総合福祉部会 第11回 H23.1.25 資料20 第3回 就労合同作業チーム 議事要旨(12月) 1.日時:平成22年12月7日(火)14:05〜17:00 2.場所:厚生労働省低層棟2階講堂 3.出席者    松井座長、駒村副座長、伊東委員、勝又委員、倉田委員(代理)、近藤委員、    斎藤委員、新谷委員、竹下委員、増田委員 4.議事要旨 (1)就労合同作業チームによる「障害者基本法に盛り込むべき事項(案)」について ・福祉的就労のうち、最賃の3分の1以上支払われている者(20万人のうち2割程度)に 対し賃金補填を行い、社会支援雇用により労働法規を適用する。それ以外は労働法の適用 外となるが、その中で働きたいと願う者のための作業を中心とする場について記述すべき。 ・盛り込むなら、労働及び雇用よりは地域生活の項目ではないか。合理的配慮の部分では、 労働能力の向上よりは、まずは労働への参加や対等な位置づけを保障することが重要。 ・労働への参加や対等な位置づけの保障を前提とした上で、能力の向上を書いている。 ・合理的配慮と、能力向上のための必要な支援が同列に記載されているが別ではないか。 ・出発点は福祉的就労を廃止し、重度障害者にも労働者性を認めるということだった。一 般的な労働者性を崩さずに、障害者に働く権利を確立しようと議論している。労働者性が なく社会参加として働く場合、どのような権利を保護するのか等の議論をする必要あり。 ・福祉的就労を廃止して、すべての障害者に労働者性があるとするのは無理がある。福祉 の分野で積み上げてきた「働く誇り」を大事にするという考え方を反映できないか。労働 者性が確保できなくても、労災やそれに代わる保護が必要。 ・議論の出発点は障害者の労働の権利をどう認めるかということ。福祉的就労は見直すべ きで、現状の施設体系を前提にはできない。賃金補填は第2次意見に記述すべきだ。 ・賃金補填は、「政府に求める意見」の部分でも記述すべき。 ・「多様な就業の場」に社会支援雇用を入れた上で、福祉的就労のうち労働者性を担保でき ない人をどうするか。地域生活の項目では働くことから離れてしまう。 ・福祉的就労は曖昧なので大転換する必要がある。生きがい支援が必要な者と一般雇用支 援の必要な者の線引き、どこまでが福祉でどこからが労働雇用施策かをきちんと分けるべ き。一般就労でも継続的な支援が必要。技術開発があればその都度訓練が必要だが、訓練 プログラムが間に合ってない。訓練などの継続的で丁寧な支援が必要だ。 ・総合福祉法に就労がどう位置づくのか不透明だ。福祉的就労を見直す点は一致している が、その先が問題だ。社会支援雇用、賃金補填など新たな概念を基本法に規定できるのか。 ・一般労働市場にどれだけたくさんの障害者が入るかが大事だ。福祉的就労における労働 者性の適用も内容により細分化して議論すべき。障害者の一般雇用は単純作業のみで、職 場における訓練や合理的配慮は無視されている。そのような意味で労働の質について意見 を出した。 ・労働・雇用で福祉的就労の記載がないが、これではなくなってもよいと受け取られる。 ・第2次意見書の項目には、自立支援法の日中活動サービスに相当するものがない。「社会 参加サービス」という項目立てが必要。 ・生きがいや訓練のような福祉の領域の人に労働法規を適用することで、かえって不利に なることはないのか。それは福祉サービスで手厚い支援をすべき。 ・福祉的就労の中で労働法規を適用できない人のための働く場が別に必要だ。 (松井座長より)・福祉の領域に残る人について社会参加などの新たな項目を設けるべき、 賃金補填を明記すべきなどの意見を推進会議で報告する。 ・労働法規の適用でなく、労働の質が問題である。福祉的就労についてはどこかで書くべ き。 (金調査官より)・労働者性のない者についても、福祉施策と労働施策の一体的展開により、 生活を維持するための所得を保障するという趣旨の中に考え方は入っている。担当室は、 福祉的就労の問題について、労働・雇用に含めて議論するものと考えている。社会支援雇 用や賃金補填を基本法にて書けないなら、どう記述すべきか。 ・現行基本法に設備の整備に要する費用への助成とあり、そこに「賃金」と入れればよい。 (松井座長より)・多様な就業の場の提供の部分で社会支援雇用を入れること、日中活動や 社会参加は項目を設けるよう意見があったことを踏まえ、事務局と検討する。 (2)論点1関係(議論のポイントと労働基準局提出資料について) (厚生労働省労働基準局より)・減額特例制度の創設経緯、目的及び運用の概要を冒頭に説 明した上で、提出資料(平成21年の減額特例件数(精神、知的及び身体障害別)について 説明。 ・減額される割合ごとに、対象者がどのような分布になっているか。また、5割減額とい うケースが実際にあるのか知りたい。B型でも工賃として最賃の50%以上をもらう者もお り、50%まで減額特例が認められるならそのレベルは労働とみなし得るのではないか。 ・特例の対象者は何故急増したか。A型では許可申請が書類審査と聞いているがどうか。 ・福祉的就労にいる者も減額特例の対象とカウントされているか。監督官が実態把握する 際の基準はあるか。最賃のどの割合まで減額が認められるか。 (厚生労働省労働基準局より)・監督官が実態把握する際の基準は大きく4つ。職務の内容、 職務の成果、労働能力、職務経験を踏まえ決定する。割合の分布は把握していない。障害 の場合の特例は、試用の場合(減額率が20%)と違い、実情を踏まえて判断する仕組みと なっているため、仕組み上は何割でもあり得る。その他の事項の回答の可否は事務局と調 整する。 ・減額特例をした場合、年金と併せて所得保障のあり方をどう考えるか議論する必要あり。 ・そもそも、最賃は最低生活保障ではない。最賃制度は所得保障と関係がない。 (3)論点1−[1](賃金補填の妥当な水準について) ・社会支援雇用は欧州並みに最賃の3分の1以上支払われている者を対象と考えている。3 分の1以上から最賃額までの不足分を賃金補填し、年金があがれば調整する。 ・特定求職者雇用開発助成金がかつて支払賃金の4分の3だった。箕面市の社会的事業所 では上限を設けつつ支払賃金の4分の3としている。 ・ダイレクトペイメントとは「現物給付ではなく、現金給付を受けて同様のサービスを買 う場合」を意味するので、ここでの使い方は誤っている。給付とするか賃金とするかでは、 他の制度との関係で整理する問題が異なる。労働コストと捉えれば、税・保険料の問題が 出てくる等。ダイレクトペイメントでサービスを購入する場合は、消費税がかかることも あり得る。 ・労働実態の有無や財源を抜きにして、賃金水準の議論はできない。一般就労と福祉的就 労を分けて議論する必要がある。8万円の収入に10万円まで賃金補填するのはよいかもし れないが、1万円の収入に10万円まで補填する場合、共感を得られるだろうか。箕面市は、 障害者の賃金確保が政策の軸だからできる。国は、作業所の職員の人件費を支払うことで サービスを提供することに政策の軸がある。 ・労働者性を持つ者とそうではない者が混在する中で、指揮命令を受け働く者が訓練とい う名目でサービスを受けている。それを労働として位置づけるべき。賃金補填は何割が適 切な水準かは難しい。能力を発揮するための支援を行い、それでも足りない部分を賃金補 填する。 ・賃金補填をすると、事業主による職場改善、訓練、合理的配慮のインセンティブがなく なるのではないか。また、生産性が異なるのに、給料は同じという現象が同一職場で成立 するのか。職場外の現金給付なら分かるが、職場内では規律やモラルが低下するのではな いか。 ・合理的配慮について、箕面市では補助金の交付要件に、職域拡大や職場での人的配慮を 課している。また、障害者同士や、障害者とそれ以外の職員との間の不公平感は必ず出る 問題で、それを含めて実施できるか議論すべき。箕面市では本人の稼ぎが増えれば、賃金 補填の額は減っても賃金補填後の合計額が増加する仕組みにしている。 ・賃金補填を基本法に盛り込むのは困難と思う。財源の問題ではなく、考え方としてどの ような方式とするか議論していない。推進会議では、賃金補填をどう考えているか。 ・旧労働省と旧厚生省の乖離の問題により、雇用施策と福祉施策に溝ができている。雇用 施策と福祉施策のシームレスな支援を考えていく際に、賃金補填という考え方が出てくる はず。 ・賃金補填が制度化されると、企業で一度離職した者が一般就労へ戻ろうとせず、また一 般就労への移行が進まないというモラルハザードが起きる。 ・20万人全てに賃金補填は困難で、労働者性を有する者のみが対象だろう。サムハルのよ うに一定数の一般就労を条件とするなどモラルハザードが起きない仕組みを検討すべき。 ・賃金補填をすると、補助金に頼っている事業所が現実に生じることは否めない。B型事 業にすべて労働法規を適するというのも無理なので、選択制にしてやるのが良い。 ・2次意見にどこまでチームの意見として細部まで記載できるか。キーワードとして賃金 補填を入れ、検証・整理していく必要がある。賃金補填については、事業所に誤ったイン センティブを与えていないか、障害者間や障害者とその他の職員との間の公平性の問題、 一般就労への移行の問題、他の所得保障との問題などを検証すべきだ。 (4)論点1−[2](賃金補填の対象は、一定以上の生産性のある者に限定すべきかどうか、 労働として実態のある者とはどのような者か、について) ・労働能力は、障害の有無、程度の差異ではなく、職場環境や職務内容に影響される。重 度障害者に対しても職域開拓をして労働として仕事をやってもらうことは可能。賃金補填 の対象となる事業所は、一般の事業所に対しても合理的配慮のモデルを提示するものとし たい。 ・特例子会社なら最賃以上もらっている者もいるが、その人が零細な企業では最賃以下と なる。あくまで事業主がその事業によって支払うのが賃金。その人の置かれる環境によっ て異なる。それを踏まえた賃金補填であるべき。 (5)論点1−[4](減額特例は廃止すべきかについて) ・減額特例を廃止するなら賃金補填の創設とセット。そうしないと雇用できない企業が生 じる。 ・監督署が労働者性ありと認め、減額特例が許可された者に、賃金補填するのはどうか。 重度障害者は、工賃に年金を加えた形で収入を考えるべき。 ・減額特例は障害者の権利のための制度でなく、事業所の申請、評価によるものなので、 制度としてどうか。実態を踏まえ、本人が納得できるものか検証する必要がある。事業所 や施設が労働の実態を判断するとモラルハザードとなる。労働能力の評価は、障害差のニ ーズに沿った形で、第三者がやるべき。 (6)その他 (松井座長より)・ 3月に意見書の素案を議論、4月にとりまとめ。追加で開催するか、5 月以降はどうするかは事務局と相談。 ・箕面市の賃金補填の状況についての資料を提出してほしい。 ・社会的雇用、斉藤委員の社会的事業所、箕面市の社会的事業所の違いを提示してほしい。 賃金補填は欧州も議論の末、導入した。欧州の関係者からヒアリングはできないか。 ・日中活動の議論は、1月にまとまる。その後2月にこちらで議論して、意見が言えるの か。 ・座長間で調整していただく。4月にまとめる段階で各座長が議論を調整する。