(表紙−ほじょ犬マーク) ほじょ犬 医療機関向け もっと知ってブック 厚生労働省 (表1ページ) ほじょ犬の受け入れにご理解を!     ほじょ犬(盲導犬・介助犬・聴導犬)は、「身体障害者補助犬法」に基づいて認定されており、障害のある方とともに社会参加することが認められています。   ほじょ犬の同伴は、人が立ち入ることのできるさまざまな場所で受け入れるよう義務づけられており、病院・診療所・クリニックなどのすべての医療機関も例外ではありません。   ほじょ犬は、障害のある方のパートナーであり、ペットではありません。「犬だから」という理由で受け入れを拒否しないでください。 医療機関にも受け入れ義務があります!   【イラスト:ユーザーが盲導犬とともに病院へ向かっている様子】 (表2ページ) 衛生面や行動の管理も万全です ほじょ犬の衛生管理と健康管理はユーザーの義務です。 特別な訓練を受けているので、社会のマナーも守り、迷惑をかけることはありません。   ●ほじょ犬は、ユーザーが指示した時に、指示した場所でしか排泄しないように、訓練されています。 ●ユーザーは、ブラッシングやシャンプーなどで、ほじょ犬の体を清潔に保ち、予防接種や検診を受けさせるよう努めています。 ●ほじょ犬には表示をつけることが義務づけられているので、ペットと違うことが一目でわかります。ユーザーも、認定証(使用者証)とほじょ犬の健康管理手帳を携帯しています。 【イラスト1:ユーザーが介助犬をブラッシングしている様子  イラスト2:聴導犬の認定証の表示例】 (表3ページ) 院内での受け入れについて   病院内での受け入れ範囲は、病院の構造、他の来院患者の病態や特性などによって画一的に決められるものではないと思われますが、原則として、他の患者や利用者と同様に、待合室、検査室、診察室、病室などに受け入れることを前提として考えてください。 また、受け入れられない区域を設ける場合は、ほじょ犬ユーザーが分かるよう、ていねいに説明してください。 【イラスト1:ユーザーが介助犬ととともにいる病院の待合室において補助犬が同伴できることが掲示されている様子  イラスト2:診察室でユーザーが診察を受けているところで盲導犬が待機している様子】 障害者差別解消法*が施行されます。 平成28年4月から「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」が施行されます。 ◎「不当な差別的取扱いの禁止」とは 障害があるということだけで、正当な理由なく、サービスの提供を拒否したり、制限したり、条件を付けたりするような行為は禁止されます。 ◎「合理的配慮」とは 障害のある方などから何らかの配慮を求める意思の表明があった場合には、負担になりすぎない範囲で、社会的障壁を取り除くために必要で合理的な配慮。 上記の具体的な内容については、今後、基本方針や対応要領、対応指針で示していきます。 *「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号)」 http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/wakugumi.html#sabetsukaisyo (裏面1ページ) 受け入れ体制づくりのヒント ●受け入れ体制を徹底するために、研修などを実施して全ての職員に周知してください。 ●ホームページや病院案内、掲示板などで情報を公開することで、ユーザーは受診などに向けて事前に確認することができます。 ●施設出入口にほじょ犬のステッカーや掲示板などに啓発ポスターを掲示するなど、日頃より病院の方針を表明することにより、他の来院者の補助犬に対する理解を得られます。 【イラスト1:告知ポスターイメージ  イラスト2:産科病室で聴導犬がユーザーに赤ちゃんの泣き声を教えている様子】 受け入れのポイントをまとめました! 『身体障害者補助犬ユーザーの受け入れを円滑にするために 〜医療機関に考慮していただきたいこと〜』 http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/syakai/hojyoken/html/a08.html 厚生労働省ホームページ>「政策について」>「障害者福祉」>「施策情報」>「身体障害者補助犬」>「いろんな場所で会おうね。ほじょ犬」>「身体障害者補助犬法―ほじょ犬」 (裏面2ページ) ほじょ犬&ユーザーへの対応 【イラスト:病院の入り口で、盲導犬とユーザー、介助犬とユーザー、聴導犬とユーザーがそれぞれ入ろうとしており、病院のスタッフが迎えている様子】 ●ほじょ犬は、ユーザーの指示に従い待機することができるので、特別な設備は必要ありません。 ●仕事中のほじょ犬には、話しかけたり、じっと見つめたり、勝手に触ったりして気をひく行動をしないようにしましょう。 ●ほじょ犬が通路をふさいだり、周りのにおいを嗅ぎ回るなど、何か困った行動をしている場合は、そのことをほじょ犬ユーザーにはっきり伝えてください。 ●ほじょ犬を同伴していても、ユーザーへの援助が必要な場合があります。ほじょ犬ユーザーが困っている様子を見かけたら、声をかけたり、筆談をしてコミュニケーションをとってください。 ●ほじょ犬の同伴について、他の患者から苦情があった場合は、「身体障害者補助犬法」で受け入れ義務があること、ほじょ犬の行動や健康の管理はユーザーが責任をもって行っていることを説明し、理解を求めてください。     (裏面3ページ) 事例 こうして受け入れています【1】横浜市立大学附属市民総合医療センター   以前、通院中だった肢体不自由者の患者さんが介助犬を利用されることになりました。 それにあたって、「身体障害者補助犬法」に関する情報機関に相談しながら、『院内受入れマニュアル』を作成。 さらに、講師(医師)によるスタッフ向けセミナーを開催しました。   受け入れ準備のポイントは、・院内スタッフへの周知徹底とマニュアル作成 ・同伴可能区域と同伴不可区域(レントゲン室・ICUなど)をはっきりさせておくこと ・何か問題があった際の対応窓口を明確に周知徹底することです。   当センターでは、介助犬同伴で使用した場所は、待合室・内科診察室・リハビリテーション室・食堂・売店・入院個室・入院病棟面談室などです。 介助犬同伴通院の大きなトラブルはありません。 【写真1:外来室のモニターに、補助犬の受け入れをしていることを告知する様子  写真2:ユーザーが診察室に介助犬とともに入室する様子  写真3:ユーザーが診察を受けている足元で介助犬が待機しているようす】 診察風景撮影協力:横浜市立大学附属病院 (裏面4ページ) 事例 こうして受け入れています【2】 木更津クリニック(透析医療機関)   かねてから通院中だった患者さんから「盲導犬取得をしたいので、同伴での通院許可のお願い」がありました。 まずは訓練事業者から資料を取り寄せ、訓練士との面談を経て、通院同伴上の問題は無いと判断し、盲導犬取得のタイミングを組み込んだ治療スケジュールを作成しました。 事前にスタッフと他の患者さんにも説明し、アレルギーがある方や犬嫌いの方は申し出てもらうようにしました。 他の患者さんへの配慮として一番奥のベッドを指定しましたが、それは犬が落ち着ける環境にもなったようです。 気をつけたことは動線の清掃の徹底でしたが、特に汚れがひどくなることもなく、受け入れてみれば心配していたことはまったく問題になりませんでした。 現在は2代目の盲導犬を同伴されていますが、1代目同様、院内のアイドル的存在になっています。 【写真1:透析室でユーザーが透析をしている間にベッドの横で盲導犬が待機している様子  写真2:透析室をユーザーが盲導犬を連れて歩いている様子】 *写真はすべて、ご本人の了解を得て掲載しています。