総合福祉部会 第15回 H23.6.23 資料17 第1期作業チーム報告書に対する厚生労働省からのコメント 厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部 平成23年6月23日 ―――――――――――――――――――――――― ―――――――――――――――――――――――― (1−1−1) 1 「障害の範囲と選択と決定〜選択と決定・相談支援プロセス(程度区分)第2期」部 会作業チーム報告書について 【総論】 <第5回部会で示された論点に沿って第5回〜第7回部会で厚生労働省が示した主な留意 点> ・ 「選択と決定」(支給決定)プロセスとツール   (協議・調整による支給決定プロセスや、支給決定に当たって必要なツールについて) ○ 制度に係る費用を負担する国民(納税者)の理解を得るためにも、実際に制度を利用 する者の間における公平性と、支給決定プロセスの透明性が確保されていることが重要で あり、支給決定のプロセスを検討するに当たっては、このような公平性・透明性をどのよ うな形で担保するのか、検討が必要である。 支給決定プロセスの検討に際しては、地方公共団体における障害行政の実情を踏まえて検 討される必要がある。(全国の市町村において円滑に運用できることが必要である。) ―――――――――――――――――――――――― (1−1−2) <部会作業チームの報告のポイント> ○ 現行の機能障害の自立度を中心とした指標については、妥当とはいえない。個別の利 用者の特性や状況、特に社会的状況も踏まえた障害者のニーズを明らかにする新たな支給 決定の仕組みとツールが必要である。 ○ 支給決定プロセスは、以下の流れとする。  [1] 本人中心支援計画を策定  [2] 法律の対象となる「障害」があることを確認  [3] 本人サービス利用計画を策定し市町村に申請  [4] 市町村がガイドラインに基づきニーズアセスメントを実施  [5] ガイドライン水準を超える場合、本人(及び支援者)と市町村による協議調整を行 い、市町村が支給決定  [6] 協議が困難な場合等については、市町村に設置された合議機関において検討し、そ の結論を受けて市町村が支給決定 ○ ガイドラインは、国が基本的な設定を示し、これを最低ラインとして自治体ごとに策 定する。   ガイドラインで示す支給水準は、支援の必要度を類型化し、類型ごとの標準ケアプラン に基づく支給水準を示す。 ○ サービス利用に関して本人の自己決定・自己選択を支援し、エンパワメントするシス テム、本人中心支援計画の作成に関して本人をエンパワメントするシステムが必要である。 ―――――――――――――――――――――――― (1−2−3) <厚生労働省の主なコメント> ○ 現行制度における障害程度区分という指標は、支給決定に用いるほか、入所サービス 等の対象者の範囲や、区分に応じた報酬単価、市町村に対する国庫負担基準として用いら れ、制度の公平性、限られた資源の重点的な配分を担保しており、こうしたことを今後も どう担保していくのかについて、検討が必要と考えられます。 ○ 障害の程度については、全国一律に客観的に評価する指標が必要と考えられます。そ の際、社会的状況は客観化しにくいため、ケアマネジメントにおいて考慮することが考え られます。 ○ ガイドラインについて、障害の程度やニーズのアセスメントの指標、障害者の特性・ 状況に応じた標準的なサービス量の指標、国と地方自治体の国庫負担の基準としての指標 など、あらゆる役割が与えられているように思われますが、それが具体的にどのような内 容なのか、詳細な検討が必要と考えられます。 また、市町村間でサービス基盤の整備状況の違いなどがある中、支給決定量について全国 一律の最低ラインを定めることが妥当かどうか、検討が必要と考えられます。 国の設定する水準をサービスの先進地域に合わせた場合に、他の地域でそれについていく ことができるか、また、国の設定する水準をサービスが遅れている地域に合わせた場合、 サービスの先進地域の水準が引き下げられるおそれがあると考えられます。 ○ 市町村は、合議機関での結論を基に支給決定を行うべきとのことですが、財政面も含 めた支給決定の最終的な責任は、市町村にあるものであり、市町村と合議機関の関係整理 が必要と考えられます。 ―――――――――――――――――――――――― ―――――――――――――――――――――――― (1−2−1) 【各論】 <報告の該当箇所> ○ 現在の障害程度区分や支給決定体制の評価について ・ 現在の指標(障害程度区分)は妥当とはいえない。 ・ 利用者の社会的状況等を踏まえた支給決定の仕組みとツールが必要。 <厚生労働省の主なコメント> ○ 現行制度における障害程度区分という指標は、支給決定に用いるほか、入所サービス 等の対象者の範囲や、区分に応じた報酬単価、市町村に対する国庫負担基準として用いら れ、制度の公平性、限られた資源の重点的な配分を担保しており、こうしたことを今後も どう担保していくのかについて、検討が必要と考えられます。 ○ 障害の程度については、全国一律に客観的に評価する指標が必要と考えられます。そ の際、社会的状況は客観化しにくいため、ケアマネジメントにおいて考慮することが考え られます。 ―――――――――――――――――――――――― (1−2−2) <報告の該当箇所> ○ 支給決定にあたっての必要なツールの在り方と策定の指針について ・ 本人中心支援計画とサービス利用計画について。 <厚生労働省の主なコメント> ○ 現行のサービス利用計画は、本人中心支援を重要な視点として策定されています。本 人中心支援計画とサービス利用計画の具体的な役割や内容の違いについて、検討が必要と 考えられます。 <報告の該当箇所> ・ ガイドラインのあり方について。 <厚生労働省の主なコメント> ○ ガイドラインについて、障害の程度やニーズのアセスメントの指標、障害者の特性・ 状況に応じた標準的なサービス量の指標、国と地方自治体の国庫負担の基準としての指標 など、あらゆる役割が与えられているように思われますが、それが具体的にどのような内 容なのか、詳細な検討が必要と考えられます。 また、市町村間でサービス基盤の整備状況の違いなどがある中で、支給決定量について全 国一律の最低ラインを定めることが妥当かどうか、検討が必要と考えられます。 国の設定する水準をサービスの先進地域に合わせた場合に、他の地域でそれについていく ことができるか、また、国の設定する水準をサービスが遅れている地域に合わせた場合、 サービスの先進地域の水準が引き下げられるおそれがあると考えられます。 ―――――――――――――――――――――――― (1−2−3) <報告の該当箇所> ・ 本人(及び支援者)と市町村による協議調整。 <厚生労働省の主なコメント> ○ 協議調整とは、現行の市町村と本人(又は支援者)との間の支給申請・支給決定を巡 るやりとりとどのように異なるのかについて、検討が必要と考えられます。 また、その際には、知的障害や精神障害などの自己決定に支援を要する方々の特性に応じ た検討が必要と考えられます。さらに、小規模の地方自治体を含む全国の地方自治体で円 滑に運用できるよう、地方自治体の実情や意見を踏まえた検討が必要と考えられます。 ―――――――――――――――――――――――― (1−2−4) <報告の該当箇所> ○ 合議機関の内容と機能について・支給決定の不服審査やアドボガシーの仕組みについ て ・ 市町村は、合議機関での結論をもとに支給決定を行うべき。 <厚生労働省の主なコメント> ○ 市町村は、合議機関での結論を基に支給決定を行うべきとのことですが、財政面も含 めた支給決定の最終的な責任は、市町村にあるものであり、市町村と合議機関の関係整理 が必要と考えられます。 ―――――――――――――――――――――――― (1−2−5) <報告の該当箇所> ○ 相談支援専門員(仮称)の役割や研修について ・ 一般相談に係る財源は事業費補助が適当。 <厚生労働省の主なコメント> ○ 一般的な相談支援に係る財源は、既に地方自治体が自らの財源(地方税+地方交付税 交付金)で実施すること(一般財源化)となっています。この一般財源化されたものを国 庫補助事業に戻すことは、「地域主権改革大綱」(平成22年6月22日 閣議決定)等で示 された地域主権の流れ(補助金の一般財源化)に逆行するものと考えられます。  ※ 地域主権改革大綱(抄) 「地域のことは地域が決める「地域主権」を確立するため、国から地方への「ひも付き補 助金」を廃止し、基本的に地方が自由に使える一括交付金にする」 ―――――――――――――――――――――――― (1−2−6) <報告の該当箇所> ・ 相談支援専門員の資格について 将来的には相談支援専門員の質を担保するうえでソーシャルワーク専門職を基礎資格とす ることを目指すべきである。    当事者が相談支援専門員となり、地域の相談支援体制全般において、協働することが望ま しい。 <厚生労働省の主なコメント> ○ 相談支援専門員の量の確保と質の向上について、具体的な検討が必要と考えられます。 ―――――――――――――――――――――――― (1−2−7) <報告の該当箇所> ・ エンパワメントする システムについて一定の地域に、当事者(本人及び家族)の参 画による「エンパワメント支援事業」が設定され、相談支援専門員と協働する体制が必要。 <厚生労働省の主なコメント> ○ 当事者がエンパワメントするシステムと他の一般相談支援等との役割分担等について、 整理が必要と考えられます。 ―――――――――――――――――――――――― ―――――――――――――――――――――――― (2−1−1) 2 「地域移行」部会作業チーム報告書について  【総論】 <第5回部会で示された論点に沿って第5回〜第7回部会で厚生労働省が示した主な留意 点> ・ 地域移行の推進について(地域移行を推進させるための基盤整備及び計画について) ○ 障害者の地域移行の計画的な推進は、都道府県及び市町村の障害福祉計画に基づく地 域生活を支える各種福祉サービスの計画的な整備と併せて進めているところである。 ―――――――――――――――――――――――― (2−1−2) <部会作業チームの報告のポイント> ○ 「特定の生活様式を義務づけられないこと」の確保 ・ 福祉サービス基盤の整備と住まいの確保を積極的に進めるためには、総合福祉法(仮 称)とは別に、例えば、時限立法として、「障害者の地域移行を促進するための基盤整備に 関する法律」の制定が望まれる。少なくとも、国としての「地域基盤整備○ヵ年戦略」(仮 称)を策定する必要があると考える。 ○ 入所施設や病院からの地域移行に関して具体的な期限や数値目標、プログラムなどに ついて ・ 期限や数値目標は、地域での資源整備計画にこそ必要である。そのためには、定期的 に入所者・入院者のニーズを把握する必要がある。 ○ 公的保証人制度について ・ 保証人がいないために住居が確保できない入所者・入院者については、自治体が保証 人となるべきである。 なお、住宅確保以外の場合、障害者の生活状況を知る人が担う保証人制度が望ましい。 ○ 社会的入院等の解消について ・ 精神科病床や入所施設からの大規模な地域移行を進めるため、国が特別プロジェクト として予算を確保することが重要である。例えば、「地域基盤整備○ヵ年戦略」のように、 一定期間集中的に国が主導し取り組むことが考えられる。 ○ 「施設待機者」「再入院・入所」者への実態調査について  ・ 在宅調査とともに、入所者・入院者実態調査も重要である。その際には、障害者本 人への聴き取りを行うことが重要である。特に、全国的な調査として、地域性や地域間格 差の把握が重要である。 ―――――――――――――――――――――――― (2−2−3) <厚生労働省の主なコメント> ○ 「障害者の地域移行を促進するための基盤整備に関 する法律」の制定や「地域基盤整備○ヵ年戦略」(仮 称)の策定とありますが、現在も、各地方自治体は障害福祉計画を策定し数値目標を定め て基盤整備を計画的に進めており、具体的な内容が、それとどう異なるのかについて、検 討が必要と考えられます。 ○ 平成24年度から、個別給付の事業として地域相談支援(地域移行支援・地域定着支 援)の実施やサービス利用計画の作成対象者が拡大されます。また、現在も、グループホ ーム・ケアホームの体験利用が可能となっています。こうした仕組みも用いながら、地域 移行を着実に進めていくことが大切です。 ○ 公的保証人制度については、国土交通省において「家賃債務保証制度」のような取組 が行われているところであり、民法に基づく制度との関係も含め、幅広い視点から検討が 必要と考えられます。 ○ 社会的入院等の解消については、 ・ 現行の精神障害者地域移行・地域定着支援事業において、精神障害者の地域生活への 移行・地域定着のための支援を行っています。 平成24年度からは障害者自立支援法上の個別給付の事業として実施する地域相談支援 (地域移行支援・地域定着支援)により引き続き行われることとなっています。 ・ また、平成23年度より新たに、未治療者や治療を中断している重症の患者などに対 し、医師等の専門職がチームを組んで、アウトリーチ(訪問支援)を実施する「精神障害 者アウトリーチ(訪問支援)推進事業」を実施しているところです。 ・ さらに、認知症については、症状の面からみて対応可能と判断される認知症患者が地 域の生活の場で暮らせるようにするため、「新たな地域精神保健医療体制の構築に向けた検 討チーム」において検討しているところです。平成22年12月の中間とりまとめでは、 [1] 入院を前提と考えるのではなく、地域での生活を支えるための精神科医療とすること、 [2] 入院が必要となる場合には、速やかに症状の軽減を目指し、退院を促進すること、 [3] 介護サービス等により地域で受け入れるシステム作りをする必要があること、 が示されており、現在、具体化に向けて更に検討を進めているところです。 ○ 入所者・入院者実態調査については、総合福祉部会での議論も踏まえ、現在、厚生労 働科学研究事業により研究が行われているところです。 ―――――――――――――――――――――――― ―――――――――――――――――――――――― (2−2−1) 【各論】 <報告の該当箇所> 地域移行の支援、並びにその法定化 ○ 「特定の生活様式を義務づけられないこと」の確保 ・ 福祉サービス基盤の整 備と住まいの確保を積極的に進めるためには、総合福祉法(仮称)とは別に、例えば、時 限立法として、「障害者の地域移行を促進するための基盤整備に関する法律」の制定が望ま れる。少なくとも、国としての「地域基盤整備○ヵ年戦略」(仮称)を策定する必要がある と考える。 <厚生労働省の主なコメント> ○ 「障害者の地域移行を促進するための基盤整備に関する法律」の制定や「地域基盤整 備○ヵ年戦略」(仮称)の策定とありますが、現在も、各地方自治体は障害福祉計画を策定 し数値目標を定めて基盤整備を計画的に進めており、具体的な内容が、それとどう異なる のかについて、検討が必要と考えられます。 ―――――――――――――――――――――――― (2−2−2) <報告の該当箇所> ○ 入所施設や病院からの地域移行に関して具体的な期限や数値目標、プログラムなどに ついて ○ 地域移行を進めるためのピアサポートや自立体験プログラムなどについて <厚生労働省の主なコメント> ○ 平成24年度から、個別給付の事業として地域相談支援(地域移行支援・地域定着支 援)の実施やサービス利用計画の作成対象者が拡大されます。また、現在も、グループホ ーム・ケアホームの体験利用が可能となっています。こうした仕組みも用いながら、地域 移行を着実に進めていくことが大切です。 ―――――――――――――――――――――――― (2−2−3) <報告の該当箇所> ○ 公的保証人制度について ・ 保証人がいないために住が確保できない入所者・入院者については、自治体が保証人 となるべきである。なお、住宅確保以外の場合、障害者の生活状況を知る人が担う保証人 制度が望ましい。 <厚生労働省の主なコメント> ○ 公的保証人制度については、国土交通省において「家賃債務保証制度」のような取組 みが行われているところであり、民法に基づく制度との関係も含め、幅広い視点から検討 が必要と考えられます。 ―――――――――――――――――――――――― (2−2−4) <報告の該当箇所> 社会的入院等の解消 ○ 大規模な地域移行を進めるためのプロジェクトについて等 <厚生労働省の主なコメント> ○ 社会的入院等の解消については、 ・ 現行の精神障害者地域移行・地域定着支援事業において、精神障害者の地域生活への 移行・地域定着のための支援を行っています。 平成24年度からは障害者自立支援法上の個別給付の事業として実施する地域相談支援 (地域移行支援・地域定着支援)により引き続き行われることとなっています。 ・ また、平成23年度より新たに、未治療者や治療を中断している重症の患者などに対 し、医師等の専門職がチームを組んで、アウトリーチ(訪問支援)を実施する「精神障害 者アウトリーチ(訪問支援)推進事業」を実施しているところです。 ・ さらに、認知症については、症状の面からみて対応可能と判断される認知症患者が地 域の生活の場で暮らせるようにするため、「新たな地域精神保健医療体制の構築に向けた検 討チーム」において検討しているところです。平成22年12月の中間とりまとめでは、 [1] 入院を前提と考えるのではなく、地域での生活を支えるための精神科医療とすること、 [2] 入院が必要となる場合には、速やかに症状の軽減を目指し、退院を促進すること、 [3] 介護サービス等により地域で受け入れるシステム作りをする必要があること、 が示されており、現在、具体化に向けて更に検討を進めているところです。 ―――――――――――――――――――――――― (2−2−5) <報告の該当箇所> ○ 「施設待機者」「再入院・入所」者への実態調査について ・ 在宅調査とともに、入所者・入院者実態調査も重要。その際には、障害者本人への聴 き取りを行うこと。特に、全国的な調査として、地域性や地域間格差の把握が重要。 <厚生労働省の主なコメント> ○ 入所者・入院者実態調査については、総合福祉部会での議論も踏まえ、現在、厚生労 働科学研究事業により研究が行われているところです。 ―――――――――――――――――――――――― (2−2−6) <報告の該当箇所> ○ 強力なインセンティブを持った政策について ・ 地域支援の予算の大幅な増など、地域資源を飛躍的に増加することが強力なインセン ティブになる。 <厚生労働省の主なコメント> ○ 厳しい財政状況、地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進の中で、各種予 算事業や平成222年12月に成立した「障がい者制度改革推進本部等における検討を踏 まえて障害保健福祉施策を見直すまでの間において障害者等の地域生活を支援するための 関係法律の整備に関する法律」において、地域移行のための支援を着実に進めているとこ ろです。 ―――――――――――――――――――――――― ―――――――――――――――――――――――― (3−1−1) 3 「地域生活の資源整備」部会作業チーム報告書のうち、  [1] 24時間介護サービス及びシームレスな支援等について   【総論】 <第5回部会で示された論点に沿って第5回〜第7回部会で厚生労働省が示した主な留意 点> ・ 生活実態に即した介助支援(サービス)等   (シームレスなサービス) ○ 障害者に対する介護等については、 ・ 医療保険制度や労働施策、教育施策等の他施策  で行われているものと実施主体、費用負担等を区分する必要があること、 ・ 国の厳しい財政事情を考慮すれば、サービスを  効果的・効率的に提供する必要があること、 から、障害福祉サービスとしての居宅介護等が利用できる範囲について一定の制限を設け ているものである。 ―――――――――――――――――――――――― (3−1−2) <部会作業チームの報告のポイント> ○ 24時間介護サービス等長時間介護が必要な人への市町村や圏域単位での支援体制 ・ どんなに重い障害ある人でも、またどこに住んでいても、地域社会で暮らす権利が満 たされるために必要な支援量は提供されるべきであり、そのための財源確保が重要。 ○ コミュニケーション・移動支援におけるシームレスな支援と格差の解消 ・ 通勤・通学などにおけるシームレスな(継ぎ目のない)移動支援、失語症や記憶障害 などの重い言語障害のある人に対してコミュニケーション支援、盲ろう者へのパーソナ ル・アシスタンス制度を参考にした支援のあり方を検討するべきである。 ――――――――――――――――――――――――  (3−2−3) <厚生労働省の主なコメント> ○ 障害者の地域生活を支えるためのサービス基盤整備については、計画的に進めていく ことが必要であり、直ちに一人ひとりに介護職員(ヘルパー)が常時付き添うということ になれば、非常に多額の財源及び人材が必要となるため、国民の理解を得ながら検討する 必要があります。財源や人材の制約を踏まえ、また、制度に係る費用を負担する国民の理 解を得るためにも、一人で地域で生活を営めるような自立訓練や困ったときに対応してく れる相談支援体制の充実といった他の代替手段の活用など、様々な地域資源の活用により 総合的に対応することについても検討が必要と考えられます。 ○ パーソナル・アシスタンスについては、障害者あるいはその代弁者が決めた介助者が、 障害者側で決めた時間や介助内容・方法に応じて介助が提供されるべきとのことですが、 介護時間や内容・方法を決める際の客観性・透明性・公平性をどのような形で担保するの か慎重な検討が必要と考えられます。また、サービスの質の確保や、利用者とサービス提 供者の関係性等について、検討が必要と考えられます。 ○ 移動支援やコミュニケーション支援については、地域で柔軟に複数の者へのサービス も含めて実施できる地域生活支援事業の活用や、合理的配慮の議論を踏まえた支援の範囲 について、更に検討が必要と考えられます。 ―――――――――――――――――――――――― ―――――――――――――――――――――――― (3−2−1) 3 「地域生活の資源整備」部会作業チーム報告書のうち、 [2] 国庫負担基準について 【総論】 <第5回部会で示された論点に沿って第5回〜第7回部会で厚生労働省が示した主な留意 点> ・ 義務的経費化と国庫負担基準   (サービスを含めた義務的経費化と国庫負担基準について) ○ 国庫負担基準は、訪問系サービスについて、国の費用負担を義務化する一方で、障害 福祉に係る国と地方自治体の間の一定の役割分担を前提に、限りある国費を公平に配分す るため、市町村に対する精算基準として定めているものであり、介護の必要度が高い者が 多い市町村にはその人数に応じて国庫負担を行える仕組みとなっている。   したがって、仮に国庫負担基準を廃止した場合にあっては、国の厳しい財政事情を考 慮し、国費を公平に配分する機能をどのような形で担保するのか、検討が必要である。 ―――――――――――――――――――――――― (3−2−2) <部会作業チームの報告のポイント> ○ 国庫負担基準について ・ 施設・病院から地域移行する人や親元から独立して暮らす障害者については、出身自 治体が一定年度の財政負担をした上で、居住自治体が支給決定することも検討を要する。 また地域生活する重度者について、現行の国庫負担基準以上は国負担を原則とし、無理な 場合でも、例えば、都道府県での基金化も含め市町村負担を大幅に引き下げる対応を考え るべき。 ○ 国庫負担基準の評価と問題解決について ・ 現状は、国庫負担基準が自治体の実質的なサービスの上限となっている実態がある。 必要なサービス提供のためには、はじめに予算ありきではなく、まずは障害者のニーズを 中心に検討し、「地域で暮らす権利」を保障するための財源を確保すべきである。また、イ ンクルーシブな社会への復興・新生に向け、入所・入院施設への投入財源を、地域資源へ 組み替えすることも検討すべき。 ―――――――――――――――――――――――― (3−2−3) <厚生労働省の主なコメント> ○ 国庫負担基準については、訪問系サービスについて、国の費用負担を義務化すること で財源の裏付けを強化する一方で、障害福祉に係る国と地方自治体の間の一定の役割分担 を前提に、限りある国費を公平に配分するため、市町村に対する精算基準として定めてい るものであり、介護の必要度が高い者が多い市町村にはその人数に応じて国庫負担を行え る仕組みとなっています。国の厳しい財政事情を考慮し、国費を公平に配分する機能につ いては、今後とも必要と考えられます。 また、重度障害者の割合が一定以上であること等により、訪問系サービスの支給額が国庫 負担基準を超過している市町村については、地域生活支援事業により助成を行うとともに、 国庫負担基準をなお超過する市町村には、障害者自立支援対策臨時特例交付金による都道 府県基金を活用した事業により、財政支援を行っています。 ○ 通所サービスや居宅サービス等の費用について、支給決定を行う市町村と費用負担を 行う市町村が異なった場合、費用負担を行う市町村が支給決定に係る者の支援の必要度等 を確認する手段がないことから、費用負担に対する納税者への説明が困難となる等の基本 的な問題があり、慎重な検討が必要と考えられます。 ―――――――――――――――――――――――― ―――――――――――――――――――――――― (3−3−1) 【各論】 <報告の該当箇所> ○ 自立支援協議会における当事者参画について ・ 重度障害者も含めた様々な障害当事者や家族などの参画義務付けを明記。地域自立支 援協議会は障害福祉計画の策定に実質的に関与することを、また、都道府県自立支援協議 会は絶対数が少ない障害者の参画保障と広域的・専門的な情報提供と助言役割を果たすこ と、が重要。 <厚生労働省の主なコメント> ○ 自立支援協議会については、平成22年12月に議員立法により成立した「障がい者 制度改革推進本部等における検討を踏まえて障害保健福祉施策を見直すまでの間において 障害者等の地域生活を支援するための関係法律の整備に関する法律」において、自立支援 協議会が法律上位置づけられ、地方公共団体は自立支援協議会を置くことができることと されたところです。 また、自立支援協議会を設置したときは、市町村障害福祉計画を定め、又は変更しようと する場合において、あらかじめ、自立支援協議会の意見を聴くよう努めなければならない とされたところです。 ○ 自立支援協議会は、地域の関係機関によるネットワーク構築や地域の社会資源の開発 などの機能を担っていますが、できるだけ身近な行政は身近な地方公共団体に委ねること を基本とするという地方自治の考えの下、その運営方法、委員構成等について、各地方自 治体において地域の実情を踏まえ判断することが適当と考えられます。 ―――――――――――――――――――――――― (3−3−2) <報告の該当箇所> ○ サービスの質の確保等のための苦情解決と第三者評価の仕組みについて ・ 基盤整備(量的な確保) が進まない中での質の確保はあり得ない。また、苦情という形で問題化する以前の段階で の、障害当事者とその関係者からの話をじっくり聞く、事前相談や寄り添い型の相談支援 の仕組みが必要である。その上で、実際に起こってしまった苦情については、実態として 権利保障するための苦情解決に向けた対応機関が必要。 <厚生労働省の主なコメント> ○ サービスの質の確保等の取り組みについては、現行制度でも事業者ごとに苦情処理の 窓口を設置する等必要な措置を講ずることとされていることや各障害福祉サービス事業所 ごとに各利用者の個別の支援計画の作成等を行うサービス管理責任者が配置されているこ とと併せて、福祉サービス第三者評価事業、不服申立制度との関係性も含めて検討が必要 と考えられます。 ―――――――――――――――――――――――― (3−3−3) <報告の該当箇所> ○ モニタリング機関や不服審査・苦情解決・権利擁護機関の必要性について ・ 不服審査や権利擁護に関しては、相談支援との連携や不服申立の支援等が求められる。 障害福祉計画に関しては、都道府県、市町村単位(審議会その他の合議制の機関)でのモ ニタリングが必要。地域課題について、障害当事者や相談支援機関が上記モニタリング機 関に課題提起をすることが出来る事とする。 <厚生労働省の主なコメント> ○ モニタリング機関等については、障害者基本法改正案では、国及び地方公共団体に障 害者基本計画に関し意見を述べ、実施状況の監視を行う障害者政策委員会等が置かれるこ とになっており、整理が必要と考えられます。 ―――――――――――――――――――――――― (3−3−4) <報告の該当箇所> ○ 障害者差別禁止法や障害者虐待防止法でカバーすべき部分と自治体が担う役割 ・ 入所・入院者、また、自身の意向を伝えにくい障害者に関しては、第三者が本人の意 向をくみ取る支援の仕組み(相談支援機関の訪問やオンブズパーソン制度の創設)も必要。 また、差別禁止の意識啓発や斡旋・調整を目的とした自治体レベルの条例制定も大切。 <厚生労働省の主なコメント> ○ 障害者差別禁止法については、現在、差別禁止部会で議論されていると承知していま す。障害者虐待防止法については、先日、国会において議員立法により成立し、平成24 年10月からの施行が予定されています。 精神科病院については、精神保健及び精神障害者福祉法(昭和25年法律第123号)第 12条に基づき都道府県に設置される精神医療審査会が独立した第三者機関として設けら れているところです。 ―――――――――――――――――――――――― ―――――――――――――――――――――――― (4−1―1) 4 「利用者負担」部会作業チーム報告書について  【総論】 <第5回部会で示された論点に沿って第5回〜第7回部会で厚生労働省が示した主な留意 点> ○ 「障害者制度改革の推進のための基本的な方向について」(平成22年6月29日閣議 決定)において、 ・ 応益負担を原則とする現行の障害者自立支援法(平成17年法律第123号)を廃止 し、制度の谷間のない支援の提供、個々のニーズに基づいた地域生活支援体系の整備等を 内容とする「障害者総合福祉法」(仮称)の制定に向け、第一次意見に沿って必要な検討を 行い、平成24年常会への法案提出、25年8月までの施行を目指す とされている。 (注1)平成22年4月から、低所得(市町村民税非課税)の障害者等につき、福祉サー ビスに係る利用者負担を無料としている。 (注2)平成22年12月に成立した「障がい者制度改革推進本部等における検討を踏ま えて障害保健福祉施策を見直すまでの間において障害者等の地域生活を支援するための関 係法律の整備に関する法律」により、利用者負担については、応能負担を原則にすること とされている。 ―――――――――――――――――――――――― (4−1−2) <部会作業チームの報告のポイント> ○ 障害者自立支援法及び応益負担廃止後の負担のあり方 ・ 障害のない人との対等・平等を保障するためには、障害のある人の日常生活や社会生 活に対する支援は、公的支援とし、利用料は無料とすべきである。 ※ 障害に伴う必要な支援として、6つの分野に整理 [1] 相談や制度利用のための支援 [2] コミュニケーションのための支援 [3] 日常生活を送るための支援や補装具の支給 [4] 社会生活・活動を送るための支援(アクセス・移動支援を含む) [5] 労働・雇用の支援 [6] 医療・リハビリテーションの支援 ―――――――――――――――――――――――― (4−1−3) <厚生労働省の主なコメント> ○ 平成22年4月から、低所得(市町村民税非課税)の障害者等につき、福祉サービス に係る利用者負担を無料としています(障害福祉サービスを利用する障害者のうち、85. 8%の利用者が無料でサービスを受給。また、総費用額に占める利用者負担額の割合は、 0.39%。(平成23年2月))。 ○ また、平成22年12月に成立した「障がい者制度改革推進本部等における検討を踏 まえて障害保健福祉施策を見直すまでの間において障害者等の地域生活を支援するための 関係法律の整備に関する法律」により、利用者負担については、応能負担を原則にするこ ととされています。 ○ これを更に負担能力がある方まで無料とすることについては、医療や介護をはじめ、 他の法律や制度との整合性が求められると考えられます。障害のある方についての支援の み全て無料とすることについては、国民的な議論が必要と考えられます。 ―――――――――――――――――――――――― ―――――――――――――――――――――――― (4−2−1) 【各論】 <報告の該当箇所> ○ 応益負担の問題点 ・ たとえ、1割であっても、その負担を本人ならびに配偶者を含む他の家族に課すべき ではない。 <厚生労働省の主なコメント> ○ 配偶者については、民法上、扶助義務が課せられていること(民法第752条)など を考慮して、負担上限月額を算定する際の世帯の対象としているものです。 ―――――――――――――――――――――――― (4−2−2) <報告の該当箇所> ○ 負担軽減策の効果と問題点 ・ 毎年度、制度が見直されるという前例のない事態が続いた要因は、厚労省が制度によ る影響や実態を十分把握することなく、応益負担の根本的欠陥にメスを入れずに部分的な 修復にとどめたからであった。 <厚生労働省の主なコメント> ○ これまでも、平成21年11月に障害者自立支援法の施行前後におけるサービスの利 用者の実負担額を調査するなど、法施行による影響や実態を把握した上で、累次負担軽減 策を講じてきたところです。 ○ 平成22年4月からは、低所得(市町村民税非課税)の障害者等につき、福祉サービ スに係る利用者負担を無料としています。 ○ 平成22年12月に成立した「障がい者制度改革推進本部等における検討を踏まえて 障害保健福祉施策を見直すまでの間において障害者等の地域生活を支援するための関係法 律の整備に関する法律」により、利用者負担については、応能負担を原則にすることとさ れています。 ―――――――――――――――――――――――― (4−2−3) <報告の該当箇所> ○ 食費、光熱水費、送迎利用料等の実費負担のあり方と問題点 ・ 実費負担を課す場合、それが適切な負担であるか否かを制度的に規制することが求め られる。 <厚生労働省の主なコメント> ○ 現行制度(障害者施設)の入所施設の食費・光熱水費の実費負担については、58, 000円を限度として施設ごとに額が設定されることとなっていますが、低所得者に対す る給付については、費用の基準額を58,000円として設定し、福祉サービス費の負担 と食費・光熱水費の実費負担を合わせても、少なくとも手元に25,000円が残る形で 補足給付が行われています。 ―――――――――――――――――――――――― (4−2−4) <報告の該当箇所> ・ 給食費のキャンセル料を課している事業所は多くあり、しかも食材費だけでなく人件 費も含めたキャンセル料を徴収している事業所が存在した。こうした負担のあり方につい て、適切な基準を設ける必要がある。 <厚生労働省の主なコメント> ○ 利用者が急病等により生活介護サービス等の利用をキャンセルした場合において、事 業者が当該利用者やその家族等に連絡を取り、利用者の状況等の確認を行った場合には、 欠席時対応加算の算定が可能となります。 (注1)急病等によりその利用を中止した日の前々日、前日又は当日に中止の連絡があっ た場合について算定可能としています。 (注2)欠席時対応加算を算定する場合は、キャンセル料の徴収は行わないこととしてい ます(食材料費等に対するキャンセル料を除く。)。 ―――――――――――――――――――――――― (4−2−5) <報告の該当箇所> ・ ガイドヘルパー利用の際、ヘルパーの入場料や交通費などの経費を利用者本人が負担 しているが、これについても障害に伴う必要な支援として公的に保障されるべきである。 <厚生労働省の主なコメント> ○ ガイドヘルパーの入場料や交通費については、今後、差別禁止部会において検討され る合理的配慮の考え方等を踏まえた検討が必要と考えられます。 ―――――――――――――――――――――――― ―――――――――――――――――――――――― (5−1−1) 5 「報酬や人材確保等」部会作業チーム報告書について   【総論】 <第5回部会で示された論点に沿って第5回〜第7回部会で厚生労働省が示した主な留意 点> ・ 報酬の「支払方式」   ・ 人材確保・育成 ○ 平成20年12月に取りまとめられた社会保障審議会障害者部会の報告においては、 ・ 障害者自立支援法では、利用者がサービスを選択 し、多様なサービスを組み合わせ て利用することができるよう、「日払い方式」や、「日中と夜間」に分けたサービス体系と している。 ・ 「月払い」に戻した場合、利用者が月に数日しか利用しないときや、利用者が複数の 日中活動サービスを利用したときに、それぞれの事業所の1か月分の費用を支払うことと なるが、給付費や利用者の負担の増大を避ける方法が難しいという課題がある。 ・ 労働環境の整備の推進や、キャリアパスに対応した研修体系等キャリアアップの仕組 みの構築、福祉・介護サービスの周知・理解、潜在的有資格者等の参入の促進、多様な人 材の参入・参画の促進等のための取組を進めていくべきである。 ・ キャリアと能力に見合う給与体系、適切な給与水準を確保するために、適切な報酬を 設定すべきである。 とされている。 ―――――――――――――――――――――――― (5−1−2) <部会作業チームの報告のポイント> ○ 報酬支払全般、福祉職俸給表の法定化、人材確保策、 労働条件・賃金水準の確保策と法制度化すべき事項 ・ 障害福祉に従事する者の給与を国家公務員の「福祉職俸給表」と同一の報酬水準の報 酬が支払われるものと総合福祉法で規定する。 ・ スウェーデンの「労働者手帳制度」をヒントとし、「福祉労働者手帳」制度を作り、労 働を評価して、他の職場に移ってもランクが落ちない仕組みとする。 ○ 報酬の支払い方式「月払い、日払い」 ・ 施設系事業については、「利用者個別給付報酬」と「施設(事業)運営報酬」に大別し、 概ね、前者を2割(原則日払い)、後者を8割程度(原則月払い)とする。 ・ 在宅系事業については、「通所・短期型」と「在宅訪問型」に大別し、前者については 施設系報酬体系に準じて設定し、後者については日割りとする。 ○ 資格要件のシンプル化とあり方 ・ 人材の登用は資格に限定されず、間口は広く取る。 ・ 当事者の立場に立つ地域移行を実現するため「相談支援専門員」制度を創設する。 ・ 既存の「社会福祉士」、「精神保健福祉士」等を発展的に統合していく方向とする。 ―――――――――――――――――――――――― (5−1−3) <厚生労働省の主なコメント> ○ 「福祉職俸給表」の法定化については、医療や児童福祉・高齢者福祉、更には他の分 野で働く方との整合性や民間事業者の職員給与水準を国が規制することの妥当性等を考え ると、難しいのではないかと考えられます。 ○ 「福祉労働者手帳」制度については、客観的にどのように労働を評価できるのかなど、 更なる検討が必要と考えられます。 ○ 報酬の改善には、財源も踏まえた検討が必要と考えられます。 ○ 報酬の在り方については、事業所の経営実態、各サービスの利用実態等の客観的、具 体的なデータに基づいた検討が必要と考えられます。 また、例えば、加算をなくした場合には、評価が一律となることや専門職を配置するイン センティブ等がなくなる等のことに留意する必要があり、個別に慎重な検討が必要と考え られます。 ○ 日払い、月払いについては、日払いとしたことのメリット(利用者の選択に資するサ ービスの組合せ等)も踏まえた検討が必要と考えられます。  在宅・訪問系については、現在は時間単位の報酬としており、日割りとすることの必要 性・合理性について検討が必要と考えられます。 ○ 資格制度の在り方については、サービス量の確保やサービスの質の担保、働く方のキ ャリアアップといった総合的な観点から、資格関係団体の意見も踏まえた幅広い検討が必 要と考えられます。  また、社会福祉士、精神保健福祉士といった国家資格との関係は、各々の資格制度の趣 旨を踏まえた慎重な検討が必要と考えられます。 ―――――――――――――――――――――――― ―――――――――――――――――――――――― (5−2−1) 【各論】 <報告の該当箇所> ○ 事務量増大の解消策 ・ 現在の複雑な報酬加算制度を、基本報酬に組み入れる。 ・ 事業規模に応じた事務職員の配置と報酬付与。 <厚生労働省の主なコメント> ○ 加算については、適切な支援や質の高い事業者を評価するものであり、その評価の仕 方については、検討が必要と考えられます。 ○ 事務職員に係る費用については、現行の報酬の中で考慮されているところです。 ○ 報酬の改善には、財源も踏まえた検討が必要と考えられます。 ○ 報酬の在り方については、事業所の経営実態、各サービスの利用実態等の客観的、具 体的なデータに基づいた検討が必要と考えられます。 また、例えば、加算をなくした場合には、評価が一律となることや専門職を配置するイン センティブ等がなくなる等のことに留意する必要があり、個別に慎重な検討が必要と考え られます。 ―――――――――――――――――――――――― (5−2−2) <報告の該当箇所> ○ 障害者地域自立支援体制10ヵ年計画の策定の必要 ・ 2013年より10ヵ年計画として策定し、施設の新規入所を減らし、地域生活移行 のための包括的且つ具体的なプランとして策定する。 <厚生労働省の主なコメント> ○ 「障害者地域自立支援体制10カ年計画」については、現在も、各地方自治体は障害 福祉計画を策定し数値目標を定めて基盤整備を計画的に進めており、具体的な内容が、そ れとどう異なるのかについて、検討が必要と考えられます。 ―――――――――――――――――――――――― (5−2−3) <報告の該当箇所> ○ 「地域生活移行支援センター」の設置・整備 ・ 精神障害者や知的障害者にとっては、同じ職員がマンツーマンで関わり、信頼関係が 確立した中でこそ、安心して相談できる。担当員が徹底的に関わり、当事者性とニーズを 十分に引き出すことが必要である。 <厚生労働省の主なコメント> ○ 「地域生活移行支援センター」については、相談支援事業者、障害者就業・生活支援 センター等との関係整理が必要と考えられます。 ―――――――――――――――――――――――― ―――――――――――――――――――――――― (6−1−1) 6 「就労(労働及び雇用)」合同作業チーム報告書について  【総論】 <第5回部会で示された論点に沿って第5回〜第7回部会で厚生労働省が示した主な留意 点> ・ 労働及び雇用    (いわゆる福祉的就労に従事する障害者に対する労働法規の適用、賃金補填、雇用 義務の対 象となる障害者の範囲及び合理的配慮につい て) ○ 現行制度でも、労務提供の形態や報酬の労務対償性及びこれらに関連する諸要素を勘 案して総合的に判断し、障害の有無に関わらず実質的な使用従属性が認められる場合は、 労働基準法上の「労働者」に該当する点に留意する必要がある。 ○ 現行の福祉的就労に従事している障害者を労働者として整理する場合には、労働契約 の締結により、就業義務及び賃金支払義務その他労働関係における権利義務関係をあらか じめ明確化することが必要である(モデル労働契約の整備等)。 ○ 労働基準法上の「労働者」に該当する障害者は、労働契約上の義務を負い、その義務 に違反した場合、一定の責任を負うこととなる点についても、留意する必要がある。一方、 現行の福祉的就労に従事している障害者を労働者以外の者として整理する場合には、労働 契約(労働者性)の実質的な要素(就労義務及び賃金支払義務)が含まれないよう、施設 と障害者の法的関係(契約関係)を設定する必要がある(「工賃」といった呼称の見直し等)。 ○ 賃金補填については、同一労働同一賃金の下で、補填を受ける者とそうでない者との 間の公平性や、事業主による職場改善等のインセンティブ、財源、障害年金を含めた所得 保障の観点など総合的かつ慎重な検討が必要であることに留意する必要がある。 ○ 「あらゆる障害」の定義や「職業上の困難さに着目した障害認定」の定義及び具体的 方法が明らかではないが、雇用義務の対象範囲については、民間企業に義務を課すもので あり、法的安定性、公平性が確保される必要があることに留意が必要である。 ○ 合理的配慮及び必要な支援について、何が合理的配慮であり、何が必要な支援に該当 するのか、また、その実施手段や実施主体などについて、具体的に明らかにしておく必要 がある。 ―――――――――――――――――――――――― (6−1−2) <部会作業チームの報告のポイント> ○ 総合福祉法に含めるべき事項 ・ 現行の就労系日中活動、地域生活支援事業および小規模作業所などを、就労を中心と した「就労系事業」および作業活動や社会参加活動を中心とした「作業・活動系事業」に 再編成する。前者は、障害者雇用促進法またはそれにかわる新法(労働法)で規定するこ とが望ましいが、当面は、総合福祉法に含め、一定の期限を定め、見直す。後者は、福祉 サービスとして総合福祉法に含める。 ・ 労働施策と福祉施策を一体的に展開することにより、「就労系事業」で就労する障害者 に各種助成措置、手当や年金など所得保障制度などを組み合わせること、および官公需や 民需の優先発注などによる仕事の安定確保などにより、最低賃金以上の賃金を確保し、労 働法を適用する。 ○ 障害者雇用促進法に含めるべき事項 ・ 障害者権利条約第27条で求められる差別の禁止や、職場における合理的配慮の提供 の確保などにかかる規定を設ける。 ・ 雇用義務の対象を、精神障害者を含むあらゆる種類の障害者に広げ、就業上必要な支 援を明らかにする総合的なアセスメントの仕組みを整備する。 ・ 雇用率(引き上げ)および納付金制度(納付金の額や助成金の対象範囲と給付期間) を見直す。 ・ 「就労系事業」等への民間企業からの発注を確保するため、発注額に応じて雇用率に 算定できる制度や「施設外就労」などを発展・拡大し、受け入れ協力企業の雇用率に算定 できる制度を導入する。 ○ 今後の検討課題 ・ 「就労系事業」にかかるパイロット・スタディを実施し、効果を検証する。 ・ 推進会議のもとに就労部会または就労検討チームを設置して、「就労系事業」にかかる モデル事業の検証も含む、検討課題についての議論を深め、結論を得る。 ―――――――――――――――――――――――― (6−1−3) <厚生労働省の主なコメント> ○ 総合福祉法に含めるべき事項 ・ 「就労系事業」の具体的な内容などに関する検討課題について、フォローし、実現化 をめざすための新たな検討体制づくりをするということですが、障害者総合福祉法(仮称) の制定に当たっては、何をどのように見直していくかなど、具体的な改革の内容が明確に ならなければ制度設計は難しいのではないかと考えられます。 ・ 就労系事業に従事する障害者に労働法規を適用することについては、 ・ 現行制度では障害の有無に関わらず実質的な使用従属性が認められる場合は、労働基 準法上の「労働者」に該当するとされていること ・ 就労系事業に従事する障害者を労働者として整理する場合には、労働契約の締結によ り、就業義務及び賃金支払義務その他労働関係における権利義務関係をあらかじめ明確化 することが必要であること ・ 労働基準法上の「労働者」は、労働契約上の義務を負い、その義務に違反した場合、 一定の責任を負うこととなること についても、留意が必要と考えられます。 ・ 「労働法規の一部適用」については、労働基準法上の「労働者」に該当するとされた 場合には、労働基準関係法規が全面的に適用されることになっており、選択的に一部適用 することは、労働者保護の観点等から認められないことに留意が必要と考えられます。 ・ 賃金補填については、同一労働同一賃金の下で、補填を受ける者とそうでない者との 間の公平性や事業主による職場改善等のインセンティブ、財源、障害年金を含めた所得保 障の観点等総合的かつ慎重な検討が必要であることに留意が必要と考えられます。 ○ 障害者雇用促進法に含めるべき事項 ・ 職場における合理的配慮や精神障害者の雇用義務化などについては、「障害者制度改革 の推進のための基本的な方向について」(平成22年6月閣議決定。以下「閣議決定」とい う。)において、各省庁において平成24年度内を目途に結論を得ることとなっていること に留意が必要と考えられます。 ・ 雇用義務の対象をあらゆる障害者に拡大することについては、事業主への過大な負担 となるおそれや、特に支援が必要な重度障害者等の雇用促進を阻害するおそれがあること に留意が必要と考えられます。 ・ 就業上必要な支援を明らかにする総合的なアセスメントの仕組みの導入については、 担当職務との関係で、同じ障害を持つ労働者でも、職業生活上の困難度が異なるため、客 観的な評価指標づくりが困難であることや、また、それにより事業主が障害者であるか否 かを判断できないことなどが考えられ、法的安定性や公平性に留意が必要と考えられます。 ・ 法定雇用率は、働く意欲のある障害者や労働者の数に変化があれば、上下するもので あることに留意が必要と考えられます。また、納付金制度の見直しに当たっては、合理的 配慮の義務化と併せて検討が必要と考えられます。 ・ 発注額の雇用率算定制度などの導入については、雇用以外の手段によって雇用率を達 成しようとする企業が多くなり、制度目的が達成されなくなるおそれがあることや、「雇用 関係」には賃金のみならず、安全配慮等の雇用管理や人的支援等も含むものであることを 踏まえ、慎重な検討が必要と考えられます。 ○ 今後の検討課題 ・ 試行事業の実施にあたっては、上記の賃金補填に関する留意点に加え、公費を投入す ることの前提となる有効性や実現可能性の検討が十分になされているかなどにも留意が必 要と考えられます。 ・ なお、労働・雇用分野に関する重要事項については、労働政策審議会の審議を経る必 要があることに留意が必要と考えられます。 ―――――――――――――――――――――――― ―――――――――――――――――――――――― (6−2−1) 【各論】 <報告の該当箇所> I はじめに (問題認識) 【障害者雇用者数の推移】 ○ 常用労働者数55人以下の小企業では障害者の雇用数が大きく減少し、企業全体でみる と障害者雇用数は、近年かなり減少している。 <厚生労働省の主なコメント> ○ 障害者雇用実態調査は、5年に1度、事業所のサンプル調査により、賃金、労働時間 等の雇用の質を把握することを主目的として実施しています。したがって、[1]雇用されて いる障害者数については推計値として算出しているものの、サンプル調査であるためブレ が生じやすいこと、A毎年、56人以上規模の全企業を対象に行われる雇用状況報告は雇 用者数が正確に反映されるものですが、それと全く性質の異なる(事業所単位か企業単位 か、サンプル調査か報告か)雇用実態調査とを比較して論ずることは不可能であることに 留意が必要と考えられます。 ―――――――――――――――――――――――― (6−2−2) <報告の該当箇所> II 就労合同作業チームの結論とその説明 2.総合福祉法(仮称)の中に就労事業などをどう位置づけるか。 【就労系事業】 *労働施策と福祉施策を一体的に展開する新たな事業として、以下の3つが提案された。 [1] 社会的雇用(一般就労・自営が困難な障害者が労働者として働くことを通じて経済的 自立ができるよう、働くことへの支援や賃金補填等を行う仕組み。) [2] 社会的事業所(障害者をはじめとする雇用の困難な人々が雇用契約に基づいて労働に 参加する仕組み。賃金補填は前提としない。) [3] 社会支援雇用(欧州等で行われており保護雇用とも呼ばれる。一般就労・自営が困難 な障害者が労働法規の下で賃金補填等の必要な支援を受けつつ働き、地域生活を送れるよ うにする仕組み。) <厚生労働省の主なコメント> ○ 賃金補填については、同一労働同一賃金の下で、補填を受ける者とそうでない者との 間の公平性や事業主による職場改善等のインセンティブ、財源、障害年金を含めた所得保 障の観点等総合的かつ慎重な検討が必要であることに留意が必要と考えられます。 ○ 社会的事業所については、障害者以外の雇用困難な人々も含めて雇用契約に基づいて 労働に参加する仕組みとされていますが、障害者総合福祉法(仮称)や障害者雇用促進法 など障害者に対する支援を目的とする法律に、障害者以外の者に関する支援を含む事業内 容について規定することの可否についての検討が必要と考えられます。 ―――――――――――――――――――――――― (6−2−3) <報告の該当箇所> 【作業・活動系事業】 ○ 「作業・活動系事業」は作業活動を中心とした「作業支援事業」と、文化・創作活動、 機能・生活訓練等の社会参加活動を中心とした「活動支援事業」から成る。 *就労継続支援B型事業、生活介護事業、地域活動支援センター、小規模作業所で働く障 害者で、「就労系事業」で働くことを希望しない人が「作業・活動系事業」で活動すると想 定。 <厚生労働省の主なコメント> ○ 「作業支援事業」と「活動支援事業」については、身体機能又は生活能力の向上のた めに必要な訓練等を行う「自立訓練」や入浴、排せつ又は食事の介護、創作的活動又は生 産活動の機会の提供等を行う「生活介護」といった他のサービス類型との関係について整 理が必要と考えられます。 ○ 「就労系事業」で働くことを希望しない人が「作業・活動系事業」で活動すると想定 されていますが、制度化にあたっては、どのような障害者が就労系事業を利用し、どのよ うな障害者が作業・活動系事業を利用することとすべきかについても検討が必要と考えら れます。 ―――――――――――――――――――――――― (6−2−4) <報告の該当箇所> 3.「就労系事業」に労働法規を適用するか。 ○ 原則として労働法を適用する。 ○ 必要な条件が整うまでは、一部適用により安全かつ健康的な作業条件を保障するとい う選択肢も検討する。将来的には、労働条件に関する差別禁止や合理的配慮の提供義務を 織り込むなど、労働法規を障害者の特性に配慮したものとした上で全面適用を検討する。 <厚生労働省の主なコメント> ○ 就労系事業に従事する障害者に労働法規を適用することについては、 ・ 現行制度では障害の有無に関わらず実質的な使用従属性が認められる場合は、労働基 準法上の「労働者」に該当するとされていること ・ 就労系事業に従事する障害者を労働者として整理する場合には、労働契約の締結によ り、就業義務及び賃金支払義務その他労働関係における権利義務関係をあらかじめ明確化 することが必要であること ・ 労働基準法上の「労働者」は、労働契約上の義務を負い、その義務に違反した場合、 一定の責任を負うこととなること についても、留意が必要と考えられます。 ○ 「労働法規の一部適用」については、労働基準法上の「労働者」に該当するとされた 場合には、労働基準関係法規が全面的に適用されることになっており、選択的に一部適用 することは、労働者保護の観点等から認められないことに留意が必要と考えられます。 ○ 労働基準分野に関する重要事項については、労働政策審議会の審議を経る必要がある とともに、労働・雇用分野における障害を理由とする差別の禁止や職場における合理的配 慮の提供を確保するための措置については、閣議決定において、各省庁において平成24 年度内を目途に結論を得ることとなっていることに留意が必要と考えられます。 ―――――――――――――――――――――――― (6−2−5) <報告の該当箇所> 4.「就労系事業」で就業する障害者の賃金を妥当な水準に引き上げるための適切な仕事を どのようにして安定確保するか。 ○ 「就労系事業」等での仕事を安定確保するため、官公需優先発注の制度化、官公需に おける随意契約の促進、総合評価入札制度、並びに雇用率制度とリンクしたみなし雇用制 度の導入、発注促進税制の拡充や発注額に応じた減税制度の創設等による民需の発注の促 進等を図る(略)。加えて、「就労系事業」に所属する障害者が企業等の中で働くことを促 進するため、これを雇用率に換算する制度を検討する。 <厚生労働省の主なコメント> ○ 官公需優先受注の制度化、官公需における随意契約の促進及び総合評価入札制度の促 進並びに発注促進税制の拡充や発注額に応じた減税制度の創設による民需の促進について は、公共調達の基本的な在り方や他の福祉施策その他国全体の諸施策との間で均衡を図り ながら、総合的な検討が必要と考えられます。 ○ 「みなし雇用制度」や「「就労系事業」に所属する障害者が企業等の中で働くことを促 進するため、これを雇用率に換算する制度」の導入については、雇用以外の手段によって 雇用率を達成しようとする企業が多くなり、制度目的が達成されなくなるおそれがあるこ とや、「雇用関係」には賃金のみならず、安全配慮等の雇用管理や人的支援等も含むもので あることを踏まえ、慎重な検討が必要と考えられます。 ―――――――――――――――――――――――― (6−2−6) <報告の該当箇所> 5.「就労系事業」で就労する障害者に利用者負担を求めるか。 ○ 利用者負担は廃止する。 <厚生労働省の主なコメント> ○ 就労系事業の利用者負担については、障害者総合福祉法(仮称)における事業体系の 中での就労系事業の位置づけやその他の事業との関係も考慮の上、検討が必要と考えられ ます。 ○ また、就労系事業の具体的内容は今後の検討課題とされていることから、事業の具体 的内容が明らかでない中で利用者負担に関する結論を出すことは適当ではないものと考え られます。 ―――――――――――――――――――――――― (6−2−7) <報告の該当箇所> 6.障害者雇用促進法に関わる事項について <厚生労働省の主なコメント> ○ 障害者雇用分野に関する重要事項については、労働政策審議会の審議を経る必要があ るとともに、閣議決定において、各省庁において結論を得ることとなっていることに留意 が必要と考えられます。 ―――――――――――――――――――――――― (6−2−8) <報告の該当箇所> (1)障害者雇用の量だけでなくその質を確保するための障害者雇用促進法の改正につい て ○ 障害者権利条約第27条で求められる労働への権利、障害に基づく差別の禁止、職場に おける合理的配慮の提供の確保するための規定を設ける。 <厚生労働省の主なコメント> ○ 労働・雇用分野における障害を理由とする差別の禁止や職場における合理的配慮の提 供を確保するための措置については、閣議決定において、各省庁において平成24年度内 を目途に結論を得ることとなっていることに留意が必要と考えられます。 ―――――――――――――――――――――――― (6−2−9) <報告の該当箇所> (2)障害者雇用施策の対象とする「障害者」について、就業上必要な支援を認定する仕 組みについて ○ 雇用率制度に基づく雇用義務の対象を、精神障害者を含むあらゆる種類の障害者に広 げるとともに、雇用率達成のための事業者への支援を拡充する必要がある。また、個々の 障害者にとって就業上必要な支援を明らかにする総合的なアセスメントシステムを整備す る。 <厚生労働省の主なコメント> ○ 精神障害者の雇用義務化については、閣議決定において、各省庁において平成24年 度内を目途に結論を得ることとなっていることに留意が必要と考えられます。なお、雇用 義務の対象をあらゆる障害者に拡大することについては、事業主への過大な負担となるお それがあるとともに、特に支援の必要な重度障害者などの雇用促進を阻害するおそれがあ ることに留意が必要と考えられます。 ○ 「事業者への支援を拡充」及び「就業上必要な支援」については、合理的配慮との関 係において、何が合理的配慮であり、何が必要な支援に該当するのか、また、その実施手 段や実施主体などについて、具体的に明らかにしておくことが必要と考えられます。 ○ 就業上必要な支援を明らかにする総合的なアセスメントの仕組みの導入については、 担当職務との関係で、同じ障害を持つ労働者でも、職業生活上の困難度が異なるため、客 観的な評価指標づくりが困難であることや、また、それにより事業主が障害者であるか否 かを判断できないことなどが考えられ、法的安定性、公平性に留意が必要と考えられます。 ―――――――――――――――――――――――― (6−2−10) <報告の該当箇所> (3)雇用率制度および納付金制度のあり方について ○ 法定雇用率は、大幅に引き上げる方向での見直しが求められる。 ○ 納付金制度は助成額の引き上げや給付期間の恒久化に加え、助成手続きの簡便化も必 要。 <厚生労働省の主なコメント> ○ 法定雇用率は、働く意欲のある障害者や労働者の数に変化があれば、上下するもので あることに留意が必要と考えられます。また、納付金制度の見直しに当たっては、合理的 配慮の義務化と併せて検討が必要と考えられます。 ―――――――――――――――――――――――― (6−2−11) <報告の該当箇所> (4)職場における合理的配慮提供の確保について ○ 事業主が合理的配慮を提供するために必要な経済的・技術的支援を制度化すると共に、 苦情申し立てと救済措置についての仕組みを整備する必要がある。 <厚生労働省の主なコメント> ○ 合理的配慮を提供するために必要な経済的・技術的支援については、何が合理的配慮 であるのか、また、合理的配慮の義務化と併せて、義務化した事項に対する「助成」とい う論点を整理することが必要と考えられます。 ○ 閣議決定において、合理的配慮の提供を確保するための措置や労使間の紛争解決手続 きの整備等の具体的方策については、各省庁において、平成24年度内を目途に結論を得 ることとなっていること、また、職場における支援の在り方については、平成23年内を 目途に得られる総合福祉部会での検討結果等を踏まえ、必要な措置を講ずることとなって いることに留意が必要と考えられます。 ―――――――――――――――――――――――― (6−2−12) <報告の該当箇所> II 今後の検討課題 1.安定した雇用・就労に結びついていない労働年齢の障害者に適切な就業の機会を確保 するための施策についての検討 ○ 試行事業(パイロット・スタディ)の実施 2.1.のモデル事業の結果を踏まえ、「就労系事業」に従事する障害者への労働法の適用 およびそれを可能とするための賃金補填等を制度化するための法制度の整備 <厚生労働省の主なコメント> ○ 試行事業の実施にあたって、上記の賃金補填に関する留意点に加え、公費を投入する ことの前提となる有効性や実現可能性の検討が十分になされているかなどにも留意が必要 と考えられます。 ―――――――――――――――――――――――― (6−2−13) <報告の該当箇所> 3.前述の賃金補填を制度化するための所得保障制度(障害基礎年金など)との調整のあ り方 <厚生労働省の主なコメント> ○ 賃金補填の検討に関する留意点については、上記IIの2において示していますが、賃 金補填を受けた場合に障害基礎年金を減額するという提案は、平成22年12月の推進会 議第二次意見における「(前略)所得保障の在り方について、給付水準と負担、並びに稼働 所得との調整の在り方を含めて検討を行うべき」との問題意識からつながっているものと 考えます。 ○ 引き続き、公的年金制度の見直しに併せて検討を進めていきたいと考えますが、ご提 案のように、20歳前に障害者となった者に係る障害基礎年金にのみ設けられている所得 制限の仕組みを用いて、その限度額を引き下げる方法で対応する、というやり方が適当か どうかについては、慎重な検討が必要と考えられます。 ―――――――――――――――――――――――― (6−2−14) <報告の該当箇所> 4.全国民のなかでの障害者の経済活動や生活実態を明らかにする基礎資料の整備 ○ 障害の社会モデルを基礎として雇用・就労施策を検討する基礎資料をえるために国の 基幹統計調査において障害の有無を尋ねる設問を入れた全国調査を少なくとも1回実施す る。 <厚生労働省の主なコメント> ○ 障害者雇用・就労施策を検討する基礎資料としては、 ・ 身体障害者、知的障害者及び精神障害者就業実態調査 ・ 障害者雇用実態調査 などがあります。 ―――――――――――――――――――――――― (6−2−15) <報告の該当箇所> 5.障害者の雇用・就労にかかる労働施策と福祉施策を一体的に展開するための体制の整 備 ○ 地方公共団体レベルで雇用・就労、福祉および年金などにかかる総合的な相談支援窓 口(ワンストップサービス)を設置する。 <厚生労働省の主なコメント> ○ 現在、出先機関改革として、「アクション・プラン」(平成22年12月28日閣議決定) に基づき、国が行う無料職業紹介等の事務と地方が行う無料職業紹介、職業能力開発、福 祉等に関する相談業務等を、地方自治体の主導の下、一体的に実施する「一体的実施」を 3年程度行うこととしていることに留意が必要と考えられます。 ―――――――――――――――――――――――― (6−2−16) <報告の該当箇所> 6.以上の検討課題についてフォローし、実現化をめざすための今後の検討体制づくり <厚生労働省の主なコメント> ○ 「就労系事業」の具体的な内容などに関する検討課題について、フォローし、実現化 をめざすための新たな検討体制づくりをするということですが、障害者総合福祉法(仮称) の制定に当たっては、何をどのように見直していくかなど、具体的な改革の内容が明確に ならなければ制度設計は難しいのではないかと考えられます。 ○ 就労部会等の設置については、ILO第88号条約等に規定される公労使三者構成の 原則を遵守する仕組みとしての労働政策審議会障害者雇用分科会との関係を整理した上で、 検討が必要と考えられます。 ―――――――――――――――――――――――― (6−2−17) <報告の該当箇所> 7.他の作業チームとの調整が必要な事項 (1)パーソナルアシスタンスなど介助サービス事業の守備範囲について <厚生労働省の主なコメント> ○ パーソナルアシスタンスにおいて、通勤や職場での介助にも使えるようにするとのこと ですが、まず、事業者による合理的配慮の議論も踏まえた上で、それぞれの場面において 誰がどこまで責任を有するのか、それを踏まえて、どの分野の施策においてどのような対 応を行うべきなのか検討が必要と考えられます。 ○ また、職場における支援の在り方については、平成23年内を目途に得られる総合福 祉部会での検討結果等を踏まえ、各省庁で必要な措置を講ずることとなっていることにも 留意が必要と考えられます。 ―――――――――――――――――――――――― ―――――――――――――――――――――――― (7−1−1) 7 「医療(その他の医療一般)」合同作業チーム報告書のうち、  [1] 難病について    【総論】 <第5回部会で示された論点に沿って第5回〜第7回部会で厚生労働省が示した主な留意 点> ・難病その他の疾患等により支援の必要な状態にある人には、身近なところで専門性のあ る医療が提供されるとともに、地域社会で自立した生活を営むために必要なサービスが提 供されること。 ○ 難病患者への保健、医療、福祉、生活の質(QOL)  の向上については、地方自治体向け補助金として「難病特別対策推進事業」(下記(1) 〜(4))を設け、地域における難病対策の支援・推進を図っている。 (1)難病相談・支援センター事業(難病患者・家族に対する相談支援) (2)重傷難病患者入院施設確保事業(医療施設等の整備) (3)難病患者地域支援対策推進事業(地域における保健医療福祉の充実・連携) (4)難病患者等居宅生活支援事業(QOLの向上を目指した福祉施策の推進)  ・難病等の調査研究の推進がなされること ○ 難病に関する調査研究については、厚生労働科学研究費補助金において「難治性疾患 克服研究事業」を実施し、研究の推進を図っている。 ―――――――――――――――――――――――― (7−1−2) <部会作業チームの報告のポイント> ○ 難病については、概念整理を並行して進めることが必要であり、今後、当事者の参画 した審議会を設けて検討を進めながら漸進的な制度整備を図ることが重要。 対象者は、難治性慢性疾患のある障害者として可能な限り幅広くとらえるべきである。そ のニーズは疾患の特性に応じ多様だが、医療と福祉のニーズが分離しがたく結びついてい る点は共通している。医療と福祉の有機的連携を確保しつつ、生活支援が講じられること が必要。併せて、地域での生活を支え、家族の負担を軽減するレスパイトケア、ショート ステイを充実させていくことが不可欠。 ―――――――――――――――――――――――― (7−1−3) <厚生労働省の主なコメント> ○ 医療を始めとする難病そのものの議論については、障害者総合福祉法(仮称)とは別 に検討される必要があると考えます。 ○ 難病患者に対する医療と福祉の在り方及び医療費の支援の在り方等については、現在、 厚生労働省内に設置された「新たな難治性疾患対策の在り方検討チーム」において、制度 横断的な検討を行っているところであり、これらの検討も踏まえた上で総合的な検討が必 要と考えられます。 ○ また、難病対策に関する専門的事項について調査審議を行うため、既に厚生労働科学 審議会疾病対策部会の下に、難病対策委員会を設置しており、難病の患者団体の代表者を 含めた委員構成により、難病対策の様々な課題について検討していることから、これらも 踏まえた上で、検討が必要と考えられます。 ○ 現在のところ、地域における生活支援として、在宅療養中の難病患者に対しては、ヘ ルパーの派遣や短期入所やレスパイト入院のための病床確保など、既に、難病患者等短期 入所事業や重症難病患者入院施設確保事業の中で実施されているところです。 ○ 障害者総合福祉法(仮称)において難病の者をどう位置付けるかについての議論につ いては、「障害の範囲」チームの報告等も踏まえ、さらに検討が必要と考えられます。 ○ 「難病については、概念整理を並行して進めることが必要であり、今後、当事者の参 画した審議会を設けて検討を進めながら漸進的な制度整備を図ることが重要」ということ ですが、難病等の扱いについては、どのような状況であれば法律に基づく給付の対象とな るのか、対象とするのであればどのような基準で認定するのか、といったことなど、具体 的な改革の内容が明確にならなければ制度設計は難しいのではないかと考えられます。 ―――――――――――――――――――――――― ―――――――――――――――――――――――― (7−2−1) 7 「医療(その他の医療一般)」合同作業チーム報告書のうち、  [2] 医療的ケアについて  【総論】 <第5回部会で示された論点に沿って第5回〜第7回部会で厚生労働省が示した主な留意 点> ・医療及び医療的ケアの必要性が高い重症心身障害者等が地域で独立した生活を営むこと ができるよう、日常生活、社会生活の場において訪問医療等の必要な医療や生活支援サー ビスが提供されること。 ○ 「医療的ケア」、「訪問医療等」、「生活支援サービス」については、言葉が何を意味し ているかや、「○○等」の「等」が何を指しているかについて、共通認識が持てるようにし ないと具体的な施策として実施することが困難となるため、言葉の意味を明確にすること が必要である。  ・日常生活における医療的ケアが、介助者等によっても行える体制の整備がなされるこ と ○ 介助者等が行える医行為の範囲に関して、利用者の安全の確保等の観点から、別途慎 重な議論を行う必要がある。 ―――――――――――――――――――――――― (7−2−2) <部会作業チームの報告のポイント> ○ 医療的ケアを家族以外の第三者である介護者も行えるようにするとともに、家族のい ない独居者に対しても同様に行えるための環境整備が必要。 ―――――――――――――――――――――――― (7−2−3) <厚生労働省の主なコメント> ○ 先般、「介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律」の成立 に伴い、「社会福祉士法及び介護福祉士法」が一部改正され、介護福祉士及び一定の研修を 受けた介護職員等が、一定の条件の下にたんの吸引等の行為を実施できることとされたと ころです。 介護職員等によるたんの吸引等の実施に係る研修については、在宅等で特定の者にケアを 行うケースを想定した研修体系を設けることとしており、必要な技能・知識が身につく研 修体系とすることが必要と考えます。 介護職員等によるたんの吸引等の実施に当たっては、医療関係者との連携の確保を図るな ど、安全が確保された体制とすることが必要であると考えます。 介護職員等が行うことのできる行為の範囲の拡大については、関係者を含めた慎重な議論 が必要と考えられます。 ―――――――――――――――――――――――― ―――――――――――――――――――――――― (7−3−1) 7 「医療(その他の医療一般)」合同作業チーム報告書のうち、  [3] 精神科医療について  【総論】 <第5回部会で示された論点に沿って第5回〜第7回部会で厚生労働省が示した主な留意 点> ・精神障害者に係る地域移行の促進と医療における適正手続の確保 ○ 現在も、医療の必要性や法に基づく適正な手続により入院医療が行われているところ。  ・健康、医療及び精神障害者に係る地域移行の促進と医療における適正手続の確保 ○ 精神医療の在り方については、現在、「障害者制度改革の推進のための基本的な方向に ついて」(平成22年6月29日閣議決定)を踏まえ、「新たな地域精神保健医療体制の構 築に向けた検討チーム」において検討を開始したところ。 ―――――――――――――――――――――――― (7−3−2) <部会作業チームの報告のポイント> ○ 精神障害者については、精神科病院から地域への移行を実現するための地域資源の整 備、とりわけ住まいの確保や必要なときに身を寄せる場の確保などの支援が、地域へ出向 く医療の充実と相まって進められることが不可欠。また、精神障害者の入院について人権 を尊重した適正手続の確保と、保護者制度の見直し、家族支援の充実が不可欠。 ――――――――――――――――――――――――  (7−3−3) <厚生労働省の主なコメント> ○ 現在、厚生労働省において、障がい者制度改革推進会議の第1次意見を受けた平成2 2年6月29日の閣議決定に基づき、社会的入院の解消については平成23年内に、強制 入院等の在り方等については平成24年内を目途に結論を得るべく検討を進めています。 ○ 具体的には、厚生労働省内に設けられた関係者等から構成される「新たな地域精神保 健医療体制の構築に向けた検討チーム」において、 [1] 平成22年9月から12月にかけて、社会的入院の観点も含め、認知症と精神科医療 について議論を行い、平成22年12月22日に中間とりまとめを行ったところであり、 平成23年5月からは、中間とりまとめの具体化を目指して検討を進めています。 [2] 平成22年10月からは、保護者制度・入院制度について議論を開始したところであ り、今後、保護者制度について平成23年夏を目途に検討を行い、その後、入院制度の在 り方についても検討を進めて、全体について平成24年内を目途に結論を得ることを目指 しています。 ―――――――――――――――――――――――― ―――――――――――――――――――――――― (7−4−1) 【各論】 <報告の該当箇所> 全体に共通する事項 ○ 自己決定支援・相談支援 ・ 自己決定する過程において支援されるいわゆる支援付きの自己決定の仕組みの確立 ○ 医療と福祉の統合的な支援、生活実態に即した支援等 <厚生労働省の主なコメント> ○ 相談支援に関する事項については、「選択と決定・相談支援プロセス(程度区分)作業 チーム」において検討されており、調整が必要と思われます。 ―――――――――――――――――――――――― (7−4−2) <報告の該当箇所> ・ 日常的に医療的支援を必要とする重度身体障害児者、重症心身障害児者、難病患者(で ある障害児者)については、特に、医療と福祉の統合された支援体系が必要。 <厚生労働省の主なコメント> ○ 現行制度においても、医療職の手厚い配置が可能な医療型短期入所や、医療保険との 2階建ての体系となっている療養介護等のサービスがあり、また、今後はたんの吸引等が 可能な介護職員等の養成を進めることで、たんの吸引等が必要な障害児・者が利用可能な ショートステイ、通園、在宅支援が増加するよう体制整備を進めていく予定です。 ―――――――――――――――――――――――― (7−4−3) <報告の該当箇所> ○ 社会参加サービス ・ 通学支援、学習支援(在宅学習含む)などの就学支援に係る福祉サービスの充実 <厚生労働省の主なコメント> ○ 就学支援及び再就学支援については、福祉と教育の制度間の調整や、合理的配慮の議 論を踏まえた支援の主体や内容について、検討が必要と考えられます。 ―――――――――――――――――――――――― (7−4−4) <報告の該当箇所> ○ 地域での住まいの確保・  居住サポート ・ 住宅扶助等の生活保護費の活用 入院中はホテルコストも含んだ入院費で、高額医療費制度により年金だけで足りる人も、 地域で暮らし始めると生活ではホテルコストと食費などにより経費がかさみ、生活困難と なってしまうケースも少なくない。このため、生活保護費の要件を緩和することが必要。 医療費扶助、住宅扶助等の単独支給等により不安なく地域移行を進めることができる。 <厚生労働省の主なコメント> ○ 入院していた方が退院後生活に困窮することが見込まれる場合においては、退院後円 滑に生活保護が受給できるよう、必要な支援を地方自治体において行っています。 また、生活保護制度は、最後のセーフティネットとして、生活に困窮する方の生活需要全 般を過不足なく支えるものであり、医療や住宅等の扶助費だけを切り出して単独支給をす ることについては、生活保護制度の趣旨や目的を踏まえ、慎重に検討すべきものと考えて います。 ―――――――――――――――――――――――― (7−4−5) <報告の該当箇所> ・ 賃貸物件の公的保証人制度 <厚生労働省の主なコメント> ○ 公的保証人制度については、国土交通省において「家賃債務保証制度」のような取組 が行われているところであり、民法に基づく制度との関係も含め、幅広い視点から検討が 必要と考えられます。 ―――――――――――――――――――――――― (7−4−6) <報告の該当箇所> ・ 病棟を住居として転用することの禁止 病床削減し閉鎖した病棟を高齢者や障害者のケアハウスなどの共同住居として活用するこ とを禁止すべき。 <厚生労働省の主なコメント> ○ 病床削減により空いた病床の活用については、「新たな地域精神保健医療体制の構築に 向けた検討チーム」(第2R)「認知症と精神科医療」において平成22年12月22日に 公表した中間とりまとめにおいても、「社会資源を効率的に活用する観点から、既存の精神 病床の活用の是非についても検討する必要がある」とされており、今後の検討課題である と認識しています。 ―――――――――――――――――――――――― (7−4−7) <報告の該当箇所> ○ 権利擁護支援サービス  等 ・ 居住地の選択権は本人にあることの明文化 どこで誰と生活するかを選択する機会を有することや、特定の居住施設での生活を義務づ けられないこと。 <厚生労働省の主なコメント> ○ 居住地の選択権が本人にあることについては、障害者基本法の改正において「全て障 害者は、可能な限り、どこで誰と生活するかについての選択の機会が確保され、地域社会 において他の人々と共生することを妨げられないこと」を旨とする(障害者基本法の一部 を改正する法律案第3条)ものと承知しています。 ―――――――――――――――――――――――― (7−4−8) <報告の該当箇所> ○ 医療に係る経済的負担 ・ 医療に係る経済的負担については、「障害に伴う費用は障害者個人の負担とせず社会全 体で支え、障害と関係なくすべての人が支出する費用は障害者も同等に負担する」という 原則が適用されるべきとの意見があった一方、障害福祉サービスは障害のない者が利用す ることはないのに対して、医療は誰もが一部自己負担を払って利用するという性格がある ことから、自立支援医療についても、当面、応能負担を原則とする制度として運用するこ とが適当とする意見があった。 <厚生労働省の主なコメント> ○ 平成22年12月に成立した「障がい者制度改革推進本部等における検討を踏まえて 障害保健福祉施策を見直すまでの間において障害者等の地域生活を支援するための関係法 律の整備に関する法律」において、障害者自立支援法が一部改正され、自立支援医療の利 用者負担についても応能負担を原則にすることとされております。 ―――――――――――――――――――――――― (7−4−9) <報告の該当箇所> ・ 精神障害者の入院医療については、地域移行へのインセンティブを考慮した費用支払 と費用負担の軽減などが必要。 <厚生労働省の主なコメント> ○ 精神障害者の入院医療の費用負担の軽減は、入院期間の長期化や、認知症を含めた社 会的入院を助長するおそれもあるので、地域で暮らせる社会資源の整備を優先すべきと考 えられます。 ―――――――――――――――――――――――― (7−4−10) <報告の該当箇所> ・ また、難治性慢性疾患のある障害者については、難病対策要綱に基づき取り組まれて きたことの発展的継承、長期療養を必要とする場合の高額療養費の軽減なども重要。 全体を通じた今後の課題として、医療費公費負担制度の総合的見直しも視野におく必要が ある。 <厚生労働省の主なコメント> ○ 疾病に関わらず、長期に高額な医療費がかかる患者の更なる負担軽減策については、 社会保障と税の一体改革の中で検討しているところであり、この議論も踏まえながら、検 討が必要と考えられます。 ―――――――――――――――――――――――― (7−4−11) <報告の該当箇所> ○ 診療拒否、不適切な対応、災害時における課題等 ・ 不適切な対応(医療者による不適切な説明内容、不適切な態度等)   入院時、障害ゆえに個室が必要な場合、障害者福祉から病院にヘルパーをつける、差 額室料を本人や病院の負担にしない等、の仕組みが必要。 <厚生労働省の主なコメント> ○ 看護は当該病院の看護要員により行われるものであり、患者の負担の増大を防止し安 全を確保する観点から、現行制度では、看護要員に代替するような付き添いは禁止されて います。   また、いわゆる「差額室料」については、患者の選択によらない場合や「治療上の必 要」により個室に入院される場合は、徴収できないこととされています。 ―――――――――――――――――――――――― (7−4−12) <報告の該当箇所> 総合福祉法(仮称)と難病 ○ 医療的ケア ・ 「医療的ケア」の概念を次のように整理した。「医療行為として行われていたが、現在 は、その障害者の家族に許可されている、または、家族が通常行っている、生きていくの に不可欠な行為であって、その障害者に生理的結果をもたらす行為」。 <厚生労働省の主なコメント> ○ 障害者の家族に対する医療行為の実施に関する許可制度は存在しないため、概念整理 については更に検討が必要と考えられます。 ―――――――――――――――――――――――― (7−4−13) <報告の該当箇所> ・ 医療的ケアの対象の追加について   今後、さらに必要な医療的ケアの対象への追加を検討するとともに、これを家族以外 の第三者である介護者も行えるようにし、また、家族のいない独居者に対しても同様に行 えるようにすることが重要。 <厚生労働省の主なコメント> ○ 先般、「介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律」の成立 に伴い、「社会福祉士法及び介護福祉士法」が一部改正され、介護福祉士及び一定の研修を 受けた介護職員等が、一定の条件の下にたんの吸引等の行為を実施できることとされたと ころです。 介護職員等によるたんの吸引等の実施に係る研修については、在宅等で特定の者にケアを 行うケースを想定した研修体系を設けることとしており、必要な技能・知識が身につく研 修体系とすることが必要と考えられます。 介護職員等によるたんの吸引等の実施に当たっては、医療関係者との連携の確保を図るな ど、安全が確保された体制とすることが必要と考えられます。 介護職員等が行うことのできる行為の範囲の拡大については、関係者を含めた慎重な検討 が必要と考えられます。 ―――――――――――――――――――――――― (7−4−14) <報告の該当箇所> ○ 当事者が参画した審議会の設置 ・ 難病については、総合福祉法の対象として難病を取り入れるという方向は、共通認識 になりつつあるが、「難病とは何か」という概念についてさらに整理が必要。難治性慢性疾 患のある障害者へのサービスのあり方は、専門性の高い領域であり、多義にわたる課題が 残されている。漸進的な制度整備を図ることが必要と考えられ、総合福祉法の制定後にも、 当事者の参画を確保しながら、さらに検討を行っていく審議会が必要。 <厚生労働省の主なコメント> ○ 難病については、総合的な検討の場において更に慎重な検討が必要と考えられます。 ―――――――――――――――――――――――― (7−4−15) <報告の該当箇所> 総合福祉法(仮称)と精神障害者 ○ サービス体系の在り方について ・ 働きたいと望む人への就労支援の強化 障害者の半数以上の人が将来働きたいと希望している。地域生活移行後の暮らしを豊かに する方法として、就労支援は日中活動の中で重要な位置を占める。就労を希望する障害者 には、施設の中ではなく、企業や働く場での支援の強化を盛り込むことが必要。 <厚生労働省の主なコメント> ○ 「就労を希望する障害者には、施設の中ではなく、企業や働く場での支援の強化を盛 り込むことが必要」という点については、「就労(労働及び雇用)合同作業チーム」との調 整が必要と考えられます。 ―――――――――――――――――――――――― (7−4−16) <報告の該当箇所> ・ 非自発的入院における行政の責任と入院費用の自己負担 非自発的入院については(司法を含む)行政の監視化におき、人権管理を強化し、入院費 用は人権制約の代償として公費負担とすべき。 <厚生労働省の主なコメント> ○ 非自発的入院についても、現在、「障害者制度改革の推進のための基本的な方向につい て」(平成22年6月29日閣議決定)を踏まえ、「新たな地域精神保健医療体制の構築に 向けた検討チーム」(第3R)において検討しているところです。 ―――――――――――――――――――――――― (7−4−17) <報告の該当箇所> ○ 発達障害児者の医療 ・ [1]専門性あるスタッフの養成、医療施設の充実 発達障害児への対応は児童青年精神科、小児精神科などで対応しているが、専門性あるス タッフ・施設とも不足しており、発達障害児の増加に追いついていない。専門性あるスタ ッフの養成が必要。 <厚生労働省の主なコメント> ○ 専門性のあるスタッフの養成については、国と都道府県が連携し、引き続き研修の充 実に努めてまいります。 ―――――――――――――――――――――――― (7−4−18) <報告の該当箇所> 今後の検討課題 ○ 精神障害者については、精神医療における拘束、電気ショックなど医療の内容に踏み 込んだ人権確保の観点から適正手続の確保が必要。 <厚生労働省の主なコメント> ○ 精神障害者の入院時の強制医療介入の在り方についても、「新たな地域精神保健医療体 制の構築に向けた検討チーム」(第3R)において検討を行っています。 ―――――――――――――――――――――――― (7−4−19) <報告の該当箇所> ○ 精神医療を一般医療体系へ編入するとともに、精神障害者の身体合併症への医療が円 滑に行われるよう、医療法等の医療法制の改正が必要。 <厚生労働省の主なコメント> ○ 精神医療の在り方については、一般の医療とは異なる配慮が必要であることに十分留 意が必要です。また、身体合併症への対応については、平成23年5月から「精神科救急 医療体制に関する検討会」で検討を開始したところです。 ―――――――――――――――――――――――― ―――――――――――――――――――――――― (8−1−1) 8 「障害児支援」合同作業チーム報告書について  【総論】 <部会作業チームの報告のポイント> ○ 障害児の基本的権利と権利擁護  児童福祉法において、[1]他の子どもとの平等の確保、[2]子どもの最善の利益、[3]子ど もの意見表明権に関する規定を設けるべきである。 [1]から[3]の基本的な権利を保障するために、オン ブズパーソンを制度化すること。 ○ 児童一般施策における支援 児童一般施策と障害児施策が重層的に保障される ことが必要。また、子ども・子育て新システムの検 討においては、障害児が児童一般施策から排除され ることのないよう、制度設計されること。 ○ 障害児施策  地域社会の身近な場所において専門性の高い療育(障害児に対する発達支援・育児支援・ 相談支援・医療的支援等)を活用できるよう、制度設計されること。また、入所施設の障 害児について、自立生活に向けた「自立支援計画」の策定を義務づけるとともに、重度障 害児の在宅生活が可能となるよう、入所施設を含め、地域資源を整備すること。 ○ 相談支援と「個別支援計画」等  相談支援は、障害が特定されない時期から、身近な地域の通いやすい場所で提供される こと。また、適切なケアマネジメントに基づいて、総合計画としての「個別支援計画」を 制度化すること。     ―――――――――――――――――――――――― (8−1−2) <厚生労働省の主なコメント> ○ 児童福祉法において、具体的な権利を規定することについては、障害者自立支援法や 高齢者福祉などの他の福祉法制との整合性や実現可能性等を踏まえた検討が必要と考えら れます。 また、児童福祉全般に共通する事項については、障害児福祉関係者だけでなく、児童福祉 分野のその他の関係者による議論の場で議論されるなど、これらの規定に関して関係者全 体の合意を経て決定されることが必要と考えられます。 ○ 障害児支援については、平成22年12月の「障がい者制度改革推進本部等における 検討を踏まえて障害保健福祉施策を見直すまでの間において障害者等の地域生活を支援す るための関係法律の整備に関する法律」において、身近な地域で支援を受けられるよう、 障害種別等に分かれている現行の障害児施設について一元化すること等とされており、そ の中で「障害児支援利用計画」も作成することとされています。 ―――――――――――――――――――――――― ―――――――――――――――――――――――― (8−1−1) 【各論】 <報告の該当箇所> 障害児の基本的権利と権利擁護 ○ 基本的権利 ・ 児童に関する権利条約    は、以下の権利を規定しており、それに沿う規定を児童福祉法に設けるべき [1] 他の子どもとの平等の 確保 [2] 子どもの最善の利益 [3] 子どもの意見表明権 ○ 権利擁護 ・ [1]から[3]の基本的権利を保障するために、オンブズパーソンを制度化すること。 <厚生労働省の主なコメント> ○ 児童福祉法において、具体的な権利を規定することについては、障害者自立支援法や 高齢者福祉などの他の福祉法制との整合性や実現可能性等を踏まえた検討が必要と考えら れます。 また、他の子どもとの平等やオンブズパーソン等については、児童福祉全般に共通する事 項であり、障害児福祉関係者だけでなく、児童福祉分野のその他の関係者による議論の場 で議論されるなど、児童福祉全体の議論の中で決定されることが必要と考えられます。 ―――――――――――――――――――――――― (8−1−2) <報告の該当箇所> 児童一般施策における支援 ○ 児童一般施策と障害児 施策の関係 ・ 障害児が、児童一般施策 から排除されることのないように、「子ども・子育て会議」(仮称)や「子ども・子育て新 システム事業計画」(仮称)に障害児や家族等が参画し、障害児の視点を盛り込み、制度設 計されること。 ・ 児童一般施策と障害児施    策の両方があることによ  って、障害児を児童一般施 策から閉め出すことがなく、また、障害児施策があることによって障害児が児童一般施策 を利用しにくくならないにようにす るための規定を児童福祉 法に設けるべきである。 <厚生労働省の主なコメント> ○ 児童福祉法は、障害児を含めた児童一般について法律の保護の対象としているもので す。 そのため、現行においても、障害児施策の対象となる障害児も、他の児童一般と等しく児 童福祉法の保護の対象となることに留意が必要と考えられます。 ―――――――――――――――――――――――― (8−1−3) <報告の該当箇所> ○ 早期支援 ・ 乳幼児健診を、医療・療育の保障はもとより、地域における子育て支援や保育所入所 など、早期の地域支援につながるよう制度設計されること。 ・ 母子保健法の目的は、乳幼児の保健指導、健康診査、医療その他の措置を講じること にあるが、保健指導や医療の保障にとどまらず、障害児が地域の子どもの一人として地域 生活を可能とする支援につなぐよう制度設計されなければならない。 <厚生労働省の主なコメント> ○ 障害児及びその保護者が、地域から孤立しないような支援の在り方というのは重要な 課題であると考えます。  母子保健法は、「母性並びに乳児及び幼児に対する保健指導、健康診査、医療その他の措 置を講じ、もって国民保健の向上に寄与することを目的」とした法律であり、母子保健事 業は、心身の異常を発見し、支援へとつなげる役割を果たしています。   したがって、母子保健事業や他法に基づく事業のそれぞれの役割の強化や事業間の更 なる連携の強化により早期支援を行っていくことが適切と考えます。  なお、地域における障害児支援に関しては、「障がい者制度改革推進本部等における検討 を踏まえて障害保健福祉施策を見直すまでの間において障害者等の地域生活を支援するた めの関係法律の整備に関する法律」においては、「障害児支援利用計画」に基づき、必要に 応じて、母子保健施策、児童福祉施策等の連携により総合的に対応することとなっていま す。 ―――――――――――――――――――――――― (8−1−4) <報告の該当箇所> ・ 保育所等訪問支援事業の 訪問対象に「家庭」を加えること。 <厚生労働省の主なコメント> ○ 「障がい者制度改革推進本部等における検討を踏まえて障害保健福祉施策を見直すま での間において障害者等の地域生活を支援するための関係法律の整備に関する法律」によ り改正された児童福祉法における保育所等訪問支援事業の訪問の対象は、「集団生活を営む 施設」とされており、「家庭」は含まれていません。家庭を追加することについては、現在 の障害児通所施設から家庭を訪問した場合における家庭連携加算などの既存の制度との関 係も整理し検討していくことが必要と考えられます。 ―――――――――――――――――――――――― (8−1−5) <報告の該当箇所> ○ 「こども園」(仮称)で の支援 ・ 「こども園」(仮称)は、障害を理由に入園が拒否されることのないよう、制度設計さ れること。 ・ 「こども園」(仮称)においては障害児の合理的配慮を保障すること。 <厚生労働省の主なコメント> ○ 子ども・子育て新システムは、すべての子どもを対象とするものであり、障害の有無 の区別なく、すべての子どもに提供されるものです。こども園(仮称)の利用の選考の基 準や職員配置などの詳細については、このような考えに立って、更に具体的な検討が必要 と考えられます。 ―――――――――――――――――――――――― (8−1−6) <報告の該当箇所> ○ 放課後児童クラブでの支援 ・ 障害児が、放課後児童クラブへの参加を希望する場合には、障害を理由に拒否せず、 かつ必要な支援を講じるよう、制度設計されること。  放課後児童クラブの参加  は、障害の有無や程度によ って制限されるべきではい。指導員の加配や医療的 ケアを必要とする子には看護師等の配置をして受け入れるべきである。 <厚生労働省の主なコメント> ○ 子ども・子育て新システムは、すべての子どもを対象とするものであり、障害の有無 の区別なく、すべての子どもに提供されるものです。   放課後児童クラブについても、このような考えに立って、市町村が地域の実情に応じ てサービスを提供できるよう市町村事業として実施するものであり、更に具体的な検討が 必要と考えられます。 ―――――――――――――――――――――――― (8−1−7) <報告の該当箇所> ○ 要保護児童としての障害児 ・ 児童養護施設の障害児支援や障害児入所施設の社会養護の在り方について検討すべき。 <厚生労働省の主なコメント> ○ 虐待を受けた児童など社会的養護を必要とする児童であっても、障害児の施設での専 門的な対応が必要な場合は、障害児の施設に措置される一方、何らかの障害を持つ児童で あっても、社会的養護の施設や里親での対応が可能な場合には、その範囲で、社会的養護 の施設や里親での養育が行われます。 ―――――――――――――――――――――――― (8−1−8) <報告の該当箇所> 障害児施策 ○ 訪問系サービス ・ 障害児の通園や通学は、移動支援事業や行動援護の対象とならないことが多い。 <厚生労働省の主なコメント> ○ 移動支援について、通園や通学などの利用目的を対象とすることについては、事業者や 学校による合理的配慮の議論も踏まえた上で、それぞれの場面において誰がどこまで責任 を有するのか、それを踏まえて、どの分野の施策においてどのような対応を行うべきなの かを検討することが必要と考えられます。 ―――――――――――――――――――――――― (8−1−9) <報告の該当箇所> ・ 障害児が利用しやすい公的介助制度が必要であり、パーソナルアシスタンス制度の創 設も含め検討されるべき。 <厚生労働省の主なコメント> ○ 障害児に対するパーソナルアシスタンス制度については、児童デイサービスや保育所 における障害児保育、特別支援学校、放課後支援、短期入所など、様々な支援がある中で、 さらに十分な検討が必要と考えられます。 ―――――――――――――――――――――――― (8−1−10) <報告の該当箇所> ○ 通所支援 ・ 保育所等訪問支援事業等や巡回支援専門事業、都道府県事業である障害児等療育支援 事業の拡大・拡充を図るとともに、その対象を、保育所等だけでなく、他の児童発達支援 センターへも適用することを考慮しなければならない。 <厚生労働省の主なコメント> ○ 保育所等訪問支援は、保育所等における障害児の 集団生活への適応を目的とする支援であり、この支援の対象として、障害児に対する専門 性の高い支援を提供することを業務とする児童発達支援センターを想定することについて は、慎重な検討が必要と考えられます。 ―――――――――――――――――――――――― (8−1−11) <報告の該当箇所> ・ 障害児通園施設は、学齢期の障害児を対象とし、送迎サービスを含む支援が提供され るべき。 <厚生労働省の主なコメント> ○ 学齢児が障害児通園施設を利用する際の送迎については、特別支援学校等との役割分 担の整理が必要と考えられます。 ―――――――――――――――――――――――― (8−1−12) <報告の該当箇所> ・ 障害児通所支援において、重症心身障害児の受け入れに対しては看護師の配置や医療 連携加算なども検討される必要がある <厚生労働省の主なコメント> ○ 重症心身障害児の受け入れについては、ご提案の方法のほか、来年度から一定の研修 を受講した介護職員等がたんの吸引等を行うことができるようになることを踏まえて、ど のような体制が適当か検討が必要と考えられます。 ―――――――――――――――――――――――― (8−1−13) <報告の該当箇所> ○ 障害児入所施設 ・ 障害児施設の入所にあたり、子ども自身の意見表明を踏まえ、子どもの視点から最善 の利益を保障できる権利擁護の仕組みが必要であり、オンブズパーソンが制度化されるべ き。 <厚生労働省の主なコメント> ○ 意見表明などの児童の権利に関することは、児童福祉全般に共通するため、障害児福 祉関係者だけでなく、児童福祉分野のその他の関係者による議論の場で議論されるなど、 児童福祉全体の議論の中で決定されることが必要と考えられます。  なお、オンブズパーソンの具体的な仕組みについて、検討が必要と考えられます。 ―――――――――――――――――――――――― (8−1−14) <報告の該当箇所> ・ 継続した医療等の支援が必要な重症心身障害児の地域移行に当たっては、命と生活の 質が保障される実証的な地域支援の仕組みについて検討するモデル事業を行い、保護者・ 家族の不安や負担を十分に受け止め、合意を得ながら進めていくことが必要。 <厚生労働省の主なコメント> ○ 重症心身障害児の地域支援の仕組みについて検討するモデル事業は、保護者・家族と の関係性や費用負担の問題、都市部や町村部などの地域差があるサービス基盤整備の状況 等を考慮して、実現可能性のあるものとする必要があります。 ―――――――――――――――――――――――― (8−1−15) <報告の該当箇所> ・ 保育所等訪問支援事業により、保育所を含む地域の機関や家庭などに対する訪問・巡 回型支援を行い、在宅生活の障害児やその家族への支援も広く行うべき。 <厚生労働省の主なコメント> ○ 「障がい者制度改革推進本部等における検討を踏まえて障害保健福祉施策を見直すま での間において障害者等の地域生活を支援するための関係法律の整備に関する法律」によ り改正された児童福祉法における保育所等訪問支援事業の訪問の対象は、「集団生活を営む 施設」とされており、「家庭」は含まれていません。家庭を追加することについては、現在 の障害児通所施設から家庭を訪問した場合における家庭連携加算などの既存の制度との関 係も整理し検討していくことが必要と考えられます。 ―――――――――――――――――――――――― (8−1−16) <報告の該当箇所> ・ 入所決定においては市町村が関与できるよう制度設計されること。 <厚生労働省の主なコメント> ○ 入所権限については、児童養護施設等のその他の児童福祉施設の入所権限が都道府県 に置かれていることとの整合性等を整理することが必要と考えられます。 ―――――――――――――――――――――――― (8−1−17) <報告の該当箇所> 相談支援と「個別支援計画」等 ○ 地域の身近な場所での相談支援体制 ・ 児童家庭支援センターを児童発達支援センターや障害児入所施設に付置できるようす べき。 <厚生労働省の主なコメント> ○ 児童家庭支援センターについては、平成21年の児童福祉法改正により、児童養護施 設等の附置要件が削除されたため、要件を満たせば児童発達支援センターにも附置できる ものと考えられます。 ―――――――――――――――――――――――― (8−1−18) <報告の該当箇所> ○ ケアマネジメント ・ 個別の支援計画は、福祉、教育、医療等、利用するサービスを一つの計画として策定 すべきであり、そのためのケアマネジメントが行われるように児童福祉法に規定を設ける べき。 <厚生労働省の主なコメント> ○ 障害児支援については、平成22年12月の「障がい者制度改革推進本部等における 検討を踏まえて障害保健福祉施策を見直すまでの間において障害者等の地域生活を支援す るための関係法律の整備に関する法律」において、身近な地域で支援を受けられるよう、 障害種別等に分かれている現行の障害児施設について一元化すること等とされており、そ の中で「障害児支援利用計画」を作成することとされています。 ―――――――――――――――――――――――― (8−1−19) <報告の該当箇所> ○ 「個別支援計画」 ・ 個別支援計画に障害児自身の意見を記入する欄を設けるなど、障害児本人のニーズが 検討できるようにすべき。 <厚生労働省の主なコメント> ○ 重度の障害があるなど障害程度によっては、障害 児自身が記入することが困難な場合があるので、その方法等の検討が必要と考えられます。 なお、意見表明などの児童の権利に関することは、児童福祉全般に共通するため、障害児 福祉関係者だけでなく、児童福祉分野のその他の関係者による議論の場で議論されるなど、 児童福祉全体の議論の中で決定されることが必要と考えられます。 また、オンブズパーソンの具体的な仕組みについては、検討が必要と考えられます。 ―――――――――――――――――――――――― (8−1−20) <報告の該当箇所> ○ 要保護児童対策地域協議会と地域自立支援協議会の連携 ・ 障害児とその家族への早期支援を保障するために、要保護児童対策協議会と地域自立 支援協議会が連携できるよう、地域自立支援協議会の構成機関に守秘義務等の根拠となる 規定を設けること。 <厚生労働省の主なコメント> ○ 地域自立支援協議会の守秘義務については、地域自立支援協議会において個別案件を 扱うかどうかも踏まえて検討が必要と考えられます。 ―――――――――――――――――――――――― (8−1−21) <報告の該当箇所> ○ 利用者負担 ・ 児童福祉一般施策のサービス利用は、障害の有無に関わらず「養護しているものの資 力を考慮して可能な限り無償」であるべきだが、並行通園等の障害にもとづき必要となる サービス利用は、利用者負担が生じないようにすべき。 <厚生労働省の主なコメント> ○ サービス利用に係る利用者負担の問題について、負担能力がある方まで無料とするこ とについては、医療や介護をはじめ、他の法律や制度との整合性が求められると考えられ ます。障害者についての支援のみ全て無料とすることについては、国民的な議論が必要と 考えられます。 ―――――――――――――――――――――――― (8−1−22) <報告の該当箇所> ○ 安定的なサービス提供 ・ 障害児のニーズを踏まえ た多様なメニューを提供するために、給付額の設定は、月額単価を基本とすること。 <厚生労働省の主なコメント> ○ 日払い、月払いについては、日払いとしたことのメリット(利用者の選択に資するサ ービスの組合せ等)や並行通園の実施等を踏まえた検討が必要と考えられます。