平成17年9月28日
中央労働委員会第二部会担当審査総括室
室長    神田 義宝
電話 03-5403-2162(ダイヤルイン)
FAX 03-5403-2250

九州旅客鉄道(四党合意等)不当労働行為再審査事件
(平成16年(不再)第48号)命令書交付について


 中央労働委員会(会長 山口浩一郎)は、平成17年9月28日、標記事件に係る命令書を関係当事者に交付したので、お知らせします。命令の概要は、次のとおりです。

I 当事者
  再審査申立人  国鉄労働組合(以下「国労」)組合員4名
  再審査被申立人  国土交通省、自由民主党、九州旅客鉄道株式会社(以下「JR九州」)
  独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構(以下「鉄道運輸機構」)

II 事案の概要
 1 本件は、再審査被申立人らが、(1)自由民主党、公明党、保守党及び社会民主党の四党による平成12年5月30日付け合意「JR不採用問題の打開について」(以下「四党合意」)により、国労に対する支配介入及び再審査申立人らに対する不利益扱いをしたこと、(2)自由民主党、公明党、保守党の三党による平成14年4月26日付け「JR不採用問題に関する声明」(以下「三党声明」)及びこれに関連する言動により、国労に対して支配介入を行ったことが、不当労働行為であるとして、福岡県労働委員会(以下「福岡県労委」)に救済申立てを行ったものである。
 2 再審査申立人らの請求する救済内容は、再審査被申立人らが、(1)四党合意文書のうち、(a)国労がJRに法的責任がないことを認める、(b)国労全国大会(臨時)において(a)を決定する、(c)社会民主党から国労に対し、少なくともJR発足時における国鉄改革関連の訴訟について、(b)の機関決定後速やかに取り下げるよう求める、との部分を取り消し、同文書がなかったものとして取り扱うこと、(2)三党声明を撤回すること、(3)鉄道運輸機構に対する訴訟の原告となっている再審査申立人ら国労組合員を、国労から除名するよう迫ってはならないこと、(4)四党合意の承認等を国労に求め、国労内部に混乱を発生せしめたことに関する謝罪文を交付・掲示すること、である。
 3 これに対して、初審福岡県労委が却下決定したことから、再審査申立人らは、これを不服として再審査を申し立てた。

III 命令の要旨
 1 命令主文
 本件再審査申立てをいずれも棄却する。
 2 判断の要旨
(1) 国土交通省及び自由民主党は、再審査申立人らとの関係では労働組合法第7条の「使用者」に当たらないことは明白であり、国土交通省及び自由民主党に対する本件救済申立ては、労働委員会規則第33条第1項第5号にいう「申立人の主張する事実が不当労働行為に該当しないことが明らかなとき。」に該当する。
(2) 四党合意は、その当事者である四つの政党がいわゆるJR不採用問題について、紛争当事者である国労に対して一定の任意的対応を求めることにより、政治レベルでの決着を図ろうとする試みであり、三党声明及びこれに関連する言動は、四党合意による政治解決の前提条件として国労に対して一定の任意的対応を求めた政治的行為であって、いずれも労働組合法第7条が規制の対象にする団体的労使関係上の行為ではないから、JR九州及び鉄道運輸機構の関与の有無を問わず、不当労働行為の問題を生じさせるものではない。したがって、JR九州及び鉄道運輸機構に対する本件救済申立ても、労働委員会規則第33条第1項第5号に該当する。さらに、JR九州及び鉄道運輸機構は四党合意及び三党声明の当事者ではないから、JR九州及び鉄道運輸機構が、自らは合意に加わっていない他の当事者間の合意を法的に取り消すことができる立場にないことは明らかであり、JR九州及び鉄道運輸機構に対し四党合意取消し及び三党声明撤回を求める救済申立ては、同項第6号にいう「請求する救済の内容が、法令上又は事実上実現することが不可能であることが明らかなとき。」にも該当する。

 【参考】 初審救済申立日 平成12年9月21日(福岡県労委平成12年(不)第8号)
 初審命令交付日 平成16年8月18日
 再審査申立日 平成16年8月23日


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