総合福祉部会 第15回 H23.6.23 資料1−1 「障害の範囲と選択と決定〜選択と決定・相談支援プロセス(程度区分)第2 期」部会作業チーム報告書の概要 はじめに(作業チームの検討範囲と課題) 1.現行の程度区分や支給決定の仕組みについての評価と問題点の検討 (C-2-1、C-2-2) 2.支給決定にあたって必要なツール(ガイドライン・支援の必要度や支給 決定のためのアセスメントなど)の在り方と策定の指針について(C-3-2、 C-3-3) 3.支給決定に際しての「合議機関」の設置や役割について 4.不服審査やアドボカシーの仕組みについて(C-3-4) 5.相談支援専門員(仮称)の役割や位置づけ及び研修体制(当事者相談員 も含む)の在り方 1.現行の程度区分や支給決定の仕組みについての評価と問題点 ・現状の一次審査に用いられている機能障害の自立度を中心とした指標は、障 害種別を超えた福祉的支援のニーズを反映するものとして妥当とはいえない。 (変更率、地域格差大)個別の利用者の特性や状況、特に社会的状況も踏まえ た障害者のニーズを明らかにする新たな支給決定の仕組みとツールが必要で ある。 2.支給決定にあたっての必要なツールのあり方と策定の指針 ・支給決定のプロセスは以下の流れを基本とする。 [1]本人中心支援計画(支援付き自己決定のもとに)の策定(全員ではない) [2]法律の対象となる「障害」があることを確認する。 (障害の範囲チームの報告では、各種障害者手帳のほか、医師の 診断書、意見書な ど客観的指標による認定となっている。) 事前に確認方法を示し、サービス利用計画策定に入る前に本人及び相談支援専門員 が確認可能な対応をとるようにする。 [3]本人サービス利用計画(必要なサービスを申請する計画)策定(申請者全員が策定) をもとに市町村に申請を行う。 [4]本人サービス利用計画について、市町村がガイドラインに基づき、ニーズアセスメ ントを行う。 [5]ガイドライン水準を超える申請の場合、本人(及び支援者)と市町村による協議調 整を行い、支給決定する。 [6]両者による調整が困難である場合、もしくは本人が第三者機関での調整を要請した 場合については、市町村に設置された合議機関において検討し、その結果を受けて 市町村が支給決定を行うことができる。 ・ガイドラインとは、法における権利性に基づいて、「その地域の他の者との平 等を基礎として生活することを可能とする支援の水準」を示すものである。 ガイドラインの策定にあたっては、(1)利用者への説明、(2)支援の必要度 の把握、(3)公費によるサービス提供水準、(4)市町村の障害者自立支援計 画との連動、の4つの視点を持つものとする。 ・ガイドラインは、国が基本的な設定を示し、自治体ごとにそれを最低ライン として、ガイドラインを策定することとする。 ・ガイドラインで示す支給水準は、権利条約に規定されている障害者の「他の ものとの平等」「地域生活の実現」を基本原則にするべきである。この基本原 則に基づき、障害のある人の支援の必要度を類型化し、類型ごとの標準ケア プランに基づく支給水準を示す。 3.支給決定に際しての「合議機関」について ・本人と市町村の協議で調整がつかない場合、もしくは本人が第三者機関での 調整を要請した場合については、市町村に設置された合議機関において検討 し、その結果を受けて、市町村が支給決定を行うことができる。合議機関は、 当事者相談員、相談支援専門員、地域の社会資源や障害のある人の状況をよ く知る者等の関係者の参画を得て、市町村に明確に位置付ける。 4.不服審査やアドボカシ―の仕組みについて ・支給決定にかかわるアドボカシーの仕組みとしては、[1]サービスの利用に関 して当事者の自立生活をエンパワメントするシステム[2]本人中心支援計画の 作成に当たって、当事者をエンパワメントするシステム[3]支給決定における、 不服申し立てを執り行うシステム、がある。[1]に関しては、身近な地域で当 事者相互支援活動(セルフヘルプグループ)が展開できる公的なサポート体 制を創設すること[2]に関しては身近地域での相談支援体制の充実が重要であ る。 ・不服申し立ての仕組みとしては、複数の合議体での検討、また不服審査での 書面審査ではなく、直接当事者を呼んで調査・審査を行うことなどを順守さ せることが重要である。さらには、障害者差別禁止法で構築されるであろう、 都道府県レベルでの権利擁護機関により、准裁判方式である「仲裁権限者と 両当事者の審問形式」の展開も検討すべきと考える。 5.相談支援専門員の役割や位置づけ及び研修体制について ・相談支援専門員は、本人のニーズを満たすためにフォーマルな支援に結びつ けるだけでなく、インフォーマルな支援を含む福祉に限らない教育、医療、 労働、経済保障、住宅制度等々あらゆる資源の動員を図る努力をする。また 資源機能の不足などについて、その解決にむけて活動することも重要な役割 となる。 ・相談支援専門員は相談する当事者(本人・家族など)の利益のために存在する ことを一義とする。そのためには福祉サービス等を決定し提供する役割から 独立することを原則とする。 ・当事者が相談支援専門員となり、地域の相談支援体制全般において、協働す ることが望ましい。尚、当事者が相談支援専門員になる際には、当事者とし ての生活経験などを実務経験として勘案するなどを検討すべきである。 ・研修については、基礎研修、フォローアップ研修、専門研修、更新研修、そ の他などを国の研修要綱として位置づけ、都道府県が実施する。また定期的 に任用資格の更新を行うこととする。 制度の実現にむけての補足事項 ・協議調整による支給決定システムの実施については、現状からのスムーズな 移行のために、早期の試行事業の実施が必要である。  さらに、全国各地の障害者の地域生活の実態を踏まえて、程度区分に変わ る国のガイドラインの検討・策定を行う体制作りが早急に行われるべきであ る。 他のチームとの調整が必要な事項 ・市町村が、ニーズに基づいて必要な支給量を決定することを可能とするため の財源調整の仕組みについて ・支給決定プロセスにおける、法の対象となる障害の範囲の確認方法について ・地域における実効性のある権利擁護、不服申し立ての仕組みについて