平成17年10月25日
中央労働委員会第二部会担当審査総括室
室長   神田 義宝
電話 03-5403-2162(ダイヤルイン)
FAX 03-5403-2250

西日本旅客鉄道(西労団交等)不当労働行為再審査事件
(平成9年(不再)第22・24号)命令書交付について


 中央労働委員会(会長 山口浩一郎)は、平成17年10月25日、標記事件に係る命令書を関係当事者に交付したので、お知らせします。命令の概要は、次のとおりです。

I 当事者
  再審査申立人(22号)・再審査被申立人(24号)  西日本旅客鉄道株式会社
  再審査申立人(24号)・再審査被申立人(22号)  ジェーアール西日本労働組合、同福岡地方本部
 ※ 以下、西日本旅客鉄道株式会社については、会社全体を表す場合は「会社」、同本社は「本社」、同福岡支社は「支社」と省略し、ジェーアール西日本労働組合については、組合全体を表す場合は「西労」、同中央本部は「本部」、同福岡地方本部は「地本」と省略する。

II 事案の概要
 1 本件は、支社が、(1)地本が平成6年2月28日ないし同年6月3日に申し入れた「新幹線乗務員の運用」に関する団体交渉に誠実に応じなかったこと、(2)平成6年4月1日付け新幹線運転士の車掌への在勤発令(以下「在勤発令」)において、西労組合員を差別的に取り扱ったこと、(3)昇格試験の合否及び指導員担務指定の運用に当たり、西労組合員を差別的に取り扱ったことが、本社及び支社による労働組合法第7条第1号、第2号及び第3号の不当労働行為であるとして、平成6年7月28日に、福岡県労働委員会(以下「福岡県労委」)に救済申立てがあった事件である。
 2 初審福岡県労委は、平成9年6月13日付けで、(1)本社に対して、地本が平成6年2月28日ないし同年6月3日に申し入れた団体交渉について支社をして誠実に交渉させること、及び誓約書を手交すること命じ、(2)支社に対する救済申立を却下し、(3)その余の救済申立てを棄却する一部救済命令を交付したところ、本社並びに本部及び地本は、各々これを不服として、再審査を申し立てた。

III 命令の要旨
 1 命令主文
 初審命令主文第1項を削り、第2項の手交文書中「平成6年2月28日ないし同年6月3日申し込まれた新幹線乗務員の運用に関する団体交渉に誠実に応じなかったことは」を「平成6年3月30日ないし同年6月3日に申し込まれた新幹線乗務員の運用に関する団体交渉に応じなかったことは」に改め、同項以下をそれぞれ繰り上げ、その余の各再審査申立てを棄却する。
 2 判断の要旨
(1) 本件在勤発令について
 本件在勤発令に関する団体交渉
 地本が支社に説明を求めた在勤発令をローテーションとしない理由、在勤期間、人選基準に関し、支社が十分な説明を行ったとは認められず、平成6年3月30日ないし同年6月3日に行われた地本の団体交渉申入れを支社が拒否する正当な理由はない。よって、すでにそれまでの回答・協議によって議論は尽くされているとして、団体交渉に応じなかった支社の対応は、労働組合法第7条第2号の不当労働行為に該当する。
 本件在勤発令に係る人選
 西労組合員への在勤発令率の高さには際立ったものがあるが、当該発令の人選において、西労組合員が多くの不利益を被るような基準を設定したり、その運用において、別組合の組合員とは異なった偏頗な取扱いを行ったとみることはできず、この点に関する西労の救済申立ては認められない。
(2) 人事上の運用差別について
 昇格試験に係る差別
 西労組合員と西労組組合員の間には合格率の著しい格差が存在し、両組合員間の勤務態度、勤務実績等についての集団的な差異についても疎明がなされていないが、この合格率の格差が、会社の西労嫌悪の情ないしは西労弱体化の意図によることを窺わせる疎明は十分でない。よって、会社により昇格試験の合否を通じた差別が行われたとまではいい切れず、この点に関する西労の救済申立ては認められない。
 指導員担務指定に係る差別
 西労脱退者Tに対して、指導員指定を条件とした脱退慫慂があったとの疎明はなく、同人がリーダーコース合格者でなかった一事をもって、西労脱退者が優遇されているとみることはできない。よって、指導員指定に関し、西労脱退者を優遇することにより、地本に支配介入しているとの西労の救済申立ては認められない。

 【参考】初審救済申立日 平成6年7月28日(福岡県労委平成6年(不)第6号)
初審命令交付日 平成9年6月13日
再審査申立日 平成9年6月20日(使)、平成9年6月24日(労)


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