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V.公募研究事業の概要等

V.公募研究事業の概要等

<補助金のうち本公募要項において公募を行う研究類型について>

厚生科学審議会科学技術部会に設置した「今後の中長期的な厚生労働科学研究の在り方に関する専門委員会」の中間報告書(https://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/04/s0421-4.html)に基づき、平成18年度から本補助金を5つの研究類型に整理しました。

本公募要項では、「指定型」、「戦略型」及び「プロジェクト提案型」を除いた次の2類型について募集を行います。

1.一般公募型

一般公募による競争的枠組み。

2.若手育成型

将来の厚生労働科学研究を担う研究者の育成を推進するための枠組み。

・  応募資格に制限(ただし、年齢制限のある事業においても、産前・産後休業又は育児休業を取得した者については、その日数を応募資格の制限日に加算することができるものとします。研究計画書に休暇を取得したことを所属機関の長が証明した書類(様式自由)を添付してください。)

・  研究評価結果のフィードバック等、教育的配慮を重点的に実施し、研究者のレベルアップに寄与。

・  優れた研究者の育成が特に必要とされている研究分野において重点的に設定。

<各研究事業の概要及び新規課題採択方針等>

1.行政政策研究事業
(1)政策科学総合研究事業

ア.政策科学推進研究事業

<事業概要>

社会保障制度に対する国民の関心は高く、専門的・実務的な観点からの理論的・実証的研究を踏まえた効果的・効率的な施策の推進が求められている。

本研究事業においては、人文・社会科学系を中心とした人口・少子化問題、年金・医療・介護等、社会保障全般及び個々の分野に関する研究等に積極的に取り組み、社会保障に係る基礎データの提供等、厚生労働行政施策の企画立案及び推進に資することを目的とし、[1]社会・経済構造の変化と社会保障に関する研究[2]世帯・個人の経済・生活状況と社会保障に関する研究、[3]社会保障分野における厚生労働行政施策の効果的な推進等に関する研究について、一般公募を行うとともに、若手研究者の参入を促進するため、「若手育成型」の研究を  公募する。

<新規課題採択方針>

平成21年度の新規研究は、厚生労働行政に関する諸課題について、社会・経済構造等の変化、各々の制度を支える財政状況、対象となる者の真のニーズ等を踏まえた上で、厚生労働政策の設計とその推進に資する調査研究を重点的に採択することとする。

なお、諸外国との国際比較を行う場合には、単なる事実関係の確認に留まらず、それぞれの国の社会経済状況・歴史・文化等を踏まえて調査研究を行うこと。

研究費の規模 : 1課題当たり2,000千円〜8,000千円程度(1年当たりの研究費)

研究期間 : 1〜3年

※喫緊の行政課題に関する研究については可能な限り短期間であることが望ましい。

新規採択予定課題数 : 8課題程度、うち「若手育成型」については1課題程度

※以下に示す公募研究課題については、事前評価の結果により採択を行わない、又は複数の課題を選択することがある。

若手育成型の応募対象

平成21年4月1日現在で満39歳以下の者(昭和44年4月2日以降に生まれた者)

※新規採択時にのみ本条件を適用する。

※満年齢の算定は誕生日の前日に1歳加算する方法とする。

※産前・産後休業及び育児休業を取った者は、その日数を応募資格の制限日に加算することができる。

<研究計画書記入の留意点>

[1] 具体的にどのような施策の立案、政策提言に役立つかを明確に記述すること。

[2] 当該研究分野における先行業績を丁寧に整理し、その進捗状況及び研究班ならではの独自性、先駆性を具体的に記述すること。

[3] 中間評価及び事後評価においては、研究計画の達成度を厳格に評価する。その達成度(未達成の場合にはその理由、計画の練り直し案)如何によっては、研究の継続が不可となる場合もあり得ることに留意すること。

<公募研究課題>

【一般公募型】

[1] 社会・経済構造の変化と社会保障に関する研究

人口、地域・家庭等の社会構造や、企業活動・経済情勢等の経済構造の変化は、近年、めまぐるしいものがあり、それらへの対応は喫緊の課題となっている。特に、少子化対策については、近年の出生率低下を受け、政府をあげて取り組んでいるところであり、平成21年度新規採択に当たっての重点事項を以下に列挙する。

(ア)人口構造の変化と社会保障制度の相互関係に関する研究   (21010101)

(留意点)

出生率の低下・寿命伸長等の人口動態変動が将来人口の規模・構造並びに社会保障制度に与える影響、また一方で、社会保障制度がこうした人口構造の変化・その原因に与える影響等に関する研究。

(イ)社会保障が我が国の経済へ与える影響に関する研究      (21010201)

(留意点)

社会保障と経済の相互関係(社会保障が経済全体へ与える影響、経済が社会保障に与える影響)について検証し、経済社会における社会保障の機能とあり方を分析する研究。特に社会保障が消費、雇用創出、関連産業の振興などへ与える影響等の観点からの分析を行い、総務省の発表する産業連関表の結果も踏まえた 総合的な研究。

(ウ)次世代育成支援の効果的展開に関する研究              (21010301)

(留意点)

次世代育成支援施策の充実のために、保育や子育て支援事業の量的・質的拡充に有効な方策に関する実証分析、従事する職員に求められる職務分析や職員の資質が子供の発達に及ぼす影響に関する実証分析を行う。

(エ)福祉・介護サービスの質の向上に関する研究(アウトカム指標の開発・活用)        (21010401)

(留意点)

介護福祉士や社会福祉士等が提供するサービスの質を評価するためのアウトカム指標の開発など、福祉・介護分野に従事する専門職の技能やサービスの提供方法等に係る評価の在り方に関する研究。

[2] 世帯・個人の経済・生活状況と社会保障に関する研究

所得・資産格差の拡大をめぐる議論を受け、成長力底上げ戦略では、働く人全体の所得や生活水準を引き上げつつ、格差の固定化を防止することとしているところであるが、社会・経済の持続的成長や社会における公正の確保等の観点から、適正な社会保障制度の在り方の検討に資する研究を求めるものである。平成21年度新規採択に当たっての重点事項を以下に列挙する。

(ア)社会保障制度における低所得者の取扱いに関する研究    (21010501)

(留意点)

医療、介護、年金、生活保護等の社会保障制度における低所得者の定義、対応のあり方や給付と負担の状況、就労能力を持つ低所得者に対する就労支援策、生活保護と最低賃金の代替関係等に関する国際比較を含む諸研究。

(イ)DV対策など、女性支援施策の効果的展開に関する調査研究               (21010601)

(留意点)

DV対策については、平成19年7月の第二次法改正を踏まえて、関係機関の効果的な連携を構築すること、外国人被害者にも日本人と同等の支援を提供すること等、法制度的な枠組みの中身を充実させていくことが課題である。

本調査では、現状調査に基づいてケース分類毎のモデル的支援策を検証し、暴力被害女性への支援体制を確立することを目的とする。

連携を検討する際には、都道府県と市町村・民間団体の連携という側面と、DV対策と児童虐待対策・高齢者虐待対策の連携という側面の、両方の検討を行うこと。また、外国人への支援を検討する際には、DVだけではなく、日本国内で暴力被害を受けた外国人女性という共通点を持つ人身取引の被害者をも検討対象に加えること。

(ウ)地域福祉に関する研究、及び社会保障とソーシャル・インクルージョン(貧困者、失業者、ホームレスなど社会的排除の対象となりやすい人々の社会的参入)との関係に関する研究                    (21010701)

(留意点)

多様化する地域福祉ニーズに対応していくため、サービス供給のあり方や支援策、共同募金など地域福祉の推進力となる地域の支え合い活動の在り方及び地域福祉に関する取組の評価に関する研究。

ソーシャル・インクルージョンの考え方に基づき、行政主体者や地域が対応すべき者(貧困者、失業者、ホームレス、精神障害者、社会的不適応者等)への支援(起業支援を含む)の在り方に関する研究。

[3]社会保障分野における厚生労働行政施策の効果的な推進等に関する調査研究

少子高齢化の進展など我が国の社会経済構造が変化する中で、社会保障分野においては、これまで年金、介護保険、医療保険制度の抜本的改革が行われてきたところである。

また、近年、医療については、医師不足、勤務医の疲弊など、様々な問題が指摘されているところである。このような社会保障制度の改革の流れの中で、厚生労働施策が効果的に推進されているか検証する研究を求めるものである。平成21年度新規採択に当たっての重点事項を以下に列挙する。

(ア)療養病床を有する医療機関の経営判断に資する多彩な転換モデル作成に関する研究        (21010801)

(留意点)

平成18年の医療制度改革に基づき、平成24年度末までに医療の必要性の高低に応じた療養病床の再編成が予定されている。療養病床を有する医療機関は必要に応じ平成24年度末までに介護老人保健施設等に転換することとなるが、各施設等への円滑な転換には、転換に伴う影響が最小限にとどめられ、かつ転換後の経営が不安のないものとなる必要がある。そのため、病床の規模(特に、経営規模の小さい有床診療所)や周辺の環境等の諸条件に応じ、医療機関の転換の判断の一助となるような、それぞれ最適な転換モデルが参考として示されることが期待されている。そこで、本研究では、既存の転換支援施策や先進事例、地域住民のニーズ(対象となるモデル地域を設定し調査する等)等を考慮し、各施設の運営体制や病床規模に応じた多彩な転換モデルを作成することとする。

【若手育成型】

一般公募型のうち若手育成に資する研究       (21010901)

(留意点)

本研究枠では、新たな若手研究者が、[1]〜[3]の公募研究課題につき実施する独創性や新規性に富む研究開発課題の提案及び実施を求めるものである。

イ.統計情報総合研究事業

<事業概要>

社会保障制度の改革が実行されるに当たって、行政により策定される各種計画・施策では、目標となる具体的指標を活用するとされており、その基盤となる統計の重要性はこれまでになく高まっている。我が国の直面する少子・高齢化の進展や、人口減少等の状況に対応するため、各種厚生労働行政の企画・立案及びその評価・改善に資するべく、統計調査の手法、統計情報の分析力の向上、情報発信力の強化等に関する研究の一層の進展が必要とされている。一方、平成19年5月改正統計法が公布されたが、その中では社会の情報基盤としての公的統計の有用性向上を図り、統計データの二次利用を促進することとなっている。 更に我が国はICD−1 0(国際疾病分類)の改訂やICF(国際生活機能分類)を中心とするWHO−FIC(世界保健機関国際分類ファミリー)への国際貢献が求められており、統計の国際比較可能性の向上やユーザーの視点に立った実用性の向上を図っていく必要がある。

このような情勢において、本研究事業では、(1)保健、医療、福祉、生活衛生、労働安全衛生等に係る統計調査の調査手法や精度向上に関する研究、(2)統計分野における情報通信技術を利用した高度処理システムの開発に関する研究、(3)蓄積された統計データの高度分析に関する研究、(4)統計データの効果的な情報発信に関する研究等を実施し、政策決定及び評価の過程における統計データの一層の有効活用を図ることで、データに基づいた適切な厚生労働行政を推進することが目的である。また、これらの研究テーマに若手育成型の公募を行い、若手研究者の参入を促進し、次世代の厚生労働統計専門家の育成を図る。

<新規課題採択方針>

公募課題[1]の(ア)〜(オ)の採択に当たっては、特に、社会・経済の変化に対応した統計の整備及び統計調査の効率的・円滑な実施に関して、「統計行政の新たな展開方向(平成15年6月27日)」(http://www.stat.go.jp/index/seido/pdf/10.pdf)を踏まえた研究及び厚生労働省大臣官房統計情報部所管の統計調査に実際に応用が可能な研究を評価する。

研究費の規模:1課題当たり1,000千円〜3,000千円程度(1年当たりの研究費)

研究期間:1〜2年程度

新規採択予定課題数:2〜3課題程度、うち「若手育成型」については1課題程度

若手育成型の応募対象

平成21年4月1日現在で満39歳以下の者(昭和44年4月2日以降に生まれた者)

※新規採択時にのみ本条件を適用する。

※満年齢の算定は誕生日の前日に1歳加算する方法とする。

※産前・産後休業及び育児休業を取った者は、その日数を応募資格の制限日に加算することができる。

<公募研究課題>

【一般公募型】

[1] 統計調査に関する研究

(ア) 厚生労働統計調査の調査手法及び精度の向上に関する研究   (21020101)

厚生労働統計調査の調査手法や標本設計に関する研究を行い、より精度の高い高度な統計情報を得ることに具体的に資する研究。

採択に当たっては、特に保健医療福祉の現場において利用可能な、統計情報の精度向上のためのシステム開発に資する研究について評価する。

(イ) 厚生労働統計データの高度処理システムの開発に関する研究   (21020201)

医療機関を初めとした、調査対象側における情報通信技術の拡充を踏まえ、厚生労働統計への有効的な活用方策や高度処理システムの開発及び厚生労働統計調査設計に関し、具体的提言を盛り込み、統計施策への反映について実現可能性のある研究。

(ウ) 厚生労働統計データの高度分析に関する研究            (21020301)

厚生労働行政分野における統計データの高度な分析や新たな分析手法の開発等を行い、施策上のニーズ等に対応した統計データの効果的な活用に資する研究。

(エ) 厚生労働統計データの情報発信等に関する研究            (21020401)

ユーザーの視点を重視した厚生労働統計データの効果的な情報発信の在り方や国際比較可能性の向上に資する研究。

採択に当たっては、特に統計情報の公表手法について適時性や妥当性を検証し、影響力を分析することで、情報発信に関する具体的な提言を得ることに資する研究について評価する。

(オ) その他厚生労働統計調査の高度な利用又は効率的かつ効果的な企画・立案及び実施方策に関する研究であって、重要性・緊急性が特に高いもの。 (21020501)

【若手育成型】

一般公募型のうち若手育成に資する研究              (21020601)

(留意点)

本事業における公募研究課題につき若手育成型の公募を行い、若手研究者の参入を促進し、新しい視点に立った研究が実施され、ひいては厚生労働統計の専門家が育成されることを目的としている。

<研究計画書を作成する際の留意点>

研究計画書の作成に当たっては、研究の目的を明確にするため、研究計画書に「9.期待される成果」として、当該研究により期待される科学的成果及び当該成果によりもたらされる統計情報政策上のメリットを具体的に記載すること。

(2)地球規模保健課題推進研究事業(仮称)

<事業概要>

平成20年7月の洞爺湖サミットでは、国連ミレニアム開発目標(MDGs)のうち、特に保健、水、教育分野に焦点が当てられ、感染症対策や母子保健、途上国における保健従事者の育成などを含む保健システムの強化の推進などが合意された。母子保健対策、安全な飲料水の確保、感染症対策などの分野における我が国の科学技術力を国際的な影響力のあるものへ高め、今後の途上国への技術移転の基盤を形成する。

<新規課題採択方針>

保健分野において我が国が有する高度な科学技術や知見を活用し、今後の途上国への技術移転に資することにより、国際社会における日本の発言力とプレゼンスを高めることを目的とする。特に、新たな保健課題や地球規模で取り組むべき保健課題についての研究であって、その成果を我が国において積極的に活用できるものを優先的に採択する。

※この公募は、本来、平成21年度予算成立後に行うべきであるが、できるだけ早く研究を開始するために、予算成立前に行うこととしているものである。したがって、成立した予算の額に応じて、研究領域の内容、研究費の規模、採択件数等の変更が生じる場合等がある。

【一般公募型】

(1) 技術移転に関する研究

(ア)「国際保健課題」としての母子保健対策に関する研究 

(イ)開発途上国において適用可能な水・衛生に関する技術と国際保健との連携に関する研究

(ウ)国際保健課題としての道路交通安全と外傷予防に関する研究

(エ)国際保健課題の解決に活用できる革新的技術の開発に係る研究

(オ)国際保健分野における先端的科学技術の開発に関する研究

(カ)開発途上国において国際保健課題の解決に向けて実践的に主導していくことのできる人材育成に係る研究

(2) 気候変動に伴う健康影響に関する研究

(3) 地球規模での保健課題に対応する人材養成に係る研究

【若手育成型】

(4) 一般公募型のうち若手育成に資する研究

研究費の規模 :1課題当たり

公募研究課題(1)

(ア) 2,000〜10,000千円程度 (1年当たりの研究費)

(イ) 2,000〜10,000千円程度 (1年当たりの研究費)

(ウ) 2,000〜10,000千円程度 (1年当たりの研究費)

(エ) 50,000〜80,000千円程度 (1年当たりの研究費)

(オ) 2,000〜10,000千円程度 (1年当たりの研究費)

公募研究課題(2) 2,000〜10,000千円程度 (1年当たりの研究費)

公募研究課題(3) 2,000〜10,000千円程度 (1年当たりの研究費)

公募研究課題(4) 2,000〜 5,000千円程度 (1年当たりの研究費)

新規採択予定課題数:全体で1〜10課題程度

若手育成型の応募対象

平成21年4月1日現在で満39歳以下の者(昭和44年4月2日以降に生まれた者)

※新規採択時にのみ本条件を適用する。

※満年齢の算定は誕生日の前日に1歳加算する方法とする。

※産前・産後休業及び育児休業を取った者は、その日数を応募資格の制限日に加算することができる。

研究期間:1〜3年

<研究計画書を作成する際の留意点>

各公募課題に係る留意点のほか、研究計画書の作成に当たっては以下についても留意すること。

(1)目標を明確にするため、研究計画書の「8.研究の目的、必要性及び特色・独創的な点」に、当該研究の成果によりもたらされる学術的・社会的・経済的メリットを具体的に記載すること。

(2)「10.研究計画・方法」に、年度ごとの計画及び達成目標を記載するとともに、実際の施策等への応用に至る工程を含めた研究全体の具体的なロードマップを示した資料を添付すること(様式自由)。

(3)研究課題の採択に当たっては、これらの記載内容を中心に評価するとともに、中間評価及び事後評価においては、研究計画の達成度を厳格に評価する。その達成度(未達成の場合にはその理由、計画の練り直し案)如何によっては、研究の継続が不可となる場合もあり得ることに留意すること。

<公募研究課題>

【一般公募型】

(1)技術移転に関する研究

アジアやアフリカ等の途上国の各地域の実情を踏まえつつ、我が国の科学技術力と知見を活用し、効率的・効果的に技術移転を図ることにより、途上国の健康向上を促すとともに、我が国の優れた科学技術についての信頼を国際的に確立することを目指す。

(ア)国際保健課題としての母子保健対策に関する研究     (21030101)

(留意点)

・国連ミレニアム開発目標(MDGs)で示されている、2015年までに(1)5歳未満児の死亡率を3分の1に減少させる、(2)妊産婦の死亡率を4分の1に減少させるという目標の達成に資するため、我が国の母子保健対策のノウハウを活用した国際貢献の実現に結びつけることを目的とする。

・戦後、我が国で推進された母子保健対策の経験を活用し、途上国への効果的・効率的な技術移転を実現するための知見の集約、ノウハウの構築に関する調査検討にかかる研究を優先する。

(イ)開発途上国において適用可能な水・衛生に関する技術と国際保健との連携に関する研究                          (21030201)

(留意点)

・開発途上国で活用できる水・衛生に関する技術等の開発と普及促進に関する研究の うち、特に、アフリカ・アジア等の水系感染症が多い地域において、地域特性を踏ま えつつ安全な飲料水を得るための消毒技術等を活用した給水方法や漏水・盗水防止対 策等と、地域の保健システムとの連携を促進させる方策に関する研究を優先する。

・国・地域レベルでの保健衛生状態の向上と水・衛生対策の連携に関する提言を行う ことを目標とする。

(ウ)国際保健課題としての道路交通安全と外傷予防に関する研究 (21030301)

(留意点)

・交通外傷は、若年世代の主要な死亡原因の一つであり、国際保健課題としての認識が高まっている。2004年5月の国連総会では、道路交通安全については各国で責任を持って取り組むべきことが確認されている。

・交通外傷をはじめ、外傷防止に関する日本の知見を応用した途上国への技術移転を目指す研究を優先する。

(エ)国際保健課題における先端的科学技術の開発に関する研究  (21030401)

(留意点)

・国際保健分野における開発途上国への技術協力に活用できる革新的な科学技術開発を行うことを目的とする。

・特に、現下のマラリア対策の重要性にかんがみ、「感染症ワクチン開発技術(マラリ ア)」に関する研究を優先する。

(オ)開発途上国において国際保健課題の解決に向けて実践的に主導していくことの     できる人材育成に係る研究                 (21030501)

(留意点)

・これまで日本は、二国間協力等を通じ、開発途上国における医療従事者の育成を行ってきた。この経験を活用し、我が国が主導して、開発途上国における国際保健分野の人材育成の在り方に関する研究を行う。

・例えば、 近年途上国において問題となっている保健システムの強化や感染症対策等のマニュアル作成など、対策を適切に講じることができる人材の育成に資する研究を優先する。

(2)気候変動に伴う健康影響に関する研究             (21030601)

(留意点)

・ 北海道洞爺湖サミットにおける最大のテーマであった気候変動問題は、健康面での 悪影響という視点からも危惧されているところであるが、その影響に関する知見は世 界的にまだ端緒的な段階に止まっている。 温暖化に伴う熱射病や昆虫媒介疾患の北上、 大気汚染等による呼吸器疾患などの気候変動に伴う健康影響について、科学的エビデ ンスに基づき、気候変動と健康に関する生物学的・疫学的知見の集積を行う研究及び 将来予測される影響やその予防策に関する研究を優先する。

(3)地球規模での保健課題に対応する人材養成に係る研究      (21030701)

(留意点)

・近年における国際保健分野の国際会議の議題の傾向(特に、近年大きな国際保健課題となっているたばこやアルコールの影響及びそれに起因する疾病の予防とコントロールを優先する)を調査分析するとともに、国際会議で影響力を持つ人材の育成方策について研究し、国際会議の場で、日本の国益を確保しつつ、適切な提言を行うことのできる日本人の人材育成等の在り方を検討することを目的とする。

【若手育成型】

(4)一般公募型のうち若手育成に資する研究            (21030801)

(留意点)

・(1)〜(3)の研究課題について、特に若手研究者が行う独創性や新規性に富む研究開発課 題の提案及び実施を求めるもの。

・その際、(1)〜(3)の留意点に加え、特に、HIV/AIDSやアルコールによる精神疾患等の国際保健分野の課題に関する研究を優先する。

2.先端的基盤開発研究事業

(1)再生医療実用化研究事業

<事業概要>

再生医療は、健康寿命の延伸に寄与する次世代医療技術であり、その実用化への期待は大きい。 本事業では、新たな再生医療技術の開発について、疾患への応用を見据えた研究開発の実施、安全・品質に配慮した技術開発の推進を図ることとしている。本事業で生み出された成果が、より安全・有効な治療法として速やかに臨床応用されることが重要であることから、臨床応用により近い段階にある研究に対して支援の重点化を図る。さらにこの分野における国際的な競争力を維持するために、優れた基礎研究シーズを持った若手研究者等の活躍の場を確保する観点から、「若手育成型」の領域において、有望な基礎研究シーズを多数採択し、2年間の研究成果をもって評価・選択・集中化を行うこととしている。

<新規課題採択方針>

【一般公募型】

(1)各分野(神経・運動器、肝臓・膵臓、皮膚・感覚器あるいは歯等)における再生医療技術の早期臨床応用を目標としたエビデンス創出のための研究

(2)再生医療を活用する新規治療技術の実用化に関連した、細胞・組織等を用いる治療技術の安全性・品質の確保に関する技術開発

【若手育成型】

(3)再生医療における革新的治療技術開発を目指した研究

研究費の規模:1課題当たり

公募研究課題(1)〜(2) 30,000千円〜50,000千円程度(1年当たりの研究費)

公募研究課題(3)          5,000千円程度(1年当たりの研究費)

研究期間:公募研究課題(1)〜(2) 3年(中間評価の結果如何によっては研究の継続不可となる場合がある。)

公募研究課題(3)    2年(中間評価の結果如何によっては研究の継続不可となる場合がある。)

新規採択予定課題数:公募研究課題(1)〜(2) 合計2課題程度

公募研究課題(3)     3課題程度

若手育成型の応募対象

平成21年4月1日現在で満39歳以下の者(昭和44年4月2日以降に生まれた者)

※新規採択時にのみ本条件を適用する。

※満年齢の算定は誕生日の前日に1歳加算する方法とする。

※産前・産後休業及び育児休業を取った者は、その日数を応募資格の制限日に加算することができる。

<公募研究課題>

【一般公募型】

(1)各分野(神経・運動器、肝臓・膵臓、皮膚・感覚器あるいは歯等)における再生医療技術の早期臨床応用を目標としたエビデンス創出のための研究   (21040101)

(留意点)

・研究申請者の所属する施設が細胞調製施設等を有し、基礎研究から前臨床研究、臨床応用へと一貫した研究開発を行う研究、又はシーズを有するにもかかわらず、細胞調製施設等を有する臨床研究機関に属さない研究者が、当該施設等を有する臨床研究機関との共同研究により、早期臨床応用が可能となる研究(拠点共同利用型研究)のいずれかとする。また、研究機関のネットワークによる多施設共同研究が望ましい。

・ 研究成果を社会に還元するため、 研究期間内において、「ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針(平成18年厚生労働省告示425号)」に則り臨床研究が開始されているか、又は橋渡し研究中であり、3年以内に開始可能となる課題を優先する。

(2) 再生医療を活用する新規治療技術の実用化に関連した、細胞・組織等を用いる治療技術    の安全性・品質の確保に関する技術開発           (21040201)

(留意点)

・特に、再生医療における、感染リスクの排除、同一性の確保、免疫反応・がん化等の抑制、あるいは品質管理に関する研究を優先して採択する。

【若手育成型】

(3)再生医療における革新的治療技術開発を目指した研究     (21040301)

(留意点)

・当該領域においては、複数の有望な基礎研究シーズを採択し、2年間の研究成果をもって評価し、研究期間終了時に臨床応用に近いと評価された研究課題を、一般公募型につなげ、選択・集中化しながら研究規模の拡大を行うことで、より早い臨床実現を目指すこととしている。

<研究計画書を作成する際の留意点>

研究計画書の提出に当たり、以下の点に留意すること。

ア.「9.期待される成果」について、より具体的に把握するため、申請研究終了時に期待される成果と、研究分野の長期的な成果(目標)とを別々に示すこと。

イ.「12.申請者の研究歴等」について、より詳細に把握するため、以下のア)及びイ)の項目に該当する論文(全文)の写し3編を添付した研究計画書を2部提出すること。欧文のものについては日本語要旨も添付すること。

ア)申請する課題に係る分野に特に関連するもの。

イ)申請者が第一著者、若しくは主たる役割を担ったもの。後者の場合はその簡潔な理由を添付すること。

ウ.申請者は、研究代表者及び研究分担者の研究内容が、他の研究課題と重ならないよう研究計画を作成すること。

エ. 各府省が定める法律・省令・倫理指針等を遵守し、適切に研究を実施すること。

オ.特に、研究計画においては、妥当なプロトコールが作成され、臨床研究倫理指針等(II応募に関する諸条件等(4)応募に当たっての留意事項エ.研究計画策定に当たっての研究倫理に関する留意点参照)に規定する倫理審査委員会の承認が得られている(又はその見込みである)こと。各倫理指針等に基づき、あらかじめ、研究の内容、費用及び補償の有無等について患者又は家族に説明又は情報公開 等し、必要に応じて文書等により同意を得ていること。

また、モニタリング・監査・データマネジメント等を含めた研究体制や、安全性及び倫理的妥当性を確保する体制について説明する資料を添付し提出すること。

カ.介入を行う臨床研究であって、侵襲性を有するものを実施する場合には、臨床研究に関する倫理指針の規定に基づき、あらかじめ、登録された臨床研究計画の内容が公開されているデータベースに当該研究に係る臨床研究計画を登録すること。なお、事業実施報告書の提出時に、登録の有無を記載した報告書(様式自由)を別に添付すること。

(2)創薬基盤推進研究事業

(ヒトゲノムテーラーメード研究)

<事業概要>

これまでヒトゲノム分野で明らかになった疾患関連遺伝子やその機能、ファーマコゲノミクス分野で明らかになった医薬品の反応性に関与する遺伝子、その他ゲノム関連の様々な知見を総合的にとらえ、バイオインフォマティクス技術を駆使して、がん、認知症、生活習慣病その他日本人に代表的な疾患について個人の遺伝子レベルにおける差異を踏まえた診断、治療法の実用化に向けた研究を通じ、個別化医療の実現を目指す事業である。ただし、肝炎に関する研究は除く。

<新規課題採択方針>

【一般公募型】

(1)ヒトゲノムテーラーメード医療の実用化に関する研究

研究費の規模:
公募研究課題(1) 30,000千円〜50,000千円程度(1年当たりの研究費)

    

研究期間:1〜3年(中間評価の結果如何によっては研究の継続不可となる場合がある。)

新規採択予定課題数:公募研究課題(1) 10課題程度

<公募研究課題>

【一般公募型】

(1)ヒトゲノムテーラーメード医療の実用化に関する研究     (21050101)

これまで実施されてきたヒトゲノム・遺伝子治療、ファーマコゲノミクス等のゲノム関連の知見を活用し、日本人に代表的な疾患(がん、認知症、生活習慣病等)について遺伝子レベルの個体差を踏まえた診断技術、治療法(遺伝子診断技術、医薬品の有効性及び安全性の向上、遺伝子治療等)の実用化を図る研究であり、創薬の標的、病態・薬効等のサロゲート・バイオマーカー、疾患のサブタイプ・個体差の解明に係る遺伝子の臨床的な意義に関する研究に対して重点を置き、個別化医療の実現を目指す研究を採択する。

なお、研究成果を社会に還元するため、採択に際しては、研究期間内での臨床応用又は研究期間終了後の臨床応用が期待できる研究を優先する。

(次世代ワクチン開発研究)

<事業概要>

感染症のみならず、がん、認知症等に対するワクチンの開発による疾患の予防や、組織培養や遺伝子組換えたんぱく技術等のワクチン製造技術の低コスト化・効率化などにより、国民の健康福祉を増進させることを目的とする研究を支援する研究事業である。

<新規課題採択方針>

【一般公募型】

(1)ワクチン基礎生産技術の向上に関する研究

(2)ワクチン臨床評価に関する研究

(3)ワクチンの免疫増強剤に関する研究

研究費の規模:1課題当たり

公募研究課題(1)〜(3) 20,000千円程度(1年当たりの研究費)

研究期間:3年(中間評価の結果如何によっては研究の継続不可となる場合がある。)

新規採択予定課題数:公募研究課題(1)〜(3) 合計1課題程度

<公募研究課題>

【一般公募型】

(1) ワクチン基礎生産技術の向上に関する研究   (21060101)

・組織培養や遺伝子組換えたんぱく技術等のワクチン製造技術の低コスト化・効率化等が見込まれる研究を採択する。 なお、民間企業等との研究協力により実施することが望ましい。

(2) ワクチン臨床評価に関する研究   (21060201)

・従来の注射による予防接種技術に限定せず、経鼻等の新投与経路によるワクチンや DNAワクチン等新ワクチンの臨床評価及びその実用化を目指した研究を採択する。なお、民間企業等との研究協力により実施することが望ましい。

(3) ワクチンの免疫増強剤に関する研究 (21060301)

・ワクチンの免疫増強剤の開発及び臨床評価に関する研究のうち、より実用化が近い研究を優先して採択する。なお、民間企業等との研究協力により実施することが望ましい。

(次世代ワクチン開発研究の留意点)

・本研究では、パンデミックに特化した課題は採択しない。

・研究成果を社会に還元するため、採択に際しては、研究期間内での臨床応用又は研究期間終了後の臨床応用が期待できる研究を優先する。

(生物資源・創薬モデル動物研究)

<事業概要>

近年のゲノム研究等の進展に伴い、ヒトの細胞や遺伝子などを材料とした研究から重要な知見が得られるようになっており、研究材料たる生物資源の整備は研究上非常に重要なものとなっていることから、生物資源(培養細胞、ヒト組織、遺伝子、実験動物、霊長類、薬用植物)の整備及び薬効評価に利用できるモデル動物(細胞等の評価系を含む)を作成し、厚生労働科学研究を支える基盤を整備することを目的とする。

<新規課題採択方針>

【一般公募型】

(1) がん、心筋梗塞、脳卒中、認知症等の領域で開発が望まれる新規の疾患モデル動物(細胞等の評価系を含む)の開発に関する研究

(2) 自然発生病態動物の開発法・システムに関する研究

研究費の規模:1課題当たり

公募研究課題(1)〜(2) 5,000千円〜10,000千円程度(1年当たりの研究費)

研究期間:3年(中間評価の結果如何によっては研究の継続不可となる場合がある。)

新規採択予定課題数:公募研究課題(1)〜(2) 合計4課題程度

<公募研究課題>

新規有用生物資源の開発に関する研究又は有用生物資源の機能解析に関する研究であって次に掲げるもの

【一般公募型】

(1) がん、心筋梗塞、脳卒中、認知症等の領域で開発が望まれる新規の疾患モデル動物(細胞等の評価系を含む)の開発に関する研究        (21070101)

・動物開発施設で実施する新規の疾患モデル動物(がん、心筋梗塞、脳卒中、認知症等)の開発を目指す研究を採択する。

・本研究で言う「新規」とは、以下のとおり。

ア.過去に適切なモデル動物がいなかったため、薬剤開発等に向けた先駆的な研究が十分に行い得なかった疾患を対象とするもの

イ.既存のモデル動物より、再現性や利便性並びに経済性の観点から圧倒的に秀でているもの 等

・疾患モデル動物の開発に関しては、ニーズがあることが重要であり、創薬等のニーズに沿わない研究は対象としない。

・申請に際して、創薬等のニーズの有無に関して、明確に記載すること。

(2) 自然発生病態動物の開発法・システムに関する研究     (21070201)

・動物開発施設で実施する自然発生病態動物の開発法やシステムに関する研究を採択する。疾患に関しては特に限定しないが、日本人に代表的な疾患(がん、認知症、生活習    慣病等)のモデル動物開発を目指す課題を優先する。

<生物資源・創薬モデル動物研究の留意点>

ア.目標を明確にするため、研究計画書の「9.期待される成果」に、当該研究により期待される科学的成果及び当該成果によりもたらされる学術的・社会的・経済的メリットを具体的に記載すること。また、「10.研究計画・方法」に、年度ごとの計画及び達成目標を記載するとともに、研究対象となっている生物資源及び所属機関で行っている生物資源の配分実績(過去3年間)、生物資源を新たに開発する場合は、実際の公的バンク等を介した生物資源の普及に至る工程を含めた研究全体の具体的なロードマップを示した資料を添付すること(様式自由)。

なお、研究課題の採択に当たっては、これらの記載事項を重視するとともに、中間評価及び事後評価においては、研究計画の達成度を厳格に評価する。その達成度(未達成の場合にはその理由、計画の練り直し案)如何によっては、研究の継続が不可となる場合もあり得ることに留意すること。

イ.当該事業に採択された研究代表者は、開発・生産した生物資源の普及及び生物資源の解析データの公開等の事業により創出される成果の活用、生物資源の使用条件等について連絡調整等を行う運営推進委員会に参加すること。

<創薬基盤推進研究事業(生物資源・創薬モデル動物研究を除く)全体の留意点>

ア.目標を明確にするため、研究計画書の「9.期待される成果」に、当該研究により期待される科学的成果及び当該成果によりもたらされる学術的・社会的・経済的メリットを具体的に記載すること。また、「10.研究計画・方法」に、年度ごとの計画及び達成目標を記載するとともに、実際の医療等への応用に至る過程を含めた研究全体の具体的なロードマップを示した資料を添付すること(様式自由)。

なお、研究課題の採択に当たっては、これらの記載事項を重視するとともに、中間評価及び事後評価においては、研究計画の達成度を厳格に評価する。その達成度(未達成の場合にはその理由、計画の練り直し案)如何によっては、研究の継続が不可となる場合もあり得ることに留意すること。

イ.各府省が定める法律・省令・倫理指針等を遵守し、適切に研究を実施すること。

ウ.特に、研究計画において、妥当なプロトコールが作成され、臨床研究倫理指針等(II応募に関する諸条件等(4)応募に当たっての留意事項エ.研究計画策定に当たっての研究倫理に関する留意点参照)に規定する倫理審査委員会の承認が得られている(又はその見込みである)こと。各倫理指針等に基づき、あらかじめ、研究の内容、費用及び補償の有無等について患者又は家族に説明又は情報公開等し、必要に応じて文書等により同意を得ていること。

また、モニタリング・監査・データマネジメント等を含めた研究体制や、安全性及び倫理的妥当性を確保する体制について添付し提出すること。

エ.介入を伴う臨床研究であって、侵襲性を有するものを実施する場合には、臨床研究に関する倫理指針の規定に基づき、あらかじめ、登録された臨床研究計画の内容が公開されているデータベースに当該研究に係る臨床研究計画を登録すること。なお、事業実施報告書の提出時に、登録の有無を記載した報告書(様式自由)を別に添付すること。

(3)医療機器開発推進研究事業

(ナノメディシン研究)

<事業概要>

ナノスケールの超微細技術(ナノテクノロジー)を医学へ応用することにより、非侵襲・低侵襲を目指した医療機器等の研究・開発を産学官の連携をもって推進し、患者にとってより安全・安心な医療技術の提供の実現を目指す研究事業である。

<新規課題採択方針>

【一般公募型】

(1) 超微細技術(ナノテクノロジー)を活用した疾患の超早期診断・治療システム等に係る医療機器等の開発に関する研究

【若手育成型】

(2) 一般公募型の研究課題において若手研究者が主体となって行う先端的あるいは基盤的研究

研究費の規模:1課題当たり

公募研究課題(1) 30,000千円〜50,000千円程度(1年当たりの研究費)

公募研究課題(2)        5,000千円程度(1年当たりの研究費)

研究期間:3年(中間評価の結果如何によっては研究の継続不可となる場合がある。)

新規採択予定数:

公募研究課題(1) 8課題程度

公募研究課題(2) 4課題程度

若手育成型の応募対象

平成21年4月1日現在で満39歳以下の者(昭和44年4月2日以降に生まれた者)

※新規採択時にのみ本条件を適用する。

※満年齢の算定は誕生日の前日に1歳加算する方法とする。

※産前・産後休業及び育児休業を取った者は、その日数を応募資格の制限日に加算することができる。

<公募研究課題>

超微細技術(ナノテクノロジー)を活用した医療機器等の開発技術を産官学患間の連携の下、医学・薬学・化学・工学の融合的研究等学際的に発展させる研究である。

また、課題採択に当たっては、研究終了時又はその数年先(3年以内)に臨床応用される研究計画であること及び下記「<公募研究課題>」において例示した研究を優先して採択する。

なお、本事業では、一般公募型及び若手育成型による公募を実施することとするが、若手育成型については必ずしも民間企業との連携を求めるものではない。

 

【一般公募型】

(1) 超微細技術(ナノテクノロジー)を活用した疾患の超早期診断・治療システム等に係る医療機器等の開発に関する研究               (21080101)

(例)

・疾患の病態解明や医薬品の体内動態観察のため、たんぱく質等の画像化技術を開発

・疾患の鍵となるたんぱく質の分子構造を明らかにし、それを基に分子標的薬剤を探索あるいは設計する技術を開発

・分子の機能をイメージングで評価する系を確立して、分子を標的とした薬剤の評価系に応用する技術を開発

・疾患の病態と関連する分子の活性化・変性などの機能変化を生体内でイメージングする分子プローブを開発

・DDS、マイクロマシン、あるいは生体材料との複合技術を活用した重大疾病への治療法の確立

・抗体、リガンドの利用等により正常細胞と病的細胞の分子レベルの差違に着目して疾患の超早期診断・治療を行うシステムの開発に関する研究

・画像診断技術とバイオマーカーを融合した重大疾患の超早期診断・治療システムの開発に関する研究

【若手育成型】

(2) 一般公募型の研究課題において若手研究者が主体となって行う先端的あるいは基盤的研究                            (21080201)

(留意点)

・当研究課題の応募に当たっては、既存の検診・診断・治療・フォローアップ技術と比較して、感度・特異度に優れていること、費用対効果に優れていること、侵襲性(放射線被曝を含む)が少ないこと、がんに関してはより微小な段階から転移が診断できること及び位置把握精度が高いことなどの長所について具体的数値・根拠を示して、研究計画書の「8.研究の目的、必要性及び特色・独創的な点」に記載すること。

(活動領域拡張医療機器開発研究)

<事業概要>

近年のナノテクノロジーをはじめとした技術の進歩を基礎として、生体機能を立体的・総合的に捉え、個別の先端的要素技術を効率的にシステム化する研究、いわゆるフィジオームが進展しており、我が国は当該領域において世界をリードする立場にある。これらフィジオームを利用し、ニーズから見たシーズの選択・組み合わせを行い、新しい発想による機器開発を推進する。

本事業は、上記観点から、産官学に患者の視点を組み入れた「産官学患連携」により、近い将来到来する超高齢化社会における医療・介護負担の低減をもたらし、高齢者等の自立と充実した生活を可能とする革新的医療機器の開発を目的としている。

<新規課題採択方針>

身体機能解析・補助・代替の各分野において、産学官の連携の下、画期的な医療・福祉機器の速やかな実用化を目指すための研究。低侵襲診断・治療機器、社会復帰型治療機器の各開発分野において、これまで日本企業が主導して取り組まなかったリスクの高い医療機器、あるいは対象患者が少なく市場性が不透明であるが、実用化することにより当該患者にとって高い効果が見込まれる医療機器の開発を行う研究であり、計画段階において患者や一般国民の意見を聴取する場を設定する等、患者ベネフィットを考慮した研究計画であり、かつ実用性及び経済性の高い革新的医療機器の開発研究であることが望ましい。

なお、必要な研究資金の一部が参加民間企業により補われる研究であり、参加民間企業が担う役割(共同研究、試作品の作成・提供等)について明示してある研究を優先して採択する。

【一般公募型】

(1) 低侵襲診断・治療機器開発分野

(2) 社会復帰型治療機器開発分野

研究費の規模:1課題当たり50,000千円程度(1年当たりの研究費)

研究期間:3年(中間評価の結果如何によっては研究の継続不可となる場合がある。)

新規採択予定課題数:公募研究課題(1)〜(2) 合計1課題程度

<公募研究課題>

【一般公募型】

(1) 低侵襲診断・治療機器開発分野              (21090101)

被曝量の低減化や全身を短時間で描出する撮像装置等、低侵襲の革新的診断機器を開発する研究、低侵襲かつ患者の視点から苦痛の少ない革新的治療機器を開発する研究、あるいは画像診断と内視鏡手術の融合など診断・治療が融合した革新的医療機器等の開発研究

(2) 社会復帰型治療機器開発分野               (21090201)

高齢者や障害者(介護者を含む)の動作をより少ない力で可能とする機器及び盲導犬の代替ロボット等感覚器を補助する機器など動作、感覚等の身体機能を体外から補助する機器であって、高齢者や障害者の社会における活動領域の拡張を補助する革新的医療機器を開発する研究

(留意点)

・研究成果を社会に還元するため、課題採択にあたっては、研究期間内又は研究終了後に臨床応用の実施が期待される研究を優先して採択する。

<研究計画書を作成する際の留意点>

研究計画書の作成に当たり、以下の点に留意すること。

(1) 当該研究において、必要な研究資金の一部が参加民間企業により補われる研究に関しては、研究計画書の「7.研究の概要」に参加民間企業が担う役割(共同研究、試作品の作成・提供等)に関して記載するとともに、具体的な寄与について明示すること。

(2) 「9.期待される成果」につき、より具体的に把握するため、申請研究終了時に期待される成果と、研究分野の長期的な成果(目標)とを別々に示すこと。

(3) 「12.申請者の研究歴等」については、より詳細に把握するため、以下のア及びイの項目に該当す る論文(全文)の写し3編を添付した研究計画書を2部提出すること。
欧文のものについては日本語要旨も添付すること。

ア.申請する課題に係る分野に特に関連するもの。

イ.申請者が第一著者、若しくは主たる役割を担ったもの。後者の場合はその簡潔な理由を添付すること。

(4) 申請者は、研究代表者及び研究分担者の研究内容が、他の研究課題と重ならないよう研究計画を作成すること。

<医療機器開発推進研究事業全体の留意点>

ア.目標を明確にするため、研究計画書の「9.期待される成果」に、当該研究により期待される科学的成果及び当該成果によりもたらされる学術的・社会的・経済的メリットを具体的に記載すること。また、「10.研究計画・方法」に、年度ごとの計画及び達成目標を記載するとともに、実際の医療等への応用に至る過程を含めた研究全体の具体的なロードマップを示した資料を添付すること(様式自由)。

なお、研究課題の採択に当たっては、これらの記載事項を重視するとともに、中間評価及び事後評価においては、研究計画の達成度を厳格に評価する。その達成度(未達成の場合にはその理由、計画の練り直し案)如何によっては、研究の継続が不可となる場合もあり得ることに留意すること。

イ.各府省が定める法律・省令・倫理指針等を遵守し、適切に研究を実施すること。

ウ.特に、研究計画において、妥当なプロトコールが作成され、臨床研究倫理指針等(II応募に関する諸条件等(4)応募に当たっての留意事項エ.研究計画策定に当たっての研究倫理に関する留意点参照)に規定する倫理審査委員会の承認が得られている(又はその見込みである)こと。各倫理指針等に基づき、あらかじめ、研究の内容、費用及び補償の有無等について患者又は家族に説明又は情報公開等し、必要に応じて文書等により同意を得ていること。

また、モニタリング・監査・データマネジメント等を含めた研究体制や、安全性及び倫理的妥当性を確保する体制について添付し提出すること。

エ.介入を伴う臨床研究であって、侵襲性を有するものを実施する場合には、臨床研究に関する倫理指針の規定に基づき、あらかじめ、登録された臨床研究計画の内容が公開されているデータベースに当該研究に係る臨床研究計画を登録すること。なお、事業実施報告書の提出時に、登録の有無を記載した報告書(様式自由)を別に添付すること。

3.臨床応用基盤研究事業

(1)医療技術実用化総合研究事業

(基礎研究成果の臨床応用推進研究)

<事業概要>

我が国で生み出された基礎研究の成果を臨床現場に迅速かつ効率的に応用していくために必要な技術開発、探索的な臨床研究等を推進することを目的とする。

<新規課題採択方針>

【一般公募型】

(1) 基礎研究の成果を適切に臨床応用するために実施する研究であって、薬理試験や用量探索試験に関する研究(がん及び再生医療研究に基づくものを除く)

研究費の規模:1課題当たり
公募研究課題(1)  30,000千円〜50,000千円程度(1年当たりの研究費)

研究期間:公募研究課題(1) 3年(中間評価の結果如何によっては研究の継続不可となる場合がある。)

新規採択予定数:公募研究課題(1) 5課題程度

<公募研究課題>

【一般公募型】

(1) 基礎研究の成果を適切に臨床応用するために実施する研究であって、薬理試験や用量探索試験に関する研究(がん及び再生医療研究に基づくものを除く)                               (21100101)

・研究代表者又は研究分担者が確立した研究成果を活用して、画期的かつ優れた治療法を開発するための薬物又は医療技術に関する研究であって、薬理試験や用量探索試験を行う研究。

<基礎研究成果の臨床応用推進研究の留意点>

・本研究は、基礎研究成果を臨床応用へ橋渡しする研究事業であることから、研究期間内において臨床研究へ移行することは差し支えないが、研究開始1年目から臨床研究を実施する  ような課題は採択の対象としない(当初から臨床研究を実施することを目的としている課題は「臨床研究・予防・治療技術開発研究」が対象事業となると考えられる。)。

・企業等との協力体制など、確実に臨床応用へつなげる道筋を明確に示すこと。また、採択後も研究の進捗状況等を精査し、研究事業の趣旨に照らし、継続の可否を決定する。

(臨床研究基盤整備推進研究)

<事業概要>

「新たな治験活性化5カ年計画」(平成19年3月30日医政発第0330064号)に示された「中核病院」の役割を担う機関について、治験・臨床研究を支える基盤の整備を主に人材育成の観点から効率的に行う研究。

※臨床研究基盤整備推進研究における「治験・臨床研究」とは、「新たな治験活性化5カ年計画」の推進に係る「中核病院」を主体とする治験及び臨床研究のことをいう。

<新規課題採択方針>

「新たな治験活性化5カ年計画」における「中核病院」に求められる体制を整備するために、人材育成・確保、コンサルティング機能の提供、手続きの効率化を中心とした実施体制整備に資する研究を採択する。本研究は公募研究課題(1)「医療機関における治験・臨床研究実施基盤整備研究」と、教育機関等における公募研究課題(2)「治験・臨床研究基盤をつくる教育プログラムの開発研究」を両輪として実施する。採択に際しては、中核病院に求められる体制の整備に資する研究であるべきとの観点から、各機関の治験・臨床研究の実績、研究計画の具体性、研究成果の長期的活用内容、治験・臨床研究の実施基盤の整備状況等を重視する。

【一般公募型】

(1) 医療機関における治験・臨床研究基盤整備研究

(2) 治験・臨床研究基盤をつくる教育プログラムの開発研究

研究費の規模:1課題当たり
公募研究課題(1)  80,000千円〜100,000千円程度(1年当たりの研究費)
公募研究課題(2)  10,000千円〜 30,000千円程度(1年当たりの研究費)

研究期間:3年(中間評価の結果如何によっては研究の継続不可となる場合がある。)

新規採択予定課題数:公募研究課題(1) 5課題程度
公募研究課題(2) 2課題程度

<公募研究課題>

【一般公募型】

(1) 医療機関における治験・臨床研究基盤整備研究        (21110101)

各医療機関において、治験・臨床研究管理部門の長(又はそれに相当する者)が自らの機関の治験・臨床研究実施体制について分析を行い、その結果を踏まえ各機関の特徴に応じた治験・臨床研究実施基盤整備計画を策定し、中核病院としての役割を遂行する。

(留意点)

(ア)厚生労働省「治験拠点病院活性化事業」及び文部科学省「橋渡し研究支援推進プログラム」に採択されている機関は対象としない。

(イ)医療機関の長の承諾

本研究は基盤整備のための研究であり、研究終了後の研究成果の活用、人材の配置等を確実なものとするため、研究計画書の提出に際しては各医療機関の長の承諾を得ること。

(ウ)各医療機関における治験及びその他研究の実績

下記I)及びII)に掲げる項目について具体的数値、名称、内容等を別添様式に記載し、提出すること。

I)治験*の実績

ア)平成18年4月1日〜平成20年3月31日に実施された**医師主導治験の有無(有とした場合はプロトコール名、治験全体及び当該機関における登録症例数、資金源、治験責任医師名及び調整医師等当該治験全般のマネジメント担当の有無を明記)

イ)平成18年4月1日〜平成20年3月31日に実施された**製薬企業との契約に基づく治験のプロトコール数(可能であればプロトコール名と治験開始時期からの通年の各登録症例数も明記のこと)

注)

* 上記「治験」とは独立行政法人医薬品医療機器総合機構において治験届が受理されたものを指す。

** 上記「実施された」とは、当該期間又はそれ以前に治験審査委員会(又はそれに相当するもの)により承認され実施された治験(当該期間内の終了報告書提出の有無を問わない。)。

II)その他研究の実績

平成18年4月1日〜平成20年3月31日に倫理審査委員会(又はそれに相当するもの)により承認された研究のプロトコール名、研究全体及び当該機関における登録症例数、公的資金の有無(有の場合はその名称と「申請時研究課題名」)、多施設共同/単施設研究の別、当該施設所属の医師の研究責任者*及び当該研究全般のマネジメント担当の有無(有の場合は該当医師の所属、氏名)、研究全体の予定症例数及び当該機関における登録症例数、データ管理の有無。

・医薬品を用いた介入研究

・医療機器を用いた介入研究

・医薬品、医療機器以外(診断技術、手術、看護ケア等)の介入研究

・アウトカム研究

・ケースコントロール研究/コホート研究

注)

* 上記「研究責任者」とは、「臨床研究に関する倫理指針」(平成20年7月31日厚生労働省告示第415号)にある、個々の臨床研究機関において、臨床研究を実施するとともに、その臨床研究に係る業務を統括する者をいう。

III)治験・臨床研究に関するコンサルティングの実績

ア)他の共同研究を行う医療機関に対して、治験・臨床研究に関するコンサルティングを提供できる体制の有無及びその体制の内容

イ)平成18年4月1日〜平成20年3月31日の間に提供したコンサルティング機能の具体的内容

ウ)国内外における承認審査業務経験者の有無(有の場合は審査機関名及び人数)

IV)治験事務等効率化への取組の実績

ア)治験手続等が円滑に実施されるための効率化の取組の有無(有の場合はその具体的な取組内容)

(エ)各医療機関の治験・臨床研究実施体制の現状分析

別紙「治験・臨床研究基盤整備状況調査票」「パフォーマンス調査票」に回答の上(平成20年9月30日現在)、「新たな治験活性化5カ年計画」の中核病院に期待される機能を参照して、各医療機関における治験・臨床研究実施体制の現状分析を行い、その結果を別添様式にて提出すること(治験・臨床研究に係る手続きの効率化についての取組の分析を含む)。

(オ)各医療機関における治験・臨床研究基盤整備計画

上記(ウ)の分析結果を基に、中核病院として充足すべき部分の強化など各医療機関の特徴を活かした治験・臨床研究実施基盤整備計画を策定し研究計画書「10.研究計画・方法」及び「「11.倫理面への配慮」に記載すること。

また、人材に関しては、研究者として育成すべき若手医師、生物統計家、データマネージャー、治験に限らず臨床研究も支援するCRC等の人数、配置等について具体的に示し、研究終了後の人材配置も含めて計画を策定すること。

(2) 治験・臨床研究基盤をつくる教育プログラムの開発研究   (21110201)

医師等を含む治験・臨床研究に関わるCRC、データマネージャー、その他IRB委員や事務職員等の治験・臨床研究支援スタッフ等を対象とした治験・臨床研究に関する教育プログラムの開発を行う研究。治験の実施、臨床研究のプロトコール作成、実施、評価などへの具体的関与を含んだものとする。

(留意点)

本研究課題では、治験・臨床研究基盤を形成するための教育プログラムを開発し、当該プログラムを公開し実践する方法を明らかにする。併せて研究成果の将来的活用方法も記載すること。

(臨床研究・予防・治療技術開発研究)

<事業概要>

医薬品や医療機器を用いた治療法等の医療技術について臨床において適切に実施されるようエビデンスを確立する研究を推進することを目的とする。

<新規課題採択方針>

【一般公募型】

医薬品や医療機器を用いた治療法等の医療技術に係る臨床エビデンスの収集、重大疾患分  野における診療現場のエビデンスの創出、統合医療分野における科学的評価方法の開発といった臨床研究を推進するために、以下の研究に係る課題を採択する。

(1) 臨床研究のプロトコール作成研究

(2) 既に作成したプロトコールに基づいて実施する臨床研究

(3) 適応外使用を含む技術に関する臨床研究

(4) 統合医療分野の評価技術の開発に関する研究

研究費の規模:1課題当たり
公募研究課題(1)         10,000千円程度(1年当たりの研究費)
公募研究課題(2)〜(3) 40,000千円〜60,000千円程度(1年当たりの研究費)
公募研究課題(4)    5,000千円〜10,000千円程度(1年当たりの研究費)

研究期間:公募研究課題(1)   原則1年

公募研究課題(2)〜(3)   3年(中間評価の結果如何によっては研究の継続不可となる場合がある。)

公募研究課題(4)     3年(中間評価の結果如何によっては研究の継続不可となる場合がある。)

新規採択予定課題数:公募研究課題(1)     5課題程度
公募研究課題(2)〜(3)  合計3課題程度
公募研究課題(4)     2課題程度

<公募研究課題>

【一般公募型】

(1) 臨床研究のプロトコール作成研究 ( 21120101)

医薬品や医療機器のうち、諸外国では標準的な治療法として用いられていながら我が国で実用化されていない治療法等のエビデンスの確立に係る臨床研究の計画を作成する研究である。

(2) 既に作成したプロトコールに基づいて実施する臨床研究 (21120201)

本事業の課題(1)で作成したプロトコールに基づき実施する臨床研究である。

(3) 適応外使用を含む技術に関する臨床研究 (21120301)

医薬品や医療機器のうち、適応外使用を含む技術の治療効果の臨床的エビデンス創出のために実施する臨床研究である。

(4)  統合医療分野の評価技術の開発に関する研究 (21120401)

統合医療分野における臨床試験によるエビデンスの創出のための研究である。

<臨床研究・予防・治療技術開発研究の留意点>

・(1)の研究終了後に確実に(2)に移行して臨床研究を実施する体制を確保するものであること。

・(1)の研究実施者は、特段の理由のない限り、研究終了後確実に(2)へ申請を行うこと。

・本事業の(1)の研究においてプロトコールを作成していることが、(2)への応募条件である。

・(2)については、研究期間内に、目的とした効能・効果又は用法・用量等に係るエビデンスの確立を目指すものであること。

・(1)〜(3)の計画及び実施に当たっては、次の条件を満たすものであること。

1)安全性を確保する観点

・実施医療機関が(財)医療機能評価機構の認定を受けている(又は見込みである)こと。

・あらかじめ、研究の内容、費用及び補償の内容等について患者又は家族に説明し文書により同意を得ていること。

2)有効性を確保する観点

・プロトコールの作成に当たっては、予め諸外国において当該効能等の安全性・有効性等に係るエビデンスが十分にあることを確認の上、作成すること。

(臨床疫学基盤整備研究)

<事業概要>

患者背景データ等の臨床疫学の基礎となる分野別の疾患の診療・処方実態情報などの診療コホートのデータベース構築のための仕様等に関する研究を行う研究事業である。

<新規課題採択方針>

【一般公募型】

医薬品等の開発や安全情報の収集等に当たっても有用な情報となる、患者背景や処方・診療実態に関するデータベース等の臨床疫学の基礎となる分野別のコホートのデータベースを臨床機関と協力して構築するための仕様等を作成する研究を採択する。

なお、産学等共同研究であることが望ましい。

研究費の規模:1課題当たり3,000千円〜20,000千円程度(1年当たりの研究費)

研究期間:3年(中間評価の結果如何によっては研究の継続不可となる場合がある。)

新規採択予定課題数:1課題程度

<公募研究課題>

【一般公募型】

疾患別患者背景及び処方・診療実態データベースを構築するための仕様等の作成に関する研究                           (21130101)

<医療技術実用化総合研究事業全体の留意点>

ア.目標を明確にするため、研究計画書の「9.期待される成果」に、当該研究により期待される科学的成果及び当該成果によりもたらされる学術的・社会的・経済的メリットを具体的に記載すること。また、「10.研究計画・方法」に、年度ごとの計画及び達成目標を記載するとともに、実際の医療等への応用に至る過程を含めた研究全体の具体的なロードマップを示した資料を添付すること(様式自由)。

なお、研究課題の採択に当たっては、これらの記載事項を重視するとともに、中間評価及び事後評価においては、研究計画の達成度を厳格に評価する。その達成度(未達成の場合にはその理由、計画の練り直し案)如何によっては、研究の継続が不可となる場合もあり得ることに留意すること。

イ.倫理的妥当性を確保する観点

・各府省が定める法律・省令・倫理指針等を遵守し、適切に研究を実施すること。

・特に、研究計画において、妥当なプロトコールが作成され、臨床研究に関する倫理指針等(II応募に関する諸条件等(4)応募に当たっての留意事項エ.研究計画策定に当たっての研究倫理に関する留意点参照)に規定する倫理審査委員会の承認が得られている(又はその見込みである)こと。各倫理指針等に基づき、あらかじめ、研究の内容、費用及び補償の有無等について患者又は家族に説明又は情報公開等し、必要に応じて文書等により同意を得ていること。

・ 介入を行う臨床研究であって、侵襲性を有するものを実施する場合には、臨床研究に関する倫理指針の規定に基づき、あらかじめ、登録された臨床研究計画の内容が公開されているデータベースに当該研究に係る臨床研究計画を登録すること。なお、事業実績報告書の提出時に、登録の有無を記載した報告書(様式自由)を別に添付すること。

4.子ども家庭総合研究事業

(1)子ども家庭総合研究事業

<事業概要>

「子どもが健康に育つ社会、子どもを生み、育てることに喜びを感じることができる社会」  の実現のために、次世代を担う子どもの健全育成と、女性の健康の支援に資する研究について募集を行う。

<新規課題採択方針>

晩婚化、少子化、分娩取扱医療機関の減少など、近年の社会環境を踏まえ、当面、厚生労働行政において迅速に解決しなければならない母子保健領域の諸課題の解決のための新たな行政施策の企画と推進のために応用が可能な研究を採択する。

なお、より短期間で成果を得られる研究を優先して採択する。

研究費の規模:1課題当たり10,000千円〜40,000千円程度(1年当たりの研究費)

研究期間:1〜3年

新規採択予定課題数:6課題程度

<公募研究課題>

【一般公募型】

(1)妊産婦死亡及び乳幼児死亡の原因究明と予防策に関する研究   (21140101)
(留意点)

わが国の母子保健は世界最高水準に達しているものの、妊産婦死亡率や乳幼児死亡率等は更に改善の余地があるとされている。このため、周産期医療関連科、麻酔科、救急救命、脳神経 外科、病理学、法医学等の関連分野の連携のもとに、妊産婦死亡及び乳幼児死亡の原因の究明 及び予防策の構築を目的とする。

(2)地域における周産期医療システムの充実のための研究 (21140201)
(留意点)

各都道府県において、周産期医療ネットワークの構築が進められてきたが、近年、分娩を取 扱う医療機関の減少が社会問題化する中で、安全・安心なお産環境を確保することが重要な政 策課題となっている。このため、地域における周産期医療に関連する病院、診療所及び助産所の連携を強化し、また、人的資源等を有効に活用し、地域の実情に応じた周産期医療システム の充実のための政策提言を目的とする。

(3)ライフスタイルの変化に伴う妊娠希望時の妊孕性減弱に対する病態解明、新規診断法と治療法の開発のための研究 (21140301)
(留意点)

近年、妊娠を希望する夫婦の妊孕性は希望時期の高齢化や種々の婦人科または他科疾患の合併により著しく減弱している。妊孕性減弱の病態を解明し、新たな診断法・治療法の開発を目的とする。

(4)少子化時代における望まない妊娠の防止とメンタルサポートに関する研究 (21140401)
(留意点)

人工妊娠中絶の実態把握のための全国規模の調査を実施し、その結果を踏まえ、効果的な避 妊教育の実践、確実な避妊法の提供のあり方について検討するとともに、わが国の中絶観の社 会的・文化的背景を調査した上で、やむを得ず中絶を経験した女性に対するメンタルサポートの充実を図ることを目的とする。

(5)健やか親子21を推進するための母子保健情報の利活用に関する研究       (21140501)
(留意点)

母子保健分野に関する国民運動計画である「健やか親子21」の推進のための効果的かつ具 体的方策を、主に情報基盤の整備及び政策立案への応用という観点から提示することを目的とする。

(6)緊急に実態を把握し対策を講じるべき母子保健に関する研究 (21140601)
(留意点)

上記(1)〜(5)以外の課題であって、緊急に対応すべき母子保健に関する研究であること。課題の採択に際して、研究としての重要性、公衆衛生的・臨床的意義、他研究との重複の有無などを評価する。

<研究計画書を作成する際の留意点>

ア.目標を明確にするため、研究計画書の「9.期待される成果」に、当該研究により期待される科学的成果及び当該成果によりもたらされる学術的・社会的・経済的メリットを具体的に記載すること。また、「10.研究計画・方法」に、年度ごとの計画及び達成目標を記載するとともに、実際の医療等への応用に至る行程を含めた研究全体の具体的なロードマップを示した資料を添付すること(様式自由)。

なお、研究課題の採択に当たっては、これら記載事項を重視するとともに、中間評価及び事後評価においては、研究計画の達成度を厳格に評価する。その達成度(未達成の場合にはその理由、計画の練り直し案)如何によっては、研究の継続が不可となる場合もあり得ることに留意すること。

イ.倫理的妥当性を確保する観点

・各府省が定める法律・省令・倫理指針等を遵守し、適切に研究を実施すること。

・特に、研究計画において、妥当なプロトコールが作成され、臨床研究倫理指針等(II応募に関する諸条件等(4)応募に当たっての留意事項エ.研究計画策定に当たっての研究倫理に関する留意点参照。)に規定する倫理審査委員会の承認が得られている(又はその見込みである)こと。各倫理指針等に基づき、あらかじめ、研究の内容、費用及び補償の有無等について患者又は家族に説明又は情報公開等し、必要に応じて文書等により同意を得ていること。

また、モニタリング・監査・データマネジメント等を含めた研究体制や、安全性及び倫理的妥当性を確保する体制について添付し提出すること。

・介入を行う臨床研究であって、侵襲性を有するものを実施する場合には、臨床研究に関する倫理指針の規定に基づき、あらかじめ、登録された臨床研究計画の内容が公開されているデータベースに当該研究に係る臨床研究計画を登録すること。なお、事業実施報告書の提出時に、登録の有無を記載した報告書(様式自由)を別に添付すること。

5.第3次対がん総合戦略研究事業

<事業概要>

がんは我が国の死亡原因の第1位であり、国民の生命及び健康にとって重大な問題になっている。がんの罹患率と死亡率の激減を目指した「第3次対がん10か年総合戦略」(*1)が策定されたことを受け、平成16年度から開始した本研究事業では、がんの本態解明の研究とその成果を幅広く応用するトランスレーショナル・リサーチの推進、がん医療水準の均てん化を目的とした効果的な治療法の確立、緩和ケア等の療養生活の質の維持向上に関する研究、がんの実態把握とがん情報の発信に関する研究及び均てん化を促進する体制整備等の政策課題に関する研究に取り組んでいるところである。

第3期科学技術基本計画(戦略重点科学技術(*2))において、がんに関する研究は戦略重点科学技術の一つである「標的治療等の革新的がん医療技術」に選定され、「がんの予防・診断・治療技術の向上」、「標準的治療法の確立」及び「がん医療水準の均てん化」を強力に推進することとされている。平成18年6月に「がん対策基本法」(*3)が成立し、がん対策を総合的かつ計画的に推進するための基本理念として、がんに関する研究の推進が定められ、基本的施策として、「がんの本態解明、革新的ながんの予防、診断及び治療に関する方法の開発その他のがんの罹患率及びがんによる死亡率の低下に資する事項についての研究」を促進していくことが求められている。平成19年6月、政府が、がん対策基本法に基づき策定した「がん対策推進基本計画」(*4)では、がん患者を含めた国民の視点に立ったがん対策の実施が求められており、がんによる死亡者の減少、がん患者及びその家族の苦痛の軽減並びに療養生活の維持向上を実現するためのがん対策に資する研究をより一層推進していくことを目標とすることが掲げられ、本研究事業ではこれらに資する研究を推進していく。

(*1) 第3次対がん10か年総合戦略
https://www.mhlw.go.jp/houdou/2003/07/h0725-3.html

(*2) 総合科学技術会議(第53回)配付資料 分野別推進戦略
http://www8.cao.go.jp/cstp/siryo/haihu53/siryo2-2-1.pdf

(*3) がん対策基本法
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/gan03/pdf/1-2.pdf

(*4) がん対策推進基本計画
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/06/dl/s0615-1a.pdf

(1)第3次対がん総合戦略研究事業

<事業概要>

がんの罹患率と死亡率の激減を目指した「第3次対がん10か年総合戦略」に基づく本研究事業は、がんの本態解明の研究やその成果を幅広く応用するトランスレーショナル・リサーチ、また、革新的な予防、診断、治療法の開発を推進することを目的としたものであり、7つの重点研究分野を定め、研究を推進することとしている。

特に、今後の研究事業については、「がん対策基本法」の成立及び「がん対策推進基本計画」の策定を踏まえるとともに、第3期科学技術基本計画における分野別推進戦略の戦略重点科学技術に盛り込まれた「標的治療等の革新的がん医療技術」をも踏まえ、研究を進める。

平成21年度は7分野のうち、以下の分野について新規課題を募集する。(一般公募型)

【研究分野2】がんの臨床的特性の分子基盤に関する研究

浸潤能・転移能・血管新生能などのがんの個性を規定する分子機構や、遺伝学的背景・がんに対する応答などの宿主の個性の解明に基づき、治療反応性等の予測による個々の症例に最も 適したがん診療法を確立し、新しい標準的治療の開発につなげる。

<公募研究課題>

(1)幹細胞制御によるがん治療法開発のための基盤研究      (21150101)

<新規課題採択方針>

がん幹細胞の生物学的特徴の解明や、がんで失った臓器を様々な幹細胞で再生する基盤技術を開発することで、幹細胞の制御をもとにした新たながん治療法の創出につなげる研究を採択する。

研究費の規模:1課題当たり50,000千円程度(1年当たりの研究費)

研究期間  :3年

新規採択予定課題数:1課題程度

【研究分野3】革新的ながん予防法の開発に関する研究

化学予防方法の確立、発がんに関与するウイルスに対するワクチンや持続感染阻害剤の開発、効果的な禁煙支援方法の開発、ハイリスクグループに対する予防・早期発見の手法の開発などにより、我が国のがん罹患率の減少を目指す。

<公募研究課題>

(1)生活習慣とがん予防に関する研究               (21150201)

<新規課題採択方針>

日本人にとって最適ながん予防の方法を探索するために、国内の代表的な疫学研究に基づいた科学的証拠を整理し、メタアナリシス等の手法で解析することにより、日本人における生活習慣のがんへの影響の大きさを推計し、影響度を数値として示していく研究を採択する。

研究費の規模:1課題当たり50,000千円〜80,000千円程度(1年当たりの研究費)

研究期間  :3年

新規採択予定課題数:1課題程度

(2)その他、がん予防に資する重要な研究             (21150301)

<新規課題採択方針>

研究分野3の目的に則した、革新的ながん予防法の開発に資する研究を採択する。

研究費の規模:1課題当たり30,000千円〜50,000千円程度(1年当たりの研究費)

研究期間  :3年

新規採択予定課題数:1課題程度

【研究分野4】革新的な診断技術の開発に関する研究

コンピューター技術を活用した新しい医療機器の開発及びこれらを利用した新しい診断方法 の開発、革新的技術を活用したがん検診方法の開発など、がん検診・がん診断の精度・効率の 飛躍的向上を目指す。

<公募研究課題>

(1)標準的検診法と精度管理に係る新たなシステムなどの開発に関する研究                                  (21150401)

<新規課題採択方針>

がん検診について実態を把握及び分析し、がん検診の標準的手法を確立するための研究を行う。また、検診のデータの集積、精度管理のためのシステムや管理方法など、検診の精度管理を行うために必要な研究を採択する。

研究費の規模:1課題当たり30,000千円〜50,000千円程度(1年当たりの研究費)

研究期間  :3年

新規採択予定課題数:1課題程度

(2)がん検診に有用な腫瘍マーカーの開発に関する研究       (21150501)

<新規課題採択方針>

精密ながん検診を行うべき症例を効率良く絞るプレスクリーニングに使用できる血清・血漿の新規腫瘍マーカーを開発することを目的とし、がん罹患患者や対照者の臨床検体を用いて、質量分析やリバースアレイなどの先端的なゲノム・プロテオームの解析技術にて新たなマーカー分子の探索・検証を行う研究を採択する。

研究費の規模:1課題当たり50,000千円〜80,000千円程度(1年当たりの研究費)

研究期間  :3年

新規採択予定課題数:1課題程度

(3)その他、革新的な診断技術の開発に資する重要な研究      (21150601)

<新規課題採択方針>

研究分野4の目的に則した、革新的な診断技術の開発に資する研究を採択する。

研究費の規模:1課題当たり30,000千円〜50,000千円程度(1年当たりの研究費)

研究期間  :3年

採択予定課題数:1課題程度

【研究分野5】革新的な治療法の開発に関する研究

高度な技術を応用した革新的な治療法、がんの免疫・遺伝子・細胞療法や治療分子標的の同定によるテーラーメイド医療の確立などにより、がん治療成績の飛躍的向上を目指す。

<公募研究課題>

(1)高齢者に適したがん治療のアルゴリズムの開発に関する研究   (21150701)

<新規課題採択方針>

高齢者のがん患者は増加しており、高齢者に適したがんの治療法の開発が求められている。また、高齢者は、個人により治療に対する予備能力の差も著しいことから、個人の特性を客観的に把握する方法の開発も必要である。高齢者の特性や個人の特性を踏まえた客観的指標によるリスク分類を行い、高齢者のがん患者に対する治療のアルゴリズムの開発を行う研究を採択する。

研究費の規模:1課題当たり30,000千円〜50,000千円程度(1年当たりの研究費)

研究期間  :3年

採択予定課題数:1課題程度

【研究分野6】がん患者のQOLに関する研究

QOLへの障害を最小化した根治的がん治療体系の構築、再生医学を応用した治療後の機能再生 法の開発、リハビリテーション並びに患者支援プログラムの開発、Cancer survivorに対する医 療資源の整備などにより、がん患者のQOLの飛躍的向上を目指す。

<公募研究課題>

(1)がん性疼痛等に関する生理学的機構を踏まえた新たな治療法の開発(21150801)

<新規課題採択方針>

がん患者のQOLの向上を図る上で、緩和ケアの果たすべき役割は大きく、がん対策推進基本計画においても、重点的に取り組むべき課題の一つに位置付けられている。緩和ケアをより一層推進していくために、緩和ケアに関する新たな治療法の開発が求められている。がん患者のQOLを著しく低下させるがん性疼痛等について生理学的機構を踏まえた新たな治療法の開発など、緩和ケアの推進に資する研究を採択する。

研究費の規模:1課題当たり50,000千円〜80,000千円程度(1年当たりの研究費)

研究期間:3年

採択予定課題数:1課題程度

【研究分野7】がんの実態把握とがん情報の発信に関する研究

標準化された院内がん登録・地域がん登録システムの普及を図り、全国レベルでのがん死亡・罹患情報の一元管理につなげ、迅速で的確な動向分析体制の構築を目指す。

また、がん医療に関する必要な情報の収集やその有効な提供方法などの研究を行い、国民の がん医療に関する情報不足感の解消を目指す。

<公募研究課題>

(1)がん罹患・死亡動向の実態把握に関する研究          (21150901)

<新規課題採択方針>

わが国における地域がん登録の標準的機能、人材・システムについて検討し、がん登録の精度向上に資する登録手順や要件の整備及び標準化についての研究を行い、全国推計のがん罹患・死亡動向の実態把握の基盤となる研究を採択する。

研究費の規模:1課題当たり50,000千円〜100,000千円程度(1年当たりの研究費)

研究期間:3年

採択予定課題数:1課題程度

(2)日中間におけるがんの予防・検診・診断・治療の向上のための調査研究                                  (21151001)

<新規課題採択方針>

日中間のがん統計比較のための標準化についての研究、環境発がん物質、感染症等の発がん要因調査、がん予防に向けた疫学調査等の国際共同研究を視野に入れた基盤的及び応用的研究を採択する。

研究費の規模:1課題当たり30,000千円〜50,000千円程度(1年当たりの研究費)

研究期間  :3年

採択予定課題数:1課題程度

(3)その他、がんの実態把握とがん情報の発信に関する研究     (21151101)

<新規課題採択方針>

研究分野7の目的に則した、がんの実態把握とがん情報の発信に資する研究を採択する。

研究費の規模:1課題当たり30,000千円〜50,000千円程度(1年当たりの研究費)

研究期間:3年

採択予定課題数:1課題程度

<研究計画書を作成する際の留意点>

研究計画書の提出に当たり、以下の点に留意すること。

ア.「9.期待される成果」に、当該研究により期待される科学的成果及び当該成果によりもたらされる学術的・社会的(国民への成果の還元を含む)・経済的メリットを具体的に記載すること。

イ.「10.研究計画・方法」に、年度ごとの計画及び達成目標を記載するとともに、実際の医療等への応用に至る工程を含めた研究全体の具体的なロードマップを示した資料を添付すること(様式自由)。

ウ.各府省が定める法律・省令・倫理指針等を遵守し、適切に研究を実施すること。

エ.特に、研究計画において、妥当なプロトコールが作成され、臨床研究倫理指針等(II応募に関する諸条件等(4)応募に当たっての留意事項エ.研究計画策定に当たっての研究倫理に関する留意点参照)に規定する倫理審査委員会の承認が得られている(又はその見込みである)こと。各倫理指針等に基づき、あらかじめ、研究の内容、費用及び補償の有無等について患者又は家族に説明又は情報公開等し、文書等により同意を得ていること。

また、モニタリング・監査・データマネジメント等を含めた研究体制や、安全性及び倫理的妥当性を確保する体制について添付し提出すること。

オ.介入を行う臨床研究であって、侵襲性を有するものを実施する場合には、臨床研究に関する倫理指針の規定に基づき、あらかじめ、登録された臨床研究計画の内容が公開されているデータベースに当該研究に係る臨床研究計画を登録すること。なお、事業実績報告書の提出時に、登録の有無を記載した報告書(様式自由)を別に添付すること。

(2)がん臨床研究事業

<事業概要>

「分野1 主に政策分野に関する研究」においては、全国的に質の高いがん医療水準の均てん化を推進することを目標に、がん医療に関する提供体制の整備や診療連携機能の促進、がん患者やその家族の療養の質の維持向上等の政策課題に直結する研究について推進していく。

特に、今後の研究事業については、「がん対策基本法」の成立及び「がん対策推進基本計画」の策定を踏まえた研究を進める。

「分野2 診断・治療分野に関する研究」においては、我が国におけるエビデンスの確立に資するような、必要な症例数の集積が可能な体制で実施される多施設共同研究を優先的に採択し、転移・再発・進行がん等、難治性のがんを含めたがんの標準的治療法、及び延命効果やがん患者の療養の質を向上させる効果的治療法の開発等を推進する研究を取り扱う。

特に、今後の研究事業については、「がん対策基本法」の成立及び「がん対策推進基本計画」の策定を踏まえるとともに、第3期科学技術基本計画における分野別推進戦略の戦略重点科学技術に盛り込まれた「標的治療等の革新的がん医療技術」をも踏まえた研究を進める。

研究費の規模:
【一般公募型】1課題当たり10,000千円〜30,000千円程度(1年当たりの研究費)

※ただし、分野1ー(1)については100,000千円〜150,000千円程度
分野2−(3)については 50,000千円〜100,000千円程度

【若手育成型】1課題当たり10,000千円〜20,000千円程度(1年当たりの研究費)

研究期間:1〜3年

新規採択予定課題数:
【一般公募型】15〜25課題程度
【若手育成型】2課題程度

若手育成型の応募対象

平成21年4月1日現在で満39歳以下の者(昭和44年4月2日以降に生まれた者)

※新規採択時にのみ本条件を適用する。

※満年齢の算定は誕生日の前日に1歳加算する方法とする。

※産前・産後休業及び育児休業を取った者は、その日数を応募資格の制限日に加算することができる。

<公募研究課題>

【一般公募型】

分野1 主に政策分野に関する研究

(1) 悪性胸膜中皮腫の病態の把握、診断法と治療法の確立、登録システムの開発に関する研究                           (21160101)

<新規課題採択方針>

悪性胸膜中皮腫については、病態を含め診断法と治療法が十分に確立していない。悪性胸膜中皮腫について前向きに症例を集積するシステムを開発するとともに、悪性胸膜中皮腫の発生頻度や分布についても調査を行い、悪性胸膜中皮腫の病態の把握、診断法と治療法の確立に資する研究を採択する。

(2) 自治体が行っているがん対策関連施策の調査に関する研究  (21160201)

<新規課題採択方針>

都道府県は、がん対策推進基本計画を基本とするとともに、当該都道府県におけるがん患者に対するがん医療の提供の状況等を踏まえ、都道府県がん対策推進計画を策定し、地域の状況に応じたがん対策を進めていくことが求められている。各自治体で策定されている計画について調査を行い、その内容を分析するとともに、がん対策を推進していく上での資料となり得る成果を出せる研究を採択する。

(3) 相談内容の分析等を踏まえた相談支援センターのあり方に関する研究                                  (21160301)

<新規課題採択方針>

がん診療連携拠点病院においては、患者及びその家族のがんに対する不安や疑問に適切に対応するための相談窓口として、相談支援センターを設置し、電話やファックス、面接によ  る相談に対応している。相談支援センターの現状について、相談内容の分析や相談者の満足度等の調査を行い、相談支援センターのあり方について検討する研究を採択する。

(4) 医療機関におけるがん診療の質を評価する指標の開発とその計測システムの確立に関する研究                         (21160401)

<新規課題採択方針>

がん対策を推進していく上で、がん診療連携拠点病院をはじめとしたがん診療を担う医療機関の診療の質を評価し、その結果が、がん対策の施策へフィードバックされていくシステムを確立していくことが求められている。計測の実施可能性を十分に検討した上で、医療機関のがん診療の質を評価する指標を開発するとともに、実際に実施し、がん医療の均てん化を推進していく上での資料となり得る成果を出せる研究を採択する。

(5) バーチャルスライドシステムを用いたがんの病理診断支援のあり方に関する研究                            (21160501)

<新規課題採択方針>

がん医療の均てん化を推進していく上で、病理診断の高い水準での均てん化を進めていくことが重要である。そのためには、がん診療を行う各医療機関間において、病理診断支援の体制を整備していくことが不可欠であり、バーチャルスライドシステムを活用した連携体制の構築が期待されている。バーチャルスライドシステムを利用した病理診断支援体制のあり方について検討するとともに、診療や研修等における様々なバーチャルスライドの活用方法の検討を行う研究を採択する。

(6) がん患者に対する緩和ケアの提供体制を踏まえた在宅療養への移行に関するバリアの分析とその解決策に関する研究               (21160601)

<新規課題採択方針>

がん対策推進基本計画において、がん患者とその家族が可能な限り質の高い療養生活を送れるようにするために、緩和ケアが、がんの診断、治療、在宅医療など様々な場面において切れ目なく実施されることが求められている。また、緩和ケア病棟については、一般病棟や在宅では対応困難な症状緩和、在宅療養の支援及び終末期のケア等の機能をバランス良く持つことが期待されている。がん診療を行っている医療機関、緩和ケア病棟、在宅等で実施されている緩和ケアの提供体制について調査を行い、その内容を分析するとともに、入院しているがん患者が在宅療養へ移行するに当たってのバリアについて分析し、その解決策について検討を行う研究を採択する。

(7) 手術療法や他の放射線治療等との比較による粒子線治療の有効性の評価及び費用対効果に関する研究                      (21160701)

<新規課題採択方針>

粒子線治療は、がんの種類や部位によっては、従来の治療法より効果的で安全な治療となることが期待されているが、粒子線治療が手術療法や他の放射線治療と比較しどれほど有効なのか、どのようながんに適応すべきなのか等について根拠に基づいた検討は十分になされておらず、粒子線治療が絶対的な適応となるがんについては明らかになっていない。また、他の治療法と比較した費用対効果も明らかになっていない。粒子線治療と他の手術や放射線治療等との適応の比較など科学的視点及び経済的視点で検討を行う研究を採択する。また、当該研究班は、粒子線治療について客観的に評価を行う体制を整備し、標準的な手術療法及び放射線療法の専門家等がん診療に関わる多様な専門家を加えた上で、粒子線治療を実施している当事者のみで構成されることがないようにすること。

(8) がん医療においてメディアが国民に対して与える影響とがん患者の受療行動に関する研究                           (21160801)

<新規課題採択方針>

がんは、我が国の死因の第1位であり「国民病」であると呼んでも過言ではなく、国民にとっては、がんは他人事ではない身近なものである。がん患者を含めた国民は、がんに関する様々な情報に触れ、がん医療に対して期待や希望を寄せる一方で、実際に提供されるサービスに必ずしも満足できていない。一般の国民が、がんの知識の多くをマスメディアから得  ていることを踏まえ、がんについてマスメディアを含むメディアが国民に与える影響の調査及びがん患者の受療行動の分析等により、がんに関する正しい情報提供のあり方について検討するとともに、がん患者を含めた国民の視点に立ったがん対策の推進に資する研究を採択する。

(9) その他がん対策推進基本計画に記載されている事項に係る必要な研究                                  (21160901)

<新規課題採択方針>

平成19年6月に策定された「がん対策推進基本計画」に基づき、がん対策の更なる推進  に資する研究を採択する。

分野2 主に診断・治療分野に関する研究
(1) 進行又は再発がんに対する標準治療・診断確立のための研究 (21161001)

<新規課題採択方針>

主として外科切除や放射線治療により根治が見込めない進行度の成人固形がんに対する集学的治療の開発を目的とする研究を採択する。造血器腫瘍に対する標準治療開発も対象とする。原則として、第III相試験(ランダム化比較試験)の計画を優先的に採択する。治療法の選択、早期診断等の治療成績の向上に役立つ新規診断手法・マーカーの開発も含めている計画を優先的に採択する。また、若手研究者振興の観点から若手研究者を研究分担者として加えた計画を採択する。

(2) 早期又は根治が見込めるがんに対する標準治療・診断確立のための研究                                  (21161101)

<新規課題採択方針>

主として外科切除や放射線治療により根治が期待できる進行度の成人固形がんに対して、より根治性を高める、若しくはより低侵襲となることが期待できる治療の開発を目的とする研究を採択する。造血器腫瘍に対する標準治療開発も対象とする。原則として、第III相試験(ランダム化比較試験)の計画を優先的に採択する。手術手技の開発研究は本課題にて応募すること。治療法の選択、早期診断等の治療成績の向上に役立つ新規診断手法・マーカーの開発も含めている計画を優先的に採択する。また、若手研究者振興の観点から若手研究者を研究分担者として加えた計画を採択する。

(3) がん領域における薬剤のエビデンスの確立に関する研究   (21161201)

<新規課題採択方針>

諸外国で標準的な治療でありながら我が国では導入されていないがん領域における薬剤の効能等の追加の開発につながる臨床研究を採択する。研究計画書の作成に当たっては、あらかじめ諸外国における当該効能等についての安全性・有効性等に係るエビデンスが十分であることを確認すること。また、モニタリング・監査・データマネージメント等を含めた研究体制や、安全性及び倫理的妥当性を確保する体制について添付し提出すること。

また、研究計画において、妥当なプロトコールが作成され、臨床研究に関する倫理指針等(II応募に関する諸条件等(4)応募に当たっての留意事項、エ.研究計画策定に当たっての研究倫理に関する留意点参照)に規定する院内の倫理審査委員会の承認が得られている(又はその見込みである)こと。あらかじめ、研究の内容、費用及び補償の内容等について患者又は家族に説明し文書により同意を得ていること。

【若手育成型】

分野1 主に政策分野に関する研究
(1) がん患者及びその家族や遺族の抱える精神心理的負担によるQOLへの影響を踏まえた精神心理的ケアに関する研究                (21161301)

<新規課題採択方針>

がん対策推進基本計画において、治療の初期段階からの緩和ケアの実施を推進していくことが、がん対策を進めていくうえでの重点的に取り組むべき課題の一つとして定められており、身体的な苦痛に対する緩和ケアだけではなく、精神心理的な苦痛に対する精神心理的なケア等を含めて緩和ケアを推進していくことが求められている。また、がん患者と同様にその家族も苦痛を抱えており、がん患者のみならず、その家族に対しても適切な精神心理的なケアが実施されることが求められている。がん患者とその家族のQOLの維持向上を図ることを目的に、科学的視点に基づいたがん患者とその家族への適切な精神心理的なケアのあり方について諸外国の状況などを踏まえて検討する研究を採択する。

(2)がん対策推進基本計画に記載されている事項に係る必要な研究 (21161401)

<新規課題採択方針>

平成19年6月に策定された「がん対策推進基本計画」に基づき、がん対策の更なる推進に資する研究を採択する。

<研究計画書を作成する際の留意点>

研究計画書の提出に当たり、以下の点に留意すること。

ア.平成20年度で終了する本研究事業の研究班に参加している研究者が今回の申請を行うに当たっては、同じ研究班で申請を行う場合に限り、研究班がこれまでに出した研究成果を明確に記し、それを踏まえた研究計画についても記載すること。また、当初計画していた達成目標を示したうえで、その達成度についても明示すること(様式自由)。

イ.目標を明確にするため、研究計画書の「9.期待される成果」に、当該研究により期待される科学的成果及び当該成果によりもたらされる学術的・社会的・経済的メリットを具体的に記載すること。また、「10.研究計画・方法」に、年度ごとの計画及び達成目標を記載するとともに、実際の医療等への応用に至る工程を含めた研究全体の具体的なロードマップを示した資料を添付すること(様式自由)。

なお、研究課題の採択に当たっては、これらの記載事項を重視するとともに、中間評価及び事後評価においては、研究計画の達成度を厳格に評価する。その達成度(未達成の場合にはその理由、計画の練り直し案)如何によっては、研究の継続が不可となる場合もあり得ることに留意すること。

ウ.各府省が定める法律・省令・倫理指針等を遵守し、適切に研究を実施すること。

エ.特に、研究計画において、妥当なプロトコールが作成され、臨床研究倫理指針等(II応募に関する諸条件等(4)応募に当たっての留意事項エ.研究計画策定に当たっての研究倫理に関する留意点参照。)に規定する倫理審査委員会の承認が得られている(又はその見込みである)こと。各倫理指針等に基づき、あらかじめ、研究の内容、費用及び補償の有無等について患者又は家族に説明又は情報公開等し、必要に応じて文書等により同意を得ていること。

また、モニタリング・監査・データマネジメント等を含めた研究体制や、安全性及び倫理的妥当性を確保する体制について添付し提出すること。

オ.介入を行う臨床研究であって、侵襲性を有するものを実施する場合には、臨床研究に関する倫理指針の規定に基づき、あらかじめ、登録された臨床研究計画の内容が公開されているデータベースに当該研究に係る臨床研究計画を登録すること。なお、事業実績報告書の提出時に、登録の有無を記載した報告書(様式自由)を別に添付すること。

6.生活習慣病・難治性疾患克服総合研究事業(仮称)

(1)循環器疾患等生活習慣病対策総合研究事業

<事業概要>

循環器疾患等の生活習慣病対策は我が国における重要な課題であり、平成20年度から実 施される医療制度改革における柱の一つとして、予防を重視した生活習慣病対策が位置付け られていることから、施策の更なる推進のための研究成果が求められている。

本研究事業においては、循環器疾患等の生活習慣病の予防から診断、治療に至るまで生活 習慣病対策に関する研究を体系的に実施している。平成21年度の新規研究においては今後 の生活習慣病対策の推進に必要なエビデンスを構築すべく、[1]健康づくり分野、[2]健診 ・保健指導分野、[3]循環器疾患分野、及び糖尿病戦略等研究の各分野において一般公募を 行うとともに、若手研究者の参入を促進するために「若手育成型」の研究を公募する。

<新規課題採択方針>

平成21年度の新規研究は、医療構造改革に掲げられた政策目標である生活習慣病有病者・予備群の25%削減の実現、健康日本21のさらなる推進に向けた、実践的な指針の作成や診療ガイドライン等の策定につながる日本人における新たなエビデンスの構築に資するものを優先的に取り扱う。

平成20年度から実施されているメタボリックシンドロームに着目した特定健康診査・特定保健指導の実施状況を踏まえ、今後の施策に活用可能な研究成果を得られる研究課題を優先的に採択することとする。

疫学的研究については、疫学・生物統計学の専門家の関与を要件とするとともに、長期的な観点からエビデンスの構築を図る研究、臨床研究については多施設共同研究等の日本人における新たなエビデンスの構築につながるものを優先し、研究計画のロードマップ等を審査の上、必要と認めた場合には研究期間の上限を5年間とする。

なお、研究期間が5年となった場合においても、研究評価については、従前のとおり厚生労働省の科学研究開発評価に関する指針に準じて実施するものとする。

若手育成型の応募対象

平成21年4月1日現在で満39歳以下の者(昭和44年4月2日以降に生まれた者)

※新規採択時にのみ本条件を適用する。

※満年齢の算定は誕生日の前日に1歳加算する方法とする。

※産前・産後休業及び育児休業を取った者は、その日数を応募資格の制限日に加算することができる。

<公募研究課題>

(ア)循環器疾患等生活習慣病対策総合研究事業

生活習慣病対策においては、食生活、運動習慣、禁煙などの生活習慣を改善することによ  る生活習慣病の予防が重要である。以下に新規課題及び採択に当たっての留意点を列挙する。

【一般公募型】
(健康づくり分野)

研究の規模:1課題当たり
[1]〜[7]  5,000千円〜10,000千円程度(1年当たりの研究費)
[8]〜[9] 10,000千円〜20,000千円程度(1年当たりの研究費)
[10]    20,000千円〜30,000千円程度(1年当たりの研究費)

研究期間:1〜3年(疫学的研究については、最長5年程度)
※喫緊の行政課題に関する研究については可能な限り短期間であることが望ましい。

新規採択予定課題数:10課題程度
※以下に示す公募研究課題については、事前評価の結果により採択を行わない、又は複数の課題を選択することがある。

[1]健康寿命の年次推移、地域分布と関連要因の評価に関する研究  (21170101)

健康寿命の年次推移と地域分布を評価するとともに、関連要因についてミクロとマクロの両面から検討を行い、都道府県健康増進計画の中間評価に資することを目的とした研究であること。

[2]温泉利用が健康づくりに与える影響についてのエビデンスに関する研究                                  (21170201)

健康増進のための温泉利用及び運動を安全かつ適切に実施できる施設である、温泉利用型健康増進施設の活用等についての検討も含めた研究であること。

[3]離島・農村地域における効果的な生活習慣病対策に関する研究  (21170301)

地域、コミュニティーの特性を踏まえ、現在あるリソース等を有効に生かす方法についての研究であること。

[4]女性における将来の生活習慣病発症ハイリスク群の効果的な選定と予防に関する研究                                  (21170401)

妊娠中のイベントと生活習慣病の発症リスクの関連性を明らかにするなど、大規模コホート等に基づき、女性の生活習慣病の発症リスクを評価し、その発症を予防することに資する研究を優先する。

[5]ライフステージに応じた女性の健康状態に関する疫学的研究   (21170501)

女性の健康課題として、若年期のやせ、更年期障害、子宮摘出などの発生頻度について疫学的な調査を含めた研究であること。

[6]生活習慣病予防のための運動を阻害する要因とその原因別の対策に関する研究                                  (21170601)

生活習慣病の予防に重要な運動について、これまで運動を阻害する要因については十分には分析されていないことから、阻害要因ごとにどのような対策が必要なのかを明確にする必要がある。このため、日本における疫学データと文献レビューにより、生活習慣病予防のための運動を阻害する要因とその要因ごとの対策を検討することを目的とした研究であること。

[7]ライフステージや性差に応じて健全な口腔を維持するための介入方法に関する研究                                  (21170701)

小児期から若年期、壮年期までの各ライフステージにおいて、う蝕や歯周病を予防するための歯科的介入方法とその体制づくりに関して検討する研究とし、検討課題にはフッ化物の応用についても含めた研究であること。なお、血液や唾液等によるリスク診断の検討ではなく、セルフケア及びプロフェッショナルケアといった介入の在り方を検討する研究が望ましい。

[8]エネルギー必要量推定法に関する基盤的研究          (21170801)

「日本人の食事摂取基準」を5年ごとに改定しており、次回改定に向けたエネルギー必要量の検討に資する研究であること。

[9]日本人の生活習慣病の一次予防に必要な運動基準策定を目的とした大規模介入研究                                  (21170901)

「健康づくりのための運動指針2006(エクササイズガイド2006)」で示した、生活習慣病を予防するための身体活動量・運動量及び体力の基準値等を基に、生活習慣病への罹患率や危険因子に対し、具体的な介入とその評価、並びに施策へ繋がるような提言を行える研究であること。同様の研究に関するフィールドを持っており、一定の成果を得ている前向き研究を優先的に採択する。

[10]健康増進の推進に関する調査及び評価手法等に関する研究    (21171001)

都道府県健康増進計画等の策定、改定及び評価には、各自治体において健康・栄養調査等を実施し実態を把握する必要がある。このため、調査等への協力率を上げる観点から、簡便かつ従来と整合性のある食事調査手法等の開発、精度管理、都道府県単位でデータを評価するための各種モニタリング指標、その把握方法及びデータの活用等の検討に資する研究であること。

(健診・保健指導分野)

平成20年度から実施されている特定健康診査・特定保健指導は医療制度改革における予防を重視した生活習慣病対策の柱であり、その効果的な実施のための研究成果が求められている。平成21年度の新規課題の採択においては、特定健康診査・特定保健指導の実施状況を踏まえた研究を優先する。以下に新規課題及び採択に当たっての留意点を列挙する。

なお、中・長期的な大規模データ分析が可能となるようデータマネジメントを行うことのできる機関と連携した研究体制を構築することが望ましい。

研究の規模:1課題当たり
[1]、[2]  5,000千円〜10,000千円程度(1年当たりの研究費)
[3]    10,000千円〜15,000千円程度(1年当たりの研究費)

研究期間:1〜3年(疫学的研究については、最長5年)
※喫緊の行政課題に関する研究については可能な限り短期間であることが望ましい。

新規採択予定課題数:3課題程度
※以下に示す公募研究課題については、事前評価の結果により採択を行わない、又は複数の課題を選択することがある。

[1]健診の精度管理の在り方に関する研究             (21171101)

平成20年4月から医療保険者が実施する特定健康診査・特定保健指導の情報について、適切な精度管理の実施が義務付けられるなど、健康診査の標準化のための取組が行われているところ。特定健康診査・特定保健指導以外の情報についても、標準的な管理が行えるよう検査方法、検査結果の入力方法等について標準的な方法を確立することが必要であり、そのための健診機関全体の管理・評価方法、保健指導の効果の評価方法等の確立のための研究であること。

[2]口腔機能に応じた保健指導と肥満抑制やメタボリックシンドローム改善との関係についての研究                            (21171201)

咀嚼や咬合等の口腔機能を評価したうえで、歯科的観点を含む保健指導を実施した場合の肥満抑制効果やメタボリックシンドローム改善効果についての評価を目的とした研究である  こと。

[3]特定保健指導対象者以外も含めた生活習慣病予備群に対する保健指導効果の検証及び評価手法の開発に関する研究                    (21171301)

保健指導の効果を、支援パターンや対象者の特性等に応じて多角的に検証し明らかにするとともに、その評価手法を開発することを目的とした研究であること。

なお、腹囲の小さい者や服薬中の者等、特定保健指導対象者以外の者であって生活習慣病予備群と考えられる対象者に対する保健指導も対象とするものであること。

(循環器疾患分野)

近年、増加している脳卒中・心筋梗塞等の循環器疾患対策を有効に進めるためには、個人の特徴に応じた治療・重症化予防の研究開発が求められている。平成21年度新規採択に当たっては、その対策に活用可能な臨床研究等を優先する。臨床研究の実施に当たっては、多施設共同で行う研究で、研究を支援する臨床試験コーディネーター等の人材養成を行うものであることが望ましい。以下に、新規課題及び採択に当たっての留意点を列挙する。

研究の規模:1課題当たり
[1]、[2] 10,000千円〜15,000千円程度(1年当たりの研究費)
[3]     15,000千円〜20,000千円程度(1年当たりの研究費)
[4]、[5] 30,000千円〜40,000千円程度(1年当たりの研究費)

研究期間:1〜3年(疫学的研究については、最長5年)
※喫緊の行政課題に関する研究については可能な限り短期間であることが望まれる。

新規採択予定課題数:5課題程度
※以下に示す公募研究課題については、事前評価の結果により採択を行わない、又は複数の課題を選択することがある。

[1]心筋梗塞・脳卒中患者に対する保健指導のエビデンス構築のための研究                                  (21171401)

心筋梗塞・脳卒中患者に対する保健指導は、急性期からリハビリテーション期、再発予防に至るまで、医療機関や在宅、地域等、様々な場所で提供されている。その効果について、患者側の要因、提供者側の要因等を多角的に分析し、エビデンスを構築することにより、保健指導の有効な手法を明らかにすることを目的とした研究であること。

[2]喫煙関連疾患のこれまでの予防法の再評価とその効果的な普及に関する研究                                  (21171501)

肺年齢等、喫煙関連疾患(ただし、がんを除く)の予防方法の効果を評価し、エビデンスを明確にした上で、予防法の効果的な普及方法を検討することを目的とした研究であること。

[3] 成人に達した先天性心疾患の診療体制の確立に向けた総合的研究 (21171601)

我が国における、成人に達した先天性心疾患を持つ患者に対する診療には、従来からの小  児科医に加え、循環器内科との連携や遺伝カウンセリングも含めた対応が重要であることか  ら、チームによる診療体制の構築が求められており、また、社会的な問題等も含めた対応が  必要であることから、地域における診療体制のあり方や研究体制のあり方を確立することを  目的とした研究であること。

[4]脳卒中予防の観点からの一過性虚血発作(TIA)のわが国の医療環境に則した適切な診断・治療システムの確立に関する研究                 (21171701)

一過性虚血発作(TIA)を含めた虚血性脳卒中の診断の国内外での研究等の結果や、海外でのTIAに特化した診療体系の構築により、TIA後の脳卒中発症を大幅に抑制し、医療経済的にも大きな貢献を促したとの研究成果等を参考にしつつ、(1)TIA診断基準の見直し (2)その診断精度の検討 (3)欧州とわが国における医療システムの違いを踏まえた、我が国の医療環境に則したTIAの適切な診断・治療システムの構築を目的とした研究であること。

[5]循環器疾患等の救命率向上に資する効果的な救急蘇生法の普及啓発に関する研究                                  (21171801)

次の項目を目的とした研究であること。

・家庭や職場などにおける緊急時の対処方法等の普及啓発に有用な教育ツールの開発や教育研修に関すること

・AEDの普及状況とその管理状況の実態調査及び適正な管理のあり方及びその推進方策に関すること

・AEDを含む救急蘇生法の普及啓発に有用な教育研修に関すること

・AEDに記録された心電図データを用いた心疾患の発生状況やアウトカムの分析・評価に関すること

・救命効果等の科学的根拠に基づく救急蘇生法の開始と中止の適応のガイドライン(心肺停止時間、原疾患や理学所見など)の策定

・日本の救急蘇生法ガイドラインと欧米との比較検証に関すること

   

(イ)糖尿病戦略等研究事業

食生活、運動習慣等の生活習慣の変化や、高齢化の進展に伴い、糖尿病の患者数は増加してきている。糖尿病は、高血圧症、脂質異常症等とともに、脳卒中、急性心筋梗塞等の重篤な疾病の重要な危険因子である。さらに、糖尿病の合併症である糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病神経障害の発症は、患者の生活の質(QOL)を低下させるとともに、生命予後を大きく左右することなどから、特に、糖尿病は、今後の生活習慣病対策における重要な課題となっている。

以下に、平成21年度の新規課題及び採択に当たっての留意点を記載する。

研究の規模:1課題当たり
[1]           5,000千円程度(1年当たりの研究費)
[2]〜[3] 10,000千円〜20,000千円程度(1年当たりの研究費)
[4]           5,000千円程度(1年当たりの研究費)

研究期間:1〜3年(疫学的研究については、最長5年)
※喫緊の行政課題に関する研究については可能な限り短期間であることが望ましい。

新規採択予定課題数:[1]〜[3]  4課題程度
[4]   1〜3課題程度

※以下に示す公募研究課題については、事前評価の結果により採択を行わない、又は複数の課題を選択することがある。

【一般公募型】

[1]地域における糖尿病管理システムの構築とその医学的・経済的効果に関する研究                                  (21180101)

都道府県や市町村、圏域単位等において、糖尿病の管理システムを構築することにより、糖尿病患者や予備群の数、糖尿病の医療費が削減することに資することを目的とした研究であること。

[2]生活習慣病対策における行動変容を効果的に促すための手法に関する研究                                  (21180201)

マスメディア、IT等を用いて行動変容を促し、その有効性及び実用性を評価する課題や、対象者の肉体的、心理的なアセスメントを踏まえた栄養教育、支援方法を開発する質的研究  を優先する。

[3]糖尿病患者における心血管イベント発症に関する後ろ向きコホートに関する研究                                  (21180301)

複数の施設における患者記録をその初診時からデータベース化すること及びそのデータを国際医療センターに設置する糖尿病情報センターに登録することを条件とする。

【若手育成型】

我が国において重要な課題である生活習慣病に関する若手研究者の育成を図るため、平成21年度の新規課題において若手育成型の研究を公募する。

[4]生活習慣病予防対策における効果的な食生活の改善指導及び運動指導プログラムの開発に関する研究                          (21180401)

特定保健指導における動機付け支援・積極的支援においては、食生活の改善指導及び運動指導が提供されることとなるが、本研究においては、教材の開発等も含め効果的な保健指導プログラムの開発を目的とする。

<研究計画書を作成する際の留意点>

研究計画書の提出に当たり、以下の点に留意すること。

ア.これまでに公募研究課題と同様な課題について研究実績がある場合は、研究計画書に詳 細を記載すること。

イ.目標を明確にするため、研究計画書の「9.期待される成果」に、当該研究により期待される科学的成果及び当該成果によりもたらされる学術的・社会的・経済的メリットを具体的に記載すること。また、「10.研究計画・方法」に、年度ごとの計画及び達成目標を記載するとともに、実際の医療等への応用に至る工程を含めた研究全体の具体的なロードマップを示した資料を添付すること(様式自由)。

なお、研究課題の採択に当たっては、これらの記載事項を重視するとともに、中間評価及び事後評価においては、研究計画の達成度を厳格に評価する。その達成度(未達成の場合にはその理由、計画の練り直し案)如何によっては、研究の継続が不可となる場合もあり得ることに留意すること。

ウ.各府省が定める法律・省令・倫理指針等を遵守し、適切に研究を実施すること。

エ.特に、研究計画において、妥当なプロトコールが作成され、臨床研究倫理指針等(II応募に関する諸条件等(4)応募に当たっての留意事項エ.研究計画策定に当たっての研究倫理に関する留意点参照。)に規定する倫理審査委員会の承認が得られている(又はその見込みである)こと。 各倫理指針等に基づき、あらかじめ、研究の内容、費用及び補償の有無等について患者又は家族に説明又は情報公開等し、必要に応じて文書等により同意を得ていること。

また、モニタリング・監査・データマネジメント等を含めた研究体制や、安全性及び倫理的妥当性を確保する体制について添付し提出すること。

オ.介入を行う臨床研究であって、侵襲性を有するものを実施する場合には、臨床研究に関する倫理指針の規定に基づき、あらかじめ、登録された臨床研究計画の内容が公開されているデータベースに当該研究に係る臨床研究計画を登録すること。また、事業実績報告書の提出時に、登録の有無を記載した報告書(様式自由)を別に添付すること。

(2)腎疾患対策研究事業(仮称)

<事業概要>

我が国の腎疾患患者は年々増加傾向にあり、腎機能低下が長期にわたり進行する慢性腎臓病(CKD)は患者数600万人、有病率6%といわれている。「腎疾患対策検討会」の検討による「今後の腎疾患対策のあり方について(平成20年3月)」(https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/pdf/jinshikkan01.pdf )を踏まえ、CKDの病態解明・予防・早期発見・診断・治療・重症化防止等に資する一般公募型の研究を行い、早期発見から早期治療につなげる仕組みの確立を目指す。

<新規課題採択方針>

国民の生命や生活の質に支障を来す腎疾患に関する研究の一層の充実を図るため、診療のエビデンス確立及び実践に関する研究並びに病態の解明及び治療法開発に関する研究を優先する。

研究費の規模: 1課題あたり10,000千円〜50,000千円程度(1年当たりの研究費)

研究期間:3年

新規採択予定課題数:3課題程度

<公募研究課題>

【一般公募型】

(1) 診療のエビデンス確立及び実践に関する研究          (21190101)
(留意点)

早期発見の方法(スクリーニングの検査項目、カットオフ値、スクリーニング後の精密検査プロトコール等)とその有効性、生活習慣改善等による重症化予防の有効性の確立、診療の標準化、地域における優先課題の抽出、病態別の心血管危険因子の同定、進展抑制、高齢者に対する薬物投与の影響及びCKD対策が及ぼす効果の評価等の研究を行うものとする。

(2) 病態の解明及び治療法開発に関する研究 (21190201)
(留意点)

CKDの予防と進展阻止、発症・進展における危険因子の解明、治療法の開発及び血管病変進展等の病態機序の解明等の研究を行うものとする。

(3) 腎疾患対策を実施している医療保険者の健診データとレセプトデータ等を用いて保健事業の評価を行うことに関する研究                 (21190301)
(留意点)

医療保険者における健診データとレセプトデータを用いて、集団における医療費分析や、その原因等の分析を行い、腎機能低下から人工透析等導入への進行を阻止するための具体的な保健事業の企画と、その効果測定方法や評価手法を確立する研究を行うものとする。

<研究計画書を作成する際の留意点>

研究計画書の提出に当たり、以下の点に留意すること。

ア.「9.期待される成果」に、より具体的に把握するため、申請研究終了時に期待される成果と、研究分野の長期的な成果(目標)とを別々に示すこと。

イ.「12.申請者の研究歴等」について、より詳細に把握するため、以下の(ア)及び(イ)の項目に該当する論文(全文)の写し3編を添付した研究計画書を2部提出すること。欧文のものについては日本語要旨も添付すること。

(ア)申請する課題に係る分野に特に関連するもの。

(イ)申請者が第一著者、若しくは主となる役割を担ったもの。後者の場合はその簡潔な理由を添付すること。

ウ.申請者は、研究代表者及び研究分担者の研究内容が、他の研究課題と重ならないよう研究計画書を作成すること。

エ.各府省が定める法律・省令・倫理指針等を遵守し、適切に研究を実施すること。

オ.特に、研究計画において、妥当なプロトコールが作成され、臨床研究倫理指針等(II応募に関する諸条件等(4)応募に当たっての留意事項エ.研究計画策定に当たっての研究倫理に関する留意点参照。)に規定する倫理審査委員会の承認が得られている(又はその見込みである)こと。各倫理指針等に基づき、あらかじめ、研究の内容、費用及び補償の有無等について患者又は家族に説明又は情報公開等し、必要に応じて文書等により同意を得ていること。

また、モニタリング・監査・データマネジメント等を含めた研究体制や、安全性及び倫理的妥当性を確保する体制について添付し提出すること。

カ.介入を行う臨床研究であって、侵襲性を有するものを実施する場合には、臨床研究に関する倫理指針の規定に基づき、あらかじめ、登録された臨床研究計画の内容が公開されているデータベースに当該研究に係る臨床研究計画を登録すること。なお、事業実績報告書の提出時に、登録の有無を記載した報告書(様式自由)を別に添付すること。

(3)免疫アレルギー疾患等予防・治療研究事業

<事業概要>

リウマチ、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、及び花粉症などの免疫アレルギー疾患は、長期にわたり生活の質を低下させるため、国民の健康上重大な問題となっている。このためこれらの疾患について、発症原因と病態との関係を明らかにし、予防、診断及び治療法に関する新規技術を開発するとともに、自己管理方法や治療法の確立を行うことにより、国民に対してより良質かつ適切な医療の提供を目指す。

また、造血幹細胞や臓器移植をはじめとする移植医療は、宿主との免疫応答が問題となるほか、ドナーを必要とするという観点から、その推進のためには社会的基盤を構築する必要がある。こうした社会的基盤を確立し、免疫寛容をコントロールすることにより、良質かつ安定的な移植医療の提供を目指す。

<新規課題採択方針>

免疫アレルギー疾患に影響を与える要因及び治療法、診断法に関する研究及び移植医療の成績向上や移植医療の社会的基盤の構築に関する研究を優先する。

研究費の規模:
【一般公募型】1課題当たり10,000千円〜50,000千円 程度 (1年当たりの研究費)
【若手育成型】1課題当たり 5,000千円〜15,000千円程度 (1年当たりの研究費)

研究期間:3年

新規採択予定課題数:10課題程度、うち「若手育成型」については2課題程度

若手育成型の応募対象

平成21年4月1日現在で満39歳以下の者(昭和44年4月2日以降に生まれた者)

※新規採択時にのみ本条件を適用する。

※年齢の算定は誕生日の前日に1歳加算する方法とする。

※産前・産後休業及び育児休業を取った者は、その日数を応募資格の制限日に加算することができる。

          

<公募研究課題>

(免疫アレルギー疾患分野)

【一般公募型】

免疫アレルギー疾患の病因・病態、予防、治療等に関する研究を行う。

(1) 関節リウマチの治療法の開発及び確立に関する研究      (21200101)

(2) ぜん息の治療法の開発及び確立に関する研究         (21200201)

(3) アトピー性皮膚炎の治療法の開発及び確立に関する研究    (21200301)

(4)  免疫アレルギー疾患の病因・病態に関する研究        (21200401)
(留意点)

自然免疫と獲得免疫の機序の解明、小児と成人との発症機構の病態異同の解明、免疫アレルギー性疾患の中心となる細胞の同定、免疫抑制、組織破壊、及び組織リモデリングの解明など、病因・病態を解明するための研究のうち、成果が予防・治療法の開発に資する研究であること。

(5) 免疫アレルギー疾患の発症要因の解明又は医療の評価等に関する疫学的研究                                   (21200501)
(留意点)

免疫アレルギー分野の疾患について、遺伝的要因や環境要因等の発症要因の解明、又は治療法や医療体制についての評価等を、疫学的手法により実施し、予防・治療の向上及び国民への正確な情報提供に資するための研究。研究のフィールドやデザインを明確にし、周到に準備された研究計画を採択する。

(6) 免疫アレルギー疾患の自己管理及び生活環境改善に関する研究 (21200601)
(留意点)

免疫アレルギー疾患の予防・治療法が開発されても、医療や生活の場で実際に行われるためには、行動変容や、様々な環境整備を要することから、自己管理や生活環境改善を現実に行うことを可能かつ容易にし、治療効果やQOLの向上に資する研究。

(7) 免疫アレルギー疾患の予防・治療法の開発及び確立に関する臨床研究                                          (21200701)
(留意点)

免疫アレルギー疾患に関する、内科的・外科的治療法、減感作療法等について、臨床に応用して効果を確立するための臨床研究。対象者、研究の規模やデザインを明確にすると共に、実施に向けた準備を周到に行っており、研究期間を有効に活用して成果を期待できる研究を採択する。

【若手育成型】

研究水準の向上、従来の発想や手法にとらわれない斬新な研究を推進するために、上記(1)〜(7)の課題について若手の研究者による研究計画を積極的に採択する。                 (21200801)

(移植医療分野)

【一般公募型】

(1) 臓器移植の成績向上に関する研究              (21200901)
(留意点)

臓器移植・組織移植の高度化と新たな治療技術の開発、移植成績の向上と安全な移植の実施、臓器移植における免疫寛容誘導の実用化等に関する研究。特に、すでに動物実験の成果により有効性が期待される研究、早期の実用化が見込める研究を優先的に採択する。

<研究計画書を作成する際の留意点>

研究計画書の提出に当たり、以下の点に留意すること。

ア.「9.期待される成果」に、より具体的に把握するため、申請研究終了時に期待される成果と、研究分野の長期的な成果(目標)とを別々に示すこと。

イ.「12.申請者の研究歴等」について、より詳細に把握するため、以下の(ア)及び(イ)の項目に該当する論文(全文)の写し3編を添付した研究計画書を2部提出すること。欧文のものについては日本語要旨も添付すること。

(ア)申請する課題に係る分野に特に関連するもの。

(イ)申請者が第一著者、若しくは主となる役割を担ったもの。後者の場合はその簡潔な理由を添付すること。

ウ.申請者は、研究代表者及び研究分担者の研究内容が、他の研究課題と重ならないよう研究計画書を作成すること。

エ.各府省が定める法律・省令・倫理指針等を遵守し、適切に研究を実施すること。

オ.特に、研究計画において、妥当なプロトコールが作成され、臨床研究倫理指針等(II応募に関する諸条件等(4)応募に当たっての留意事項エ.研究計画策定に当たっての研究倫理に関する留意点参照。)に規定する倫理審査委員会の承認が得られている(又はその見込みである)こと。各倫理指針等に基づき、あらかじめ、研究の内容、費用及び補償の有無等について患者又は家族に説明又は情報公開等し、必要に応じて文書等により同意を得ていること。

また、モニタリング・監査・データマネジメント等を含めた研究体制や、安全性及び倫理的妥当性を確保する体制について添付し提出すること。

カ.介入を行う臨床研究であって、侵襲性を有するものを実施する場合には、臨床研究に関する倫理指針の規定に基づき、あらかじめ、登録された臨床研究計画の内容が公開されているデータベースに当該研究に係る臨床研究計画を登録すること。なお、事業実績報告書の提出時に、登録の有無を記載した報告書(様式自由)を別に添付すること。

(4)難治性疾患克服研究事業

<事業概要>

原因が不明で、根本的な治療法が確立しておらず、かつ後遺症を残すおそれが少なくない難治性疾患のうち、患者数が少なく研究の進みにくい疾患に対して、重点的・効率的に研究を行うことにより進行の阻止、機能回復・再生を目指した画期的な診断・治療法の開発を行い、患者のQOLの向上を図ることを目的とする。

<新規課題採択方針>

難治性疾患の克服に向け、研究奨励分野(仮称)においては、特定疾患調査研究分野の範疇には含まれていない、いわゆる難病について、実態を把握するための研究を行う。また全体として、他の研究資金を得ることがより困難と考えられる希少性の高い疾患を優先する。

※特定疾患調査研究分野の疾患(130疾患)

脊髄小脳変性症、シャイ・ドレーガー症候群、モヤモヤ病(ウイリス動脈輪閉塞症)、正常圧水頭症、多発性硬化症、重症筋無力症、ギラン・バレー症候群、フィッシャー症候群、慢性炎症性脱随性多発神経炎、多巣性運動ニューロパチー(ルイス・サムナー症候群)、単クローン抗体を伴う末梢神経炎(クロウ・フカセ症候群)、筋萎縮性側索硬化症、脊髄性進行性筋萎縮症、球脊髄性筋萎縮症(Kennedy-Alter-Sung病)、脊髄空洞症、パーキンソン病、ハンチントン病、進行性核上性麻痺、線条体黒質変性症、ペルオキシソーム病、ライソゾーム病、クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)、ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー病(GSS)、致死性家族性不眠症、亜急性硬化性全脳炎(SSPE)、進行性多巣性白質脳炎(PML)、後縦靱帯骨化症、黄色靱帯骨化症、前縦靱帯骨化症、広範脊柱管狭窄症、特発性大腿骨頭壊死症、特発性ステロイド性骨壊死症、網膜色素変性症、加齢性黄斑変性症、難治性視神経症、突発性難聴、特発性両側性感音難聴、メニエール病、遅発性内リンパ水腫、PRL分泌異常症、ゴナドトロピン分泌異常症、ADH分泌異常症、中枢性摂食異常症、原発性アルドステロン症、偽性低アルドステロン症、グルココルチコイド抵抗症、副腎酵素欠損症、副腎低形成(アジソン病)、偽性副甲状腺機能低下症、ビタミンD受容機構異常症、TSH受容体異常症、甲状腺ホルモン不応症、再生不良性貧血、溶血性貧血、不応性貧血(骨髄異形成症候群)、骨髄線維症、特発性血栓症、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、特発性血小板減少性紫斑病、IgA腎症、急速進行性糸球体腎炎、難治性ネフローゼ症候群、多発性嚢胞腎、肥大型心筋症、拡張型心筋症、拘束型心筋症、ミトコンドリア病、Fabry病、家族性突然死症候群、原発性高脂血症、特発性間質性肺炎、サルコイドーシス、びまん性汎細気管支炎、潰瘍性大腸炎、クローン病、自己免疫性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、劇症肝炎、特発性門脈圧亢進症、肝外門脈閉塞症、Budd-Chiari症候群、肝内結石症、肝内胆管障害、膵嚢胞線維症、重症急性膵炎、慢性膵炎、アミロイドーシス、ベーチェット病、全身性エリテマトーデス、多発性筋炎・皮膚筋炎、シェーグレン症候群、成人スティル病、高安病(大動脈炎症候群)、ビュルガー病、結節性多発動脈炎、ウェゲナー肉芽腫症、アレルギー性肉芽腫性血管炎、悪性関節リウマチ、側頭動脈炎、抗リン脂質抗体症候群、強皮症、好酸球性筋膜炎、硬化性萎縮性苔癬、原発性免疫不全症候群、若年性肺気腫、ランゲルハンス細胞組織球症、肥満低換気症候群、肺胞低換気症候群、原発性肺高血圧症、慢性肺血栓塞栓症、混合性結合組織病、神経線維腫症I型(レックリングハウゼン病)、神経線維腫症II型、結節性硬化症(プリングル病)、表皮水疱症、膿疱性乾癬、天疱瘡、大脳皮質基底核変性症、重症多形滲出性紅斑(急性期)、肺リンパ脈管筋腫症(LAM)、進行性骨化性線維異形成症(FOP)、色素性乾皮症(XP)、下垂体機能低下症、クッシング病、先端巨大症、原発性側索硬化症、有棘赤血球を伴う舞踏病(有棘赤血球舞踏病)、HTLV-1関連脊髄症(HAM)、先天性魚鱗癬様紅皮症、スモン

研究費の規模:(1)1課題あたり3,000千円〜 5,000千円(1年あたりの研究費)
(2)1課題あたり4,000千円〜20,000千円(1年あたりの研究費)

研究期間:1〜3年

新規採択予定課題数:(1)50〜100課題程度
(2)70〜130課題程度

<公募研究課題>

【一般公募型】

(1)横断的基盤研究分野

臨床調査研究や他の先端的厚生労働科学研究(ヒトゲノム・遺伝子治療研究、免疫・アレルギー研究等)における研究者との情報交換、技術的支援等の連携のもと、特定疾患に係る基盤的・基礎的な科学的根拠を集積・分析し、医療に役立てることを目的とする研究のうち、次に掲げるもの。

(1) 生体試料等の収集に関する研究(仮称)           (21210101)
(留意点)

上記の特定疾患調査研究分野に含まれる疾患について、患者への適切な説明及びそれに基づく患者からの同意取得の下、生体試料等を収集し、ヒト細胞・遺伝子・組織バンク等に当該試料等を提供し、もって、当該疾患に関する共同研究等を加速させ、革新的な治療法・診断法の開発に資するものとすること。

なお、ヒト細胞・遺伝子・組織バンク等については、品質管理が厳格に実施されていること及び公平に提供されていることを担保すること。また、収集し、提供した生体試料等についての情報を広く公開する体制を確保すること。さらに、臨床調査研究分野に関連する領域の研究班がある場合には、既存の研究班との連携を図ること。

(2)研究奨励分野(仮称)

上記の特定疾患調査研究分野に含まれておらず、「希少性(おおむね5万人未満)・原因不明・効果的な治療方法未確立・生活面への長期にわたる支障」という4要素を満たす疾患(満たす可能性がある場合を含む)であり、臨床調査研究班等により組織的・体系的に研究が行われてこなかった疾患について、医療関係者等の関心を高め、患者や病態の実態把握等を目的とする研究のうち、次に掲げるもの。

なお、「がん」「生活習慣病」「進行性筋ジストロフィー」「精神疾患」など、他の研究事業において組織的な研究の対象となっているものは対象としない。

(2) 疾病の診断基準等作成のための奨励研究(仮称)       (21210201)
(留意点)

研究を行おうとする疾患の診療に携わる研究者等が研究班を組織する。明確な診断基準が存在しない場合には、その診断基準の作成及び当該基準に基づいた患者数の把握を行う。診断基準が存在する場合には、患者数の把握を行う。この結果として、当該疾患の研究の発展と、診療の確立・向上に資するものとすること。

なお、研究の実施にあたっては、臨床調査研究分野に関連する領域の研究班がある場合には既存の研究班と、疫学調査を実施する場合には「特定疾患の疫学に関する研究班」との連携を図るなど、難治性疾患克服研究事業のこれまでの経験や知見を十分に活用すること。また、3年以内に広く臨床知見を集積する等により診断基準の作成、患者数の把握を行うこと。

(3) 疾病の実態把握のための奨励研究(仮称)          (21210301)
(留意点)

研究を行おうとする疾患の診療に携わる研究者等が研究班を組織し、疫学調査、治療実態の把握及び世界的な研究の状況等の把握を通じ、治療のための指針を作成する等、当該疾患の実態を明らかとする研究を行うこと。この結果として、当該疾患の研究の発展と、診療の確立・向上に資するものとすること。

なお、研究の実施にあたっては、臨床調査研究分野に関連する領域の研究班がある場合には既存の研究班と、疫学調査を実施する場合には「特定疾患の疫学に関する研究班」との連携を図るなど、難治性疾患克服研究事業のこれまでの経験や知見を十分に活用すること。また、3年以内に広く臨床知見を集積する等により治療のための指針の作成を行うこと。

<研究計画書を作成する際の留意点>

研究計画の提出に当たり、以下の点に留意すること。

ア.「9.期待される成果」に、より具体的に把握するため、申請研究終了時に期待される目標(特に(2)では、診断基準作成を目指すのか、治療のための指針の作成を目指すのか)と研究分野の長期的な目標とを別々に明記すること。

イ.「12.申請者の研究歴等」について、より詳細に把握するため、以下の(ア)及び(イ)の項目に該当する論文(全文)の写し3編を添付した研究計画書を2部提出すること。欧文のものについては日本語要旨も添付すること。

(ア)申請する課題に係る分野に特に関連するもの。

(イ)申請者が第一著者、若しくは主となる役割を担ったもの。後者の場合はその簡潔な理由を添付すること。

ウ. 各府省が定める法律・省令・倫理指針等を遵守し、適切に研究を実施すること。

エ.特に、研究計画において、妥当なプロトコールが作成され、臨床研究倫理指針等(II応募に関する諸条件等(4)応募に当たっての留意事項エ.研究計画策定に当たっての研究倫理に関する留意点参照。)に規定する倫理審査委員会の承認が得られている(又はその見込みである)こと。各倫理指針等に基づき、あらかじめ、研究の内容、費用及び補償の有無等について患者又は家族に説明又は情報公開等し、必要に応じて文書等により同意を得ていること。

また、モニタリング・監査・データマネジメント等を含めた研究体制や、安全性及び倫理的妥当性を確保する体制について添付し提出すること。

オ.研究を行おうとする疾患について、患者数、疾患概念、原因とその解明状況、主な症状、主な合併症、主な治療、長期にわたる疾患の状況等を別に添付(様式自由)すること。

7.長寿・障害総合研究事業(仮称)

(1)長寿科学総合研究事業

<事業概要>

超高齢社会を迎えた今、社会全体で高齢者を支え、国民が安心して生涯を過ごすことができる社会へと転換することは喫緊の課題である。本研究事業においては、高齢者の介護予防や健康保持等に向けた取組を一層推進するため、高齢者に特徴的な疾病・病態等に着目し、それらの予防、早期診断及び治療技術等の確立に向けた研究を推進する。

平成21年度においては、特に運動器疾患総合研究分野を中心に一般公募を行うこととする。

高齢者が安心・安全な生活を送ることを目的として、以下の分野についての行政施策に直結する研究であり、かつ研究成果が比較的速やかに得られ、原則として5年以内に介護予防対策等の行政施策に実用化され得る研究課題を優先的に採択する。

<長寿科学総合研究事業全体の留意点>

研究計画書の提出に当たり、以下の点に留意すること。

ア.目標を明確にするため、研究計画書の「9.期待される成果」に、当該研究により期待される科学的成果及び当該成果によりもたらされる学術的・社会的・経済的メリットを具体的に記載すること。また、「10.研究計画・方法」に、年度ごとの計画及び達成目標を記載するとともに、実際の医療等への応用に至る工程を含めた研究全体の具体的なロードマップを示した資料を添付すること(様式自由)。

なお、研究課題の採択に当たっては、これらの記載事項を重視するとともに、中間評価及び事後評価においては、研究計画の達成度を厳格に評価する。その達成度(未達成の場合にはその理由、計画の練り直し案)如何によっては、研究の継続が不可となる場合もあり得ることに留意すること。また事前評価点が低い場合、採択を行わない分野もあり得ることに留意すること。

イ.各府省が定める法律・省令・倫理指針等を遵守し、適切に研究を実施すること。

ウ.特に、研究計画において、妥当なプロトコールが作成され、臨床研究倫理指針等(II応募に関する諸条件等(4)応募に当たっての留意事項エ.研究計画策定に当たっての研究倫理に関する留意点参照。)に規定する倫理審査委員会の承認が得られている(又はその見込みである)こと。各倫理指針等に基づき、あらかじめ、研究の内容、費用及び補償の有無等について患者又は家族に説明又は情報公開等し、文書等により同意を得ていること。

また、モニタリング・監査・データマネジメント等を含めた研究体制や、安全性及び倫理的妥当性を確保する体制について添付し提出すること。

エ.介入を行う臨床研究であって、侵襲性を有するものを実施する場合には、臨床研究に関する倫理指針の規定に基づき、あらかじめ、登録された臨床研究計画の内容が公開されているデータベースに当該研究に係る臨床研究計画を登録すること。なお、事業実績報告書の提出時に、登録の有無を記載した報告書(様式自由)を添付すること。

【一般公募型】

(1)老年病等長寿科学技術分野及び(2)介護予防・高齢者保健福祉分野

<新規課題採択方針>

(1)老年病等長寿科学技術分野

高齢者の介護予防及び健康保持等に向けた取組を推進するため、高齢者に特有の疾病・病態等に対する取組に関する研究を行う。

(2)介護予防・高齢者保健福祉分野

高齢者の介護予防等に向けた取組を推進するため、特に要介護の原因となる疾患等に着目した上で、それら疾患等に対する取組に関する研究を行う。

研究の規模:1課題当たり
(ア)〜(ウ)10,000千円〜20,000千円程度(1年当たりの研究費)

研究期間 :1〜3年
※ただし、より短期間に成果が得られる研究課題を優先的に採択する。

新規採択予定課題数:3課題程度

<公募研究課題>

(ア)介護予防サービスの効果評価に関する調査研究       (21220101)
(留意点)

・要支援・要介護状態に陥るハイリスク群をより効果的に把握する手法の開発を含めたものを優先的に採択する。
・各種介護予防プログラム、特に多く実施されている運動器の機能向上プログラムの効果及び利用者の予後予測を含めたものを優先的に採択する。

(イ)介護予防における口腔機能の向上・維持管理の推進に関する研究                                  (21220201)
(留意点)

口腔機能向上サービスの普及・定着を一層推進するため、介護予防における実務的な観点を踏まえた効果的・効率的な取組みに関する総合的研究を採択する。特に、口腔機能向上サービスの提供体制の確保、事業所への普及・定着の実態に関する調査、サービス従事希望者に対するE-learningによる就職支援プログラムの構築、認知症患者における口腔機能向上のあり方等を含む研究を優先的に採択する。

(ウ)介護保険制度における栄養ケア・マネジメント事業に関する研究                                  (21220301)
(留意点)

以下の2課題の両方に取り組む研究を優先的に採択する。

1.施設及び居宅における高齢者の経口による食事の摂取を推進することを目的に、先行事例を収集し、推進要因と阻害要因を抽出するとともに、医療機関との連携を含めた実態について調査を行う。また、経口摂取の維持及び経口摂取への移行に対する取組について、モデル的に取り組む事業を行い、評価・分析し、経口摂取への移行率及び経口摂取の維持率の向上に資する研究を行う。

2.施設及び居宅におけるターミナル期の栄養ケア・マネジメントについて、そのニーズを把握し、モデル的に取り組む事業を行い、その有効性を評価・分析し、本人の希望に沿った幸福な生活の実現に資する研究を行う。

(3)運動器疾患総合研究分野

<新規課題採択方針>

平成19年4月18日に内閣官房長官主宰の「新健康フロンティア戦略賢人会議」でとりまとめられた新健康フロンティア戦略において掲げられた九つの健康対策の一つとして「介護予防対策の一層の推進」が掲げられ、その具体的な取組として「運動器疾患対策の推進、骨・関節・脊椎の痛みによる身体活動の低下、閉じこもりの防止」が挙げられている。

また、新健康フロンティア戦略に先立ち、平成16年にとりまとめられた「健康フロンティア戦略」(平成16年5月19日与党幹事長・政調会長会議)は、平成17年から平成26年までの10年間に、介護予防を推進し、高齢者に占める要介護者の割合を現在の7人に1人から10人に1人へと減らすことを目標に掲げている(自然推移では6人に1人に増加)。この健康フロンティア戦略に掲げられた目標に向け、政府は平成18年の介護保険制度改革による介護予防事業の導入等、介護予防に関する取組の強化を行ってきたが、これまでの取組では要介護者を高齢者の8人に1人にまで減少させることができると推定されるものの、「10人に1人」なる目標を達成するためには、介護予防に関する更なる取組が必要。その柱の一つになるのが、要介護状態になる原因として頻度が高い運動器疾患対策である。

そのため、今後、介護予防の推進に向け運動器疾患対策をこれまで以上に強化する必要があり、必要な調査研究を速やかに実施するとともに、その成果を早期に社会に還元する  ことが求められている

こうした考え方をもとに、今年度は以下の要件1及び要件2の両方を満たす研究課題について公募を行うこととする。

要件1・・・比較的短期間(5年以内)に効果が見込まれる調査研究であること

要件2・・・介護予防に資する研究内容であり、かつ実際に要介護高齢者を減らすことのできる一定の根拠が示せるような調査研究であること

研究成果の社会還元加速に向け、より多くの成果を得るためには総合的かつ有機的な調  査研究を進めていくことが必要であり、そのためには研究代表者を中心として一定程度大  規模な調査研究群として進められるものを優先的に採択する。

研究の規模:1課題当たり
(ア)10,000千円〜30,000千円程度 (1年当たりの研究費)
(イ)20,000千円〜40,000千円程度 (1年当たりの研究費)
(ウ)20,000千円〜30,000千円程度 (1年当たりの研究費)
(エ) 5,000千円〜10,000千円程度 (1年当たりの研究費)

研究期間 :1〜3年
※ただし、より短期間に成果が得られる研究課題を優先的に採択する。

新規採択予定課題数:(ア)(イ)(エ)については各1課題程度
(ウ)については3課題程度

<公募研究課題>

(ア)医療機関の受診者を対象とした高齢者骨折の疫学研究    (21220401)
(留意点)

骨折の種類や原因等の実態について把握できる研究を優先的に採択する。

(イ)運動器疾患の発症及び重症化を予防するための適切なプロトコール開発に関する調    査研究                          (21220501)
(留意点)

・発症及び重症化を予防するための至適運動・生活指導プロトコール開発と、重症化を予防するための適切な治療プロトコール(運動・生活指導・薬剤装具等)の開発の両方を含んだものを優先的に採択する。

・骨折予防、膝痛対策及び腰痛対策の全てのプロトコールの開発を含んだものを優先的に採択する。

・運動器疾患の原因となりうる運動器機能不全や転倒の予防といった視点も含んだものを優先的に採択する。

(ウ)腰痛の診断、治療に関する調査研究            (21220601)
(留意点)

・以下のa〜cの項目を採択対象課題とする。これらのうち複数の課題を同一の研究代表者が申請することも妨げない。速やかに実用化が期待できるものを優先的に採択す    る。

・腰痛症対策の対象となる主な疾患である、腰部脊柱管狭窄症、骨粗鬆症性脊椎椎体骨折及び変形性腰椎症への対策に応用できるものを優先的に採択する。

a 腰部脊柱管狭窄症の診断・治療法の開発

b 痛み・しびれの可視化技術の確立並びに、MRIを用いた脊髄投射路及び末梢神経イメージング法の確立

c 腰椎椎体骨折のより安全で低侵襲な手術法の開発

(エ)骨粗鬆症の尿スクリーニング検査の費用対効果に関する研究 (21220701)
(留意点)

尿中γGTP値を用いたスクリーニング検査で骨粗鬆症のハイリスク群を同定し、精密検査及び骨吸収阻害薬治療を行うモデルを構築し、その費用対効果を明らかにする研究を優先的に 採択する。

【若手育成型】

<新規課題採択方針>

若手育成型の応募対象

平成21年4月1日現在で満39歳以下の者(昭和44年4月2日以降に生まれた者)

※新規採択時にのみ本条件を適用する。

※満年齢の算定は誕生日の前日に1歳加算する方法とする。

※産前・産後休業及び育児休業を取った者は、その日数を応募資格の制限日に加算することができる。

研究の規模:1課題当たり5,000千円程度(1年当たりの研究費)

研究期間 :1〜3年
※ただし、より短期間に成果が得られる研究課題を優先的に採択する。

新規採択予定課題数:若干数

<公募研究課題>

(留意点)

以下の(ア)〜(ウ)を公募することとするが(ア)、(イ)に関するものであり、かつ短期間に社会に成果を還元可能なものを優先的に採択する。

(ア)介護予防・高齢者福祉に資する研究            (21220801)

(イ)運動器疾患対策に資する研究               (21220901)

(ウ)老年病等対策に資する研究                (21221001)

(2)認知症対策総合研究事業

<事業概要及び新規課題採択方針>

急速な高齢化とともに認知症患者数は増加の一途をたどっており、医療・福祉の両分野が  連携した総合的な対策が求められている。

本年5月から7月にかけ厚生労働大臣の指示のもと、「認知症の医療と生活の質を高める緊急プロジェクト」が設置され、同プロジェクトでは認知症対策を進める上で、「実態把握」、「予防」、「診断」、「治療」、「ケア」という観点に立って、それぞれ重点的な研究を行う必要があるとされた。そこで平成21年度においては、同プロジェクトにおける提言を着実に実施するため、新たに認知症対策総合研究事業を創設し、下記の課題について一般公募を行うこととする。

今年度は特に明記したものを除き、5年以内に実用化が見込まれる調査研究について公募を行うこととする。

<認知症対策総合研究事業全体の留意点>

研究計画書の提出に当たり、以下の点に留意すること。

ア.目標を明確にするため、研究計画書の「9.期待される成果」に、当該研究により期待される科学的成果及び当該成果によりもたらされる学術的・社会的・経済的メリットを具体的に記載すること。また、「10.研究計画・方法」に、年度ごとの計画及び達成目標を記載するとともに、実際の医療等への応用に至る工程を含めた研究全体の具体的なロードマップを示した資料を添付すること(様式自由)。

なお、研究課題の採択に当たっては、これらの記載事項を重視するとともに、中間評価及び事後評価においては、研究計画の達成度を厳格に評価する。その達成度(未達成の場合にはその理由、計画の練り直し案)如何によっては、研究の継続が不可となる場合もあり得ることに留意すること。また事前評価点が低い場合、採択を行わない分野もあり得ることに留意すること。

イ.各府省が定める法律・省令・倫理指針等を遵守し、適切に研究を実施すること。

ウ.特に、研究計画において、妥当なプロトコールが作成され、臨床研究倫理指針等(II応募に関する諸条件等(4)応募に当たっての留意事項エ.研究計画策定に当たっての研究倫理に関する留意点参照。)に規定する倫理審査委員会の承認が得られている(又はその見込みである)こと。各倫理指針等に基づき、あらかじめ、研究の内容、費用及び補償の有無等について患者又は家族に説明又は情報公開等し、必要に応じて文書等により同意を得ていること。

また、モニタリング・監査・データマネジメント等を含めた研究体制や、安全性及び倫理的妥当性を確保する体制について添付し提出すること。

エ.介入を行う臨床研究であって、侵襲性を有するものを実施する場合には、臨床研究に関する倫理指針の規定に基づき、あらかじめ、登録された臨床研究計画の内容が公開されているデータベースに当該研究に係る臨床研究計画を登録すること。なお、事業実績報告書の提出時に、登録の有無を記載した報告書(様式自由)を添付すること。

研究の規模:1課題当たり
(ア)10,000千円〜20,000千円程度 (1年当たりの研究費)
(イ) 5,000千円〜10,000千円程度 (1年当たりの研究費)
(ウ)10,000千円〜40,000千円程度 (1年当たりの研究費)

研究期間 :(ア)1〜5年、(イ)〜(ウ)1〜3年
※ただし、より短期間に成果が得られる研究課題を優先的に採択する。

新規採択予定課題数:(ア)、(ウ)については各1課題程度
(イ)については4課題程度

<公募研究課題>

(ア)アルツハイマー病の根本的治療薬開発に関する研究      (21230101)
(留意点)

これまでにある程度の基礎的研究を終えており、研究計画期間内にヒトに対する臨床試験の実施が可能なものを優先的に採択する。本邦で世界に先駆けて考案又は着眼した機序又は技術によるもので、その成果により認知症の根本的治療に向けて世界を牽引することが期待できるものを優先的に採択する。

(イ)認知症のケア手法の開発に関する研究

1)BPSD(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia:認知症の行動心理症状) への対応における医療とケアの役割分担・連携に関する研究 (21230201)

(留意点)

医療と介護の専門家、家族介護者等が協同し、BPSDへの最適な対応方法を一般化することができる研究を優先的に採択する。

2)本人研究とそれに基づく支援の研究             (21230301)
(留意点)

認知症の人本人の発言や記述等をもとに、本人自身の視点からみた認知症に伴う生活上の課題や必要な支援等を明らかにし、本人本位の支援の方法を明確に示すことのできる研究を優先的に採択する。

3)若年性認知症に対するケア・リハビリテーションプログラムに関する研究 (21230401)
(留意点)

若年性認知症の身体機能やニーズ(就労継続等)を考慮した具体的なケア・リハビリテーションの方法を示し、科学的なデータを用いてその有効性を評価できる研究を優先的に採択する。

4)認知症ケアの国際比較に関する研究             (21230501)
(留意点)

海外の優れたケアの方法と日本で行われているケアを比較し、日本に導入する方法を明ら  かにできる研究を優先的に採択する。

(ウ)認知症の鑑別診断と治療に関する研究            (21230601)
(留意点)

・臨床診療で実用可能な、認知症の鑑別診断及び治療に関する今後の指針等の作成に資する新たな知見を得ることのできる研究を優先的に採択する。

・対象疾患として以下の全ての疾患を網羅するものであること。

(1)うつ病(2)アルツハイマー病(3)血管性認知症(4)レビー小体型認知症(5)前頭側頭型認知症

【若手育成型】

<新規課題採択方針>

若手育成型の応募対象

平成21年4月1日現在で満39歳以下の者(昭和44年4月2日以降に生まれた者)

※新規採択時にのみ本条件を適用する。

※満年齢の算定は誕生日の前日に1歳加算する方法とする。

※産前・産後休業及び育児休業を取った者は、その日数を応募資格の制限日に加算する    ことができる。

研究の規模:1課題当たり5,000千円程度(1年当たりの研究費)

研究期間 :1〜3年
※ただし、より短期間に成果が得られる研究課題を優先的に採択する。

新規採択予定課題数:若干数

<公募研究課題>

上記(ア)〜(ウ)又は、それ以外の認知症対策の基盤整備に関する研究であって、学際的なものあるいは新規性、独創性に富む研究              (21230701)

(3)障害保健福祉総合研究事業

<事業概要>

障害保健福祉施策においては、障害者自立支援法により、障害者がその障害種別に関わらず、地域で自立して生活できることを目的に、新しい障害保健福祉制度の枠組みが構築された。これを受け地域生活支援を理念として、身体障害、知的障害、精神障害及び障害全般に関する予防、治療、リハビリテーション等の適切なサービス、障害の正しい理解と社会参加の促進方策、地域において居宅・施設サービス等をきめ細かく提供できる体制づくり等、障害者の総合的な保健福祉施策に関する研究開発を推進する。

<新規課題採択方針>

障害全般について、治療からリハビリテーションに至る適切なサービス、社会参加の推進、地域における生活を支援する体制等に関する研究を実施する。ただし、障害保健福祉総合研究において現在実施中の課題と重複する課題は採択しない。

研究費の規模:1課題当たり3,000〜20,000千円程度(1年当たりの研究費)

研究期間  :1〜3年

新規採択予定課題数:8課題程度、「若手育成型」については数課題程度
※各課題につき原則として1又は複数の研究を採択するが、応募状況等によっては採択を行わないことがある。

若手育成型の応募対象

平成21年4月1日現在で満39歳以下の者(昭和44年4月2日以降に生まれた者)

※新規採択時にのみ本条件を適用する。

※満年齢の算定は誕生日の前日に1歳加算する方法とする。

※産前・産後休業及び育児休業を取った者は、その日数を応募資格の制限日に加算することができる。

<公募研究課題>

【一般公募型】

(1)障害保健福祉施策推進のための基盤的政策研究          (21240101)
(留意点)

障害者自立支援法を踏まえた総合的な障害保健福祉施策を推進するため、従来の施策の検証や新たな施策の提案を行う、政策研究であること。

(2)福祉用具の適切な流通の促進に関する研究           (21240201)
(留意点)

障害者のニーズに適応した、安全な福祉機器が適正に流通する環境の整備に資する研究を採択する。

(3) 障害者の相談支援にかかる人材養成に関する研究        (21240301)
(留意点)

障害者の地域生活を支えるための相談支援に関わる人材を養成する体制の整備に関する研究を採択する。

(4) ニューロリハビリテーションの適用範囲と帰結に関する研究  (21240401)
(留意点)

損傷した神経のリハビリテーション(ニューロリハビリテーション)実施に向けた環境を整備するため、その適用範囲と帰結(期待される効果)について具体的な提言をする研究を評価する。

(5)成人期注意欠陥・多動性障害(AD/HD)の疫学・診断・治療に関する研究                                (21240501)
(留意点)

AD/HDには、成人期にも症状が残存し、適応上の困難さが顕著な例も認められるが、成人期のAD/HDの疫学、診断、治療法に関しての知見が乏しいことから、成人期のAD/HDの実態を把握するとともに、診断の妥当性及び適切な治療法についての研究を採択する。

(6) 強度行動障害の評価尺度と支援手法に関する研究        (21240601)
(留意点)

強度行動障害を持つ児(者)の支援を行う際に必要となる、障害の評価尺度と支援手法の開発を行う研究を採択する。

(7)在宅重度障害者に対する効果的な支援の在り方に関する研究    (21240701)
(留意点)

在宅重度障害者について、本人の健康状態の安定を確保しつつ、家族の負担を軽減し、安定的に実施可能な支援の確立に資するためのシステムに関する研究。課題の採択に際しては、実証的で早期に現場に還元できる研究を評価する。

(8)精神障害への対応の国際比較に関する研究           (21240801)
(留意点)

諸外国の精神保健医療福祉制度を調査する国際比較研究を行い、日本の精神保健医療福祉制度の改革への示唆を行うとともに、精神疾患を発症した在外邦人や日本国内の外国人について、実態の分析を踏まえ適切な対応について研究するものであること。

 

【若手育成型】

障害保健福祉総合に関する研究を推進するにあたっては、新たな若手研究者の参入による  常に新しい技術を取り入れた研究体制が望まれる。

そこで、上記(1)〜(8)の研究について若手育成型の研究を公募することにより新たな若手研究者の参入を促進し、新しい技術によって、より幅広い観点から研究が可能となる体制を整備する。特に、臨床的な研究で障害保健福祉分野への貢献が大きい研究を採択する。         (21240901)

<障害保健福祉総合研究事業全体の留意点>

研究計画書を作成する際は、次のとおりである。

目標を明確にするため、上記(1)から(7)の公募研究課題において、研究計画書の「9.期待される成果」に、当該研究により期待される科学的成果及び当該成果によりもたらされる学術的・社会的・経済的メリットを具体的に記載すること。また、「10.研究計画・方法」に、年度ごとの計画及び達成目標を記載するとともに、実際の施策等への応用に至る工程を含めた研究全体の具体的なロードマップを示した資料を添付すること(様式自由)。

なお、研究課題の採択に当たっては、これらの記載事項を重視するとともに、中間評価及び事後評価においては、研究計画の達成度を厳格に評価する。その達成度(未達成の場合にはその理由、計画の練り直し案)如何によっては、研究の継続が不可となる場合もあり得ることに留意すること。

(4)感覚器障害研究事業

<事業概要>

視覚、聴覚等の感覚器機能の障害は、その障害を有する者の生活の質(QOL)を著しく損なうが、障害の原因や種類によっては、その軽減や重症化の防止、機能の補助・代替等が可能である。そのため、これらの障害の原因となる疾患の発症予防、早期診断及び治療、重症化防止、リハビリテーション及び機器等による支援等、感覚器障害対策の推進に資する研究開発を推進し、研究成果を障害者に還元する。

<新規課題採択方針>

視覚、聴覚等の感覚器障害における研究開発を進めることにより、感覚器障害の軽減や重症化の防止、障害の予後判定、機能の補助・代替等に関する成果を得ることを目的とする。 ただし、感覚器障害研究において現在実施中の課題と重複する課題は採択しない。

研究費の規模:1課題当たり5,000千円〜30,000千円程度(1年当たりの研究費)
※各課題につき原則として1又は複数の研究を採択するが、応募状況等によっては採択を行わないことがある。

研究期間  :1〜3年

新規採択予定課題数:5課題程度、うち「若手育成型」については1課題程度

若手育成型の応募対象

平成21年4月1日現在で満39歳以下の者(昭和44年4月2日以降に生まれた者)

※新規採択時にのみ本条件を適用する。

※満年齢の算定は誕生日の前日に一歳加算する方法とする。

※産前・産後休業及び育児休業を取った者は、その日数を応募資格の制限日に加算することができる。

<公募研究課題>

【一般公募型】

(1)感覚器障害を有する者の活動領域の拡張や就労・日常生活の自立支援に係る福祉機器の開発研究                             (21250101)
(留意点)

感覚器障害を有する障害者の就労・日常生活を支援する福祉機器の開発ないし有効性実証の研究。課題の採択に際しては、達成目標と早期の実用化の可能性を評価する。

(2)感覚器障害の原因疾患に着目した発症予防・早期発見及び治療法に関する研究                                   (21250201)
(留意点)

感覚器障害を起こす頻度の高い眼疾患、先天性聴覚障害等に関する、予防・早期発見及び治療法の開発等に資する臨床的研究。課題の採択に際しては、臨床応用の有用性と、有用性を前提とした医療経済上の利点を考慮する。また、研究計画の具体性や実施可能性を評価する。

(3)感覚器障害を有する者のリハビリテーション及び自立支援に関する研究                                  (21250301)
(留意点)

感覚器障害を有する者の自立と社会参加を促進するための効果的なリハビリテーション及び自立支援手法の開発を行い、その有効性について定量的な検証を行う研究であること。

【若手育成型】

感覚器障害研究に関する研究を推進するにあたっては、新たな若手研究者の参入による、常に新しい技術を取りいれた研究体制が望まれる。

そこで、上記(1)〜(3)の課題について、若手育成型の研究の公募により新たな若手研究者の参入を促進し、新しい技術によって、より幅広い観点から研究が可能となる体制を整備する。特に、臨床的な研究で感覚器障害研究分野への貢献が大きい研究を採択する。                                (21250401)

<感覚器障害研究事業全体の留意点>

研究計画書の提出に当たっては、以下の点に留意すること。

ア.目標を明確にするため、上記(1)から(3)の公募研究課題及び若手育成型において、研究計画書の「9.期待される成果」に、当該研究により期待される科学的成果及び当該成果によりもたらされる学術的・社会的・経済的メリットを具体的に記載すること。また、「10.研究計画・方法」に、年度ごとの計画及び達成目標を記載するとともに、実際の医療等への応用に至る工程を含めた研究全体の具体的なロードマップを示した資料を添付すること(様式自由)。

なお、研究課題の採択に当たっては、これらの記載事項を重視するとともに、中間評価及び事後評価においては、研究計画の達成度を厳格に評価する。その達成度(未達成の場合にはその理由、計画の練り直し案)如何によっては、研究の継続が不可となる場合もあり得ることに留意すること。

イ. 各府省が定める法律・省令・倫理指針等を遵守し、適切に研究を実施すること。

ウ.特に、研究計画において、妥当なプロトコールが作成され、臨床研究倫理指針等(II応募に関する諸条件(4)応募に当たっての留意事項エ.研究計画策定に当たっての研究倫理に関する留意点参照。)に規定する倫理審査委員会の承認が得られている(又はその見込みである)こと。各倫理指針等に基づき、あらかじめ、研究の内容、費用及び補償の有無等について患者又は家族に説明又は情報公開等し、必要に応じて文書等により同意を得ていること。

また、モニタリング・監査・データマネジメント等を含めた研究体制や、安全性及び倫理的妥当性を確保する体制について添付し提出すること。

エ.介入を行う臨床研究であって、侵襲性を有するものを実施する場合には、臨床研究に関する倫理指針の規定に基づき、あらかじめ、登録された臨床研究計画の内容が公開されているデータベースに当該研究に係る臨床研究計画を登録すること。なお、事業実績報告書の提出時に、登録の有無を記載した報告書(様式自由)を添付すること。

8.感染症対策総合研究事業(仮称)

(1)新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究事業(仮称)

<事業概要>

近年、新たにその存在が発見された感染症(新興感染症)や既に征圧したかに見えながら再び猛威を振るいつつある感染症(再興感染症)が世界的に注目されているが、中でも、歴史的に数十年に一度の頻度で発生している新型インフルエンザの発生は、もはや時間の問題であると言われ、予断を許さない状況が続いている。

これらの新興・再興感染症は、その病原体、感染源、感染経路、感染力、発症機序について解明すべき点が多く、また迅速な診断法、治療法等の開発に取り組む必要がある。また、このような感染症が発生した場合の国民への不安を解消するための情報提供の在り方(リスクコミュニケーション)や、適切な病原体管理として病原微生物等の検出法の開発・普及、バイオセキュリティー(保管、輸送、安全性強化)等も重要となる。

このため本事業は、新型インフルエンザに関する研究をはじめ、近い将来克服されると考えられていたが再興がみられる麻疹や結核等に関する研究等、幅広く国内外の感染症に関する研究を推進させ、これら感染症から国民の健康を守るために必要な研究成果を得ることを目的とする。

<新規課題採択方針>

ウイルス、細菌、寄生虫・原虫等による感染症等に関連し、特に新型インフルエンザ等の国内への新たな流入・まん延の防止、今後も再興が危惧される感染症への適切な対応のための観点から、これらの感染症の病態解明、予防法、診断法、治療法、情報の収集と分析、行政対応等に資する研究を行う(ただし、肝炎、HIVに関する研究を除く)。

研究費の規模:1課題、1年当たりの研究費
研究分野(1) 10,000〜30,000千円程度
研究分野(2)〜(4)20,000〜90,000千円程度
(ただし、「若手育成型」については、5,000〜15,000千円程度)

研究期間:1〜3年

新規採択予定課題数:合計21課題程度、うち「若手育成型」については合計3課題程度
※各研究課題について原則として1研究を採択するが、採択を行わない又は複数の採択をすることがある。

若手育成型の応募対象

平成21年4月1日現在で満39歳以下の者(昭和44年4月2日以降に生まれた者)

※新規採択時にのみ本条件を適用する。

※満年齢の算定は誕生日の前日に1歳加算する方法とする。

※産前・産後休業及び育児休業を取った者は、その日数を応募資格の制限日に加算することができる。

<公募研究課題>

【一般公募型】

(1)新型インフルエンザへの対応に関する研究分野

新型インフルエンザの出現に備え、その感染拡大を可能な限り抑制し、健康被害を最小限にとどめるとともに、社会・経済を破綻にいたらせないための適切な対応体制を整備するために必要な、予防、早期対応、診断、治療に関する研究を行う。

○新型インフルエンザの流行と対策の効果等の予測に関する研究  (21260101)
(留意点)

我が国における新型インフルエンザ発生に備えるためには、国内外の最新の情報や知見に基づいた流行予測や、対策による被害の軽減に関する予測を基にして対策を検討する必要がある。課題の採択に当たっては、我が国の地理的な条件、交通機関の発達度、医療体制、受診行動の特徴等の国民性を踏まえ、国内外のデータや条件を基にした新型インフルエンザの被害予測や対策の効果等についての研究を優先する。

○新型インフルエンザ発生時における効果的な医療の提供に関する研究                                  (21260201)
(留意点)

課題の採択に当たっては、効果的なワクチン接種(幼児や高齢者を含む)や治療薬(開発中のものを含む)の使用方法、効率的な検査の実施、流行時の患者の受診や診療方法のあり方等に関する研究等、新型インフルエンザ発生時対応の検討の飛躍的な促進に資する研究を優先する。

○新型インフルエンザ診断キット開発に関する研究        (21260301)
(留意点)

課題の採択に当たっては、新型インフルエンザ発生時における迅速な対応を講じるために、より効率的・効果的な診断を行い、短時間で感染の有無を判断できる迅速診断キット等の研究開発に資する研究を優先する。

(2)感染症の新たな脅威への対応及び感染症対策の再構築に関する研究分野

これまで我が国においては大きな問題とはなっていなかった感染症の海外からの流入や、生活様式や生活環境の変化、人口構造の変化等の社会的、宿主的な要因の変化により対策の見直しや新たな対応が必要となる感染症について、その状況や要因を把握し、今後の適切な対応につなげるための実態把握、病態解明、診断、治療に関する研究、及びその対応のあり方に関する研究等、これまでの感染症対策の点検及び必要に応じた再構築をするための研究を行う。

○性感染症に関する予防、治療の体系化に関する研究       (21260401)
(留意点)

課題の採択に当たっては、性感染症の感染者の数的な実態把握に加え、性行動の多様化等の行動学的な背景や病原体の微生物学的な解析の体系的な実施等に関する質的な実態把握に基づき、その予防や治療を体系化し効果的な性感染症対策の実施に資する研究を優先する。ただし、肝炎・エイズに関する研究を除く。

○我が国の今後の感染症対策に必要な予防接種及びその実施に関する研究                                  (21260501)
(留意点)

課題の採択に当たっては、平成24年度までに麻疹の排除を達成し、かつ、その後も麻疹の排除の状態を維持することを目標とする「麻疹排除計画」の確実な推進や、肺炎球菌、インフルエンザ菌b型等、今後の我が国の感染症対策において必要性の検討が求められる予防接種のあり方、その有効かつ安全な実施方法、費用対効果等に関する研究を優先する。

○食品由来感染症調査における分子疫学手法に関する研究     (21260601)
(留意点)

課題採択にあたっては、腸管出血性大腸炎、ノロウイルス等食品由来感染症患者の広域発生を早期に探知し、適切な対応に迅速につなげるため、食品由来感染症の原因病原体の遺伝子レベルの解析等による分子疫学手法の高度化に関する研究を優先する。

○動物由来感染症のリスク分析手法に基づくリスク管理のあり方に関する研究                                  (21260701)
(留意点)

課題の採択に当たっては、輸入動物を含めた野生動物、愛玩動物、展示動物等に起因する動物由来感染症による健康被害を防止するため、動物における病原体保有実態の把握、感染予防のためのコントロールポイントの解明等、リスク分析手法に基づくリスク管理の推進に資する研究を優先する。

○節足動物が媒介する感染症への効果的な対策に関する総合的な研究(21260801)
(留意点)

課題の採択に当たっては、チクングニア熱、デング熱、ウエストナイル熱等の蚊が媒介する感染症、塹壕熱等のシラミが媒介する感染症等の節足動物が媒介する感染症に対して、その実態の把握や防御等の対応の実施に資する研究を優先する。

○リケッチアを中心とするダニ媒介性感染症の総合的な対策に関する研究                                  (21260901)
(留意点)

課題の採択に当たっては、新型紅斑熱群リケッチア症を含むダニが媒介する感染症及び複数のダニが媒介する病原体の共感染等に関する実態把握と診断法の開発、リケッチア及びアナプラズマの発症及び重症化メカニズム等に関する研究を優先する。

○ハンセン病の再発・再燃、難治症例に対する予防、診断、治療とハンセン病に対する理解 の推進に関する研究                     (21261001)
(留意点)

課題の採択に当たっては、再発・再燃のハンセン病患者の早期発見・早期治療や、薬剤耐性菌を含む難治症例に対する耐性菌の同定、治療等に関する研究、及び皮膚科等の一般診療機関の医師を含む国民におけるハンセン病に対する理解の推進に資する研究を優先する。

○新型薬剤耐性菌等に関する研究                (21261101)
(留意点)

課題の採択に当たっては、新たに出現しつつある新型薬剤耐性菌の早期発見とそれらの試験法の構築のため、耐性機構の分子・遺伝子レベルでの解析及び新規の検査法の開発等により基礎研究の充実を図り、また新型薬剤耐性菌を含む各種の薬剤耐性菌とそれによる感染症患者の発生動向の監視体制の強化により、今後の薬剤耐性菌まん延防止の対応のあり方の検討に資する研究を優先する。

○結核対策の評価と新たな診断・治療技術の開発・実用化に関する研究                                  (21261201)
(留意点)

課題の採択に当たっては、従来の結核対策の評価と見直し、細胞免疫診断、分子学的結 核菌診断、新薬の開発等の新たな技術の開発及び実用化に関する研究を優先する。

○移植医療に関連して発生する感染症の予防と治療に関する研究  (21261301)
(留意点)

課題の採択に当たっては、臓器等の移植による提供者からの中枢神経感染症等の感染、移植医療に伴う免疫低下の状態における感染等、移植医療に関連する感染症の予防及び治療等に関する基礎から臨床までの総合的な研究を優先する。

○インフルエンザ脳症の発生メカニズムの解明及び予防に関する研究(21261401)
(留意点)

課題採択に当たっては、これまでの知見を踏まえてインフルエンザ脳症の発症因子の解明及び具体的な予防方法の確立に向けた研究を優先する。

○成人感染が問題となりつつある小児感染症への対応に関する研究 (21261501)
(留意点)

課題の採択に当たっては、近年の百日咳の成人における増加や麻疹の流行等、従来、小児を中心に問題とされていたが、生活様式や生活環境の変化、人口構造の変化等の社会的、宿主的な要因の変化により成人での感染が問題となっている感染症対策に資する研究を優先する。

(3)国際的な感染症ネットワークを活用した対策に関する研究分野

国際的な感染症の発生状況の把握や連携が我が国の迅速かつ適切な感染症対策を実施する上で必要不可欠であるとともに、アジアを含む周辺諸国における発生動向の正確な把握やコントロールが、我が国自体を新たな感染症から守る重要な対策であることに鑑み、アジア諸国を中心とした感染症の状況の把握、相手国の感染症サーベイランスの質の向上及びこれらに基づいたネットワークを国内の感染症対策に有効に活用するための研究を行う。

○国際的な感染症情報の収集、分析、提供機能および我が国の感染症サーベイランスシステ ム の改善・強化に関する研究                 (21261601)
(留意点)

課題の採択に当たっては、感染症対策、近年では特に新型インフルエンザ対策を適切に実施するためには、アジアをはじめとする諸外国との連携による迅速な情報の収集、国内外の関係機関との円滑な情報共有及び情報交換の重要性が認識されていることに鑑み、国際的なネットワークの構築と患者及び病原体等の感染症サーベイランスの改善・強化等、国内外の関係機関との迅速かつ適切な情報収集、分析、提供体制の構築に関する研究を優先する。

(4)感染症対策にかかる基盤整備に関する研究分野

迅速な対応の基盤となる感染症の発生動向の把握、近年進展著しいIT技術等を活用した感染症研究基盤の整備、リスクコミュニケーションの在り方、バイオセーフティ・バイオセキュリティの最新の知見の規制への反映等、個別の疾病ではなく、感染症全体の基盤整備となる研究を行う。

○病原体及び毒素の適正管理のためのサポートシステムの開発に関する研究                                  (21261701)
(留意点)

課題の採択に当たっては、感染症法の下で病原体等を安全かつ円滑に管理するための病原体の保管、輸送、廃棄の一括管理システムの構築、特に新型インフルエンザ等感染症のパンデミック時にも大量の検体を迅速に処理することが可能なシステムの構築、実験室の入退室や病原体等の出し入れ等の記録システムや、使用機器の点検システム等の開発、各種マニュアルや記録文書の作成・保存等の管理システムにかかる開発に関する研究を優先する。

○その他、感染症対策の高度化に資する基盤整備型研究      (21261801)
(留意点)

課題の採択に当たっては、感染症サーベイランスの高度化、特に、分子進化遺伝学的手法等を用いた遺伝子型の流行予測システムの構築・データベース化、感染症に関する啓発の在り方の研究等、個別の疾病ではなく、横断的に感染症対策の高度化に資する研究を優先する。

【若手育成型】

○新興・再興感染症の研究分野への研究者の新たな参画を促進し、感染症対策に関する研究の推進を図ることを目的とする研究               (21261901)
(留意点)

課題の採択に当たっては、感染症流行状況の分析・予測等に関する疫学研究、感染症に関する普及啓発に資する実態調査等の研究など、社会医学分野について優先的に採択する。

<研究計画書を作成する際の留意点>

ア.目標を明確にするため、研究計画書の「9.期待される成果」に当該研究により期待される科学的成果及び当該成果によりもたらされる学術的・社会的・経済的メリットを具体的に記載すること。また、「10.研究計画・方法」に、年度ごとの計画及び達成目標を記載するとともに、実際の医療等への応用に至る行程を含めた研究全体の具体的なロードマップを示した資料を添付すること(様式自由)。

なお、研究課題の採択に当たっては、これらの記載事項を重視するとともに、中間評価及び事後評価においては、研究計画の達成度を厳格に評価する。その達成度(未達成の場合にはその理由、計画の練り直し案)如何によっては、研究の継続が不可となる場合もあり得ることに留意すること。

イ.各府省が定める法律・省令・倫理指針等を遵守し、適切に研究を実施すること。

ウ.特に、研究計画において、妥当なプロトコールが作成され、臨床研究倫理指針等(II応募に関する諸条件等(4)応募に当たっての留意事項エ.研究計画策定に当たっての研究倫理に関する留意点参照。)に規定する倫理審査委員会の承認が得られている(又はその見込みである)こと。各倫理指針等に基づき、あらかじめ、研究の内容、費用及び補償の有無等について患者又は家族に説明又は情報公開等し、必要に応じて文書等により同意を得ていること。

また、モニタリング・監査・データマネジメント等を含めた研究体制や、安全性及び倫理的妥当性を確保する体制について添付し提出すること。

エ.介入を行う臨床研究であって、侵襲性を有するものを実施する場合には、臨床研究に関する倫理指針の規定に基づき、あらかじめ、登録された臨床研究計画の内容が公開されているデータベースに当該研究に係る臨床研究計画を登録すること。なお、事業実績報告書の提出時に、登録の有無を記載した報告書(様式自由)を別に添付すること。

(2)エイズ対策研究事業

<事業概要>

わが国における新規HIV・AIDS患者報告数は昭和59年のサーベイランス開始以降、依然として増加が続いており、平成19年のHIV感染者報告数は1082件、AIDS患者報告数は418件と、昨年に引き続き過去最高となり予断を許さない状況にある。早期検査と早期医療の機会提供を促進すると共に、予防対策を人権等に配慮しつつ積極的に推進する必要がある。

また、地域拡散の傾向が示されており、各自治体にあっては、性感染防止や、早期発見、早期治療に向けて具体的な対策を進める必要がある。

平成9年からの多剤併用療法(HAART)の開発により、HIV・AIDSは「不治の特別な病」から「コントロール可能な一般的な慢性感染症」に移りつつあるとはいえ、根治的治療法や予防薬がない疾患であることから常に最新の治療法の開発、治療ガイドラインの作成や、社会的側面や政策的側面にも配慮した医学的・自然科学的研究等、エイズに関する基礎、臨床、社会医学、疫学等の研究を総合的に推進する必要がある。

また、平成8年のHIV訴訟の和解を踏まえた恒久対策の一環として、人権に配慮しつつ予防と医療の両面におけるエイズ対策研究の一層の推進を図るものである。

このような状況の中、平成18年度の「後天性免疫不全症候群に関する特定感染症予防指針(以下、エイズ予防指針)」の改正を踏まえ、今後のエイズ対策の方向性の実現に資する研究を優先的に採択する。(「エイズ予防指針の見直し検討会報告書(http://www.mhlw.go. jp/shingi/2005/06/s0613-5b.html)」を参照。)

また、HIV感染者・AIDS患者が増加する中、エイズ研究分野に新たな研究者が参画することを狙って、「若手育成型」研究を公募する。

<新規課題採択方針>

HIV/AIDSに関する(1)臨床医学、(2)基礎医学、(3)社会医学

研究費の規模:1課題当たり
公募研究課題(1)〜(2) 20,000千円〜80,000千円程度(1年当たりの研究費)
公募研究課題(3)    8,000千円〜40,000千円程度(1年当たりの研究費)

(ただし、「若手育成型」については、8,000千円〜15,000千円程度)

研究期間:1〜3年

新規採択予定課題数:合計15課題程度、うち「若手育成型」については合計3課題程度

若手育成型の応募対象

平成21年4月1日現在で満39歳以下の者(昭和44年4月2日以降に生まれた者)

※新規採択時にのみ本条件を適用する。

※満年齢の算定は誕生日の前日に1歳加算する方法とする。

※産前・産後休業及び育児休業を取った者は、その日数を応募資格の制限日に加算することができる。

<公募研究課題>

【一般公募型】

(1) 臨床医学のうち次に掲げるもの
・HIV感染症及びその合併症の課題を克服する研究       (21270101)
(留意点)

HIV感染症の新たな治療方法、長期療養に伴う医学的障害、合併症等の解決等に資する研究を採択する。

なお、HIV感染症の治療法開発、合併症、血友病患者のHIV感染等に関する治療、垂直感染予防に資する研究を優先的に採択する。

(2) 基礎医学研究のうち次に掲げるもの
・HIV感染防止、AIDS発症防止及び治療法開発に関する研究 (21270201)
(留意点)

HIV/AIDSの感染/発病メカニズムをふまえ、基礎研究としてHIVの感染防止、AIDS発症防止、治療法開発に資する研究を採択する。

(3) 社会医学研究のうち次に掲げるもの
・HIV感染症の疫学的研究                  (21270301)
(留意点)

HIV感染症の国内外における動向の把握や検査等の予防体制の改善に資する研究を採択する。また、陽性者に対するより適切な相談・カウンセリングの手法を確立し、正確な情報を提供するための研究を優先する。

・個別施策層に対するHIV感染予防対策とその介入効果の評価に関する研究                                    (21270401)
(留意点)

課題採択に当たっては、これまでの個別施策層(特に同性愛者、外国人)への予防対策等の研究成果を踏まえ、具体的な介入とその評価、並びに施策へ繋がるような提言を行える研究を優先する。また、研究の効率性の点から、個別施策層(特に同性愛者、外国人)との信頼関係のもとで実施される研究を優先する。

【若手育成型】

AIDS研究の分野に新たに参画する研究者を促進し、増加しているHIV・AIDSの各種研究の推進を図ることを目的としている。社会医学、疫学研究については、「エイズ予防指針見直し検討会報告書(https://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/06/s0613-5b.html)」を踏まえた上で、特に行動変容科学等を用い成果を定量的に評価する研究でかつユニークな研究を優先的に採択する。基礎、臨床医学研究については、HIV長期療養の課題を克服するための基礎となる研究について優先的に採択する。         (21270501)

<エイズ対策研究事業全体の留意点>

研究計画書の提出に当たり、以下の点に留意すること。

ア.「9.期待される成果」に、より具体的に把握するため、申請研究終了時に期待される成果と、研究分野の長期的な成果(目標)とを別々に示すこと。

イ.「12.申請者の研究歴等」について、より詳細に把握するため、以下の(ア)及び(イ) の項目に該当する論文(全文)を添付した研究計画書を提出すること。外国語文のもの については、日本語の要旨も添付すること。

(ア)申請する課題に係る分野に特に関連するもの。
(イ)申請者が第一著者、若しくは主となる役割を担ったもの。後者の場合はその簡潔な理由を添付すること。
※若手育成型については、(ア)は必ずしも満たす必要性はない。

なお、研究課題の採択に当たっては、これらの記載事項を重視するとともに、中間評価及び事後評価においては、研究計画の達成度を厳格に評価する。その達成度(未達成の場合にはその理由、計画の練り直し案)如何によっては、研究の継続が不可となる場合もあり得ることに留意すること。

(3)肝炎等克服緊急対策研究事業

<事業概要>

ウイルス性肝炎の患者及び無症状の持続感染者は、感染を放置すると肝硬変、肝がんといった重篤な病態に進行する。我が国における感染者は、B型肝炎キャリアが110万人から140万人、C型肝炎キャリアが150万人から190万人存在すると推計されており、感染者数としては国内最大の感染症である。また、近年、肝炎に対する国民の関心は高まり、与党肝炎対策プロジェクトチームの提言においても、研究事業の推進が指摘されたところである。

これを受けて平成20年6月に立ち上げた国内の肝炎研究の専門家による肝炎治療戦略会議の中で、肝炎研究の今後の方向性やその実現に向けた対策について「肝炎研究7カ年戦略」を取りまとめたところである。この戦略に沿って肝炎に関する臨床、基礎、社会医学、疫学研究において新たな研究課題を設定し、肝炎ウイルスの持続感染機構の解明や肝疾患における病態の予防及び新規治療法の開発等の研究を推進させる。

<新規課題採択方針>

肝炎ウイルス等について、その病態や感染機構の解明を進めるとともに、肝炎、肝がん等の肝疾患予防、診断及び治療法等に資する研究

研究費の規模:1課題当たり24,000〜120,000千円程度(1年当たりの研究費)
(ただし、「若手育成型」については、5,000〜15,000千円程度)

研究期間  :1〜3年

新規採択予定課題数:20課題程度、うち「若手育成型」については3課題程度
※各研究課題について原則として1課題を採択するが、採択を行わない又は複数の選択を することがある。

若手育成型の応募対象

平成21年4月1日現在で満39歳以下の者(昭和44年4月2日以降に生まれた者)

※新規採択時にのみ本条件を適用する。

※満年齢の算定は誕生日の前日に1歳加算する方法とする。

※産前・産後休業及び育児休業を取った者は、その日数を応募資格の制限日に加算することができる。

<公募研究課題>

【一般公募型】

(1)B型肝炎に関する臨床研究分野

○B型肝炎における新規治療法に関する研究          (21280101)
(留意点)

課題採択にあたっては、ペグインターフェロンの使用やインターフェロンの長期投与に関する研究、逆転写酵素阻害剤の投与終了を目指した新規治療法に関する研究を優先する。

○B型肝炎難治症例の治療に関する研究            (21280201)
(留意点)

課題採択にあたっては、薬剤耐性ウイルスに対する新規逆転写酵素阻害剤を用いた治療、免疫抑制・化学療法中に再活性化するB型肝炎の治療に関する研究を優先する。

○B型肝炎のジェノタイプに応じた治療に関する研究       (21280301)
(留意点)

課題採択にあたっては、B型肝炎ジェノタイプA型感染の慢性化など本邦における実態とその予防、ジェノタイプB型C型それぞれに対する治療の標準化に資する研究を優先する。

(2)C型肝炎に関する臨床研究分野

○C型肝炎における新規治療法に関する研究          (21280401)
(留意点)

課題採択にあたっては、サイクロスポリン及びその誘導体を用いた治療に関する研究、免疫賦活作用の増強を治療に応用した研究、抗原虫薬(Nitazoxanideなど)を用いた治療、薬物以外の方法(血液浄化、機能性食品など)を用いた新規治療に関する研究を優先する。

○C型肝炎難治症例の治療に関する研究            (21280501)
(留意点)

課題採択にあたっては、インターフェロン難治例(無効例、再燃例)に対する多剤併用療法(プロテアーゼ阻害剤など)、肝移植後のC型肝炎再発に対する治療に関する研究、C型肝炎においてゲノムワイドでの宿主因子の解明と強化に関する研究を優先する。

○C型肝炎治療における副作用発現の低減を目指す研究     (21280601)
(留意点)

課題採択にあたっては、アデノシン三リン酸製剤を用いた治療に関する研究、部分的脾動脈塞栓術、脾臓摘出手術に関する研究、肝臓へのDDS(ドラッグ・デリバリー・システム)確立に関する研究、C型慢性肝炎に対するインターフェロン療法中における抑うつ状態に関する中枢神経機能の変化とその対策に関する研究、インターフェロンの少量長期投与による治療効果に関する研究を優先する。

(3)肝硬変及び肝がんに関する臨床研究分野

○肝硬変からの発がん予防を目的とした治療法に関する研究   (21280701)
(留意点)

課題採択にあたっては、がんワクチン、免疫細胞導入などの免疫賦活療法に関する研究を優先する。

(4)肝炎に関する基礎研究分野

○肝疾患細胞モデルの開発に関する研究            (21280801)
(留意点)

課題採択にあたっては、iPS細胞を用いた細胞リプログラミング技術等を利用した細胞モデルの開発により、肝炎ウイルス感染後の病態進行過程、抗ウイルス薬に対するウイルスの耐性変異に関わる過程、ウイルス感染に関わる宿主要因に関する研究の推進に資する研究を優先する。

○肝炎ウイルスによる発がん機構の解明に関する研究      (21280901)
(留意点)

課題採択にあたっては、肝がんの発生、進展における肝炎ウイルス蛋白質の役割に関する研究等を優先する。

○ウイルス性肝炎に対する治療的ワクチンの開発に関する研究  (21281001)
(留意点)

課題採択にあたっては、慢性ウイルス性肝炎に対する細胞性免疫不活化ワクチンの開発及び実用化に関する研究を優先する。

○肝炎ウイルスと代謝・免疫系の相互作用に関する包括的研究  (21281101)
(留意点)

課題採択にあたっては、肝炎ウイルス感染による代謝・免疫系異常の発生機序、代謝・免疫系病変とウイルス性肝炎との相互作用の解明に関する研究を優先する。

○経口感染によるウイルス性肝炎に関する研究         (21281201)
(留意点)

課題採択にあたっては、A型、E型、その他原因不明のウイルス性肝炎の感染防止、診断、治療に関する研究を優先する。

(5)肝炎に関する社会医学的研究分野

○肝炎ウイルス検診と治療支援施策の効果的な実施に関する研究 (21281301)
(留意点)

課題採択にあたっては、肝炎診療における専門医と一般医の連携に関する地域ごとの取組状況の把握、及び地域による偏在の解消等制度の効果的な実施による患者等のQOLの向上に資する研究を優先する。

(6)肝炎に関する疫学的研究

○肝炎に関する全国規模のデータベース構築に関する研究    (21281401)
(留意点)

肝炎ウイルス感染後の長期経過・予後調査に関し、今後の研究及び行政施策の推進に資する全国規模のデータベースの構築に関する研究を優先する。

○ウイルス性肝炎の母子間感染の把握とワクチン戦略の再構築に関する研究                                   (21281501)
(留意点)

課題採択にあたっては、政府の母子感染予防事業及び医療水準の向上、社会環境の変化等によりその背景が近年大きく変化していることを踏まえ、我が国における肝炎ウイルスの母子間感染の実態を把握し、B型肝炎ワクチン等のワクチン戦略の再構築に資する研究を優先する。

(7)肝再生に関する研究分野

○肝再生及び肝機能の維持回復に関する研究          (21281601)
(留意点)

課題採択にあたっては、ヒトiPS細胞、骨髄幹細胞、脂肪細胞由来幹細胞、肝細胞増殖因子(HGF)等を利用した研究、肝線維化の抑制に結びつく新規治療法に関する研究、肝線維化の非観血的な検査法に関する研究を優先する。

(8)肝がんの新規治療に関する研究分野

○肝がんに対する新規治療法に関する研究           (21281701)
(留意点)

課題採択にあたっては、化学療法と外科的療法、放射線療法や免疫療法を組み合わせた集学的治療に関する研究、肝がんに対する陽子線・炭素線治療に関する研究、肝がんの幹細胞に対する治療法の開発に関する研究、新規抗がん剤の評価と適正な患者対象の選択や使用法に関する研究を優先する。

【若手育成型】

○肝炎研究の分野に新たに参画する研究者を促進し、社会的にも重要な肝炎に関する各種 研究の推進を図ることを目的とする研究            (21281801)
(留意点)

課題採択にあたっては、近未来のウイルス性肝炎患者数の動向予測に関する研究、海外渡航者の予防対策等、B型肝炎ワクチンの在り方に関する研究、医療行為等に伴う肝炎ウイルスの新規感染防止に関する研究等社会医学、疫学研究分野の研究について優先的に採択する。

<研究計画書を作成する際の留意点>

目標を明確にするため、研究計画書の「9.期待される成果」に、当該研究により期待される科学的成果及び当該成果によりもたらされる学術的・社会的・経済的メリットを具体的に記載すること。また、「10.研究計画・方法」に、年度ごとの計画及び達成目標を記載するとともに、実際の医療等への応用に至る工程を含めた研究全体の具体的なロードマップを示した 資料を添付すること(様式自由)。

なお、研究課題の採択に当たっては、これらの記載事項を重視するとともに、中間評価及び事後評価においては、研究計画の達成度を厳格に評価する。その達成度(未達成の場合にはその理由、計画の練り直し案)如何によっては、研究の継続が不可となる場合もあり得ることに 留意すること。

9.こころの健康科学研究事業

<事業概要>

自殺者数が高い数値で推移する問題をはじめ、社会的関心の高い統合失調症やうつ病、睡眠障害、ひきこもり等の思春期精神保健の問題、また自閉症やアスペルガー症候群等の広汎性発達障害、自殺対策等のメンタルヘルス等のこころの健康に関わる問題と、筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン病、免疫性神経疾患等の神経・筋疾患に対して、心理・社会学的方法、分子生物学的手法、画像診断技術等を活用し、病因・病態の解明、効果的な予防、診断、治療法等の研究・開発を推進する。

また、障害者自立支援法や心神喪失者医療観察法等による新たな行政課題への研究的な対応を図る。併せて若手研究者による研究を活性化するため、「若手育成型」による研究課題を募集する。

<新規課題採択方針>

精神疾患及び神経・筋疾患について、データの蓄積と解析を行うことにより、病因・病態の解明、画期的な予防、診断、治療法等の開発のための研究を実施する。また、心神喪失者等医療観察法における処遇及び医療等に関する研究・精神保健医療福祉の改革ビジョンの成果に関する研究を実施する。

研究費の規模:
精神疾患分野   1課題当たり 5,000千円〜50,000千円程度(1年当たりの研究費)
神経・筋疾患分野 1課題当たり10,000千円〜50,000千円程度(1年当たりの研究費)

(ただし若手育成型については、1課題当たり3,000千円〜5,000千円程度)

研究期間 :1〜3年、ただし若手育成型については3年

新規採択予定課題数:20課題程度、うち「若手育成型」については数課題程度
※各課題につき原則として1又は複数の研究を採択するが、応募状況等によっては採択を行わないことがある。

若手育成型の応募対象

平成21年4月1日現在で満39歳以下の者(昭和44年4月2日以降に生まれた者)

※新規採択時にのみ本条件を適用する。

※満年齢の算定は誕生日の前日に1歳加算する方法とする。

※産前・産後休業及び育児休業を取った者は、その日数を応募資格の制限日に加算することができる。

<公募研究課題>

【一般公募型】

(精神疾患分野)

[診断・治療法の開発及び確立に向けた研究]

(1)精神疾患のニューロサイエンスを含む生物学的病態解明に関する研究                                  (21290101)
(留意点)

特定の精神疾患について、ヒトを対象として遺伝・脳画像・分子生物学的解析等を行い、その病態を明らかにする研究を実施する。臨床的な応用可能性の高い研究計画を優先して採択する。

(2)精神疾患の新しい診断法・治療法、レジリエンスの向上方法の確立に関する研究                                    (21290201)
(留意点)

統合失調症や気分障害、神経症性障害等の症例の多い精神疾患について、臨床的な実現可能性が高いと考えられる診断・治療法又は生物学・精神病理学・心理学的観点を含むレジリエンスの向上方法の効果を検証するための臨床研究又は疫学研究を行う。その際、検証すべき仮説が明確で、研究に向けた準備が周到に行われている、大規模臨床研究・疫学研究を優先して採択する。

(3)児童思春期精神科医療におけるエビデンスに基づいた治療法に関する研究                                  (21290301)
(留意点)

精神疾患の好発年齢である思春期における早期発見・早期支援という観点を踏まえ、児童思春期精神科医療における思春期発症の統合失調症、気分障害等の治療について、国内でのエビデンスの蓄積及び体系化を行い、効果的かつ標準的な治療法を確立する研究であること。

[精神疾患等に関する支援方法の確立に関する研究]

(4)発達障害者の適応評価尺度の開発に関する研究       (21290401)
(留意点)

国際的に活用されている発達障害の適応評価尺度について、我が国における大規模な    調査を通じて検証し、我が国の臨床・研究現場において広く活用可能なよう、標準化さ    れた適応評価尺度を開発する研究であること。

(5)自殺のハイリスク者の実態解明及び自殺予防に関する研究  (21290501)
(留意点)

統合失調症、アルコール依存症の患者及び自傷行為を繰り返す者等、うつ病以外の自殺ハイリスク者を中心として、自殺行動の特徴など実態解明を進め、有効な介入方法を提示するとともに、自死遺族に関する支援の質の向上を図る研究であること。

(6)高次脳機能障害者の地域生活支援の充実に関する研究    (21290601)
(留意点)

高次脳機能障害の診断・リハビリテーションのガイドライン開発や支援に関する情報    共有のあり方等の課題に対して、全国規模で考察する研究であること。

[精神保健医療施策の推進に関する研究]

(7)精神保健医療福祉体系の改革に関する研究         (21290701)
(留意点)

平成16年9月に厚生労働省精神保健福祉対策本部がとりまとめた「精神保健医療福祉の改革ビジョン」の達成目標、及び現在進行している「今後の精神保健医療福祉の あり方等に関する検討会」における検討内容の実現に向け、精神保健医療福祉体系の再編といった国家的な課題について、実践的な研究を実施する。研究に当たっては、施策の進捗状況、目標の達成状況を把握することが必要であり、精神保健福祉に関する調査・分析を行い、精神保健医療福祉の現状を把握できるものであること。

(8)医療観察法における医療の向上に関する研究        (21290801)
(留意点)

医療観察法の医療の実態を踏まえ、指定医療機関の医療の均霑化に関する研究、通院中の精神保健福祉体制の充実に関する研究を行い、本法における医療の向上に関する具体的な方策等を提示するものであること。

(9)医療観察法の運用面の改善等に関する研究         (21290901)
(留意点)

医療観察法の医療等に携わる人材育成と確保、医療体制の整備等、法の運用面における課題について司法精神医学的観点を踏まえつつ研究するとともに解決方策の提示を行い、医療観察法の運用改善に資するものであること。

[緊急案件への効果的な対応のための研究]

(10)緊急に実態を把握し対策を講ずるべき精神疾患に関する研究(21291001)
(留意点)

上記(1)〜(9)以外の課題であって、緊急に対応すべき精神疾患に関する研究で あること。課題の採択に際して、研究としての重要性、公衆衛生的・臨床的意義、他研究との重複の有無などを評価する。

(神経・筋疾患分野)

[病態の解明に向けた研究]

(1)ニューロパチーの病態解明に関する研究          (21291101)
(留意点)

遺伝的背景など内的要因、感染・免疫や酸化ストレスなど外的要因の両面から、ニューロパチーの原因を特定するとともに、分子生物学的手法等を活用して発症機序を解明し、もって実現可能性が高いと考えられる予防法や治療法の確立への展望を広げる研究であること。

(2)筋ジストロフィーの病態解明と治療法開発に関する研究   (21291201)
(留意点)

筋ジストロフィーの中でも研究が遅れている肢帯型の発症機序の解明について分子生物学的手法等を活用して効果的に進める研究や、筋ジストロフィーの治療法を開発し臨床応用を進める研究を行うものとする。

(3)自律神経機能異常を伴う病態の解明と診断・治療法の開発に関する研究                                  (21291301)
(留意点)

近年、自律神経機能異常を背景とした病態が、諸症状をきたし国民のQOLを大きく損なっている。これまで、客観的な診断や効果的な治療が難しかったことから、これらの病態の診断・治療を、客観的な評価に基づき、科学的に進める研究を採択するものとする。

(4)神経・筋疾患に対する画期的診断・治療法の開発に関する研究(21291401)
(留意点)

難治性といわれた神経疾患や筋疾患についても、近年では、基礎研究の成果を活用し、治療法開発へとつなげる臨床研究が盛んになり、大きな潮流になっている。この流れを大きく進め、臨床研究へとつながる画期的な診断・治療法の開発に関する研究を採択す るものとする。(臨床研究を目的とする研究は(5)を参照のこと)

[診断・治療法の確立に関する研究 ]

(5)神経・筋疾患に対する診断・治療法の確立に関する臨床研究 (21291501)
(留意点)

難治性の神経・筋疾患についても、近年、診断・治療法の開発が盛んになされており、その成果を臨床の場に還元するため、効果を評価するための臨床研究を行うものとする。検証すべき仮説が明確で、検証を行うに十分な規模の臨床研究であり、研究に向けた準備が周到に行われているものを優先して採択する。

【若手育成型】

研究水準の向上、従来の手法にとらわれない新たな手法の開発のために、若手の研究者を積極的に育成するため、上記(1)〜(5)の課題につき、数課題採択する。  (21291601)

<こころの健康科学研究事業全体の留意点>

研究計画書の提出に当たっては、以下の点に留意すること。

ア.目標を明確にするため、上記応募研究課題(精神疾患分野:(1)から(10)、若手 育成型、神経・筋疾患分野:(1)から(5)、若手育成型) において、研究計画書の 「9.期待される成果」に、当該研究により期待される科学的成果及び当該成果によりもた らされる学術的・社会的・経済的メリットを具体的に記載すること。また、「10.研究 計画・方法」に、年度ごとの計画及び達成目標を記載するとともに、実際の医療等への応 用に至る工程を含めた研究全体の具体的なロードマップを示した資料を添付すること(様 式自由)。

なお、研究課題の採択に当たっては、これらの記載事項を重視するとともに、中間評価及び事後評価においては、研究計画の達成度を厳格に評価する。その達成度(未達成の場合にはその理由、計画の練り直し案)如何によっては、研究の継続が不可となる場合もあり得ることに留意すること。

イ.各府省が定める法律・省令・倫理指針等を遵守し、適切に研究を実施すること。

ウ.特に、研究計画において、妥当なプロトコールが作成され、臨床研究倫理指針等(II応募に関する諸条件(4)応募に当たっての留意事項エ.研究計画策定に当たっての研究倫理に関する留意点参照。)に規定する倫理審査委員会の承認が得られている(又はその見込みである)こと。各倫理指針等に基づき、あらかじめ、研究の内容、費用及び補償の有無等について患者又は家族に説明又は情報公開等し、必要に応じて文書等により同意を得ていること。

また、モニタリング・監査・データマネジメント等を含めた研究体制や、安全性及び倫理的妥当性を確保する体制について添付し提出すること。

エ.介入を行う臨床研究であって、侵襲性を有するものを実施する場合には、臨床研究に関する倫理指針の規定に基づき、あらかじめ、登録された臨床研究計画の内容が公開されているデータベースに当該研究に係る臨床研究計画を登録すること。なお、事業実績報告書の提出時に、登録の有無を記載した報告書(様式自由)を別に添付すること。

10.地域医療基盤開発推進研究事業

<事業概要>

医療を取り巻く環境が、少子・高齢化の進展や医療ニーズの多様化・高度化により大きく変化していく中で、医療サービスの分野では、医学・医療技術や情報通信技術の進歩等を活用し、効率的な医療提供体制の構築と良質な医療の提供により、豊かで安心できる国民生活を実現することが求められている。    このため、既存の医療システム等を評価するとともに、地域医療の基盤確保のための研究、医療安全体制確保に関する研究、根拠に基づく医療に関する研究等を実施することを目的とする。

なお、本研究事業においては、医療現場の安全確保のための研究分野等において積極的に  人材育成を進める観点から、若手研究者による【若手育成型】の研究を募集する。

<新規課題採択方針>

課題採択に当たっては、「社会保障国民会議中間報告」(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/syakaihosyoukokuminkaigi/chukan/siryou_1.pdf)において個別論点となっている課題を優先的に採択する。

それぞれの公募研究課題において特に優先して採択する研究等がある場合には、該当する公募研究課題のところに示している。

研究費の規模:1課題当たり2,000千円〜20,000千円程度(1年当たりの研究費)
【若手育成型】については、2,000千円〜4,000千円程度                      (1年当たりの研究費)

研究期間:1〜2年

新規採択予定課題数:20課題程度、うち【若手育成型】については1〜2課題程度

  

若手育成型の応募対象

平成21年4月1日現在で満39歳以下の者(昭和44年4月2日以降に生まれた者)

※新規採択時にのみ本条件を適用する。

※満年齢の算定は誕生日の前日に1歳加算する方法とする。

※産前・産後休業及び育児休業を取った者は、その日数を応募資格の制限日に加算することができる。

<公募研究課題>

【一般公募型】

(1) 生命・健康のセーフティネット確保に関する研究

(ア)国民への普及啓発の視点からの救急医療体制整備の推進に関する研究                                  (21300101)
(留意点)

救急医療機関の受診ニーズ及び受診の適正化につながる各地域の取組事例(解決策)等について実態調査を行い、それを踏まえ、普及啓発のための具体的な教育ツールの開発や教育研修に関する研究を優先的に採択する。

(イ)特定の診療領域に関する救急医療体制のあり方に関する研究(21300201)
(留意点)

周産期、小児、精神などの特定の診療領域に関する救急医療の連携体制の実態調査を行い、それを踏まえ、救命救急センターへの専門領域の医師の配置や各専門病院との連携体制の構築など、各地域における医療資源の状況を勘案した具体的・効果的な解決方策の提言を含む研究を優先的に採択する。

(2) 医療情報のセキュリティ確保及び利活用に関する研究

(ア)統合医療に関する研究 (21300301)
(留意点)

西洋医学に含まれない医療領域である相補・代替医療に該当する漢方、あん摩マッサージ、はり、きゅう等のほか、カイロプラクティック等及びヨガ・精神療法等を現代西洋医療と効果的に組み合わせた医療を統合医療と呼ぶ。

特に、内外における統合医療の現状調査、その内容(具体的手法、作用機序)、施行規模、経済学的評価、社会的影響、安全性と質の確保に関する研究を優先して採択する。

(イ)医療安全対策の推進基盤となる医療情報システムの開発と利活用に関する研究
ア)電子化された医薬品添付文書情報の利活用に関する研究 (21300401)
  (留意点)

標準医薬品マスターを利用して電子化された医薬品添付文書情報をオーダリングシステム・電子カルテシステム等で利活用するために克服すべき課題を具体的に提示し、課題を克服する方法についての検討を行い、臨床で利活用できる医薬品データマスターを作成するための基盤に関する研究を優先して採択する。

イ)医療機関における職員間情報伝達に関する研究     (21300501)
(留意点)

業務中に電話連絡等で作業を中断せざるを得ない状況が発生すると、医療事故等が危惧されることから、従事者のプレゼンス情報を利用し、安全かつ確実に情報伝達できる仕組みをもとにした分析・評価に関する研究を優先して採択する。

(3) 地域医療の基盤確保と医療のアクセス確保に関する研究

(ア)医療機関における医療従事者の構成・配置に関する研究  (21300601)
(留意点)

医療機関における医師・看護師・薬剤師等の職種別の人員、構成する人員が有する専門性及び医療チームの構成等について、国際調査及び比較分析する研究を優先して採択する。

(イ)在宅医療における実状把握・比較に関する研究      (21300701)
(留意点)

現在各地で在宅医療が推進されているが、その医療システム(診療ネットワーク・人材及び診療所等の医療資源・医療内容) は様々であることから、各地域で行われている在宅医療の実状・背景等を比較分析する研究を優先して採択する。

(4) 医療現場の安全確保のための研究

(ア)医療の質と安全性の向上に関する研究

ア)医療安全の評価方法の確立に関する研究         (21300801)
(留意点)

病院内で適切な医療安全の取組が行われると、診療各部門からの事故報告やヒヤリ・ハット報告数が増加するが、これは必ずしも当該病院内で医療事故が増加していることを意味しない。病院内での医療安全への取組を通じて、真に防止すべき有害事象が減少し医療の安全が高まったことをどのように客観的に把握することが可能なのか、その評価方法の確立に関する研究を優先的に採択する。

イ)医療安全の向上に関する技術的研究          (21300901)
(留意点)

医療機関における医療安全の向上に関する技術的研究を優先的に採択する。

ウ) 患者・医療従事者間の信頼関係構築のための方策に関する研究                                 (21301001)
(留意点)

患者と医療従事者との対話の促進(専門の従事者、システム等)や患者の医療参加等に関する我が国及び諸外国の現状を調査し、その効果について評価を行う研究を優先的に採択する。

(イ)医療事故等事例の原因究明・分析に基づく再発防止対策の徹底に関する研究

ア)剖検率に影響を与える諸因子に関する研究       (21301101)
(留意点)

医療死亡事故の原因究明・再発防止を行い医療の安全確保を目的とした医療安全調査委員会(仮称)の設置について現在検討がなされているが、平成20年4月に示された「医療安全の確保に向けた医療事故による死亡の原因究明・再発防止等の在り方に関する試案(第三次試案)」において、個別事例の調査は、臨床的な見解を踏まえて、解剖担当医が解剖を行って解剖結果をとりまとめることとされている。剖検に対する意識や剖検率は地域により大きく異なるが、本研究では、剖検率の高低に影響を与える因子を分析し、今後医療死亡事故の原因究明を行う際に必要な解剖の剖検率を高めるための有効な手法について提言を行う研究を優先的に採択する。

イ)医療事故と刑事処分の比較法的研究          (21301201)
(留意点)

諸外国における医療事故に関する刑事処分(法的な位置付けだけでなく、実際に訴追が行われているか。どの程度の刑が科せられているか。刑が科せられている場合には、どの程度の過失で判断されているか、等。)及びその他の法的手段の特殊性・現状等を明確にする研究を優先的に採択する。また、医療以外の高度な専門性を有している分野や安全性に係るフィードバックの求められる分野(鉄道事故、航空機事故、消費者被害等)に係る過失事案における刑事処分等についても調査を行う研究を優先的に採択する。

(ウ)院内感染対策に関する研究               (21301301)
(留意点)

院内感染防止ガイドラインの遵守に必要なチェックリストなど医療従事者が現場で活用できるツールの開発や、医療従事者の院内感染対策教育のためのe-ラーニング、DVD等のわかりやすい教材の開発を行うとともに、アウトブレーク発生時に医療従事者や行政担当者に適切な対応を促すための行動ガイドラインの作成を含む研究を優先的に採択する。

(5) 地域医療で活躍が期待される人材の育成・確保に関する研究

(ア)医療・看護の質の向上に関する研究

ア)医師の初期臨床研修修了後の養成に関する研究     (21301401)
(留意点)

国内外の、医師の医学部卒業後の養成方策及び地域別・診療科別の医師配置の政策調整等に関する歴史的経緯及び現状の調査研究

イ)歯科医療を取り巻く業務形態のあり方に関する研究   (21301501)
(留意点)

特に歯科補てつ物等作製の高度化に向けた取組、効率的な歯科技工業務形態のあり方について、現状を分析した上で、将来に向けた具体的な提言を行う研究を優先する。

(イ)地域医療に貢献する医師等の需給に関する研究

ア)医療提供体制における必要医師数の推計に関する研究  (21301601)
(留意点)

以下に掲げる医師及び医療環境の様々な要因を勘案した医師の将来推計に関する研究を優先的に採択する。

平成21年度の医学部定員数増加、疾病構造や患者ニーズの変化、人口動態、病床規制や医療関係職種との役割分担等に伴う医療現場の環境の変化、女性医師の増加、医師の労働実態、地域や診療科の偏在の実態、等

イ)歯科医師等の需給に関する研究             (21301701)
(留意点)

歯科医療や患者等の需要に基づく適正な歯科医師数について、特に中長期的な観点から歯科疾患等の需要予測の分析を行った上で、具体的な提言を行う研究を優先する。

(ウ)在宅医療を担う人材育成に関する研究           (21301801)
(留意点)

在宅医療の専門性を明らかにした上で、在宅医療を担う医師・コメディカルの人材育成に資する研究を優先して採択する。

【若手育成型】

(1) 若手研究者が上記(1)〜(5)の公募課題において主体となって行う研究                                   (21301901)

<地域医療基盤開発推進研究事業全体の留意点>

研究計画書の提出に当たり、以下の点に留意すること。

ア.目標を明確にするため、研究計画書の「9.期待される成果」に、当該研究により期 待される科学的成果及び当該成果によりもたらされる学術的・社会的・経済的メリット を具体的に記載すること。 また、「10.研究計画・方法」に、年度ごとの計画及び達 成目標を記載するとともに、実際の施策等への応用に至る工程を含めた研究全体の具体 的なロードマップを示した資料を添付すること(様式自由)。

なお、研究課題の採択に当たっては、これらの記載事項を重視するとともに、中間評 価及び事後評価においては、研究計画の達成度を厳格に評価する。その達成度(未達成 の場合にはその理由、計画の練り直し案)如何によっては、研究の継続が不可となる場 合もあり得ることに留意すること。

イ.各府省が定める法律・省令・倫理指針等を遵守し、適切に研究を実施すること。

ウ.「(2)(ア)統合医療に関する研究」に関しては、以下の事項に留意して応募すること。

(ア)特に、 研究計画において、妥当なプロトコールが作成され、臨床研究倫理指針等(II応募に関する諸条件等(4)応募に当たっての留意事項エ.研究計画策定に当たっての研究倫理に関する留意点参照)に規定する倫理審査委員会の承認が得られている(又はその見込みである)こと。各倫理指針等に基づき、あらかじめ、研究の内容、費用及び補償の有無等について患者又は家族に説明又は情報公開等し、必要に応じて文書等により同意を得ていること。

また、モニタリング・監査・データマネジメント等を含めた研究体制や、安全性及び倫理的妥当性を確保する体制について添付し提出すること。

(イ)介入を行う臨床研究であって、侵襲性を有するものを実施する場合には、臨床研究に関する倫理指針の規定に基づき、あらかじめ、登録された臨床研究計画の内容が公開されているデータベースに当該研究に係る臨床研究計画を登録すること。なお、事業実績報告書の提出時に、登録の有無を記載した報告書(様式自由)を別に添付すること。

11.労働安全衛生総合研究事業

<事業概要>

労働災害により今なお年間55万人が被災するとともに、職業性疾病も依然として後を絶たない状況にある。また、一般健康診断において所見を有する労働者が5割近くを占め、仕事や職業生活に関する強い不安やストレスを感じている労働者が6割を超える中で、過重労働対策やメンタルヘルス対策の充実が求められている。さらに、職場における化学物質の健康影響については、社会的な問題となっている。

このような課題に今後より一層的確に対応するため、本研究事業は、職場における労働者 の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進するための研究を総合的に 推進するものであり、 「一般公募型」による研究を行うとともに、若手研究者の参入を促進 するため、「若手育成型」の公募を行うこととする。

<新規課題採択方針>

平成20年度から平成24年度は、国が定めた第11次労働災害防止計画の計画期間であり、同計画において、メンタルヘルスケアに取り組んでいる事業場の割合を増加させること、作業環境管理の徹底等により職業性疾病を減少させることなどを重点対策とし、石綿に関しては診断技術の向上などによる離職後の健康管理対策の推進、事業場における新型インフルエンザ等の発生に備えた危機管理体制の構築、高年齢労働者対策として身体的特性等についての調査研究の推進、就業形態の多様化等に対する対策などが示されている。

このような対策を推進するためには、調査研究により最新の科学的知見を得て、その結果を基に計画的に対策を推進することが必要であることから、平成21年度は、次の公募研究課題について募集を行う。

ただし、より短期間で成果を得られる研究を優先的に採択するとともに、特に公募研究課題(1)〜(4)において示している具体的研究課題の趣旨に合致するもので、かつ、研究の成果を広く提供することにより事業場における安全衛生対策の実施が期待できる、もしくは、行政施策の立案に資するものを優先する。

  

研究費の規模:1課題当たり3,000〜7,000千円程度(1年当たりの研究費)

研究期間:1〜3年

新規採択予定課題数:8課題程度、うち若手育成型は1課題程度
※評価が低い場合は、この限りではない。

若手育成型の応募対象

平成21年4月1日現在で満39歳以下の者(昭和44年4月2日以降に生まれた者)

※新規採択時にのみ本条件を適用する。

※満年齢の算定は誕生日の前日に1歳加算する方法とする。

※産前・産後休業及び育児休業を取った者は、その日数を応募資格の制限日に加算することができる。

<公募研究課題>

【一般公募型】

(1)事業場におけるメンタルヘルス対策を促進させるための研究

自殺者は年間約3万人で推移しており、また、労働者の精神障害等による労災認定件数は増加傾向にあり、国としても事業場におけるメンタルヘルス対策に関する指針を示すなど様々な施策を行ってきているところであるが、労働者のメンタルヘルス対策は、通常の労働災害防止対策と異なり、事業者の取組は手探りの状況にある。

メンタルヘルス対策は、労働者の状況に応じた適切な対応が必要であるが、事業者の取組の実態、適切な対応方法等については科学的データが不十分な面もあり、これらについて研究により明らかにするものである。

研究成果を踏まえて、今後、メンタルヘルス不調の予防、効果的な職場復帰対策等の手法を確立し、行政として全国の事業場に普及を図るものである。

ア メンタルヘルス不調の1次予防の浸透手法に関する調査研究   (21310101)

我が国においては、メンタルヘルス不調の1次予防の手法の概念・内容は明確になりつつあるが、その手法に関する予防効果やそれを踏まえた改善方策等についての科学的データが不十分である。このため、正規雇用はもとより派遣労働者や契約社員等といった就業・雇用形態についても留意しつつ、これらのデータ収集や現場における事例を調査するとともに、特に中小企業が取り組みやすい効果的な1次予防の手法について研究する。

また、研究に当たっては、我が国においても取り入れられるものがないか海外の知見を得ることとする。

イ メンタルヘルス不調者の職場復帰を推進するための調査研究   (21310201)

労働者のメンタルヘルス不調について、休職期間が長期化することや復帰後に症状が再発・再燃をすること等の防止が課題となっており、これらに対応するためには、個々の患者に対し、保健所や精神科主治医等の地域資源と産業医等の職域における産業保健スタッフ等とが連携し、追跡する仕組みが必要であることから、そのような実態を把握し、地域連携クリティカルパス※等により入院の効率化、職場復帰までの期間の短縮、再発防止の仕組み作りについて研究を行う。

※病院への入院から退院、さらに引き続き地域の診療所等への通院に至る一連の医学的管理を工程表にまとめて標準化したもの

(2)事業場における職業性疾病予防対策を促進するための研究

業務上疾病の推移は近年横ばいであるが、産業現場においては、業務上疾病の撲滅のために、医学的、工学的知見を得て対応を進めなければならない課題がある一方、新型インフルエンザ等新たに労働者の脅威となる疾病の発生も危惧されており、これらの疾病予防対策を促進するための研究を行う。当該研究で得られた知見を活用することにより、制度の改正、事業場への指導、事例の紹介等を含む周知等を行い、以て、職場の安全衛生の向上に資するものである。

ア 職域における新型インフルエンザ対策の定着促進に関する研究  (21310301)

近年、東南アジアを中心に、鳥インフルエンザ(H5N1)が鳥から人に感染する事例が増加しており、この鳥インフルエンザが人から人へ感染する形に変異し、新型インフルエンザとして世界的に大流行することが危惧されている。こうした中、新型インフルエンザ専門家会議は、「事業者・職場における新型インフルエンザ対策ガイドライン」をまとめ、公表しているが、このガイドラインに基づく職場の準備状況は十分ではない。

こうしたことから、各事業所でマニュアル等準備がどのように進められているか調査し、事例を収集するとともに、費用対効果等を勘案した行動科学的な観点から研究を行い、その結果を周知することで事業所における行動計画策定に向けての動機付けを図り、以て、準備体制のレベル改善、早急な準備の完了を期するものである。

イ 作業環境測定結果の評価に基づく労働衛生工学的対策手法等に関する研究                                (21310401)

局所排気装置等の性能は法令で定める要件を満たしているが作業場の管理区分が第2管理区分又は第3管理区分であるケース、また、逆に、局所排気装置等の性能は要件を満たしていないが作業場の管理区分が良好な状態である第1管理区分であるケースが見られる。

さらに、第3管理区分の場合、労働者に有効な呼吸用保護具を使用させることとなるが、現場における呼吸用保護具の着用を徹底させるため、これら呼吸用保護具の小型化、軽量化など使用性能に関する研究も併せて行う必要がある。

また、法令では局所排気装置等の排気口を屋外に設け、吸引された空気はすべて屋外に排出することとしてるため、冷暖房により冷却又は暖められた作業場の空気がそのまま屋外に排出されているが、これは冷暖房エネルギーコスト面で大きな損失となるため、地球温暖化防止の観点からも見直しが求められる。

このようなことから、有害業務が行われる作業場における労働衛生工学的対策手法等について研究を行うこととするが、特に3年間で、従前の設備、装置以外の有効な装置や改善方法等に関すること、作業環境測定結果の評価に応じた局所排気装置等の性能要件の設定等に関すること、呼吸用保護具の小型化等の使用性能に関すること、空気清浄装置により有害物が除去された空気の還流による作業場への影響に関することを全て含むものを優先する。

ウ 林業従事者における蜂刺され症例の研究            (21310501)

蜂刺されによる死亡は、全国で年平均約30名となっており、特に、蜂と接触機会の多い林業従事者では毎年数名の死亡がみられている。また、国有林野事業における蜂刺されの件数は年約300件報告されており、国有林野事業従事者の約5%が毎年蜂刺され被害に遭っている。蜂刺されによる死亡は、蜂毒に起因するアナフィラキシーショックによるものであり、個人の体質等によってリスクは異なるものの、ショックを起こしやすい者の体質等については未だ明らかでない点が多い。こうしたことから、蜂に刺された者の実態を調査し、アナフィラキシーショックを起こしやすい者の体質等を明らかにし、今後、本研究結果に基づき、蜂刺され死亡災害の2次予防対策として有効なアドレナリン自己注射製剤の適応者の選定等に向けた手段を講ずることを目的とする。

(3)石綿による健康障害の予防等に資する研究

石綿による健康障害については、いまだ中皮腫の診断基準が定性的である等の問題もあり、労働者及び離職者の健康管理に資するための研究が早急に必要となっている。研究成果が、生前の診断・死亡診断書作成に係る中皮腫の診断精度の向上に資するとともに、労働安全衛生法や石綿障害予防規則に既定されている石綿ばく露歴のある労働者への在職中・離職後の健康診断等において、診断精度の精緻化が図られ、早期発見・早期治療・療養の開始につながる等、労働者等の健康管理に資することを目的とする。

ア 中皮腫の診断精度の向上に関する研究             (21310601)

中皮腫については、診断の基準が定性的であり、医師による判断にばらつきがあることから、研究にあたっては、生前、剖検等各段階で、臨床で参考となる基準を作成するものであること。

なお、基準については、中皮腫かどうか判断に迷う症例が全国的に一定割合で存在することから、病理医・放射線科医・呼吸器内科医・呼吸器外科医を含む多科の医師からなる専門委員会 により、症例を収集し、データベース化し、科学的エビデンスに基づき、中皮腫の診断精度を向上させる病理の基準を含むものであること。

これにより、中皮腫に係る今後の鑑別・診断のレベル向上に資することを目的とする。

(4)労働者の心身の特性、就業形態等に応じた安全衛生対策に関する研究

ア 加齢等に伴う心身状態の特性に応じた職場における健康管理に関する研究                                (21310701)

労働者の平均年齢の上昇、定年延長等により様々な疾病や身体機能低下を有することの多い高年齢労働者が就業する機会が増えている。しかしながら、 これまで、これらの高年齢労働者の心身状態の特性に応じた就業上の適切な健康管理についての知見がなく、事業場においては就業上の配慮を特段講じていない場合が多い。

このような現状を踏まえ、高年齢労働者がその特性により就業上の困難を来している実態について調査するとともに、健診結果、保健指導等を活用した高年齢労働者における健康管理等のあり方や健康配慮の観点に着目した職場環境のあり方について文献や事例収集等による研究を行う。今後、本研究は、高年齢労働者等の健康確保対策や高年齢労働者の心身状態の特性に配慮した環境の整備を図るための具体的方策の検討に資することを目的とする。

イ 派遣労働者等の特性等を踏まえた非正規雇用労働者の労働災害リスク及びその低減に関する研究                          (21310801)

就業形態の多様化等により派遣労働者、請負労働者、短時間労働者等の非正規雇用労働者が増加しており、経験年数が短い被災労働者の割合が増加している。このような労働者の労働災害がどのような要因で発生しているのか、あるいは、どのような取組により効果的な対策が行われているか実態調査を行う。さらに、調査結果を踏まえ、非正規雇用労働者の労働災害を防止するためには、当該労働者の特性等を踏まえ、どのような安全衛生管理体制を構築するとともに、安全衛生教育等の労働者の就業に当たっての措置を講じることが効果的か研究を行う。研究の成果が、非正規雇用労働者の労働災害防止対策事例の全国の事業場への普及、事業場に対する行政指導事項への盛り込み等の検討に資することを目的とする。

【若手育成型】

(5)若手研究者が上記(1)〜(4)の公募課題において主体となって行う研究 (21310901)

<労働安全衛生総合研究事業全体の留意点>

研究計画書の作成に当たり、以下の点に留意すること。

ア.目標を明確にするため、研究計画書の「9.期待される成果」に、当該研究により期待される科学的成果及び当該成果によりもたらされる学術的・社会的・経済的メリットを具体的に記載すること。また、「10.研究計画・方法」に、年度ごとの計画及び達成目標を記載するとともに、実際の施策等への応用に至る工程を含めた研究全体の具体的なロードマップを示した資料を添付すること(様式自由)。

なお、研究課題の採択に当たっては、これらの記載事項を重視するとともに、中間評価及び事後評価においては、研究計画の達成度を厳格に評価する。その達成度(未達成の場合にはその理由、計画の練り直し案)如何によっては、研究の継続が不可となる場合もあり得ることに留意すること。

イ.各府省が定める法律・省令・倫理指針等を遵守し、適切に研究を実施すること。

ウ.特に、研究計画において、妥当なプロトコールが作成され、臨床研究倫理指針等(II応募に関する諸条件等(4)応募に当たっての留意事項エ.研究計画策定に当たっての研究倫理に関する留意点参照)に規定する倫理審査委員会の承認が得られている(又はその見込みである)こと。各倫理指針等に基づき、あらかじめ、研究の内容、費用及び補償の有無等について患者又は家族に説明又は情報公開等し、必要に応じて文書等により同意を得ていること。

また、モニタリング・監査・データマネジメント等を含めた研究体制や、安全性及び倫理的妥当性を確保する体制について添付し提出すること。

12.食品医薬品等リスク分析研究事業

(1)食品の安心安全確保推進研究事業

<事業概要>

本研究事業は、食品供給行程全般におけるリスク分析のうち、厚生労働省が担当するリスク管理及びリスクコミュニケーション並びにリスク評価に必要な科学的知見の収集等を実施するものである。よって、国民の安全な食生活と食品に関する国民の安心を確保することを目的に、本研究事業を推進する。

具体的課題としては、食品安全行政の中でも国民の関心が高い案件や、国民の健康に重大な影響を及ぼす案件について重点的に研究を推進するとともに、遺伝子組換え食品など、科学技術の進展により開発された新しい食品の安全性などについても研究を実施する。

なお、本研究事業においては、食品安全におけるレギュラトリーサイエンス分野の研究で積極的に人材育成を進める観点から、一般公募型に加え、若手育成型の研究も募集する。

<新規課題採択方針>

次に掲げる課題について募集を行う。

なお、基本的に、各課題は、成果に関して国民にとって解りやすい資料を作成するなど、リスクコミュニケーションに資する内容を含むこととする。

また、採択に当たっては、国際的動向も踏まえつつ、食品等の安全性及び信頼性の確保の観点から、国民の保健衛生の向上に資するものを優先的に採択する。

各研究課題について原則として1又は2課題の採択を予定している((8)を除く。)が、採択を行わない場合又は予定課題数を上回る課題数を採択する場合がある。

<公募研究課題>

【一般公募型】

(1) 食品の安心・安全推進研究分野

ア.リスクコミュニケーションにおける情報の伝達手法に関する研究                                (21320101)
(留意点)

課題の採択に当たっては、行政、メディア、科学者、食品関係事業者、消費者団体等が食品安全に関する情報を発信するにあたり、一般国民の情報認知の特性等を踏まえ、科学的知見に基づく食品の安全性(リスク等)に関する情報を正確かつ分かりやすく伝えるための手法の開発等に成果が期待できる研究を優先的に採択する。

研究費の規模:1課題当たり5,000千円〜10,000千円程度(1年当たりの研究費)

研究期間  :1〜3年

新規採択予定課題数:1課題

イ.食品防御の具体的な対策の確立と実行可能性の検証に関する研究                                  (21320201)
(留意点)

課題の採択に当たっては、HACCPにより管理されている大規模食品工場並びに非 HACCPの大規模及び小規模食品工場それぞれにおいて、食品防御の視点から現行の管理体制に追加すべき実用的な対策を具体的に提示し、これを検証目的で試行できる研究であり、かつ普及に資するガイドライン等の作成を行うことができる研究を優先的に採択する。

研究費の規模:1課題当たり20,000千円程度(1年当たりの研究費)

研究期間 1年〜3年

新規採択予定課題数:1課題

ウ.食の安全に資する継続的モニタリングシステムの構築と早期検知に向けた研究      (21320301)
(留意点)

課題の採択に当たっては、試料バンクを有するなど長期モニタリングを行うための 基盤が整備されていること及び新規サンプルの収集やリスク評価を行うための体制が 整備されており、かつ研究期間中に具体的な探知が期待できる研究を優先的に採択す る。

研究費の規模:1課題当たり10,000〜20,000千円程度(1年当たりの研究費)

研究期間 :1〜3年

新規採択予定課題数:1題

(2) 食品リスク分析調査研究分野

ア.食品に起因する免疫・アレルギー疾患に関する研究    (21320401)
(留意点)

課題の採択に当たっては、特に、アレルギー疾患対策全体に占める食物アレルギー     対策のあり方や食物中に含まれるアレルギー物質の検知方法に関する研究を優先的に     採択する。

研究費の規模:1課題当たり20,000千円〜30,000千円程度(1年当たりの研究費)

研究期間  :1〜3年

新規採択予定課題数:1課題

イ.輸入食品の食中毒菌モニタリングプラン策定手法に関する研究                                  (21320501)
(留意点)

課題採択にあたっては、輸入食品による集団食中毒を迅速に探知するためのモニタリングプラン策定手法開発の成果が期待できる研究を優先的に採択する。

研究費の規模:1課題当たり25,000千円程度(1年あたりの研究費)

研究期間  :1〜3年間

新規採択予定課題:1課題

ウ.食品衛生監視員による食品衛生監視手法の高度化に関する研究                                  (21320601)
(留意点)

課題採択にあたっては、監視指導計画策定の際に有効な監視指導情報の共有システムの構築及び保健所等における科学的データに基づいた監視指導手法の開発などに成果が期待できる研究を優先する。

研究費の規模:1課題当たり20,000千円程度(1年あたりの研究費)

研究期間  :1〜3年間

新規採択予定課題:1課題

(3) バイオテクノロジー応用食品対策研究分野

遺伝子組換え食品に関する研究               (21320701)
(留意点)

課題の採択に当たっては、次の2点を網羅する研究を優先的に採択する。

・近年開発が進んでいる干ばつに負けない植物等という環境の変化に耐性がある遺伝子組換え食品を中心として、安全性に関する情報として、実証的なデータ、検知方法を実用的に提示できること。

・安全性の審査を終了したものを中心に、遺伝子組換え食品の安全性に関して消費者の意識や感受性の解析等によりリスクコミュニケーションに関する効果的な方法を実用的に提示できること。

研究費の規模:1課題当たり60,000千円〜70,000千円程度(1年当たりの研究費)

研究期間  :1〜3年

新規採択予定課題数:1課題

(4) 健康食品等の安全性・有効性評価研究分野

いわゆる健康食品の安全性に関する研究           (21320801)
(留意点)

課題採択に当たっては、次の2点を網羅する研究を優先的に採択する。

・いわゆる健康食品に関する情報を専門家及び消費者が適正に得られるための体制を充実するため、情報システム、情報提供者等のツールを活用した具体的な方法を提示できること。

・いわゆる健康食品に関する情報を消費者に提供するとともに、専門的知識に基づく助言を与えることが可能な専門家の実態を把握し、その水準を確保するための具体的な提示ができること。

研究費の規模:1課題当たり30,000千円〜40,000千円程度(1年当たりの研究費)

研究期間  :1〜3年

新規採択予定課題数:1課題

(5) 添加物及び汚染物質に関する研究分野

ア.食品中残留農薬のリスク管理手法の精密化と国際化対応に関する研究                                (21320901)
(留意点)

課題の採択に当たっては、畜水産食品への一律基準の適用に係る調査分析、基準適用部位・分析部位の標準化、統計手法を用いる最大残留量の算定手法の検討、調理加工の分解等に伴うリスク評価についての調査研究を優先的に採択する。

研究費の規模:1課題当たり20,000千円〜30,000千円(1年当たりの研究費)

研究期間  : 1〜3年

新規採択予定課題数: 1課題

イ.食品の規格基準策定のためのデータベース作製に関する研究(21321001)
(留意点)

課題の採択に当たっては、食品衛生法に係る食品の規格基準策定に必要な食品中の汚染物質の暴露評価等について、国民健康・栄養調査等を念頭の上、摂取量データベースから食品群別摂取量を算出した上で、その有用性について検討する等各種データベースとのリンケージを行うための研究を優先的に採択する。

研究費の規模:1課題当たり10,000千円〜20,000千円程度(1年当たりの研究費)

研究期間  :1〜3年

新規採択予定課題数:1課題

ウ.食品添加物等における遺伝毒性発がん物質の評価法に関する研究                                  (21321101)
(留意点)

課題の採択に当たっては、遺伝毒性発がん物質による作用の評価に関し、検討すべき論点の抽出・整理、その評価に必要な試験モデルの構築等に成果が期待できる研究を優先的に採択する。

研究費の規模:1課題当たり20,000千円〜30,000千円程度(1年当たりの研究費)

研究期間  :1〜3年

新規採択予定課題数:1課題

エ.食品添加物等における遺伝毒性・発がん性の短期包括的試験法の開発に関する研究                                  (21321201)
(留意点)

課題の採択に当たっては、遺伝毒性と組織学的な前がん病変等を指標として、従来、食品添加物等の発がん性の評価に用いられている方法よりも短期間で発がん性の検出が可能となる動物試験系の開発に関する研究を優先的に採択する。

研究費の規模:1課題当たり20,000千円〜30,000千円程度(1年当たりの研究費)

研究期間  :1〜3年

新規採択予定課題数:1〜2課題

オ.食品中成分から生成される有害物質のリスク管理対策に関する研究                                  (21321301)
(留意点)

課題の採択にあたっては、アクリルアミドを対象とし、ライフステージにおける感受性の違いや食習慣と毒性との関連性等を検討し、新たなリスク管理対策に成果が期待できる研究を優先的に採択する。

研究費の規模:1課題当たり15,000千円程度(1年あたりの研究費)

研究期間  :1〜3年間

新規採択予定課題:1課題

(6) 食品中の微生物対策分野

薬剤耐性食中毒菌に係る解析技術の開発及びサーベイランスシステムの高度化に関する研究                           (21321401)
(留意点)

課題の採択にあたっては、輸出国及び国内で分離される薬剤耐性食中毒菌の関連性の解明及び薬剤耐性食中毒菌のフードチェーンにおける関連性の解明、更に、その解析に資する技術の開発及び関係研究機関が参画して構築するサーベイランスシステムの高度化及びネットワーク化について成果が期待できる研究を優先的に採択する。

研究費の規模:1課題当たり25,000千円程度(1年あたりの研究費)

研究期間  :1〜3年間

新規採択予定課題:1課題

(7) 食品中の化学物質対策分野

食品を介したダイオキシン類等の人体への影響の把握とその治療法の開発等に関する研究                                  (21321501)
(留意点)

課題の採択に当たっては、平成20年度に厚生労働省が実施する油症に関する健康実    態調査の結果を踏まえ、治療法の開発や医療機関等との連携を推進するための体制が確    保されている研究を優先的に採択する。

研究費の規模:1課題当たり100,000〜300,000千円程度(1年当たりの研究費)

研究期間  :1〜3年

新規採択予定課題数:1題

【若手育成型】

(8) 以下に示す年齢条件を満たす若手研究者が主体となって行う食品安全に関する研究                                   (21321601)
(留意点)

課題の採択に当たっては、食品リスク分析、バイオテクノロジー応用食品や健康食品等    の安全性・有効性評価、牛海綿状脳症対策、添加物、汚染物質、食品中の微生物や化学物    質対策、輸入食品、乳幼児における食品安全確保などの厚生労働省が行う食品安全行政の    推進に資する研究を優先的に採択する。

研究費の規模:1課題当たり5,000〜10,000千円程度(1年当たりの研究費)

研究期間  :1〜2年

新規採択予定課題数:3〜5課題程度
※ただし、評価が低い場合はこの限りではない。

若手育成型の応募対象となる年齢条件:

平成21年4月1日現在で満39歳以下の者(昭和44年4月2日以降に生まれた者)

※新規採択時にのみ本条件を適用する。

※満年齢の算定は誕生日の前日に1歳加算する方法とする。

※産前・産後休業及び育児休業を取った者は、その日数を応募資格の制限日に加算することができる。

<研究計画書を提出する際の留意点>

研究計画書の「9.期待される成果」に、当該研究により期待される科学的成果及び当該成果によりもたらされる学術的・社会的・経済的メリットを具体的に記載すること。また、「10.研究計画・方法」に、年度ごとの計画及び達成目標を記載するとともに、食品安全行政等への応用に至る工程を含めた研究全体の具体的なロードマップを示した資料を添付すること(様式自由)。

なお、研究課題の採択に当たっては、これらの記載事項を重視するとともに、中間評価及び事後評価においては、研究計画の達成度を厳格に評価する。その達成度(未達成の場合にはその理由、計画の練り直し案)如何によっては、研究の継続が不可となる場合もあり得ることに留意すること。

(2)医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究事業

<事業概要>

国民の保健衛生の向上に資する医薬品・医療機器等の安全性、有効性及び品質は、科学的でかつ国際的動向を踏まえたレギュレーション(規制)により確保されている。本研究事業は、薬事法や麻薬及び向精神薬取締法等の規制の対象となっている医薬品、医療機器等の安全性、有効性及び品質の評価、乱用薬物への対策等を政策的に実行するために必要な規制(レギュレーション)について、科学的合理性と社会的正当性に関する根拠をもって、整備するための研究を行うものである。

本事業を通じて得られた成果は、承認審査、市販後安全対策、薬事監視、薬物乱用対策及び血液対策等の薬事規制全般に科学的根拠を与えることにつながっており、また、安全性・有効性・品質に係る評価手法の整備などにより、新たな医薬品・医療機器の開発・承認に通ずる指標として効果をもたらしている。

これらの取組は、「革新的医薬品・医療機器創出のための5カ年計画」等で求められている革新的技術を用いた製品の有効性・安全性等の適切な評価 手法に関する調査研究の推進や、承認審査の在り方や基準の明確化、ひいては審査の迅速化・質の向上につながるものである。

平成21年度においては、引き続き革新的技術を用いた製品(医薬品、医療機器等)の有効性・安全性等の適切な評価及び管理手法に関する調査研究を実施するとともに、医薬品等の市販後安全対策や適正な提供対策、血液製剤・ワクチンの安全性・品質向上対策、さらには違法ドラッグ等の精神毒性・依存性・実態等に関する調査研究や乱用防止対策等、引き続き行政施策につながる研究を実施していく。

<新規課題採択方針>

次に掲げる研究分野について募集を行う。

(1)医薬品、医療機器等の品質、安全性及び有効性の評価及びそれらの管理等に関する研究

(2)改良型ワクチン・血液製剤等の安全性・品質向上及び安定供給に関する研究

(3)医薬品、医療機器等の市販後安全対策に関する研究

(4)医薬品・医療機器等の適正な提供等に関する研究

(5)麻薬・向精神薬・指定薬物等の乱用防止に関する研究

なお、研究課題の採択に当たっては、基本的に、薬事法、薬剤師法、麻薬及び向精神薬   取締法、安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律等による医薬行政施策への応用   が可能なものや、国際的動向も視野に入れつつ、医薬品等の品質・有効性・安全性確保の   観点から、国民の保健衛生の向上に資するものを優先的に取り扱う。

研究費の規模:1課題当たり2,000千円〜 20,000千円程度(1年当たりの研究費)

研究期間  :1〜3年

新規採択予定課題数:30課題程度
※各研究課題について原則として1課題を採択するが、採択を行わない又は複数選択することもある。

<公募研究課題>

【一般公募型】

(1) 医薬品、医療機器等の品質、安全性及び有効性の評価及びそれらの管理等に関する研究のうち次に掲げるもの

(ア) 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の評価等に関する研究

・医薬品の開発、審査の迅速化に資する安全性又は有効性の革新的評価方法に関する研究 (21330101)

・医薬品規制の国際調和の推進による医薬品審査の迅速化のための基盤的研究                              (21330201)
(留意点)

医薬品の承認審査等に必要な資料に関する国際調和文書に盛り込むべき要件についての裏付けとなる科学的データの取得や調和を目指す試験法を評価するものであること。

・医薬品の環境影響評価ガイドラインに関する研究      (21330301)
(留意点)

医薬品の環境への影響評価方法について、必要なリスク管理の方法、リスクに応じて実施すべき試験の概要、対象とすべき医薬品の範囲及びその根拠について研究するとともに、実際の運用に必要なガイドラインの策定を行うものであること。

・漢方処方製剤の安全性及び同等性の評価並びに生薬の品質確保と国際調和に関する研究                           (21330401)
(留意点)

漢方処方製剤の安全性及び医療用漢方処方の生物学的同等性についての評価方法の確立と標準化、生薬原料の品質確保並びに生薬及び関連医薬品の国際調和に資する研究であること。

(イ) 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の保証・管理に関する研究

・医薬品の製造開発から市販後までに及ぶ品質確保と改善に関する研究                              (21330501)
(留意点)

最新の科学を反映した品質確保及び品質の継続的な改善のための評価手法の確立とガイドライン化を目的とするものであること。

・医薬品を巡る環境の変化等に対応した生物学的製剤基準の改正のための研究                               (21330601)
(留意点)

国際的な動向に留意しつつ、製法の技術の進歩等医薬品を巡る環境の変化に対応して、改正すべき生物学的製剤基準の内容を研究するものであること。

・GCP等の治験制度及びその運用のあり方に関する研究   (21330701)
(留意点)

GCP、治験中の副作用報告等の治験制度及びその運用について、治験の安全性及び科学的な成績の信頼性を確保しつつ、効率的なあり方について研究を行うものであること。

・医薬品の微生物学的品質確保のための新規試験法導入に関する研究 (21330801)
(留意点)

微生物学的な品質を確保するため、日局の微生物学的試験法の信頼性の保証に影      響を与える諸因子について解析するとともに、その改善もしくは確認のための新規手法を開発するものであること。

・GMP査察手法等の国際整合性確保に関する研究      (21330901)
(留意点)

欧米諸国及び関連国際団体等の査察手法の調査・分析等を行い、国際整合された GMP査察手法を開発するとともに、欧米諸国及び関係国際団体等との国際共同スキームの構築及び連携に資する研究であること。

・ワクチンの品質確保のための国家検定手法の国際整合性確保に関する研究                              (21331001)
(留意点)

薬事法において規定されるワクチンの国家検定に関して、WHOや欧米諸国におけるワクチンの品質等の国家管理システムとの整合性を図るとともに、我が国のワクチンの品質確保の向上に資する研究を行うものであること。

・無承認無許可医薬品の調査・分析及び有害性評価に関する研究(21331101)
(留意点)

無承認無許可医薬品及びその関連物質について、国内外を問わず広く調査・分析を行うとともに、科学的な知見に基づいた有害性評価を行う研究であること。

(2) 改良型ワクチン・血液製剤等の安全性、品質向上及び安定供給に関する研究のうち次に掲げるもの

(ア) 安定・早期供給が必要なワクチン(狂犬病ワクチン・新型インフルエンザワクチン等)及び抗毒素製剤(ガスえそ・ボツリヌス・ジフテリア・蛇毒等)の生産効率向上に関する研究             (21331201)

(イ) 血液製剤の使用指針、輸血療法の実施に関する指針、医療機関における自己血輸血治療等の適正な実施体制・遵守基準等に関する研究       (21331301)

(ウ) 輸血用血液製剤に対する副作用を生じない病原体不活化技術の開発に関する研究                                  (21331401)

(留意点)

当該不活化技術による新たな副作用の発生の防止に留意した研究を行うものであること。

(エ) 医療機関内輸血副作用監視体制に関する研究        (21331501)

(留意点)

病院内で輸血による副作用報告を収集するシステムを構築するとともに、副作用の実態について評価を行うことにより、各種ガイドラインの改訂等の施策に繋がる提言を行える研究を行うものであること。

(オ) 採血基準の見直しと献血者確保の方策に関する研究     (21331601)

(留意点)

海外との採血基準との比較を行った上で、現行の採血基準について科学的・疫学的に再評価を行い、献血率の向上等の施策に繋がる提言を行える研究を行うもので あること。

(カ)献血推進のための効果的な広報戦略等の開発に関する研究  (21331701)

(留意点)

特に若年層が行動変容を起こすような具体的な啓発方法の開発とその評価を行い、献血推進の施策に繋がる提言を行える研究を行うものであること。

(3) 医薬品・医療機器等の市販後安全対策に関する研究

(ア)国民や医療関係者との副作用情報に係るリスクコミュニケーション方策に関する調査研究                                (21331801)

(留意点)

国民や医療関係者に対するより効果的な副作用情報伝達方策に関して調査検討し、具体的なリスクコミュニケーション方策について明らかにするものであること。

(イ)患者から副作用情報を受ける方策に関する調査研究      (21331901)

(留意点)

患者からの副作用に関する情報について、分析・評価に必要な診療情報が得られていない場合も想定されること等を考慮し、 そのような情報を活かせる仕組みについて研究するものであること。

(ウ)レセプト等を利用した疫学データベース作成に関する研究   (21332001)

(留意点)

レセプトデータや電子カルテ等の医療情報のデータベースを活用した薬剤疫学的手法の市販後安全対策への利用について、諸外国の活用状況等を調査し、我が国で当該データベースを作成する際の留意点等を明らかにする研究を行うものであること。

(エ)重篤副作用に係る遺伝子マーカー(ファーマコゲノミクス)に関する研究  (21332101)

(留意点)

重篤な副作用に係る遺伝子マーカーを明らかにし、当該マーカーの市販後安全対策への利用の際に必要な体制整備のあり方について、調査研究を行うものであること。

(オ)国際化を踏まえた医薬品・医療機器の安全性情報の伝達に関する研究 (21332201)

(留意点)

国際的な標準化等の動向に対応した国内における医薬品、医療機器の安全性情報の伝達の仕組みを構築するための調査研究を行うものであること。

(カ)植え込み型生命維持装置の不具合情報等の効率的な集積・伝達手法等に関する研究 (21332301)

(留意点)

ペースメーカ等の植え込み型生命維持装置の不具合事例の情報を効率的に収集し、 分析、情報伝達等を行い安全対策に活用するための仕組みについて調査研究を行うものであること。

(4) 医薬品・医療機器等の適正な提供等に関する研究

(ア) 新たな薬剤師国家試験制度の適正な実施体制の整備と出題の標準化に関する研究 (21332401)

(留意点)

6年制の薬学教育を踏まえた新たな薬剤師国家試験を平成24年からスタートするにあたり、薬剤師国家試験出題制度検討会が平成20年7月に提言した試験制度の実効性を確保するため、各分野横断的な試験問題の出題例及びその作成方法・体制などの在り方を研究するとともに、国家試験の公平性・客観性を確保する観点から出題の標準化を図るための方策について研究を行うものであること。

(イ) 登録販売者に必要な資質及びそれを確保するための登録販売者試験の適正な実施に関する研究 (21332501)

(留意点)

平成20年度から実施されている登録販売者試験の試験内容や実施状況等を踏まえ、登録販売者試験実施要領及び試験問題の作成に関する手引きの内容を考慮して研究を行うものであること。

(ウ) 薬剤師による長期実務実習の効果的かつ適正な指導方法のあり方に関する研究 (21332601)

(留意点)

6年制薬学教育における長期実務実習を病院及び薬局にて実施するにあたり、各実習実施施設の指導薬剤師による指導内容に格差が生じないようにし、かつ質の高い実習を実施するため、指導する薬剤師にとって留意すべき点や課題などを抽出するとともに、実習期間(病院・薬局各11週間)中の指導方法に関する標準的なプ ログラムの在り方等について研究を行うものであること。

(5)麻薬・向精神薬・指定薬物等の乱用防止に関する研究

(ア) 薬物乱用・依存等の実態把握と再乱用防止・社会復帰等に関する研究   (21332701)

(留意点)

国内の薬物乱用・依存等の実態把握を行うとともに、我が国として再乱用防止等を行うために必要な対策につき調査研究を行うものであること。

(イ) 国際的調和を踏まえた麻薬代替としての薬用植物等に関する研究    (21332801)

(留意点)

不法な栽培麻薬を根絶するため、代替となる薬用植物の研究とともに、それを補完するために必要とされる分析技術等についての研究を行うものであること。

(ウ) 違法ドラッグの保健衛生上の危害影響予測手法と分析に関する研究                              (21332901)

(留意点)

違法ドラッグに含まれる依存性成分を分析するとともに、及ぼしうる危害等につき、構造活性及び諸外国の情報をもとに予測する等の調査研究を行うものであること。

(エ) 違法ドラッグの薬物依存形成とその乱用実態把握に関する研究(21333001)

(留意点)

違法ドラッグに関する依存形成メカニズムの解明を行うとともに、違法ドラッグの乱用にかかる実態を明らかにする調査研究を行うものであること。

<研究計画書を作成する際の留意点>

研究計画書の提出に当たっては、目標を明確にするため、研究計画書の「9.期待される成果」に、当該研究により期待される科学的成果及び当該成果によりもたらされる学術的・社会的・経済的メリットを具体的に記載すること。また、「10.研究計画・方法」に、年度ごとの計画及び達成目標を記載するとともに、実際の医療・規制等への応用に至る工程を含めた研究全体の具体的なロードマップを示した資料を添付すること(様式自由)。

なお、研究課題の採択に際しては、研究計画書の「9.」及び「10.」を重視するとともに、中間評価及び事後評価においては、研究計画の達成度を厳格に評価する。その達成度(未達成の場合にはその理由、計画の練り直し案)如何によっては、研究の継続が不可となる場合もあり得ることに留意すること。

(3)化学物質リスク研究事業

<事業概要>

我が国の日常生活において使用される化学物質は数万種に及ぶといわれ、国民生活を豊かなものとすることに貢献している反面、ヒトの健康への有害影響が社会的に懸念されている。世界的にも、ヨハネスブルグサミットを受けて国際化学物質管理会議にて「国際的な化学物質管理のための戦略的アプローチ(SAICM)」が採択され、2020年までに化学物質が健康や 環境への影響を最小とする方法で生産・使用されるようにすること、また化学物質に対して脆弱な集団を保護する必要性が再確認されており、国際協力の下で化学物質の有害性評価を推進する必要がある。

本研究事業では、化学物質の総合的な評価を加速し、国際的な化学物質管理の取組に貢献するために、化学物質の迅速かつ効率的な評価手法の開発や戦略的な評価スキームの構築等の研究を推進する。

また、10億分の1mサイズの新素材であるナノマテリアルについては、社会受容促進のための取組が国際的にも喫緊の課題と認識されており、OECDにおいても代表的なナノマテリアルについての有害性情報等を収集することを目的としたスポンサーシッププログラムが開始された。そのため、国際貢献の重要性に鑑み、OECDスポンサーシッププログラムに報告するため、ヒトの健康への影響を評価する手法を開発し、その方法に基づきナノマテリアルの有害性情報等を集積する研究を推進する。

更に、化学物質による情動・認知行動に対する影響の存在が示唆されているが、その評価手法の開発に資する研究を推進する。

<新規課題採択方針>

次の5分野に関して、化学物質の安全対策の観点から国民の保健衛生の向上に資するものであって、<公募研究課題>に掲げる条件を満たすものを採択する。

(1)化学物質の有害性評価手法の迅速化、高度化に関する研究

(2)化学物質の子どもへの影響評価に関する研究

(ア)化学物質の子どもへの有害性評価法の開発に関する研究

(イ)次世代影響や脆弱な集団に対する影響に関する疫学研究

(3)ナノマテリアルのヒト健康影響の評価手法に関する総合研究

(4)家庭用品の安全対策に関する総合研究

(5)化学物質の情動・認知行動に対する影響の評価方法に関する研究

研究費の規模 :1課題当たり

課題(1)   20,000千円〜50,000千円程度 (1年当たりの研究費)

課題(2)(ア) 20,000千円〜40,000千円程度 (1年当たりの研究費)

課題(2)(イ) 30,000千円〜40,000千円程度 (1年当たりの研究費)

課題(3)   30,000千円〜60,000千円程度 (1年当たりの研究費)

課題(4)   20,000千円〜40,000千円程度 (1年当たりの研究費)

課題(5)   20,000千円〜40,000千円程度 (1年当たりの研究費)

研究期間:1〜3年(中間評価の結果如何によっては研究の継続不可となる場合がある。)

新規採択予定課題数:

課題(1)     3課題程度

課題(2)(ア)、(イ)それぞれ1〜2課題程度

課題(3)、(4)   それぞれ1課題程度

課題(5)     1〜2課題程度

※各研究課題について原則として上記の課題数を採択するが、採択を行わないことがあるので留意すること。

<公募研究課題>

【一般公募型】

(1) 化学物質の有害性評価手法の迅速化、高度化に関する研究

「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律」に基づく化学物質の審査の補完を 目的とした、化学物質の有害性評価手法をより迅速化、定量化、高精度化させるための 総合的かつ安定的な評価システムの開発。単に個別物質の毒性評価を行うものは対象としない。

特に、次のような研究について優先的に取り扱う。

1)遺伝子の網羅的な発現プロファイリングとデータ蓄積を行い、それに基づいて構築した大規模トキシコゲノミクスデータベースを活用し、化学物質のリスク評価を行うためのインフォマティクス技術を活用した毒性予測評価システムの実用化及びその国際標準化を目指した研究                     (21340101)

2)毒性が明らかでない化学物質について、化学物質の構造及び毒性発現メカニズムの観点から、(定量的)構造活性相関((Q)SAR)やカテゴリーアプローチを活用して化学物質の毒性学的影響を高精度で予測するための方法についての研究(21340201)

3)資源の有効活用及び動物愛護の観点から開発が進んでいる化学物質リスク評価に係る代替試験について、試験の信頼性や正確性を保証するためのバリデーションを含む実用化に関する研究                      (21340301)

※なお、1)及び2)については、第3期科学技術基本計画分野別推進戦略(http://www. 8.cao.go.jp/cstp/kihon3/bunyabetu.html)の研究開発目標に基づき、2010年度までに 化学物質の有害性を評価するためのトキシコゲノミクスや(Q)SARを用いた迅速かつ高精 度な手法について、基盤となるデータを取得することを目指す研究計画であること。

(2) 化学物質の子どもへの影響評価に関する研究

(ア) 化学物質の子どもへの有害性評価法の開発に関する研究   (21340401)

子どもなど化学物質に対して脆弱な集団に特有な有害性発現メカニズムを解明し、これに基づき、健康影響を評価するための試験法の開発。単に個別物質の毒性評価を行うものは対象としない。特に、生体に発現する有害性を体系的、総合的に評価できる手法であって、これら集団に特有な有害性発現メカニズムに基づき、高精度で検出する評価手法の開発に資する研究を優先する。

(イ) 次世代影響や脆弱な集団に対する影響に関する疫学研究   (21340501)

胎児期や新生児、生殖機能への影響を対象としたものであって、「内分泌かく乱化学物質の健康影響に関する検討会中間報告書追補その2(平成17年3月)」(http://www.nihs.go.jp/edc/edc.htmlにて閲覧可能)及び「ダイオキシンの健康影響評価に関するワーキンググループ報告書(平成14年6月)」(http://www.nihs.go.jp/mhlw/chemical/dioxin/index.htmlにて閲覧可能)を踏まえた調査研究を優先する。

(3) ナノマテリアルのヒト健康影響の評価手法に関する総合研究  (21340601)

産業利用を目的として意図的に生成、製造されるナノマテリアル及びナノマテリアル利用製品について、体内挙動を把握し、ナノマテリアル製品への暴露によるヒトの健康への影響を評価する手法を開発し、ナノマテリアルの有害性情報等の集積に資する研究。ただし、国際貢献の重要性に鑑み、OECD工業ナノ材料部会スポンサーシッププログラムへ報告するナノマテリアルの体内挙動(ADME)、急性毒性、反復投与毒性(経口、経皮)及び長期毒性等を評価する手法を開発し、その手法に基づきナノマテリアルの有害性情報等の集積を実施する研究を主として行うものを優先的に取り扱う。

※OECD工業ナノ材料部会スポンサーシッププログラムにおいて、生産量等の観点から選 定された代表的ナノマテリアルに関し、合意された安全性情報項目等について情報収集 又は試験を実施することとなっている。本プログラムの進行に当たっては、各国が自主 的に特定のナノマテリアルのスポンサーとなり評価文書を策定することとされており、 日本は現在、米国と共同で、フラーレン、単層カーボンナノチューブ及び複層カーボン ナノチューブのスポンサーとなることを表明している。

(4) 家庭用品の安全対策に関する総合研究            (21340701)

身近な家庭用品の中にも多種多様な化学物質が含まれており、日常生活において相当量の化学物質に暴露している。安心・安全な国民生活を確保する観点から家庭用品からの化学物質の暴露量を推定し、リスク評価手法を開発する研究。

(5) 化学物質の情動・認知行動に対する影響の評価方法に関する研究(21340801)

化学物質の情動・認知行動に対する影響評価手法の開発に資する研究。特に、子ども の発達に対する影響を対象とし、個体の情動・認知行動に生じる異常現象の評価に留ま ることなく、疫学的手法や動物モデル等による評価手法を適宜組み合わせて、化学物質 の情動・認知行動に対する影響を体系的に評価することを可能とする研究を優先する。 ただし、甲状腺機能低下に代表されるホルモン等の内因性因子の関与が主体を成す影響、 麻薬・覚せい剤等依存性薬物による影響は対象としない。

13.健康安全・危機管理対策総合研究事業

<事業概要>

近年、大規模な自然災害が頻発し、鳥インフルエンザの国内発生が報告されたことなどにより、生命や健康を脅かす健康危機事例への国民の関心が増大している。また、新型インフルエンザやテロリズム等の発生も懸念されている。健康危機事例の被害拡大を防ぐためには、平時からの準備と発生時における的確な対処が求められている。なかでも、初動体制を確保することや情報を共有し活用すること等については、より一層の体制整備を行う必要性が指摘されているところである。

テロリズムを含む原因不明の健康危機事例に対処するには、感染症や医薬品、食品等の個別分野における対策が必要であるが、それだけでなく、各分野の連携体制について研究するなどの学際的な研究も必要である。本研究事業では、健康危機事例発生時に地方公共団体あるいは国における対処方策についての研究を実施する。すなわち、(1)地域健康安全の基盤形成に関する研究分野(健康危機事例発生時に備えた健康危機管理基盤の形成に関する研究)、(2)水安全対策研究分野(原水水質事故、災害、テロ時においても安全かつ安定的な水道等の水供給に関する研究)、(3)生活環境安全対策研究分野(建物や生活衛生関係営業等の生活環境に起因する健康危機の未然防止及び適切な対応等に関する研究)、(4)健康危機管理・テロリズム対策システム研究分野の4分野における研究を推進する。

<新規課題採択方針>

(1) 地域健康安全の基盤形成に関する研究分野

「健康危機管理体制の構築」は地域保健における重要な課題であり、地方公共団体には健康と安全の確保に関し迅速かつ適切に対応することが求められている。地域における健康安全の基盤形成をより確実にするために、一般公募型として、(ア)健康危機発生時における行政機関相互の適切な連携体制及び活動内容に関する研究、(イ)健康危機管理業務に従事する者のリスクコミュニケーションスキル及びクライシスコミュニケーションスキルを向上させる方法の開発と評価に関する研究、(ウ)健康危機情報の積極的収集と分析及び健康危機管理行政への情報提供のためのシステム開発と運用に関する研究、(エ)大都市部の健康危機発生時における保健活動のあり方に関する研究を募集する。なお、新規課題の採択においては、公衆衛生行政の実施に資する研究を優先する。

また、一定の条件(後述)に該当する若手研究者が主体となって上記(ア)〜(エ)のいずれかに該当する研究を実施する場合、またはそれ以外であっても学際的なもの、あるいは新規性・独創性に富み、地域健康安全の基盤形成に資する研究を行う場合には、若手育成型の研究として応募することも可能である。

(2) 水安全対策研究分野

国民に対し安全・安心な水を安定して供給していくために、一般公募型として、気候変動に対応した水道の水量確保も考慮した水質管理手法等に関する研究を募集するとともに、水道システムに係るリスク低減対策研究、水道水質基準等の逐次見直しのための研究、異臭味被害対策強化研究、水の利用等が疾病予防等に果たす役割に関する研究を引き続き実施する。

(3) 生活環境安全対策研究分野

建築物や生活衛生関係営業等に関係する生活環境については、その適切な保持が行われない場合、(1)短時間に重症の健康被害が大量に発生する、(2)同時期に複数の者が非特異的な健康被害を訴える、(3)早期に対応がなされないと、危機的状況を招く恐れがある等、健康危機管理に直結するものであり、これらの健康危機の未然防止及び発生時に備えた準備、発生時の適切な対応等に関する研究を推進する必要がある。

そこで、一般公募型として、生活衛生関係営業における衛生的環境の確保に関する研究、室内空気汚染問題をはじめとした建築物における空気環境や給排水等の衛生的環境の確保に関する研究、その他生活環境が人体に及ぼす影響等の研究を採択する。

(4) 健康危機管理・テロリズム対策システム研究分野

新興再興感染症やテロリズムといった健康危機事態に対しては、「第3期科学技術基本計画」において「テロリズム・健康危機管理対策の充実」が個別政策目標として掲げられていることに加え、平成19年から施行された世界保健機関(WHO)による改正国際保健規則   (IHR2005)では、感染症に留まらず原因不明のあらゆる「国際的に関心のある公衆衛生上の出来事」は全て世界的に共有されることとなっており、健康危機管理への関心は国の内外を問わず高まっている。健康危険事態への未然防止や国民の保護といった適切かつ迅速な対処能力を強化するには、基盤技術・オペレーション手法に関する研究を推進する必要がある。本研究分野では、テロリズムを含む原因が不明な健康危機にも対応可能な健康危機管理基盤システムに関する分野横断的研究を採択する。

研究費の規模 :1課題当たり

研究分野(1)(ア)20,000千円程度 (1年当たりの研究費)
(イ)10,000千円程度 (1年当たりの研究費)
(ウ) 5,000千円程度 (1年当たりの研究費)
(エ) 4,000千円程度        (1年当たりの研究費)
(若手育成型)3,000〜5,000千円程度(1年当たりの研究費)

研究分野(2)(ア)5,000〜10,000千円程度 (1年当たりの研究費)

研究分野(3)(ア)15,000千円〜30,000千円程度 (1年当たりの研究費)
(イ)10,000千円〜20,000千円程度 (1年当たりの研究費)
(ウ)5,000千円〜10,000千円程度 (1年当たりの研究費)
(エ)5,000千円程度 (1年当たりの研究費)

研究分野(4)(ア)3,000千円〜 5,000千円程度 (1年当たりの研究費)

研究期間   :

研究分野(1)【一般公募型】(ア)(イ)(ウ)(エ)2〜3年程度
【若手育成型】2〜3年程度

研究分野(2)1〜3年程度

研究分野(3)(ア)3〜4年程度、(イ)〜(エ)1〜2年程度

研究分野(4)1〜3年程度

新規採択課題数:

研究分野(1)一般公募型については各1課題程度
若手育成型については1〜2課題程度

研究分野(2)(ア)1課題程度

研究分野(3)(ア)〜(エ)各1課題程度

研究分野(4)(ア)1課題程度

<公募研究課題>

(1)地域健康安全の基盤形成に関する研究分野

【一般公募型】

(ア)健康危機発生時における行政機関相互の適切な連携体制及び活動内容に関する研究                                  (21350101)
(留意点)

課題採択に当たっては、保健所の組織内連携体制及び地域内の住民団体等との連携体制、都道府県または保健所を設置する市の内部における連携体制、他都道府県等との連携体制について評価ができる研究を優先する。災害等の健康危機発生時に医師・保健師・その他の職種に必要とされる活動内容を明確化し、復旧・支援活動を効果的に行うためのガイドラインを作成し、その有効性を評価することを目的とする。なお、研究班の構成員は、地域に偏りなく全国を反映するように組織すること。

(イ)健康危機管理業務に従事する者のリスクコミュニケーションスキル及びクライシスコミュニケーションスキルを向上させる方法の開発と評価に関する研究(21350201)
(留意点)

健康危機事例発生時の影響を最小限に抑えるには、事例発生前には関係者間での問題意識の共有や予測される事象について住民に注意を喚起すること、事例発生時には関係者間での迅速な情報伝達と情報共有だけでなく、住民の理解を促進し不安を軽減するための適切な広報活動、各種報道機関への適切な情報提供が、保健所職員を含む地方公共団体の危機管理部門の職員に求められている。過去の事例分析や既存のマニュアル及びガイドライン等の内容を検討し、e-learningシステム等により効率的かつ効果的に多くの職員の教育・訓練が可能となる実践的な手法を開発し、その有効性を評価する研究を優先的に採択する。

(ウ)健康危機情報の積極的収集と分析及び健康危機管理行政への情報提供のためのシステム開発と運用に関する研究                   (21350301)
(留意点)

健康危機情報収集の手法のひとつとして、ニュース報道や新聞記事、うわさ等の情報から健康危機に関するものを収集し、リアルタイムで分析・解析してリスク評価を行う手法がある。また、ニュースメディア情報の収集は、改正国際保健規則(IHR2005)においても各加盟国の基本的な能力として定められている。

これらを踏まえ、課題採択に当たっては、危険情報を自動的に世界中のウェブサイトから収集し情報の関連づけや分類・評価を行い、健康危機に関する警告を発出することのできる「早期検知システム」の開発に関する研究を優先的に採択する。

(エ)大都市部の健康危機発生時における保健活動のあり方に関する研究                                  (21350401)
(留意点)

課題採択にあたっては、国内・国外を問わず過去の大都市部の健康危機発生時の事例や、様々な自治体の既存の健康危機への対応マニュアル等を多角的に分析することにより課題を抽出し、東京や大阪等の大都市部において健康危機が発生し、他地域から派遣を受け入れる際の保健活動のあり方、特に保健師の役割や具体的な活動方法を、明確に示すことが出来る研究を優先する。

なお、過去の事例等の分析のみに基づき提言するだけでなく、研究期間中に大都市部の健康危機が発生した場合には、これについても迅速に調査を行うものであること。

【若手育成型】

上記(ア)〜(エ)又は、それ以外の地域健康安全の基盤形成に関する研究であって、学際的なもの、あるいは新規性、独創性に富んだ下記に該当する研究者が主体となって実施する研究                            (21350501)

若手育成型の応募対象

平成21年4月1日現在で満39歳以下の者(昭和44年4月2日以降に生まれた者)

※新規採択時にのみ本条件を適用する。

※満年齢の算定は誕生日の前日に1歳加算する方法とする。

※産前・産後休業及び育児休業を取った者は、その日数を応募資格の制限日に加算することができる。

(2)水安全対策研究分野

【一般公募型】

(ア)気候変動に対応した水道の水量確保も考慮した水質管理手法等に関する研究                                  (21350601)
(留意点)

課題採択に当たっては、気候変動に対応した水道の水量確保も考慮した水質管理手法等に関する研究のうち、特に、降雨条件の変化等に伴う河川流量・地下水位の変動や水温の変化が水道原水の安定的な取水や原水水質に与える影響を踏まえた、水質管理手法、水道施設管理手法、取水計画を含む水道施設計画及び地域における気候変動・異常気象に対応した飲料水危機管理体制のあり方に関する研究を優先する。

(3)生活環境安全対策研究分野

【一般公募型】

(ア)居室における中間周波電磁界に関する研究           (21350701)
(留意点)

課題採択に当たっては、電磁調理器等の周辺磁界の特性を実測定により物理学的に明らかにした上で、細胞毒性の有無等の健康影響を検証する研究を優先する。ただし、研究の実施にあたっては、適切な中間周波電磁界の暴露装置を用いること。

(イ)建築物の特性を考慮した維持管理手法のあり方に関する研究   (21350801)
(留意点)

課題採択に当たっては、地下街・超高層ビルなどの形態や百貨店・事務所などの用途によって異なる、空気質や給排水等に関する維持管理の実態調査等を行い、具体的な維持管理方策の提示につながる研究を優先する。

(ウ)シックハウス症候群の診断基準の検証に関する研究       (21350901)
(留意点)

課題採択に当たっては、これまでの厚生労働科学研究においてとりまとめられた狭義のシックハウス症候群の診断基準の妥当性の検証及び患者の実態把握のための調査を行い、今後のシックハウスへの対応方策につながる研究を優先する。

(エ)クリーニング所における洗濯物の消毒方法に関する研究     (21351001)
(留意点)

課題採択に当たっては、クリーニング所における公衆衛生の向上を図るため、現在、クリーニング所において実施されている消毒方法に関して、洗濯物に付着する可能性のある細菌やウイルスに対し、各消毒方法の有効性を検証する。現在の消毒方法の安全性を中心に、洗濯物の受け入れから返却までの行程も含めて問題点を明確にする研究を優先する。

(4)健康危機管理・テロリズム対策システム研究分野

【一般公募型】

(ア)健康危機管理事態において用いる医学的対処の研究開発環境に関する研究                                  (21351101)
(留意点)

テロリズムや災害などの健康危機事例が発生した場合に大量に用いられると予想される医薬品等の中には、平時には適用される症例数が少なく治験が行えないため、安全性・有効性の評価ができず、承認されていないものがある。具体的には、ある種のワクチン、毒素等の中和抗体、化学物質中毒に対する薬品、放射性物質に対するキレート剤などである。課題採択に当たっては、こうした健康危機事例発生時に必要となりうる特殊な医薬品等の種類や量、研究開発や入手の方法等について検証・分析し、国内での供給の確保策、わが国の危機管理能力を向上するために必要な施策、事態発生時の使用における考え方(安全性の確保、補償等)について、実現性を踏まえた考察をまとめる研究を優先する。

公募研究事業計画表

公募研究事業計画表

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