総合福祉部会 第14回 H23.5.31 資料3 部会作業チーム(地域生活の資源整備)議事要旨(4月) 1.日時:平成23年4月26日(火)14:10〜17:10 2.場所:厚生労働省17階21会議室 3.出席者   森座長、竹端副座長、石橋委員、大濱委員、尾上委員、西滝委員、東川委員、   渡井委員 4.議事要旨 (1.国庫負担基準について) ・24時間の支給決定については、25%の市町村負担が負担出来なくて、支給決定できな いところがたくさんある。 ・ホームヘルプについて、8時間を超える支給決定をする場合は、市町村負担は5%程度に 下げ、都道府県が45%を負担し、8時間以内の支給決定をする場合は、市町村負担を2 6%とし、都道府県負担の1%をプールして使うようにする案を提示した。(下図参照) ・8時間を境にしている理由は、重度訪問介護の区分6の国庫負担基準が約40万円で、月 212時間程度の単価となり、1日当たり7時間超であることから、8時間を境にしてい る。 ・施設入所の場合の居住地特例と同様に居住地と出身地で分担できないか。 ・施設から地域生活に移行し、施設のある市町村で生活する場合、半分でも施設の所在地の 市町村が負担するということであれば、施設設置に慎重になるのではないか。(下図参照) ・地域移行を進めるとしたら、時限措置としても25%を出身地の市町村が負担することも 考えられるが、居住地と出身地が半々というのはなぜか。 ・支給決定については、居住地が行って、費用負担だけ出身地というのは難しいのではない か。 ・どこにいっても同じサービスが受けられるように支給決定と支給量は分けて考えるべき。 ・負担割合を人によって分けるとなると複雑になるのではないか。 ・盲ろう者が入所施設に入ろうとして住民票を移そうとしたら、地域生活に移行した後に福 祉サービスを負担しないといけないということで、住民票を移せない事例がある。 ・スウェーデンが社会的入所・入院を減らした背景には、費用負担を出身自治体に一元化し たことである。障害者は一定の割合でどこでもいるのであり、施設が集中しているところ が負担を被るのはおかしいのではないか。 ・24時間の介護体制が必要であることははっきりしている。夜10時から朝までの介護に 係る費用は国が責任を持つべきである。 ・入所施設から地域生活に移行した時に、その居住地が25%いきなり負担しなければなら なくなるという点を変えないといけない。 ・原則はすっきりしていないと、中立性・公平性をクリアできない。時限立法で地域移行を 進めるというのは分かりやすい。 ・都道府県の負担を増やすという案が提示されているが、国が負担を保障すべきである。 ・まずは、国が長時間介護を保障すべきと言う前提に立って、それがかなわない場合の案が 提示されているという理解でよいか。 ・国が国庫負担率を引き上げてもらえれば、それが一番いい。 ・入所施設に係る費用の方がはるかに高い。入所施設に係る費用を地域生活の支援の充実に 振り分けるという前提に立つのか、入所施設に係る費用をそのままにするのか整理しない といけない。 まとめ 前提:地域移行者と地域生活をする重度者では、負担と支給決定のあり方を変えるべき 地域移行する人:出身自治体の財政負担(恒久的かどうかは検討)+居住自治体での支給決 定 地域生活する重度者:現行の国庫負担率以上は国負担が原則。無理なら都道府県での基金化 も含めた対応を考えるべき。 (2.F―4−1 障害者自立支援法では「在宅サービスも含めて義務的経費化」するとさ れたが、国庫負担基準の範囲内にとどまっている。そのため、国庫負担基準が事実上のサー ビスの上限になっている自治体が多いと指摘する声がある。このことに関する評価と問題解 決についてどう考えるか?) ・国庫負担基準を上回るサービスの支給決定を行うと、市町村単独の財政負担となっている。 ・市町村の総費用額を負担対象額とし、1/2を国庫負担する。 ・国庫負担基準を、各自治体は事実上のサービス上限としている。 ・義務的経費であることは、地域間格差の平準化の観点から必要。 ・訪問系の国庫負担基準を廃止して、全額を国庫負担(50%)の対象とするのが最低条件。 ・国庫負担基準を超過している市町村では、重度障害者に適切な時間数が支給決定されない。 ・国庫負担基準が、支給量の目安や上限であるかのように作用してしまう。 ・必要なサービス量を支給決定するように、国は市町村に言わないといけない。 ・国庫負担基準を見直し、基準をあげるべき。 ・地域で生活する権利を保障するため、障害者の実態とニーズに合わせた支給にすべきであ る。 ・国庫負担基準が低いため、サービス利用料やヘルパー等の待遇が低い水準である。 ・国庫負担基準の大幅な拡充と、財政難な自治体に財政支援をする必要がある。 ・国が総費用額の1/2負担し、都道府県が1/4負担しても、市町村は残り1/4の負担が出来な い。 ・震災からの復興の議論の中で、「社会保障費を抑制しないと復興困難」との新聞記事があ った。 ・単純に費用の増加を主張するのではなく、入所、入院の財源を振り分けることも含めて議 論する必要がある。 ・復興か社会保障かとの論調があるが、インクルーシブな社会への新生が大事である。 ・インクルーシブな町づくりと支えあいの仕組みが大事であり、災害からの復興策を含めた 報告書を出すべき。 まとめ はじめに予算ありき、ではなく、まずは障害者のニーズを中心に検討すべき。そのニーズを 積み上げる形で、必要な支給決定がなされる必要がある。現状では国庫負担基準という形で 実質的な予算上限を設定しているため、少なからぬ自治体が、国庫負担基準を事実上のサー ビス上限としている。総合福祉法においては、障害者の実態とニーズに合わせ、「地域で暮 らす権利」を保障するための財源を確保すべきである。そのための方策は、上記の「国庫負 担基準について」のまとめを参照。また、インクルーシブな社会への復興・新生に向け、入 所・入院施設への財源投入の、地域資源への組み替えも検討すべきである。 (3.地域生活移行(社会的入院・入所を防ぐための整備)の結論で示したように、着実に 実行すべきと考えるが、障がい者制度改革推進会議「第二次意見」では、地域生活移行につ いては“国は一定の年次目標を掲げて取り組むべきであり、その年次目標の実現のため受入 先となる居住等の計画整備が必要”としている。自治体が障害福祉計画等で地域生活支援を 促進する計画を立て、それを着実に実行するための具体的な内容について、どう考えるか?) ・地域移行を進めるためには、住まい、就労を含めた日中活動の場の確保、在宅サービスの 充実、緊急時対応の整備等バランス良く実施されていく必要がある。 ・地域移行への環境を整えることが第一で、移行者に寄り添って地域移行を進める。 ・数値を毎年公表し、実績の低い市町村は重点指導する。 ・退院から地域移行するにあたり、相談支援等を行う、キーパーソンの確保が必要である。 ・行政は、計画立案ではなく実行にエネルギーを費やすべき。 ・地域で受け入れる仕組みづくりが出来ていないので、住居の一定枠の確保が必要。 ・受け皿がないのが大きな課題だが、その前に本人の意志をしっかり汲み取らないといけな い。 ・本人の意向に基づいた計画になっていない。 ・グループホームやケアホームだけでなく、公営住宅等の様々な住宅も選択肢にいれる。 ・日中活動も含んだ計画にしないといけない。 まとめ 地域生活移行は、まず本人の意向に基づいた計画である必要がある。その上で、住まい、就 労も含めた日中活動の場の確保、在宅サービスの充実、緊急時対応の整備などもバランスよ く検討される必要がある。そのために、移行支援の拠点作りも必要不可欠である。これらの 事を、後述の地域自立支援協議会などで協議し、国の計画の人口割り案分数ではなく、地域 の実情に応じたボトムアップの障害福祉計画として、実行に向けた現実的計画を作成すべき である。 (4.(5)@障害福祉計画と地域自立支援協議会、個別支援計画の連動について、24時間 など長時間介護の障害者や長時間利用者を自立支援している障害者団体等も、原則として委 員として参加させることによって、当事者主導の自立支援協議会を確立するべきとすること について、どう考えるか?) ・地域自立支援協議会に当事者が参画することで意見が反映された施策が推進される。 ・障害福祉計画は、行政が実績を元に作ったもので、当事者を入れてそろそろ舵を切るべき。 ・24時間介護利用の当事者でないと分からないことや、見守りをやった人でないと分から ないことがある。人工呼吸器のOJTをやり、現場を体験した人と指導できる人が参画す べき。 ・障害当事者参画の考え方が自立支援協議会の仕組みの中で整理されていない。 ・地域自立支援協議会は、各障害のサービスの利用当事者が出ないと、各障害の問題が出て こない。 ・障害者団体の参画を義務とするべきだが、私の団体は各地域でほとんど入っていない。 ・盲ろう者は、全国に22,000人しかいないので、当事者の参画は大切であり、なかな か盲ろう者が、自立支援協議会へ参画して発言するのは難しい。 まとめ 自立支援協議会は、都道府県および市町村の協議会の設置の義務付けおよび重度障害者も含 めた様々な障害当事者・保護者の参画義務付けを明記する。地域自立支援協議会は、障害福 祉計画の策定に実質的に関与することを法で規定する。都道府県自立支援協議会には、マイ ノリティ障害者の参画保障と、地域自立支援協議会や市町村への広域的・専門的な情報提供 と助言や市町村障害者福祉計画策定の支援機能が求められる。 *なお、第2回「地域生活の資源整備」作業チーム資料中(4)「介護保険優先」原則につ いての議題については、座長会議で検討されるので、その際に当チームの意見を参考にして いただくこととする。 (5.(3)地域活動支援センターの事業内容並びにいわゆる小規模作業所のうち、新体系 に移行できない作業所の問題点の検証を含み、どのように対処すべきと考えるか?) ・小規模作業所の利用者の利便性を考えると、自立支援法上の利用定員等は、都道府県が柔 軟に設定できるよう権限委譲すべきである。 ・小規模事業所については、新体系移行に伴う事務作業の増大や合併への支援が課題。 ・小規模事業所は、移行できにくい理由等について話し合いが必要である。 ・地域活動支援センターは、地域生活支援事業の必須事業と認識。地域活動支援センターの 基礎分は地方交付税によるため、地域間格差が大きい。 ・小規模作業所、地域活動支援センターのあり方について見直し、新たにデイアクティビテ ィーセンターを日中活動の場としてはどうか。 ・小規模作業所を市町村が作るには、同じ障害者が5人以上いないと作れない。しかし、盲 ろう者の数は少ない上に、市町村に散らばっているので、盲ろう者の作業所を作ろうとし ても作れない。 ・日中活動の場、地域活動支援センターや小規模作業所の役割を整理すべきである。 ・小規模作業所をなくした場合、訓練等給付や地域活動支援センターに移行する選択肢もあ る。 ・小規模作業所は、ニーズの谷間みたいな独自の役割があり、新法においてもニーズの谷間 として残しておくべきではないか。 ・小規模作業所については、今までのセーフティーネットとしての役割などを整理すべき。 ・都道府県の中には、市町村が地域活動支援センターをやっているから、作業所をやらなく ていいと受け止めているところもあるようだ。 ・地域活動支援センターの要件等については、都道府県もある程度絡む必要がある。 (6.(4)地域活動支援センターの利用者の利便性に鑑み、人口比ではなく面積に合わせ た整備が必要とする考え方についてどのように考えるか?また、財政的支援と要件緩和を含 めた小規模な地域活動支援センターを増やす必要性についてどのように考えるか?) ・地域活動支援センターの整備方針については、地域の実情により判断すべき事項と考える が、財政的支援と要件緩和により、小規模な地域活動支援センターも可能とすべき。 ・新体系に移行するための支援策、新しい福祉法への移行を行うのならば、経過措置・移行 支援策・移行後定着策などが必要。 ・利用定員については、地方自治体において柔軟に設定できるようにするべき。 ・生活の場の近くに利用者の活動の場が必要な場合、過疎地は非常に難しく、経営的に無理。 ・実態を把握し、人口比、面積等ではなく、様々なニーズに対応できる事業内容と人員配置 によって基準の選択肢を整理し、増やす必要がある。 ・作業所以上に地域格差の広がった地域活動支援センターについては、再度検討すべき。 ・地域活動支援センターは地域の特性に配慮する必要がある。 ・地域活動支援センターの財政的支援は150万円しかなく、地方交付税は500〜600 万円積まれていると国は説明しているが、自治体の担当者は苦労している。障害者等マイ ノリティーに関する分野では、地方交付税としていることは適当ではないのではないか。 ・地域活動支援センターの3型については、個別給付にするのではなく自治体の裁量とすべ き。 ・地域活動支援センターの財源は150万円で、地方交付税500〜600万円であるとす ると、1カ所当たりの3型の基準額はどういう配分になるのか。財政制約が出てくるので 地域間格差が生じることから、事業毎の配分を考える必要がある。 ・地域活動支援センターについては、ほかの委員の意見にあるように要件緩和を柔軟に設定 し、地域生活支援事業のように自治体の裁量に任せ、先駆的モデル事業については応援す るような整理としたい。 ・要するに小規模作業所の必要性の問題であり、これまで小規模作業所が担ってきた多様な 役割や活動実態をふまえて展開していけるような制度化が必要。 ・小規模作業所が果たしてきた多様な社会的使命をふまえて、地域活動支援センターに移行 できるようにすべきであり、センターを活かすためにも、利用定員を10名から5名にす るなど市町村に裁量を与えるべきである。 まとめ 現状の小規模作業所は、ニーズの谷間を埋める機能やセーフティーネット機能を果たしてき た。これらの機能は地域毎の特性もあり、個別給付化になじみにくいものもある。そのため、 小規模作業所の多様な実態をふまえて地域活動支援センターに発展的・安定的に集約し、設 置要件の緩和を行い一元化する方向としてはどうか。利用者定員やその内容については、都 道府県や市町村にその設置基準の裁量を持たせる等の工夫も必要。また、新体系移行や他の 日中活動との整理については、就労の合同作業チームの結論も踏まえ、総合的に判断すべき である。 以上