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熱中症の予防対策におけるWBGTの活用について

紹介先:厚生労働省 労働基準局 安全衛生部 労働衛生課 物理班
TEL 03−5253−1111 内線(5496)

基安発第0729001号
平成17年7月29日

都道府県労働局長 殿

厚生労働省労働基準局
安全衛生部長
( 公印省略 )


熱中症の予防対策におけるWBGTの活用について


 熱中症の予防対策については、平成8年5月21日付け基発第329号「熱中症の予防について」(以下「8年通達」という。)により、関係業界及び関係事業場に対しその具体的手法の周知等を図ってきたところであるが、依然として、熱中症による死亡者数が毎年20人前後で推移しており、なお一層充実した熱中症の予防対策を進めることが望まれるところである。
 このような状況を踏まえ、WBGT(湿球黒球温度)の活用を含めた熱中症の予防対策について、中央労働災害防止協会に調査研究を委託し、「熱中症の発生防止に係る調査研究報告書」が取りまとめられたところであるが、これによると、WBGTは暑熱環境のリスクを評価する指標として有効な手段であり、WBGTの値が日本工業規格Z8504(人間工学−WBGT(湿球黒球温度)指数に基づく作業者の熱ストレスの評価−暑熱環境)附属書A「WBGT熱ストレス指数の基準値表」に示される基準値(以下「WBGT基準値」という。)を超えた場合には、熱中症が発生するリスクが高まったと考えることができるため高温の暑熱環境下でのリスク低減措置の強化等の措置を徹底することが重要であるとしている。
 このことから、一層充実した熱中症の予防対策を進めるためには、各事業者がその事業場の実情に応じて、暑熱環境のリスクを評価する指標としてWBGTを活用し、これを基に8年通達に示されている熱中症の予防対策をより徹底して実施することが望まれるところである。
 ついては、別紙「熱中症の予防対策にWBGTを活用する場合の留意事項等について」をとりまとめたので、関係事業場に対して周知を図るとともに、8年通達に示されている熱中症の予防対策の適切な実施について、指導を徹底されたい。



(別紙)

熱中症の予防対策にWBGTを活用する場合の留意事項等について

 WBGTについて
 WBGT(Wet-Bulb Globe Temperature:湿球黒球温度(単位:℃))は、労働環境において作業者が受ける暑熱環境による熱ストレスの評価を行う簡便な指標である。暑熱環境を評価する場合には、気温に加え、湿度、風速、輻射(放射)熱を考慮して総合的に評価する必要があり、WBGTはこれらの基本的温熱諸要素を総合したものとなっている(WBGTの値の測定方法等については、別添1のとおり。)。

 WBGTの活用について
 WBGTの活用に当たっては、次の3に示す事項に留意するとともに、測定したWBGTの値が作業内容に応じて設定されたWBGT基準値(日本工業規格Z8504(人間工学−WBGT(湿球黒球温度)指数に基づく作業者の熱ストレスの評価−暑熱環境)附属書A「WBGT熱ストレス指数の基準値表」に示される基準値をいう。以下同じ。)(別添2)を超える場合には、熱中症が発生するリスクが高まると考えられるため、平成8年5月21日付け基発第329号「熱中症の予防について」に示されている熱中症の予防対策をより徹底して実施することが望まれる。
 また、別添2の表に基づき、労働者が作業をする前の週における毎日の熱へのばく露の有無により、労働者の熱への順化の有無を判断した上で、その行う作業内容に応じて設定されたWBGT基準値を測定したWBGTの値が超えるかどうかを判断すること。

 WBGTを活用する場合の留意事項
 熱中症の防止のためには、個々の作業場所に適した方法で、労働者の年齢、健康状態等を考慮し、適切に作業環境等の管理を行う必要があり、次の(1)から(4)までの事項に留意しつつ、WBGTを活用することが適当である。
(1) 中高年齢労働者への配慮
 WBGT基準値は、成年男性を基準に設定されていることから、労働者の年齢に合わせた作業強度を設定するなど、中高年齢労働者に配慮した対策が必要である。
 なお、中高年齢労働者は、加齢に伴い、脱水していても口渇き感が少ないことがあることから、進んで水分を摂取する必要があることにも併せて留意すること。
(2) 労働者の健康状態への配慮
 WBGT基準値は、健康な状態を基準に設定されていることから、個々の労働者の健康状態を把握し、健康状態に合わせて作業強度を設定するなど、労働者の健康状態に配慮した対策が必要であること。
(3) 暑熱環境に対する順化への配慮
 梅雨から夏季になる時期において急に暑くなった場合など、気温の急な上昇による暑熱環境下での作業を行う場合には、労働者が暑熱環境に順化していないため、作業時間を徐々に増加させることが必要であること。また、長期間暑熱環境から離れ、その後再び、暑熱環境下での作業を行う場合も同様であること。
(4) 作業を管理する者及び関係労働者へのWBGTの周知
 作業を管理する者及び関係労働者に対し、作業場所のWBGTの値が作業内容に応じて設定されたWBGT基準値を超えた場合には、熱中症が発生するリスクが高まること及び熱中症の予防措置を徹底することが特に重要であることの周知を図ることが必要であること。




(別添1)

WBGTの値の測定方法等について

 WBGTの値
 WBGTの値は、自然湿球温度と黒球温度を測定し、また、屋外で太陽照射のある場合は乾球温度を測定し、それぞれの測定値を基に次式により計算したものである。
(1)屋内及び屋外で太陽照射のない場合
WBGT=0.7×自然湿球温度+0.3×黒球温度
(2)屋外で太陽照射のある場合
WBGT=0.7×自然湿球温度+0.2×黒球温度+0.1×乾球温度
自然湿球温度 強制通風することなく、輻射(放射)熱を防ぐための球部の囲いをしない環境に置かれた濡れガーゼで覆った温度計が示す値
黒球温度 次の特性を持つ中空黒球の中心に位置する温度計の示す温度
(1)直径が150mmであること(2)平均放射率が0.95(つや消し黒色球)であること(3)厚さが出来るだけ薄いこと
乾球温度 周囲の通風を妨げない状態で、輻射(放射)熱による影響を受けないように球部を囲って測定された乾球温度計が示す値

 作業場所でのWBGTの値の測定方法
 WBGTの値の測定を行うためには、状況に応じて、自然湿球温度計、黒球温度計又は乾球温度計を使用し、それぞれの測定値を基に1の(1)又は(2)の式により計算する。なお、作業場所で測定するためのWBGTの値を求める計算を自動的に行う機能を有した携帯用の簡易なWBGT測定機器も市販されている。
 作業場所において、WBGTの値の測定を行う場合に注意すべき事項は、次のとおりである。
(1) 屋内では、熱源ごとに熱源に最も近い位置で測定すること。また、測定位置は、床上0.5m〜1.5mとすること。
(2) 屋外では、乾球に直接日光が当たらないように温度計を日陰に置き測定すること。
(3) 自然湿球温度計は強制通風することなく、自然気流中での温度を測定すること。
(4) 黒球温度は安定するまでに時間がかかるので、15分以上は放置した後に温度を測定すること。
(5) 少なくとも事前にWBGTの値がWBGT基準値を超えることが予想されるときは、WBGTの値を作業中に測定すること。

 WBGT予報値などの利用
 WBGT予報値、熱中症予報などがインターネットなどにおいて提供されているので、熱中症の予防対策を事前に準備するために、これを利用することができる。




(別添2)

WBGT熱ストレス指数の基準値表(各条件に対応した基準値)

区分
WBGT基準値
熱に順化している人 ℃ 熱に順化していない人 ℃


安静
安静 33 32


低代謝率
楽な座位;軽い手作業(書く、タイピング、描く、縫う、簿記);手及び腕の作業(小さいペンチツール、点検、組立てや軽い材料の区分け);腕と脚の作業(普通の状態での乗り物の運転、足のスイッチやペダルの操作)。
立体;ドリル(小さい部分);フライス盤(小さい部分);コイル巻き;小さい電気子巻き;小さい力の道具の機械;ちょっとした歩き(速さ3.5km/h)
30 29


中程度代謝率
継続した頭と腕の作業(くぎ打ち、盛土);腕と脚の作業(トラックのオフロード操縦、トラクター及び建設車両);腕と胴体の作業(空気ハンマーの作業、トラクター組立て、しっくい塗り、中くらいの重さの材料を断続的に持つ作業、草むしり、草堀り、果物や野菜を摘む);軽量な荷車や手押し車を押したり引いたりする;3.5〜5.5km/hの速さで歩く;追突 28 26


高代謝率
強度の腕と胴体の作業;重い材料を運ぶ;シャベルを使う;大ハンマー作業;のこぎりをひく;硬い木にかんなをかけたりのみで彫る;草刈り;掘る;5.5〜7km/hの速さで歩く。重い荷物の荷車や手押し車を押したり引いたりする;鋳物を削る;コンクリートブロックを積む。 気流を
感じな
いとき

25
気流を
感じる
とき

26
気流を
感じな
いとき

22
気流を
感じる
とき

23


極高代謝率
最大速度の速さでとても激しい活動;おのを振るう;激しくシャベルを使ったり掘ったりする;階段を登る、走る、7km/hより速く歩く。 23 25 18 20

注1 日本工業規格Z 8504(人間工学―WBGT(湿球黒球温度)指数に基づく作業者の熱ストレスの評価―暑熱環境)附属書A「WBGT熱ストレス指数の基準値表」を基に、同表に示す代謝率レベルを具体的な例に置き換えて作成した。
注2 熱に順化していない人とは、「作業する前の週に毎日熱にばく露されていなかった人」をいう。

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