平成17年11月18日
中央労働委員会事務局
 第二部会担当審査総括室
  室長     神田 義宝
Tel 03−5403−2162
Fax 03−5403−2250


伏見織物加工(組合員資格)不当労働行為再審査事件
(平成12年(不再)第15号) 命令書交付について


 中央労働委員会(会長 山口 浩一郎)は、平成17年11月18日、標記事件に係る命令書を関係当事者に交付したので、お知らせします。
 命令の概要等は、次のとおりです。

I 当事者
 再審査申立人 京都―滋賀地域合同労働組合 [組合員3名(平成17年6月現在)]

 再審査被申立人 伏見織物加工株式会社 [従業員約80名(平成14年2月現在)]

II 事案の概要
 1 本件は、伏見織物加工株式会社(以下、「会社」)が、会社の従業員であり京都―滋賀地域合同労働組合(以下、「組合」)の組合員Sに対し、平成10年9月頃から、(@)代表取締役社長、総務部長、会社顧問弁護士をして、会社内で一言も喋らないという村八分行為を徹底的に行わせたこと、(A)会社内の申立外労働組合に、Sが組合の組合員であるとの情報を流し、申立外労組を使って村八分行為を徹底させたこと、(B)Sを村八分行為により精神的に追いつめ、そのことをも使いながら雇用期間を延長するとの利益誘導を行ったこと、(C)Sに組合からの脱退を強要した上、労働委員会へ虚偽の陳述書を提出させ、虚偽の証言をさせたことがそれぞれ不当労働行為であるとして、救済申立てのあった事件である。

 2 初審京都府労委は、12年3月8日、上記いずれも不当労働行為には当たらないとして、組合の本件各申立てを却下したところ、組合はこれを不服として、12年3月23日再審査を申し立てたものである。

III 命令の概要
 1 主文
 本件再審査申立てを棄却する。

 2 判断の要旨
(1) 組合の申立適格について
 組合は、Sは組合結成当時から組合員であったと主張するが、Sは京都府労委からの証人の求めに対し、組合には名前を貸しただけで組合とは関係がないとして拒否し、同労委の事務局に対しても組合とは関係がないと告げ、組合の執行委員長K自身もSに事情を質したとの形跡もないことが認められる。しかも、組合では組合費を徴収するとしながらも、Sからは徴収した事実はなく、また、納入を督促した事実もない。さらに、Sは、組合役員としての実質的な仕事を行った事実もなく、組合大会等に参加した事実もないことから、Sが組合役員であるとして書面に署名捺印しているとしても、当時、Sが真意をもって組合加入していたとは認めることはできず、その他同人が本件で主張する不当労働行為があったとする時期において、組合との関わりを示す事実も認められないので、同人は組合員と認められない。
 したがって、Sが組合員であると認められない以上、Sに対する不当労働行為が成立する余地はないのであるから、本件申立てをいずれも却下した初審判断は相当である。

 【参考】
 1 本件審査の概要
 初審救済申立日 平成11年5月7日(京都11(不)4)
 初審命令交付日 平成12年3月8日
 再審査申立日 平成12年3月23日(労)

 2 初審命令主文要旨
 本件申立てを却下する。


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