総合福祉部会 第15回 H23.6.23 資料8−2 「障害児支援」合同作業チーム報告書 I はじめに  障害児は、障害のない子どもと等しくすべての権利が保障されなければならない。障害 児にとって必要な支援と合理的配慮は、一般の児童施策(以下、児童一般施策という)に おいて保障されなければならならず、障害故の固有の支援は障害児施策として地域社会の 身近な場所で保障されなければならない。また、そのために必要な財源の確保と財政上の 措置を講じるべきである。  障害児支援合同作業チームは、このような基本的な視点に立ち、論点整理を行った。 II 結論とその説明 1.障害児の基本的権利と権利擁護 (1) 基本的権利 障害児は、障害の種類や程度にかかわりなく、一人の子どもとして他の者と平等に 扱われるべきであることを確認し、以下の権利を明記すること。   児童に関する権利条約は、以下の権利を規定しており、それに沿う規定を児童福祉法 に設けるべきである。  [1] 他の子どもとの平等の確保   障害児は、一人の子どもとして他の子どもと等しく、全ての権利を有する。  [2] 子どもの最善の利益 障害児にかかわる事項の判断や決定では、最善の利益が考慮され、他の子どもと同様 に尊厳と成長が保障される。  [3] 子どもの意見表明権 障害児は、障害及び年齢に適した支援を活用し、自己にかかわる事項について自由に 意見を表明する権利をもつ。「意見」には、子どもの意思や感情の動きも含む。 (2) 権利擁護 [1]から[3]の基本的権利を保障するために、オンブズパーソンを制度化すること。   障害の有無や程度にかかわらずすべての子どものための権利擁護の仕組みを市町村に 設けるために、オンブズパーソンを児童福祉法で法定化すべきである。一部の自治体で は条例で設置している例もあるが、これを国連の子どもの権利委員会の勧告 (CRC/C/JPN/CO/3, 2010.6.)を踏まえ、法律上設置するべきである。また、児童相談 所運営指針では、子ども自身の意見を聴取することになっている。意見表明は子どもの 権利であることが意識され、その意向に基づいて支援が講じられるようにオンブズパー ソンを制度化すべきである。 2.児童一般施策における支援 (1)身近な地域での支援 児童一般施策と障害児施策が重層的に保障されるよう制度設計されること。  子どもの頃から地域の中で子どもと共に遊び、学び、育つことは当然の権利として保 障されるべきであり、その施策は、共に暮らし共に働くことにつながる。支援は、生活 の場にできる限り近いところで提供されるべきである。そのためには、児童一般施策に 障害児が位置づけられた上で、必要な障害児施策のサービスが利用できるよう、重層的 に制度設計されなければならない。 (2) 児童一般施策と障害児施策の関係 障害児が、児童一般施策から排除されることのないように、「子ども・子育て会議」 (仮称)や「子ども・子育て新システム事業計画」(仮称)に障害児や家族等が参画 し、障害児の視点を盛り込み、制度設計されること。  児童一般施策と障害児施策の両方があることによって、障害児を児童一般施策から閉 め出すことがなく、また、障害児施策があることによって障害児が児童一般施策を利用 しにくくならないようにするための規定を児童福祉法に設けるべきである。子ども・子 育て新システムにおいて検討されている「子ども・子育て会議(仮称)」や「新システム 事業計画(仮称)」等も、上記の理念の下に検討が進められるよう障害児、家族及び支援 者が参画したうえで定められるべきである。   (3) 早期支援 乳幼児健診を、医療・療育の保障はもとより、地域における子育て支援や保育所入 所など、早期の地域支援につながるよう制度設計されること。  現在障害の早期発見は、母子保健法に基づく新生児・未熟児訪問指導、1歳半、3歳 児健康診査等によってなされている。母子保健法の目的は、乳幼児の保健指導、健康診 査、医療その他の措置を講じることにあるが、保健指導や医療の保障にとどまらず、障 害児が地域の子どもの一人として地域生活を可能とする支援につなぐよう制度設計され なければならない。健康診査等による要支援児に対しては、家庭への訪問・巡回等、家 庭での育児支援を基本的な在り方とし、児童及び保護者の意思に基づいて、医療機関、 入所施設や児童発達支援センター等を活用できるようにすべきである。  母子保健法は、学校保健安全法、児童福祉法等に基づく事業と協調するよう規定され ているが、現状は、障害の発見から療育、特別支援教育へと「特別な支援過程」につな がるだけのことが多い。母子保健法、学校保健安全法と児童福祉法に基づく事業の連携 と調和を、地域の子育て支援から地域の学校への就学につなぐことの出来る制度設計が 必要である。 保育所等訪問支援事業の訪問対象に「家庭」を加えること。  「障がい者制度改革推進本部等における検討を踏まえて、障害保健福祉施策を見直す までの間において障害者等の地域生活を支援するための関係法律の整備に関する法律 (以下、つなぎ法という)」において創設される保育所等訪問支援事業は、障害児施設、 児童発達支援センターから訪問・巡回して専門的技術や情報を提供するため、保育所等 の児童一般施策での障害児支援の向上させることが期待されているが、育児支援を充実 するためには訪問対象を「家庭」まで拡大することが必要である。 (4) 「こども園」(仮称)での支援 「こども園」(仮称)は、障害を理由に入園が拒否されることのないよう、制度設計 されること。  児童福祉法では、保育所の入所要件として、障害を想定した規定はない。今後「子ど も園」(仮称)の創設等制度改革が予定されているが、その際、障害を理由に入園が拒 否されることのないよう制度設計されるべきである。また、必要な支援が確保されるよ う加配等が考慮されなければならない。「定員以上に応募がある場合の選考」について は、国が選考基準を設けることが予定されているが、障害をもつことが不利益になるよ うな選考基準を定めるべきではない。  「こども園」(仮称)が障害児支援の能力を欠く場合で、かつ保護者が希望する場合 には、児童発達支援センター等との並行通園や保育所等訪問支援事業の活用ができるよ う児童福祉法に規定するべきである。 「こども園」(仮称)においては障害児の合理的配慮を保障すること。  障害児が一般の子どもと等しく権利を保障されるために、その子の特性にあった必要 な配慮が保障されなければならない。保育士の加配や、医療的ケアが必要な場合には看 護師を加配もしくは巡回させる等の支援を個別給付として講じるべきである。 (5) 放課後児童クラブでの支援 障害児が、放課後児童クラブへの参加を希望する場合には、障害を理由に拒否せず、 かつ必要な支援を講じるよう、制度設計されること。  放課後児童クラブの参加は、障害の有無や程度によって制限されるべきではない。指 導員の加配や医療的ケアを必要とする子には看護師等の配置をして受け入れるべきであ る。多様な子どもへの支援の提供を可能とするために、保育所等訪問支援事業の訪問対 象に放課後児童クラブを含めるべきである。 (6) 要保護児童としての障害児 虐待等の要保護児童である障害児が家族生活に戻れるよう、親・家族へのカウンセ リングや育児支援等を提供できるよう制度設計されること。家庭復帰が困難な場合 には、専門里親制度やファミリーホームなど家庭に近い環境での養育が保障される こと。  児童養護施設に措置されている子どもの約四分の一が障害児であると言われ、また、 障害児入所施設の中にも養護性の高い子どもが入所している状況がある。児童養護施設 の障害児支援や障害児入所施設の社会養護の在り方について検討すべきである。  子どもは家族の一員として尊重されるべきであり、親・家族に対するカウンセリング や育児指導が入所中に実施できるよう、より多くの心理士等の配置を図るべきである。 しかし、家族による養育が困難で、入所児の家庭復帰が困難な場合には、専門里親やフ ァミリーホームなどの家庭に近い環境で養育されるべきであり、児童発達支援センター や障害児入所施設等による巡回、訪問による支援の仕組みが必要である。 3.障害児施策 (1) 療育 地域社会の身近な場所において専門性の高い療育(障害児に対する発達支援・育児 支援・相談支援・医療的支援等)を活用できるよう、制度設計されること。  すべての子どもが、自立と自己実現を図ることができるよう支援されることは重要で ある。障害児にとっても同様であるべきで、その際に、個々の特性を踏まえた専門的な 支援を身近な地域で得られるようにすべきである。身近な地域で支援が得られない場合 には、児童発達支援センターや障害児施設等が遠隔地域に巡回し相談支援や保育所等訪 問支援事業による支援を提供すべきであり、その規定を児童福祉法に設けるべきである。 (2) 訪問系サービス 障害児が自立するための経験を保障するために、現状では活用しにくいことが多い 訪問系サービスを利用しやすくすること。  障害児の通園や通学は、移動支援事業や行動援護の対象にならないことが多い。また、 支給が決定されても、障害児を対象にサービスを提供する事業者が少ないため、サービ スを利用しにくいという問題がある。結果、障害児の自立的な活動の制限だけでなく、 親の就労などにも支障が生じる。障害児が利用しやすい公的介助制度が必要であり、パ ーソナルアシスタンス制度の創設も含め検討されるべきである。 (3) 通所支援 身近な地域で発達支援を受けられるよう、児童発達支援センター等は、通所支援だ けでなく、保育所等への訪問型支援や学齢障害児も対象にした発達支援を講じるこ と。  [1] 生まれ育つ身近な地域での療育の提供  障害児施設の設置状況は地域格差が大きい上に、障害種別に分かれているため、身近 な地域で適切な支援が受けられない場合が少なくない。加えて、人口過疎地域の障害児 支援を担う児童デイサービス事業の多くは、人材、専門機能の両面で弱体であることが 多い。今後、市町村は責任をもって、身近な地域で療育が受けられる体制を構築しなけ ればならない。  障害児通園施設と児童デイサービスの機能は、つなぎ法により児童発達支援として一 元化される。今後は、障害児通園施設が障害種別に分かれて培ってきた「専門性」を、 他の児童発達支援センターや放課後等デイサービス事業所等に提供して相互のレベルア ップを図り、真の意味の「一元化」を目指すことが必要である。また、地域の保育所等 をバックアップして、地域全体の障害児支援機能を向上させることも必要である。その ために、保育所等訪問支援事業や巡回支援専門員整備事業、都道府県事業である障害児 等療育支援事業の拡充・拡大を図るとともに、その対象を、保育所等だけでなく、他の 児童発達支援センターへも適用することを考慮しなければならない。  [2] 学齢期の障害児に対する支援の継続  これまで障害児通園施設は概ね就学前の障害児を対象にしてきたが、今後は、放課後 等デイサービス事業の受託等により学齢期の障害児も対象にすべきである。また、その 提供には送迎サービスを含むべきであり、この場合には送迎加算を考慮すべきである。 また、重症心身障害児の受け入れに対しては看護師の加配や医療連携加算なども検討さ れる必要がある。  [3] 多職種職員の配置による発達支援機能の向上と多機能化  児童発達支援センターは、すべての障害児を対象にするため、その職員配置基準も統 一する必要がある。職員配置については、保育士および児童指導員を基本とした配置基 準を設定し、重症心身障害児の積極的な受け入れのために看護師の配置、多様な障害に 対応するために療法士等の専門職の配置を、「専門職加算」等によって図る必要がある。  医師を配置し医療機関を有する児童発達支援センターを「医療型」と位置付け、超重 症児等の濃厚な医療的支援を基盤とした通園および在宅支援、てんかんや発達障害児へ の投薬なども含む障害児医療機能の地域拠点として発展させるべきである。   (4) 障害児入所施設 入所施設に障害児の自立生活に向けた「自立支援計画」の策定を義務づけるととも に、入所から地域生活の移行では、重度障害児の在宅生活が可能となるよう地域資 源を整備すること。その際、できるだけ家庭に近い養育環境への移行となるよう検 討すること。  [1]障害児入所と障害児の最善の利益  障害者自立支援法によって、入所施設は措置から契約が原則となった。障害児は契約 当事者が保護者であり、保護者の必要性から入所が判断される場合が多く、必ずしも障 害児にとって最善の利益となっていない恐れがある。障害児施設の入所にあたり、子ど も自身の意見表明をふまえ、子どもの視点から最善の利益を保障できる権利擁護の仕組 みが必要であり、オンブズパーソンが制度化されるべきである。  [2]「自立支援計画」の策定の義務付け  児童養護施設等に義務付けられている自立支援計画は、障害児入所施設には義務付け られていない。障害児入所施設には、児童相談所等との協議にもとづき将来の自立生活 に向けた「自立支援計画」の策定を義務化するべきである。その施策の根拠となる規定 を児童福祉法、児童福祉施設最低基準に設け、運営ガイドラインも整備すべきである。  [3]家庭に近い養育施設の整備と地域生活支援  自立支援計画を立案しても、親・家族の養育能力に問題があり家庭に戻れない場合に は、できるだけ家庭に近い環境での養育が可能になるべきである。そのために、専門里 親制度の拡充や障害児を対象とするファミリーホームの創設が望まれる。同時に、障害 児入所施設の小規模化、ユニット化を促進するために加算措置が検討されるべきである。  継続した医療等の支援が必要な重症心身障害児の地域移行にあたっては、命と生活の 質が保障される実証的な地域支援の仕組みについて検討するモデル事業を行い、保護 者・家族の不安や負担を十分に受け止め、合意を得ながら進めていくことが必要である。  [4]家族支援  NICUから在宅生活への移行準備、障害が発見された直後の親に対するカウンセリング、 障害児の育児指導等において医療型障害児入所施設を利用した母子入園の取組は有効で あるため、拡充されるべきである。また、在宅支援のために、すべての障害児入所施設 に相当数のショートステイ枠を設けるべきである。 入所施設は、地域の社会資源の一つとして、在宅支援など多機能化すること。   入所施設は、療育における専門的な社会資源として、相談支援事業所、医療・保健機 関、教育機関、通園施設等との地域ネットワークをつくり、ネットワークを生かした重 層的支援の要となるべきである。また、保育所等訪問支援事業により、保育所を含む地 域の機関や家庭などに対する訪問・巡回型支援を行い、在宅生活の障害児やその家族へ の支援も広く行うべきである。  また、医療療育関係者の育成、研修生の受け入れ、講習会開催、ボランテイアの育成 等にも積極的に、取組むべきである。 入所決定においては市町村が関与できるよう制度設計されること。   つなぎ法においては、入所権限は都道府県のままであるが、入所後も障害児が地域の 子どもとして意識され、家庭や地域に戻り地域の子どもとしての育ちを保障されるため に、市町村の関与は不可欠である。地域間格差が拡大しないよう配慮しつつ、市町村が 関与できるよう制度設計されなければならない。 特別支援学校の寄宿舎の本来の役割は通学を保障することにあり、自宅のある地域 社会から分離されないよう運用されること。これ以外の役割については、実態を調 査し、地域生活への移行に向けた方策を検討すること。   寄宿舎は本来広域学区である特別支援学校への通学保障のために設置されたものであ るため、学校が休みとなる土・日曜日や夏季休暇中は家庭に戻り、地域生活を維持しう るよう配慮されなければならない。特に、6歳から入舎となる小学部の寄宿舎について は家庭生活からの早期分離とならないよう、また、規模が拡大する傾向がある高等部寄 宿舎については可能な限り小規模化するよう、実態を調査したうえで検討するべきであ る。通学保障以外の役割については、卒業後の進路生活相談や訪問系サービスの活用等 を通じ、地域生活への移行に向けた社会資源としての有用性を検討すべきである。 (5) 保護者支援、きょうだい支援 障害児の保護者、きょうだい支援を拡充すること。  障害児が家族の一員として尊重され、障害ゆえに不利益な扱いが生じないように、育 児支援に加え、家族への支援は不可欠である。  例えば、障害児の家族にもレスパイトケアが必要とされているが、利用時間や回数に 制限があるだけでなく、医療的ケアが必要な障害児には対応できないという理由で利用 できない実態があるため、対応できる事業所の拡充も必要である。また、訪問系サービ スをレスパイトケアの目的で利用できるよう弾力的対応ができるようにすべきである。  きょうだいに対しては、きょうだいが孤立しない配慮が必要であり、きょうだいによ るグループ活動や団体活動への支援が施策として講じられるようにすべきである。 4.相談支援と「個別支援計画」等 (1) 地域の身近な場所での相談支援体制 相談支援は、障害が特定されない時期から、身近な地域の通いやすい場所で提供さ れること。  相談支援は、地域の身近な場所においてワンストップ型で提供されなければならない。 そのために、相談支援事業者でのサービス利用の手続の簡素化が必要である。例えば、 相談支援事業所で作成されるサービス利用計画については、計画作成をもって障害児施 策以外の児童一般施策、並びに子ども園(仮称)への代理申請を可能とするなど、障害 児及び保護者が相談のために奔走しなくてすむ仕組み作りが必要である。また、児童家 庭支援センターを児童発達支援センターや障害児入所施設に付置できるようにしたり、 児童家庭支援センターが障害児相談支援事業等を実施できるよう、取り組まれるべきで ある。  地域子育て支援拠点事業には、障害児子育てについて相談対応できる者がいない場合 が多いため、障害児支援ができる職員を配置したり、障害児施設等から専門的支援が受 けられる仕組みが必要であり、障害が特定されない早期の段階から相談できるようにす べきである。また、障害児相談支援事業所との連携や相互補完のシステムが必要である。 (2) ケアマネジメント ケアマネジメントは、障害児の基本的権利の擁護を基本に、地域での育ちを支援す る方向性をもって実施されるべきであり、サービス利用計画の立案、支援の調整、 改善を含めるものとして、制度設計されること。  障害児に対するケアマネジメントは、障害児の基本的権利の擁護を前提に、「地域で の育ち」と「育児支援」を目的として実施されるべきであり、子どもと家族の主体性に 配慮したアセスメントに基づき、子ども支援、家族支援、地域連携の理念のもとに、障 害児支援にかかる諸機関の協力の下で実施されなければならない。また、「個別支援計 画」は、6カ月程度の適切な期間で見直され、支援の調整、改善が行われるべきである。 また、個別の支援計画は、福祉、教育、医療等、利用するサービスを一つの計画として 策定すべきであり、そのためのケアマネジメントが行われるように児童福祉法に規定を 設けるべきである。 (3) 「個別支援計画」 障害児・家族にとって身近な地域における支援を利用しやすくするため、総合計画 としての「個別支援計画」を制度化すること。   適切なケアマネジメントにもとづいて、「個別支援計画」は総合計画として策定される べきである。支援は、障害児とその家族の生活の場で、継続的かつ自然な形で提供され なければならない。サービス提供の継続性を担保するために、サポートブック等の利用 も進められる必要がある。また、制度理解やサービス利用のためには、保護者の求めが あれば、ピアサポーターからの適切なアドバイスを得られるように、児童福祉法、自立 支援法に規定を設けるべきである。 乳幼児期の「個別支援計画」は、保護者・きょうだい等への支援を含む家族ぐるみ の支援計画として策定すること。   乳幼児期の「個別支援計画」は、保護者、きょうだいを含めた家族全体の支援を含む ものとして策定し、サービス利用が円滑に提供されるよう、児童福祉法、自立支援法に 規定を設けるべきである。 障害児の意見表明を踏まえた「個別支援計画」とすること。   「個別支援計画」作成においては、障害児の最善の利益が考慮されなければならず、 そのために、障害児の意見表明が担保されるような仕組みが構築されるべきである。 「個別支援計画」に、障害児自身の意見を記入する欄を設け、保護者等の意向とは別に そのニーズが検討できるようにすべきである。その際、障害児の年齢や障害程度に影響 されることなく、表情などを含めた意思表明を支援できる技術の開発やオンブズパーソ ンの仕組みについて、児童福祉法及び障害者自立支援法に規定を設けるべきである。 策定において、個人情報の保護と障害児及び保護者に対する説明と同意を義務付け ること。  相談支援やその後のサービス利用で円滑な情報共有を図るために、サービス利用計画 の作成に加えて、サポートファイル等を活用している自治体の例がみられる。サポート ファイル等の活用にあたって、障害児の親が障害児の個人情報を管理できるよう、保護 者の合意と承諾を前提とした情報共有の方策が、児童福祉法、自立支援法に規定を設け られるべきである。   (4) 要保護児童対策地域協議会と地域自立支援協議会の連携 障害児とその家族への早期支援を保障するために、要保護児童対策地域協議会と地 域自立支援協議会が連携できるよう、地域自立支援協議会の構成機関に守秘義務等 の根拠となる規定を設けること。  乳児家庭全戸訪問事業等で検討が必要なケースは要保護児童対策地域協議会で対応さ れるが、地域自立支援協議会での検討と重なる子どもについては、保護者の同意の下に 合同で協議会を持つ等、一元化するべきである。また、要保護児童対策地域協議会の構 成員として、障害児福祉関係者(障害児相談支援事業所や児童発達支援事業所等)が加 わることも考慮する必要がある。   つなぎ法によって地域自立支援協議会が法定化されるが、同協議会の中に子ども部会  の設置を義務付け、児童一般施策との合同の協議会を持ちやすくするべきである。また、 児童相談所と地域自立支援協議会の子ども部会、要保護児童対策地域協議会とが連携し て、施設入所している障害児が夏休み等に帰省した際にも地域の子ども施策の支援を受 けやすくすべきであり、その施策の根拠となる規定を児童福祉法に設けるべきである。  この連携が、個人情報保護の下に進められるように、各協議会の委員への罰則付きの 守秘義務の規定を児童福祉法及び障害者自立支援法に規定を設けるべきである。 (5) 利用者負担 障害を理由に、新たな負担が生じないよう、制度設計すること。   児童一般施策のサービス利用は、障害の有無にかかわらず「養護しているものの資力 を考慮して可能な限り無償」であるべきだが、並行通園等の障害にもとづき必要となる サービス利用は、利用者負担が新たに生じないようにするべきである。 (6) 安定的なサービス提供 障害児のニーズを踏まえた多様なメニューを提供するために、給付額の設定は、月 額単価を基本とすること。  現在、障害児入所施設は日額単価制となっているが、児童養護施設など社会的養護 施設は月額単価制とされている。子どもは体調不良等で欠席することも多く、このこ とが施設経営に影響を与えている。また、施設入所児童の地域移行を進めていくため には、試験外泊なども進めていくことが必要である。このため、これらの施設の単価 は、サービス利用計画に基づく利用予定日数をベースに設定される月額制の導入を検 討し、経営の安定化を図りつつ地域移行や療育が進められていくようにすることが必 要である。  福祉サービスの利用料の利用料滞納によって、サービス提供に支障が生じることの ないよう、子どもの最善の利益を侵害する場合の対応については、行政の関与を検討 することが必要である。さらに、保育士等の従事専門職の待遇向上や配置基準の改善 等、確保策の検討も必要である。 5.人材育成 障害児支援の充実のために、必要な職員等を確保し、研修を行うこと。  児童一般施策、及び障害児施策において、障害児支援を充実させるために、職員の資 質向上を図ることが必要である。新設される障害児相談支援事業を強化するために、障 害児のための相談支援専門員の養成のシステム化や障害児施設における多様な専門職の 確保と配置基準の見直しが必要である。  また、保育士資格や養成制度の見直し、こども園における保育教諭(仮称)の創設に 当たり、障害児に対する理解や療育に関する資質の確保を図ることが必要とされている。 III おわりに 1.他チームとの調整を図るべき内容 ・支給決定で用いられるべき客観的スケールの在り方と障害児の入所で用いられる障害程 度区分の在り方について(障害支援区分の導入も含めて)、その必要性も含めて整理が 必要である。 2.今後の検討課題 ・障害児支援については、今後も継続して検討する場を設定することが必要である。  :(教育、児童一般の関係者、親、障害当事者なども含めた議論が必要である。)