総合福祉部会 第14回 H23.5.31 資料1 部会作業チーム(選択と決定・相談支援プロセス(程度区分))議事要旨(4月) 1. 日時:平成23年4月26日(火)13:45〜17:00 2.場所:厚生労働省低層棟2階講堂 3.出席者       茨木座長、門屋副座長、北野副座長、朝比奈委員、小澤委員、三浦委員 4.議事要旨 座長より、これまでの経過と今後の進め方についての説明があった。 ・4月25日に、相談支援のあり方、協議調整の仕組みについて自治体のヒアリングを実施。  ・本日は、以下について行う。 [1] 小澤委員から「諸外国のニーズアセスメントの仕組み」について報告していただく。 [2] 厚労省からのデータを踏まえ、現状の程度区分による査定を評価する。 [3] 6月の報告書のたたき台の作成について、役割分担、日程を決める。 ○諸外国のニーズアセスメントの仕組みについての報告の主な内容は以下のとおり。 ・諸外国の支給決定プロセスは、2つの類型に分けることができる。 ・公平性を担保するために全国共通の指針(手帳、障害程度区分)によりサービスを受ける 第1類型(独、仏、日)と、ソーシャルワーク、チームアプローチ、全体を勘案してプ ランニングを行う第2類型(英、スウェーデン、西オーストラリア)がある。 ・日本の介護保険は、第1(公平性)と第2(ケアマネジメント)の型を統合したもの。 ・第2類型は、行政のソーシャルワーク機能の力量が高くないと難しい。 ・日本はどちらを目指すか。統合型を目指すか。 ○報告を受けて、メンバーの主な意見や議論は以下のとおり。 ・世界的には第1類型は少なく、第2類型が多い。 ・第1類型の国は全国で均一的。第2類型は地方の裁量権が強い。地域格差を日本ではどう 判断するか。 ・イギリスは相談と支給決定を同じ自治体の職員がオールマイティでやってきていたが、支 給決定は行政、相談やプラン作成は民間機関に変わりつつある。 ・スウェーデンは分権。LSSの介助ニーズが週20時間以内の場合はコミューンが、週20 時間以上の場合は国の査定員が審査して支給決定を行う。 ・日本では一定部分を国がみて、越える部分を治体がみており、スウェーデンとは逆。 ・スウェーデンではニーズが今までの水準を超えるケースは自治体間や国の間で情報共有を 行い、裁判の判例のようにデータを集積して、アセスメントツールとしている。 ・スウェーデンはコミューンの裁量権が大きく、地方税のみで運営しており、国のガイドラ インもない。日本は国が1/2負担なので、ガイドラインが必要だろう。 ・スウェーデンなどには、明確な文章化したアセスメントのマニュアルがない。 ・文章化したらソーシャルワークしなくなり、マニュアルに頼ってしまうのではないか。 ・イギリスは、週に300ポンドまでアセスメントワーカーに裁量権がある。 ・ドイツ・オランダは、当事者団体などのインフォーマルサービスが充実しているため、介 護保険は基礎的な介護を担当している。日本では、このような支援をいかに拡張するか が課題となる。 ・ピアサポートなどを実施する障害者関連団体にお金がいく仕組みが必要なのではないか。 ・自由な活動は、規制がない方がよい。 ・行政のソーシャルワークをどう位置づけるか。人材をどうするか。 ・合意形成型が増えており、行政主導は減ってきている。 ・支給決定の仕組みでは、財政問題が強く出る。国の経済動向に左右される。 ・現在、区分とサービス量がリンクしていない。今後の制度設計において検討が必要。 ・区分とソーシャルワーカーとの整合を図る場が必要。 ・サービスの緊急性の判断をどうするか。区分と何を評価して判断するのか。区分は固定さ れた状態での判断になっている。 ・スウェーデンは、障害のない人の地域生活との比較で支給決定をしている。 ・障害のない人に近づけるという方向で総合福祉法も基本法も議論している。 ・第1類型は、現状でやりやすい。ただし、区分の見直しが不可欠。区分5・6で重い人は サービスの必要性が高いという突き合わせ作業が必要。第2類型は、経験のあるワーカ ーが必要。現状では基盤が整っていない。 ・西宮市では専門職ではなく、チームで合意を形成して実施している。事業者と当事者、行 政がガイドラインを元に話し合い、ケースワーカー会議をやって決めている。 ・西宮市は持続可能なシステムを組み込み、チームとして質を維持。これには市の思い、カ ルチャー、地域の力が必要。 ・ケースワーカー会議が開けない規模の市町村がある。小さい自治体でもやれる方法を議論 する必要がある。 ・支給決定のポイントは、一定のラインを越えるサービスの必要性をどう判断するか。絞っ て議論した方がよい。 ・ある市では、ガイドラインを越えたものは全て審査会に投げている。もう少し判断をして もいいのではないかと思うが。 ・どういう人にどのように支給決定をしたのか、判例のようにカテゴリー化が近道。 ・西宮を含めた研究が必要。区分とのズレを精査して、どうしてずれるのかをやっていく作 業工程は分かりやすいが、時間の問題もある。 ・ガイドラインなどの具体的な内容は、試行事業をやりながら検討すべきと考える。ここで は新しい支給決定の仕組みの方向性を出す。 ・新法施行を1年、2年後にする方法もある。内容は高いものを出したい。 ・第2類型をベースにして、西宮などのやり方を普遍化したい。ソーシャルワーク、調査、 相談調整の手続きの場を通して持続的なものとしていく。区分の扱いは参考程度。 ・PSW協会の資料にあるとおり、現行プロセスは廃止し、相談の中からニーズをアセスメン トし支給決定する。自治体による先行事例を収集しガイドラインを作るべき。 ○厚労省が提出したデータをもとに現在の程度区分についての評価の議論は以下のとおり ・「障害別の区分の割合」、「区分に対する不服申立ての件数と内容」、「認定審査全般にかか る費用に関するデータ」については、厚労省からの提出はなかった。 ・区分は、1次と2次判定で大幅(知的で4割、精神で5割)に変わっている。統計的に妥 当な指標とは言えない。 ・都道府県別の障害程度区分の割合について、同じ指標を使っていても自治体によって大き な差があり、この指標をこのまま使い続けていくことには、課題がある。 ・信頼性を欠いたものだというのは立証済みである。 ・区分3を中心に分布するはずが、そうなっておらず人為的操作が入っている。 ・区分は、どういう支給量とするかを判断する仕組みになっていない。 ・一定の機能障害をどう量るのかの指標が必要。 ・区分認定にこれだけの時間と労力を使う必要があるのか。もっと、簡易でいいのでは。 ・介護保険はもっとバラツキが少ないのではないか。公平性もなく労苦が多い。 ・区分非該当者が多い自治体もある。住んでいる自治体によってかなり違うのではないか。 ・区分は、支給量の決定と連動しておらず、財源の根拠にもならない。 ・区分4でないと使えないサービスがある。程度区分でガチガチにする意味がない。 ・現状で客観的なものさしではないのだから、別のものさしを考えても良い。 ・これは6人の合意ということでよいか。(全員賛同) ・どういうものさしが必要かを打ち出しておく必要がある。 ・西宮市と大阪市は、介護保険と支援費の児童に係る簡単なものさしがあり、これに最重度 の項目をプラスアルファしてやっている。区分との整合表も作っている。 ・程度区分とは異なる指標、例えば介護保険の要介護度の上限額を障害で割り戻して、月々 にいくら使えるのか、時間数を決めている市もある。 ・大雑把に、区分に関係なく何時間という上限の時間数を持っている市もある。それを超え る場合には詳細な利用計画を立てて提出させるようにしている。 ・アセスメントの仕組みを考える際に、知的、精神、身体で共通項目とそれぞれの特有項目 に分けるのか、統一させるのか、ガイドラインのまとめ方が気になっている。 ・例えば軽度、中度、重度、最重度の4区分で大まかな水準を設け、一定のラインを越える 人は協議調整で検討するというのはどうか。 ・知的、精神は、見守りや待機などのニーズも捉えるべき。 ・一定の時間を超えるケースについては、審査請求やガイドラインへ反映するか。軽度の方 が、中度、重度の支給量を要望したときには、協議調整を行う。 ・多くの人が、協議調整を全ての方にやるというイメージに不安がある。国で統一したガイ ドラインがあれば安心するし、公平性を保てる。 ・将来的には相談支援専門員のソーシャルワークを高めることを目標にする。その前段では、 アセスメントやガイドラインが必要。 ・国のガイドラインにお金の問題がついてくると、市町村が自由にできなくなってしまう。 ・市町村が個々のケースに国庫負担基準との関係でどの程度支給しているかを調べる価値が ある。 ・市町村が自由に動ける仕組みを担保してもらわないといけない。自治体は、国のラインを 越える部分はやらない。 ・障害者への相談支援は重要。制度として位置づけることにより上げられる部分もある。地 域でも気兼ねなく一定のサービスを使える仕組みにすべき。 ・小規模な自治体では、自立支援協議会がどう動くかが重要。同じ人間が、複数の会議に出 ているような状態のところもあり、ほとんど意味がない場合もある。 ・行政も人員削減で余裕がない。支給決定に関してももう一歩シンプルにする必要がある。 ・自立支援協議会も含めて、全体として協議調整の中で動いていくことが描ければよい ・サービス事業者もやる気がなかったらやらない。そういう意味では自立支援協議会の「育 てる」という役割が大事。 ・利用者からの移動支援の通学や就労もOKにするという要望を投げかけた時に、事業者が ストップをかけることもある。サービスの抑制要因は行政だけではない。 ・支給決定システムについては、さらに議論が必要なので次回までにもう1度議論をする。 ○報告書の作成についてのスケジュール調整を行った。 ・厚労省は基幹相談支援センターの枠組みを6月には示すと言っていたが、もう少し事前に 我々に教えてもらうことは可能か。 ・我々に事前に教えてもらわないと困る。現場が困らないようにしてほしい。 ・基幹相談支援センターについて、厚労省に作業チームとして説明を求めることとする。 ・報告書素案の各々の役割分担部分について、後日連絡する。 ・5月17日、5月30日に、内容について意見調整をする。 以上