総合福祉部会 第15回 H23.6.23 資料14 合同作業チーム(就労(労働及び雇用))議事要旨(5月) 1.日時:平成23年5月31日(火)13:45〜17:00 2.場所:厚生労働省低層棟2階講堂 3.出席者   松井座長、駒村副座長、勝又委員、倉田委員、近藤委員、斎藤委員、新谷委 員、竹下委員、  増田委員 4.議事要旨 就労合同作業チーム報告案について I はじめに 問題認識について ○問題認識について質問がある。障害者雇用者数が減っているが、雇用は増えて いるとの説明があった。56人以下の企業で雇用者が減っているということか。 それだけで5万人の減少を説明できるのか。調査結果はあるのか。 ○一般就労が減っているという調査データを共有したい。 (座長)厚労省の実態調査結果ではそうなっている。この調査結果は、厚労省の ホームページで公表されている。 II 就労合同作業チームの結論とその説明 1.障害者基本法改正について ○(座長)障害者基本法改正案については、チームで提案したことがほとんど反 映されていない。近藤委員から「地域」を「地域社会」に変えたという意見があ ったが、大きな違いはないと考えている。 ○障害者基本法案18条3項の「地域における作業活動の場」は小規模作業所を 指すと聞いているが、「地域社会」となったことで福祉的就労を含め「作業活動 の場」の格が上がったと認識している。 ○障害者基本法改正案に就労合同作業チームの議論は反映されていない。不満を 表明する意味でも、細かく反映された内容を記載する必要はなく、原案でよい。 2.総合福祉法(仮称)の中に福祉的就労をどう位置付けるか ○「旧障害者福祉法」という法律はないが、この表記でよいか。「障害者雇用促 進法などの労働法規」とあるが、労働法規の根幹は労働基準法なので「労働基準 法などの労働法規」にすべき。 ○「福祉的就労をどう位置づけるか」とあるが、福祉的就労だけではなく「障害 者の就労をどう位置づけるのか」とすべき。障害者自立支援法を廃止して総合福 祉法を制定するのだから、自立支援法の問題点を明示するべきだ。就労系、生活 系とあるが、自立支援法の体系との違いを明確にすべき。社会的雇用、社会的事 業所、社会支援雇用の定義を明らかにすべき。地域活動支援センターとの関係も 整理すべき。 ○「(福祉的就労の場で働く人に労働法を適用することの)早期実現が極めて困 難」とあるが、1980年代から言ってきていることであり、福祉的就労のあり方を 抜本から見直す必要がある。 ○現に20万人が福祉的就労を利用しており、その8〜9割が1.2〜1.5万 円の工賃という現実は重い。労働者性を備えた働く場を整備するとともに、そこ から漏れる人が喜びをもって働く場も位置づけるべきだ。施設入所支援で働く人、 約2万人が、施設入所をしながら働き続けられるようにするべきだ。自立支援法 では施設入所支援と就労継続支援の組み合わせができないため、平成24年4月 以降は施設から追い出されてしまう。 ○ここは自立支援法を見直すためのチームではないので、自立支援法の延命を図 るようなことを入れるべきでない。 ○自立支援法の延命ではない。すべての者が労働権を保障されて働くのは無理で、 デンマーク等でも福祉的就労に該当する者はいる。日本だけ福祉的就労を無くす のは無理だ。 ○チームとしては3つの考え方を挙げている。『(1)「社会支援雇用の場」(雇 用型・支援雇用型)、「作業・活動支援の場」(作業支援事業・活動支援事業)、 「雇用訓練・定着支援事業」の3類型』は近藤委員より、『(2)社会的企業お よび社会支援雇用』は倉田委員及び増田委員、『(3)社会的事業所〜@障害者 以外の社会的排除されている人も対象とした「共働型」、A主として障害者を対 象とした「雇用型」、B雇用関係のない「作業型」の3類型』は斎藤委員の意見 だ。この中で作業チームとしてどれかに絞るという議論はしていないのが、おお まかな方向性についてはコンセンサスが必要だ。 ○(総合福祉法に何を規定するかは)一番重要な部分で、この記載が曖昧では6 か月も何を議論していたかということになる。現実には多数の福祉的就労で働く 者をすぐに解消できないのは明らかで、それを踏まえて、新たな法律でどのよう に制度化するのか書く必要がある。 ○(座長)方向性としては、就労系事業は労働施策と福祉施策を一体的に展開し、 労働法を適用するとともに所得保障と合わせて生計維持可能な所得を確保する。 一般就労への移行の機能は障害者就業・生活支援センター等と密接に連携する。 さらに、デイアクティビティセンターを生活系事業として位置づけるというよう に提案したい。 ○社会的雇用、社会的事業所、社会支援雇用は似ている部分もあれば、似て非な る部分もあり、議論では結論は出せないので、やわらかくまとめて書いている座 長案に賛成。モデル事業で今後実証的に検討すべきだ。 ○推進会議では、例えば教育に関しては特別支援教育と一般教育を分けるのでは なく、インクルーシブな教育を目的としている。労働でも障害者の労働と一般労 働とを分けて議論していては労働者性を考えられない。推進会議では障害者雇用 促進法でどうするのかという議論になるのではないか。 ○座長案では、福祉的就労の場で今働いている20万の人はデイアクティビティ センターに行くことになるのか。就労系事業については年金と組み合わせて最賃 確保するなら、年金は賃金ということにならないか。この整理には無理があるの で、中間的な類型が必要だ。 ○年金との調整は大きな問題で議論が詰まっていない。賃金補填をして年金はそ のままというのでは、働く意欲がなくなる。企業もインセンティブを失うおそれ がある。所得保障と雇用対策は一体であり、組み合わせでやらなければならない ことは間違いない。20万人がどうなるか考えなければならない。 ○座長案で一体何が変わるのかわからない。就労継続支援B型にいる人がデイア クティビティセンターにいくのか。デイアクティビティセンターは生活介護に当 たり、就労とは異なる。また新しく提案されている就労系事業は就労継続支援A 型に看板が変わるだけではないか。現在の就労移行支援事業は総合福祉法ではな く労働施策に位置づけるべきで、障害者就業・生活支援センターとの連携では何 も変わらない。 ○年金の理念は最低生活保障であり、稼得能力により最低生活を維持できない人 が対象だ。賃金補填により維持できている人に年金を満額出すとなると、年金の 理念を根本から変えることになる。働く意欲と働くことによる生活の向上をどう 制度化できるか検討が必要。 ○(座長)入所施設の問題はこの報告には加えたくない。 ○入所施設の問題は日中活動チームで書くべき。 4.就労系事業で就業する障害者の工賃を妥当な水準に引き上げるための適切な 仕事をどのようにして安定確保するか ○労働法規の全面適用は簡単ではい。労働法規適用と言いつつ、減額特例を認め ることにならないか。 ○身体障害者福祉法25条は特定の社会福祉法人の特定の商品を対象としてい るが、現在は東京コロニーだけなので、「障害者を雇用する事業所」に拡大すれ ば変わる。また、身体障害者福祉法のみなので、知的障害、精神障害にも拡大す べき。 ○既に機能していない規定なので、総合福祉法に代わりの規定を設け、そこで官 公需、民需などの規定をすればよい。問題は受け皿を雇用関係を持った事業所に 限定するか、労働法の適用がない事業所も対象とするか。自治体で取り組んでい る共同受注は就労継続支援B型の事業所が中心なので、仕事がとれても少し工賃 が上がる程度である。 ○(座長)「多様な就労系事業に安定的な仕事を確保」としているので雇用でな い働く場も含む。 5.就労系事業で就労する障害者に利用者負担を求めるか ○(座長)利用料の廃止については、就労系だけでなく総合福祉法のサービスす べてという議論もあるが、ここでは就労系に限定する。 ○就労系と名乗れば利用料0というのはどうか。福祉サービスがすべて0になら ず、応能負担ならば、雇用のない就労系事業も同列にすべき。雇用と福祉を分け るべき。 ○それは福祉的就労を残すこととなる。このチームは福祉的就労をなくす方向で 議論してきた。もちろん、就労系事業を名乗るならば実質を伴う必要がある。 ○就労系事業が労働法規に基づくならばそのとおりだが、実際には中間的なもの が残る。 6.障害者雇用促進法に関わる事項について (2)障害者雇用施策の対象とする「障害者」について、就労の困難さに基づき 認定する仕組みのあり方について ○他の作業チームでは認定の仕組みへの議論がされており、それとの連続性が必 要。 (3)雇用率制度および納付金制度のあり方について ○具体的にどういう仕組みが必要かまで踏み込んで書かないと、労政審で取り上 げられない。 (4)職場における合理的配慮提供の確保について ○賛成だが、労政審はこの方向で議論しているのか。 ○(座長)この方向で議論されてきた。 III 今後の課題について 1.安定した雇用・就労に結びついていない労働年齢の障害者に適切な就業の機 会を確保するための施策についての検討 ○80か所のモデル事業は賛成だ。障害者就業・生活支援センターの拡大を含め 調整センターをモデル事業に加えるべきだ。 ○箕面市の仕組みを制度化して欲しいという提案をしてきたが、議論の中で他の 提案と比較してどれがよいかを検討した上で制度化すべきとの考えに至った。賃 金補填は例示としては残すべきだ。 ○障害者雇用促進法でも障害者自立支援法でも就労支援は壁にぶつかっており、 いろいろ実験できるようにしてほしい。賃金補填も一つの方法だがカネがかかる ので、これに頼らない方法も検討すべき。 ○賃金補填だけがクローズアップされるのは不健全だ。賃金補填は一つの方法で ある。 ○箕面市では賃金補填だけではなく、運営費補助等全体の中で所得保障を実現し ている。賃金補填以外に仕事の確保、官公需、民間との連携など色々あるので、 記載の大幅修正が必要だ。 ○支援の対象は事業所か個人か。雇用のためには事業所ではなく、個人に支援が 届けばよい。 ○箕面市は事業者に支援するが、個人に支払うことを条件としている。 ○個人に賃金補填する場合は年金や手当とどこが違うのか。事業所で雇用されて いる人への支援をどうするかと考える必要がある。例えば障害者雇用促進法の介 助者の助成金は事業所への助成であり、労働者の請求権としては認められていな い。この点を考えるべき。 ○賃金補填のイメージを共有する必要がある。個人に直接するのか、間接にする のか、両方か。賃金補填の内容について説明で書くべき。 ○福祉工場と就労継続支援A型では補助金を工賃として支払ってもよいことに なっている。 ○(座長)滋賀県の社会的事業所は補助金の使い道が自由だというのが特徴だと 思っていたが、福祉工場等でも補助金を工賃として払ってよいとなると、違いは どういうことになるか。 ○金の使い方は違いはないが、滋賀県の制度では職員と利用者という関係ではな いというのが特徴。 ○箕面市の社会的雇用では賃金として使うように使途をしばっている。 ○現在の就労継続支援事業では人員配置が利用者7.5人に対して1人と決めら れているから、パイロット事業をする際にもこれを踏まえないと比較できない。 ○モデル事業は現行制度と同じ土俵での比較ではなく、様々な問題を踏まえ検証 すること。 ○賃金補填をするなら、ターゲットをはっきりさせること。7.5:1等決めな いで検討する。また、モデル事業なので、内容に制限をつけないこと。 ○箕面市は障害者の賃金の3/4と職員の給与などの一部を補填しているが、補 助金総額は就労継続支援A型と変わらない。賃金補填をするためにA型にはなら ず、箕面市が全額負担している。滋賀県ではA型より高い賃金を実現しているが、 障害者と障害のない人が同数いるのでそれを実現している。 3.前述の賃金補填を制度化するための所得保障制度(障害基礎年金など)との 調整のあり方 ○(座長)モラルハザードの意見もあったので、なお書きを追加した。 「なお、賃金補填の導入によって事業者がモラルハザードを起こすことがないよ う、生産性や付加価値を高めるとともに、障害者の能力開発により賃金補填額の 縮小、あるいは賃金補填がなくとも最低賃金以上の賃金を支払うことを目指すよ うな制度設計とするべきだとの意見があった。」 ○同一労働で障害者の方が賃金補填によって多くの賃金をもらったら、これは職 場のモラルハザードだ。賃金補填を考える際に、生活保護との差を補填するのか、 最賃との差を補填するのかという問題がある。スタート時は前者ではないか。 ○職場のモラルハザードについては、「賃金補填による障害者自身の働く意欲へ の影響や、共に働く、障害のない者の意識の変化などの検証」というモデル事業 での検証事項に挙がっている。 ○社会的雇用、社会的事業所、社会支援雇用は並列で書くべきだ。 4.全国民のなかでの障害者の経済活動や生活実態を明らかにする基礎資料の整 備 ○新たな公的統計調査を作れと言うことではない。障害者のみを対象とした調査 しかないので、全体の中でどのような状況があるかを検証すべき。 ○調査については総合福祉部会で取り組んでいるが、それとは関係がないのか。 ○関係ない。全国在宅障害児・者等実態調査試行調査はサンプルが小さく政策議 論に耐えられない。 ○全国消費実態調査などに障害の有無を書かせることに問題はないのか。 ○障害の有無ではなく、6か月以内に生活に支障があったかというようなことを 聞く。 ○その聞き方だと障害だけでなく怪我も含むのか。ハレーションを起こさないた めに丁寧に書くべき。 ○部会では、国勢調査では既存の調査項目の追加ができないから現在の調査にな ったと聞いた。 ○国民生活基礎調査は厚労省の統計情報部でやっているが、3年に1回、その 時々の政策に必要な調査項目を入れられる。 ○(項目を追加できるということを)部会に提案すべきではないか。 ○国民生活基礎調査では実態まではわからない。全国在宅障害児・者等実態調査 試行調査は、障害者についてよりきめ細かい調査である。 ○社会モデルの検討は、手帳所持者を対象とした医療モデルの障害者の調査では できない。 (5.障害者の雇用・就労にかかる労働施策と福祉施策を一体的に展開するため の体制の整備) ○総論はこの内容でよい。「市レベル」は「地方公共団体レベル」にした方がよ い。 ○労働と福祉を一本化した相談機関は必要だが、現実には両者は分かれている。 福祉的就労と一般雇用を結びつけることが必要。 ○(座長)方向性はそうだ。 (6.以上の検討課題についてフォローし、実現化をめざすための今後の検討体 制づくり) ○(座長)今後の検討体制に労働行政の関係者も入れるべきとの意見があるが、 具体的にはどこか。 ○ハローワークなどの機関を考えている。 ○推進会議に同じ国の機関であるハローワークが入るのはどうか。地方自治体な らわかる。 ○国の機関は事務局として連携すべき。現場の声を聞くために地方公共団体は入 れるべきだ。 (7.他の作業チームとの調整が必要な事項) ((1)パーソナルアシスタンスが担う役割の範囲について) ○通勤支援などは雇用納付金制度にあるが、この助成金と総合福祉法の財源の調 整が必要となる。 ○通勤支援ではないが、例えば現行の移動支援は、あんま、はり・きゅうなどの 営業に伴う介助はだめとされている。福祉施策と労働施策の統合を議論する中で、 職場介助は合理的配慮の範囲内なら労働行政の話、合理的配慮の範囲を超えれば 福祉の領域となる。 ○現行の介助サービスを拡充すればよく、パーソナルアシスタンスに限定する必 要はない。 ○「財源も含めて一体的に」は、納付金による助成金と福祉財源を整理するの意。 ○合理的配慮の財源も考え方は二通りある。 ((2)ワンストップサービスの整備について) ○(座長)「選択と決定・相談支援プロセス(程度区分)」作業チームと調整を する必要がある。 ((3)雇用関係がなく、労働法規が適用されないデイアクティビティセンター の機能について) ○「居場所の提供」という言葉は、社会参加の方がよいのではないか。 ○地域活動支援センターとの関係も調整が必要。 (福祉的就労について) ○就労系が労働法規適用、生活系は労働法規不適用とすると、就労継続支援B型 は生活系という整理になるがそれでよいのか。現在の就労系は訓練となっている が、障害のある人とない人が共に働く場とするべきだ。就労継続支援A型が伸び ないので、賃金補填なども検討しこれを発展させるべきだ。就労移行支援は労働 行政の中にある障害者就業・生活支援センターの強化を図るのがよい。 ○ワークアクティビティは就労系と生活系の間に入れて欲しい。労働法規の適用 をいきなり書かず、各種助成により最低賃金を確保し、労働者性を確保するとい うことにすればよい。 ○それでは福祉的就労が残ってしまう。 ○10万円稼げる人は労働者で5万円なら違うというように線を引けるのか。い くら稼ぐかでなく、労働生産性があるならば就労系事業で労働法規適用だ。 ○2万円でも労働者とすると、労基署から最賃違反という指摘を受けるという課 題が出てくる。 ○それは課題ではなく、正しいことだ。 ○労働施策と福祉施策を一体化するというのは新しい議論なので、現在の事業所 をどうするかではなく、あるべき姿を描くべきだ。現実的な折衷案を入れると出 発点が下がる。 ○労働と福祉を一体にと言うのは簡単だが、その実態が必要だ。最賃を保障する ために賃金補填という話だが、現実に就労継続支援B型で働く全員に賃金補填が できるのか。 ○現状を乗り越えるために賃金補填だけではなく様々な議論をしている。 ○目標を掲げるだけなら苦労しない。今の運営費補助を保障()した上で賃金補 填という提案になるが、それでは厚労省は実現できないという話になるだろう。 ○「一体的」は渾然一体ではなく、インクルーシブという意味なら賛成だ。 ○(座長)報告案の修正は今日の議論を含めて考える。事前に提示して必要なら 修正する。推進会議のもとでさらに検討する仕組みをつくる。