総合福祉部会 第15回 H23.6.23 参考資料1 田中伸明委員提出資料   障害者総合福祉法(仮称)における暴力団排除条項について                     総合福祉部会 委員 田中伸明 1 暴力団関係者を含む「反社会的勢力」への対抗の動き  現在、「反社会的勢力」という言葉が用いられるようになり、このような「反社会的勢力」の 活動を抑え込む動きが活発化しています。この「反社会的勢力」には、暴力団構成員、準 構成員、暴力団関係企業、暴力団共生者などが含まれるとされています(警察庁「組織犯 罪対策要綱」(平成16年10月25日))。  このような「反社会的勢力」、特に暴力団関係企業は、これまで、建設分野など、予算が 大きく配分される分野において、事業主体として入り込み、資金獲得の手段としてきました。 そこで、各分野では、建設業法や、廃棄物処理法などにおいて暴力団排除条項を制定し ており、最近では債権管理回収業に関する特別措置法(いわゆるサービサー法)におい て、暴力団排除条項が定められるに至っています(以下に参考法令集を添付します)。  また、昨今、「反社会的勢力」の活動に対抗するため、各都道府県において、暴力団排 除条例の制定が進み、近く47都道府県全てに制定される見込みとなっています。 2 社会福祉分野における暴力団排除の必要性  このような社会情勢の中、社会福祉分野においても、今後予算の増加が予想されており、 暴力団関係企業が「指定事業者」などとして入り込まないよう、法制上も配慮していく必要 があると考えます。  実際にも、生活保護分野では、生活保護受給者を囲い込んだ上で、保護費の大部分を 手中にするという方法により、暴力団関係企業が資金源としているという報道がなされるこ ともあり、注意が必要です。 3 総合福祉法(仮称)における暴力団排除条項  総合福祉法では、具体的にどのような制度設計になるのかは、まだ不確定ですが、現 行自立支援法の「指定事業者」(自立支援法36条1項、3項)のような形になるのであれば、 都道府県知事の指定を受けることができる事業者の要件として、暴力団排除条項を定め る必要があると考えます。具体的には、[1]「指定」の場面と、[2]指定後に暴力団関係者 が入り込んだ場合に備えての「指定の取消し」の場面の、2つの場面で規定を定めることが 適切であると考えます。 以上 > 参考法令集 * 債権管理回収業に関する特別措置法 (平成十年十月十六日法律第百二十六号) (営業の許可) 第三条  債権管理回収業は、法務大臣の許可を受けた株式会社でなければ、営むこと ができない。 (許可の申請) 第四条  前条の許可を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した許可申請書を法 務大臣に提出しなければならない。    (以下、略) 許可の基準) 第五条  法務大臣は、前条の規定による許可の申請があったときは、許可申請者が 次の各号のいずれかに該当する場合を除き、第三条の許可をしなければならない。 ・・・ 五  暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律 (平成三年法律第七十七号) 第二条第六号 に規定する暴力団員(以下この号において「暴力団員」という。)又 は暴力団員でなくなった日から五年を経過しない者(以下「暴力団員等」という。) がその事業活動を支配する株式会社 六  暴力団員等をその業務に従事させ、又はその業務の補助者として使用するおそ れのある株式会社 七  取締役若しくは執行役(相談役、顧問その他いかなる名称を有する者であるか を問わず、会社に対し取締役又は執行役と同等以上の支配力を有するものと認められ る者を含む。)又は監査役(以下この号において「役員等」という。)のうちに次の いずれかに該当する者のある株式会社 ・・ ホ 債権の管理又は回収に関し、刑法 (明治四十年法律第四十五号)、暴力行為等 処罰に関する法律(大正十五年法律第六十号)、貸金業法 若しくは暴力団員による 不当な行為の防止等に関する法律 又はこれらに相当する外国の法令により罰金の刑 (これに相当する外国の法令による刑を含む。)に処せられ、その刑の執行を終わり 、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から五年を経過しない者 ヘ 暴力団員等 (許可の取消し等) 第二十四条  法務大臣は、債権回収会社が次の各号のいずれかに該当するときは、第 三条の許可を取り消し、又は六月以内の期間を定めてその業務の全部若しくは一部の停 止を命ずることができる。 一  第五条各号のいずれかに該当することとなったとき。     (以下、略) * 建設業法 (昭和二十四年五月二十四日法律第百号) 第八条  国土交通大臣又は都道府県知事は、許可を受けようとする者が次の各号のいずれか (許可の更新を受けようとする者にあつては、第一号又は第七号から第十一号までのい ずれか)に該当するとき、・・許可をしてはならない。 ・・ 八 この法律、建設工事の施工若しくは建設工事に従事する労働者の使用に関する法令 の規定で政令で定めるもの若しくは暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律 (平成三年法律第七十七号)の規定(同法第三十二条の二第七項の規定を除く。)に違 反したことにより、・・罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を 受けることがなくなつた日から五年を経過しない者 ・・ 十 法人でその役員又は政令で定める使用人のうちに、・・第六号から第八号までのいず れかに該当する者・・のあるもの 十一 個人で政令で定める使用人のうちに、・・第六号から第八号までのいずれかに該当 する者・・のあるもの * 廃棄物の処理及び清掃に関する法律 (昭和四十五年十二月二十五日法律第百三十七号) (産業廃棄物処理業) 第十四条  産業廃棄物・・の収集又は運搬を業として行おうとする者は、当該業を行おうとする区 域・・を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。(以下、略) ・・ 5 都道府県知事は、第一項の許可の申請が次の各号に適合していると認めるときでなけ れば、同項の許可をしてはならない。 ・・ 二 申請者が次のいずれにも該当しないこと。   イ (略)   ロ 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第二条第六号に規定する暴力 団員(以下この号において「暴力団員」という。)又は暴力団員でなくなつた日から五年を 経過しない者(以下この号において「暴力団員等」という。)   ハ 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者でその法定代理人がイ 又はロのいずれかに該当するもの   ニ 法人でその役員又は政令で定める使用人のうちにイ又はロのいずれかに該当す る者のあるもの   ホ 個人で政令で定める使用人のうちにイ又はロのいずれかに該当する者のあるもの   ヘ 暴力団員等がその事業活動を支配する者 (許可の取消し) 第十四条の三の二  都道府県知事は、産業廃棄物収集運搬業者又は産業廃棄物処分業者が次の各号の いずれかに該当するときは、その許可を取り消さなければならない。 一 ・・第十四条第五項第二号ロ若しくはヘに該当するに至つたとき。 二 第十四条第五項第二号ハからホまで・・に該当するに至つたとき。 三 (略) 四 第十四条第五項第二号イ又はハからホまでのいずれかに該当するに至つたとき(前 三号に該当する場合を除く。)。 ・・ * 警備業法 (昭和四十七年七月五日法律第百十七号) (警備業の要件) 第三条  次の各号のいずれかに該当する者は、警備業を営んではならない。 ・・ 四 集団的に、又は常習的に暴力的不法行為その他の罪に当たる違法な行為で国家公 安委員会規則で定めるものを行うおそれがあると認めるに足りる相当な理由がある者 五 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号)第十 二条若しくは第十二条の六の規定による命令又は同法第十二条の四第二項の規定によ る指示を受けた者であつて、当該命令又は指示を受けた日から起算して三年を経過しな いもの ・・ 十 法人でその役員・・のうちに第一号から第七号までのいずれかに該当する者があるも の 十一 第四号に該当する者が出資、融資、取引その他の関係を通じてその事業活動に 支配的な影響力を有する者 * 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律 (昭和二十三年七月十日法律第百二十二号) (営業の許可) 第三条  風俗営業を営もうとする者は、風俗営業の種別・・に応じて、営業所ごとに、当該営業所 の所在地を管轄する都道府県公安委員会・・の許可を受けなければならない。 (許可の基準) 第四条  公安委員会は、前条第一項の許可を受けようとする者が次の各号のいずれかに該当す るときは、許可をしてはならない。 ・・ 三 集団的に、又は常習的に暴力的不法行為その他の罪に当たる違法な行為で国家公 安委員会規則で定めるものを行うおそれがあると認めるに足りる相当な理由がある者 ・・ 九 法人でその役員のうちに第一号から第七号の二までのいずれかに該当する者がある もの