと(昭和二十五年二月十七日付中労委文発第一二二号参照のこと)。

三、第二十五条関係  (第一項)決定書には、今次の改正によつて適格不適格いずれの場合にも、その理由を付記する主旨を明かにしたこと。 但し理由の付記は、必ずしも従来の程度以上必要とするものではないことに留意されたきこと。

四、第二十七条(第六項)関係  [第三十二条(第四項)第三十三条(第一項)および第五十三条(第一項)における「申立の受理」の改正点を含む]   受理の字句を除いた主旨は、申立があつたときは、事案は委員会に係属するのであつて、特に受理不受理という問題を生ずる余地はなく、 いわゆる不受理は却下であつて、却下と別個な不受理という行為は存しないと解せられること。なお、郵便による申立の時点は、到達主義によつて 決すべきものと考えられること。

五、第三十四条関係  第四号によるものは、従来からも本条の運営上、このような取扱がなされていたのであり、これを明確にしたものであるが、 他の各号同様その運用に当つては、苟くも濫用にわたることのないようせられたきこと。

六、第三十八条関係  和解に関しては、実情に副うよう弾力的な規定に改められたが、準司法的機関たるの本旨に反するが如き和解の濫用とならぬよう、 重ねて厳に留意せらるべきこと。なお、和解成立によつて、事件は、労働委員会に関する限り当然係属を終るものと解せられたきこと。

七、第四十条関係  但書は、当事者が審問を軽視しまたは審査遅延の目的が明らかなときあるいは書面の主張だけで充分であるとして審問に出頭する 権利を放棄する場合等に活用すべき規定であるから、当事者に不当に不利益な結果を招来しないよう注意せらるべきこと。

八、第四十二条関係

  1. (一)第二項の改正によつて、不当労働行為審査への労使委員の参与が一歩進められたのであり、労使委員の開陳する意見は、従前にも増して 尊重せらるべきであるが、旧規則における但し書(合議判定の際の労使委員の退席)の主旨は当然生きているものであること。
  2. (二)(第四項)合議の結果により、審問が再開される場合は、依然として事件の審査が終了したわけではなく、必要に応じ引続きこの 段階においても第三十三条第四項(証拠の提出)の手続等は有り得べきものであること。

九、第五十八条乃至第六十二条(第六章)関係  本章の改正によつて労調法第四十二条違反の調査および請求は職権を以て取扱い、申立は職権の発動を 促すものとなることが明らかにされたのであること。なお本件取扱における審問は、当事者の対立がないので不当労働行為審査における審問とは若干異なるが、 それに準じて扱わるべきものと解されること。

十、第六十三条関係  本条は、新設の条文であり、この章(争議のあつ旋)の冒頭に置かれたが、単にあつ旋の前段階としての実情調査のみでなく、 争議調整各般にわたる調査に適用して取扱わるべきこと。

十一、第八十七条関係  本条の改正によつて相互援助または調査の依頼は、中労委・地労委間のみならず、地労委相互間においてもなし得べきこと。

以上

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