平成18年12月7日
中央労働委員会事務局
  第一部会担当審査総括室
   室長  西野幸雄
Tel 03−5403−2157
Fax 03−5403−2250


オートウェイ不当労働行為再審査事件〔平成17年(不再)第49号・52号〕
命令書交付について


 中央労働委員会第一部会(部会長 渡辺 章)は、平成18年12月6日、標記事件に係る命令書を関係当事者に交付したので、お知らせします。
 命令の概要等は、次のとおりです。

I 当事者
 再審査申立人(17−49)・再審査被申立人(17−52)
株式会社オートウェイ(福岡県京都郡苅田町)
 従業員6名(平成18年4月7日現在)
 再審査申立人(17−52)・再審査被申立人(17−49)
北九州自立連帯労働組合(福岡県北九州市)
 組合員46名(平成17年12月5日現在)

II 事案の概要
 1 本件は、株式会社オートウェイ(会社)が平成15年8月1日に北九州自立連帯労働組合(組合)の組合員Aに対し、タイヤ転がし作業などの外作業に配置転換したこと等の一連の行為が不当労働行為であるとして救済申立てのあった事件である。
 なお、Aは同年2月26日に解雇されたが、その後組合に加入して解雇を争い、会社は同年7月25日に上記解雇を撤回していた。
 2 初審福岡県労働委員会は、会社に対して、(1)Aに対する平成15年8月1日の就労指示書を撤回し解雇以前に従事していた営業事務に事務所内で従事させること、(2)女子ロッカーを事務所1階の女子更衣室に戻すこと、(3)平成15年夏季一時金を支給すること、(4)上記(1)、(2)、タイヤ梱包場への机の設置及び代表取締役の組合離反を促す発言等に関する文書手交を命じる一部救済命令を交付したところ、会社及び組合は、いずれもこれを不服として、再審査を申し立てた。

III 命令の概要
 1 主文の要旨(初審命令主文に加えて、(3)の取締役らの言動による支配介入禁止、(4)誠実団交実施を命じた。)
 会社に対して、(1)Aに対する平成15年8月1日の就労指示書を撤回し同人を同年2月26日の解雇以前に従事していた業務に事務所内で従事させること、(2)平成15年夏季一時金を支給すること、(3)代表取締役はAに対して組合離反を促す言動を行うことにより、または取締役及び課長らの職制を通じて組合や組合活動を非難する趣旨の言動を行うことにより、組合の運営に支配介入してはならないこと、(4)Aの職場復帰後の業務内容、今後の団交の持ち方を議題とする団交を速やかにかつ誠実に実施すること、(5)上記(1)、(3)、タイヤ梱包場への事務机の設置及び女子ロッカーの移動等に関する文書手交を命じ、その余の救済申立てを棄却した。
 会社及び組合のその余の再審査申立てを棄却した。
 2 判断の要旨
(1) 本件配転及び女子ロッカーの移動・タイヤ梱包場へのAの事務机の設置について
 Aに対する本件配転は、組合に加入して団体要求行動等の組合活動を行った同人を嫌悪し、報復的措置として行われたものと判断され、労組法7条1号の不当労働行為に該当する。
 女子ロッカーの移動については、Aのみならず他の女性従業員も着替えをすることができなくなるなど、この時期にこのような移動を行う必要性が存したかは疑わしく、タイヤ梱包場へのAの事務机の設置については、背後から常時監視カメラで撮影可能な位置に設置されるなど、不合理かつ危険な措置というほかなく、いずれも労組法7条1号の不当労働行為に該当する。
(2) 会社職制らの言動等について
 Aの机の事務所内設置要求に関するB部長らの言動は、組合員であるAに対するパワーハラスメントというべき行為であり、Aないし組合の組合活動を非難する趣旨を含むものであり、労組法7条1号及び3号の不当労働行為に該当する。
(3) 平成15年夏季一時金不支給について
 会社はAの解雇を撤回した以上、解雇がなかったものとして取り扱うべきであり、同時期における一時金の支給に当たりAを他の従業員と殊更区別すべき理由も認められないこと等から、労組法第7条1号の不当労働行為に該当する。
(4) 第1回団交について
 平成15年7月26日の団交における会社の交渉態度については、会社の交渉担当者が適切を欠いていること、会社の交渉打切りは性急に過ぎることからみて、会社は誠実交渉義務に尽くしたとはいえず、労組法7条2号の不当等労働行為に該当する。
(5) 平成15年9月10日の代表取締役の発言について
 会社代表取締役の発言は、Aの組合活動や組合を非難する積極的、攻撃的趣旨を含み、またAの組合離反を促すものであるから、労組法7条3号の不当労働行為に該当する。
(6) 会社駐車場の差止めについて
 再審査申立後の団交において、会社と組合との間で駐車場使用について一定の合意をみていること等からみて、事実上問題は解消されたと認められるのでこの点判断するに及ばない。
(7) 組合旗等の撤去等について
 組合は、抗議行動終了後もこれを撤去することなく、あえて会社正門横の塀に結着したままの状態を続けたことは、組合旗に対する組合自身の管理を放棄したものとみられてもやむを得ず、これに対して会社が施設管理上の措置として自力撤去に及んだことは、争議状態にある組合の団体行動権の行使という掲揚目的を考慮しても、なお不当労働行為と評価することはできない。

 【参考】
 1 本件審査の概要
  初審救済申立日 平成15年9月22日(福岡県労委平成15年(不)第9号)
  初審命令交付日 平成17年7月1日
  再審査申立日 平成17年7月7日(平成17年(不再)第49号)
 平成17年7月14日(平成17年(不再)第52号)
 2 初審命令主文要旨
  上記IIの2のとおり

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