総合福祉部会 第14回 H23.5.31 資料4 部会作業チーム(利用者負担)議事要旨(4月) 1.日時:平成23年4月26日(火)14:00〜16:45 2.場所:厚生労働省低層棟2階講堂 3.出席者:田中伸明座長、小野副座長、氏田委員、奈良崎委員、福井委員 4.議事要旨 ・前回の議事要旨を読み上げながら、以下の諸点を確認した。 ・特別対策、緊急措置、緊急措置の見直しについての厚労省の資料は、所得階層別の人数 は記載されているが、重要な負担軽減者数が記載されていない。国保連のデータであれば、 負担上限額ごとの人数を把握しているので、負担軽減対象者数は開示できる。早急に修正し 資料提出することを確認した。 ・応益負担の評価では、「障害のある人が人として生きる上で必要な最低限の営みへの支援 は、社会が負うべきであり、本人及び家族に負担が課せられるべきではない」ことを基本的な 考え方として確認した。 ・2010年4月の負担軽減策は、非課税世帯の人の負担上限額をゼロ円とした点は評価でき るが、自立支援医療や補装具は対象とされていないことと、課税世帯に対する負担問題が解 決していない。またそもそもの応益負担原則は制度上存続したままである。さらに、地域生活 支援事業の応益負担を継続している自治体もあり、地域間・制度間の格差が生じてしまって いる。 ・自立支援医療は、従前の更生医療・育成医療・精神障害者通院医療の実績から大幅に減 数してしまったようであるため、厚労省は早急に従前制度の利用者数実績の資料作成をおこ ない確認する。 ・なお、議事要旨には最後の項目で「負担を求める場合の範囲」について言及しているが、障 害に伴う支援の負担は無料とすべきであるという結論からすると、意味を持たない論点である が、あくまでも、もし負担を求めるとするならば、という仮定での付随意見である。 ・現行の緊急措置等の負担軽減策のうち、総合福祉法にも継続すべきものはあるのか。 ・利用者の実費負担にかかわる補足給付及び食事提供体制加算は、総合福祉法でどのよう に位置付けられるのか。 ・補足給付は応益負担等を前提として、手許金を決めて積算されるため、そのまま新法に継 続されるとは思えない。また給食の人件費を含めて公費が削減され、それを含めた実費負担 となってしまったため、食事提供体制加算が設けられたが、これも新法にそのまま継続それる と思えない。ちなみに、一般の学級と特別支援学校とでは給食に対する食材費単価の設定が 異なるようだ。これは障害児の障害特性に配慮した食材の選定が理由のようだが、それがそ のまま本人負担となっているかは把握していない。また再調理等を必要とする場合の経費は 公費負担である。 ・障害のある人にとって食材の選定にこだわることは大切であり、また、食事の提供は生きるこ とに直結する支援であると思う。現行の補足給付に関しては、ただ手許金を残すという考え方 で所得保障の解決にはなっていない点で問題と考える。 ・施設での食費の提供も、利用者の健康管理と捉えれば、調理に係る人件費は公費で賄う べきであるが、国民の理解という点で、食材にかかわる費用の自己負担はあり得ると考える。 ただしそれを負担するための十分な所得保障が前提となる。 ・障害のある人も、たまに自分で好きな物を食べたい時には、自費で外食することは当然あり えるだろうから、食材費の自己負担はあり得る。 ・ただし、かつて施設制度が創設された時点では、給食や食事の提供が現物給付として、施 設の支援の一部となっていたが、自立支援法の施行によりそれが絶たれた。その点をどう考 えるか。 ・補足給付は、前提に応益負担の考え方がある。我々は障害に伴う支援は無料と考えている ため、そもそもそ補足給付はなくなるはずである。 ・利用者は、なぜ施設での食費が必要なのかについて十分な説明を受けていない。十分な情 報を伝えるべきである。 ・グループホームのなかには、利用者が調理をすることで人件費を削減しているところもある。 ・人間はどこにいても食事をとるのだから障害のある人の食費を軽減する必要はない、という 意見をきくが、障害のある人は食事によって体調の善し悪しが変わるのであり、食事の提供を 受けることは当然の権利である。 ・重い障害のある人の食事では、「とろみ」をつけるための食材や握りやすいスプーン等の食器 にかかる費用が大きい。 ・おむつについても障害に起因する出費であるが、現在の支援は自治体ごとに異なっている。 これを補装具や日常生活用具に入れるという考えもできるだろう。このように、障害に伴う必 要な支援とは何かという考え方を整理する必要がある。 ・家賃については、今は自己負担が原則で、自治体による支援があるところもある。つなぎ法 による家賃補助については、既に自治体から家賃の補助を得ている場合には支給されない自 治体もでてくるのではないか。 ・利用者負担チームにおいて、所得保障に言及する必要がでてくる。 ・所得保障については、交通機関の運賃割引等の問題も含めて検討していく必要がある。 ・補装具は、その人の体の一部となるようなものだから、障害に伴う必要な支援として利用者 負担は無料とするべきである。 ・修理も含めて無料とするべき。 ・知的障害者が使用するコミュニケーション支援用具を、補装具や日常生活用具の中に取り 入れてほしい。 ・先般の障害保健福祉関係主管課長会議資料で、日常生活用具費の応益負担が残ってい る市町村がかなりあったと記憶している。地域生活支援事業についても、自立支援給付と同 様の負担軽減を早急に実施すべきである。 ・障害に伴って発生する費用は無料とするべき、という見解はグループ内で一致しているが、ど こからどこまでが障害に伴う費用なのか、基準を設けなければならない。また、障害にかかる 費用として、生きていくための費用と、生活をより豊かにするための費用とに分けた場合、後者 は、基本自己負担とせざるを得ないと思うが、負担が重くなりすぎないよう、収入を考慮した負 担を検討するべきではないか。 ・障害にかかる費用をゼロにするのが基本だが、財源の問題や国民の理解を得ることなど、課 題も多い。 ・障害のある人に負担を求めるのであれば、障害のある人の所得保障の水準の引き上げが 大前提となる。 ・基準の考え方としては、障害者権利条約の「同年代の障害のない人と同等の権利を有す る」ことが指標になるのではないか。そう考えると障害にかかわる費用は、無料でなければなら ない。 ・健康で文化的な生活を送る権利は、障害の有無にかかわらず等しく平等に与えられている。 命の安全が守られるだけではなく、尊厳ある生き方をし、豊かな生活を送るということを、どの ように新法に位置づけるか。 ・高齢社会を迎えた今日、今後誰もが何らかの障害を抱える可能性はあり、これは、現在障 害を負っている者のみならず、国民全員の問題である。 ・障害に伴う支援利用にあたり、利用者負担はなし、ということで、このチームの結論としてよ いか。 ・いいのではないか。 ・障害に伴う支援利用については、実費負担を除き、原則無料という意見でまとめたい。 ・先ほど、田中座長の話で、障害に伴う支援は無料とし、それ以外は本人負担とする、という 考え方が示されたが、障害に伴う支援とはどのようなものか。わたしなりに考えると、[1]コミュニ ケーション・アクセスのための支援(移動を含める)、[2]日常生活を送るための支援、[3]社会生 活・活動を送るための支援、[4]労働・雇用の支援、[5]医療の支援、の5つでまとめられるので はないかと思う。 ・先ほど、意見が出たとろみ食の例も、[2]の日常生活に含めるべき分野だ。とろみ食、刻み食 のための食材の加工や再調理の人件費、特殊な食器、ミキサーなどの器具代など、補助すべ きものは多い。補装具、日常生活用具の負担無料化の徹底なども検討すべき。また自閉症 等の人の良好なコミュニケーションに必要なイヤーマスクや会話補助用機器(iPhone、iPodの 開発したコミュニケーション機器)なども対象とすべきではないか。 ・おむつ代も高額になるので、障害に伴う支援にいれるべきだ。 ・補装具、日常生活用具の種目設定の範囲の見直しも必要だろう。 ・利用者負担を議論するにあたって、収入認定、資産要件のことを議論する必要があるだろう か。 ・チームとして、利用者負担無料という意見を打ち出すのだから、収入認定等の細かな議論は 要らないのではないか。