平成18年2月8日 |
中央労働委員会事務局
審査官 武田 徹
電話 03-5403-2265(ダイヤルイン)
Fax 03-5403-2250
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横浜学園不当労働行為再審査事件
(平成16年(不再)第29号)命令書交付について
中央労働委員会(会長 山口浩一郎)は、平成18年2月8日、標記事件に係る命令書を関係当事者に交付したので、お知らせします。
命令の概要は、次のとおりです。
I | 当事者
再審査申立人 | : | 教諭A |
再審査被申立人 | : | 学校法人横浜学園
教職員数108名(平成16年1月現在) |
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II 事案の概要
1 | 本件は、学園の秩序、信用を著しく損なったとして、学園がAを本件解雇し たこと等がAの組合活動を嫌悪し、学園からの排除を目的とした不当労働行為 であると初審神奈川県労委に救済申立てされた事件である。 |
2 | 神奈川県労委は、学園がAの正当な組合活動を嫌悪した本件解雇とは認められない等の理由で棄却したところ、Aはこれを不服として、再審査を申し立てたものである。 |
III 命令の概要
1 | 主文
本件再審査申立てを棄却する。
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2 | 判断の要旨
(1 | )解雇の不当労働行為性について
ア |
(ア | )本件懲戒解雇の経緯をみると、生徒の学園に対する担任A不信任作文の提出問題で両者の話し合いが決裂し、学園は事態収拾のため担任委嘱取消しを通告したが、Aは新担任のいるクラスに出向き生徒の眼前で大きな混乱を招いたこと等が認められ、これらAの一連の行為が学園の就業規則所定の解雇事由に該当することは初審命令のとおりであり、誤りはない。
よって、上記からAが担任委嘱取消しに強く抗議して職務命令に従わない態度に出、それが学園の秩序維持に大きな混乱を招き、その信用を害したというべきである。 |
(イ | )なお、Aは本件担任委嘱取消し等に関し、生徒の直訴に学園の関与等を主張するが、作文提出に関与したとする証拠は存在せず、他方、Aは学園に対し、生徒作文記載の自己発言を認め、これは教育上の配慮等主張したことが認められ、これらの事実から生徒の直訴を契機とする本件担任委嘱取消しはAを学園から排除することを目的として、合理的な理由なく、計画的、一方的に行ったものとは認め難い。 |
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イ | 学園は本件解雇の理由の一つに、Aが主張する「組合員が1人になった後の組合ニュースの配布」を挙げるが、後記(2)アの判断のとおり、その組合活動性としては評価し難く、本件解雇は組合活動を理由とした不利益取扱いとは認められない。 |
ウ | 以上のことから、本件解雇にはAが主張する不当労働行為性は認められず、Aが学園秩序を乱し、信用を害したことによると判断することが相当であり、労働組合法第7条第1号の不当労働行為に当たらないとした初審命令に誤りはない。 |
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(2 | )組合ニュースの配布禁止等の支配介入について
ア | A1人で再発刊した後の組合ニュースの掲載記事は、その紙面構成上、明らかに休刊前とは傾向を異にし、A本人の担任外し等に係る別件訴訟や校長批判の記事等A個人と学園の係争関連の掲載を主眼とみざるを得ないものであり、また、他の教職員に組合加入を勧奨する記事掲載も認められないことから、本件配布行為は一人組合の組織拡大活動として、労働組合法による救済保護を与えられるべきものとは評価し難い。 |
イ | また、組合の消滅宣言は、Aが組合ニュース上で休止宣言した等の状況下でなされたものであり、上記アのとおり、組合ニュース発行を主たる活動とする本件組合について、学園が組合消滅宣言をしたとしても、これが組合への支配介入であるとすることは当を得ない。 |
ウ | したがって、学園が組合ニュースの配布行為を禁止したこと及び組合消滅宣言をしたことが労働組合法第7条第3号の支配介入に当たらないとした初審命令に誤りはない。 |
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【参考】
初審救済申立日 | 平成 | 15年1月6日(神奈川県労委平成15年(不)第1号) |
初審命令交付日 | 同 | 16年4月2日 |
再審査申立日 | 同 | 16年4月8日 |