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医療保険:平成18年健康保険法等の一部を改正する法律・参考資料

健康保険法等の一部を改正する
法律について

厚生労働省


趣旨
国民皆保険を堅持し、将来にわたり医療保険制度を持続可能なものとしていくため、 「医療制度改革大綱」
(平成17年12月1日政府・与党医療改革協議会決定)に沿って、医療費適正化の総合的な推進、新たな高齢
者医療制度の創設、保険者の再編・統合等所要の措置を講ずる。

骨子
1 医療費適正化の総合的な推進
(1) 生活習慣病対策や長期入院の是正など中長期的な医療費適正化のための医療費適正化計画の策定
【平成20年4月〜】
(2) 保険給付の内容・範囲の見直し等
現役並みの所得がある高齢者の患者負担の見直し(2割→3割)、療養病床の高齢者の食費・居住費の
見直し【平成18年10月〜】
70〜74歳の高齢者の患者負担の見直し(1割→2割)、乳幼児の患者負担軽減(2割)措置の拡大(3歳
未満→義務教育就学前)【平成20年4月〜】
(3) 介護療養型医療施設の廃止【〜平成24年4月】
2 新たな高齢者医療制度の創設
(1) 後期高齢者(75歳以上)を対象とした後期高齢者医療制度の創設
(2) 前期高齢者(65歳〜74歳)の医療費に係る財政調整制度の創設
3 都道府県単位を軸とした保険者の再編・統合
(1) 国保財政基盤強化策の継続【平成18年4月】、保険財政共同安定化事業【平成18年10月〜】
(2) 政管健保の公法人化【平成20年10月〜】
(3) 地域型健保組合の創設【平成18年10月〜】
4 その他
中医協の委員構成の見直し、団体推薦規定の廃止等所要の見直し【平成19年3月】  等


施行時期 主な改正内容 改正対象法律
公布日(平成18年4月適用) ・国保財政基盤強化策の継続 国民健康保険法
平成18年10月 ・現役並み所得を有する高齢者の患者負担の見直し(2割→3割)
・療養病床に入院する高齢者の食費・居住費の見直し
・保険診療と保険外診療との併用について再構成
・保険財政共同安定化事業の創設
・地域型健保組合の創設
健保法等医療保険各法
健保法等医療保険各法
健保法等医療保険各法
国民健康保険法
健康保険法
平成19年3月 ・中医協の委員構成の見直し、団体推薦規定の廃止 社会保険医療協議会法
平成19年4月 ・傷病手当金、出産手当金の支給率等の見直し 健康保険法(※)
平成20年4月 ・70歳〜74歳の高齢者の患者負担の見直し(1割→2割)
・乳幼児の患者負担軽減(2割)措置の拡大(3歳未満→義務教育就学前)
○題名を「高齢者の医療の確保に関する法律」に改正
・医療費適正化計画
・保険者に対する一定の予防健診等の義務付け
・後期高齢者(75歳以上)を対象とした後期高齢者医療制度の創設
・前期高齢者(65歳〜74歳)の医療費に係る財政調整制度の創設
健保法等医療保険各法
健保法等医療保険各法
老人保健法



平成20年10月 ・政管健保の公法人化 健康保険法
平成24年4月 ・介護療養型医療施設の廃止 介護保険法
【注】 (※)は被用者保険各法共通  


1 医療費適正化の総合的な推進

中長期的な医療費適正化方策

基本的な考え方
平成20年度を初年度とする医療費適正化計画(5年計画)において、政策目標を掲げ、医療費の伸びを適正化
・ 生活習慣病予防の徹底 → 政策目標:生活習慣病有病者・予備群を25%減少 (平成27(2015)年度)
・ 平均在院日数の短縮  → 政策目標:全国平均(36日)と最短の長野県(27日)の差を半分に縮小 (同上)

中長期的な医療費適正化方策


保険給付の内容・範囲の見直し等

高齢者の患者負担の見直し(現行:70歳未満3割、70歳以上1割(ただし、現役並み所得者2割))
・ 現役並み所得の70歳以上の者は3割負担
・ 新たな高齢者医療制度の創設に併せて高齢者の負担を見直し
70〜74歳 2割負担、75歳以上 1割負担(現行どおり)
(平成18年10月〜 )
(平成20年4月〜)
療養病床に入院している高齢者の食費・居住費の負担引上げ (平成18年10月〜 )
高額療養費の自己負担限度額の引上げ  
   高額療養費の自己負担限度額について、低所得者に配慮しつつ、賞与を含む報酬総額に見合った水準に引上げ
 併せて、高齢者医療制度の創設に伴い見直し
(平成18年10月〜)
(平成20年4月〜)
現金給付の見直し
・ 出産育児一時金の見直し(30万円→35万円)
・ 傷病手当金及び出産手当金の支給水準の引上げ・支給範囲の見直し
・ 被用者保険の埋葬料の定額化(5万円)
(平成18年10月〜 )
(平成19年4月〜 )
(平成18年10月〜 )
乳幼児に対する自己負担軽減措置の拡大 (平成20年4月〜 )
高齢者医療制度の創設に併せて、乳幼児に対する自己負担軽減(2割負担)の対象年齢を3歳未満
から義務教育就学前までに拡大
高額医療・高額介護合算制度の創設 (平成20年4月〜)
 
保険料賦課の見直し  
  ・ 標準報酬月額の上下限の範囲の拡大
・ 標準賞与の範囲の見直し
(平成19年4月〜 )
(平成19年4月〜)


高齢者の患者負担の見直し(平成18年改正)

平成20年4月から高齢者の患者負担は、(1)69歳以下は3割、(2)70〜74歳は2割、(3)75歳以上は1割となる。ただし、現役並み
所得者については、年齢にかかわりなく3割負担で、平成18年10月より実施。低所得者については、自己負担限度額等の軽減措
置を設けている。
公的年金等控除の縮減及び老年者控除の廃止に伴い、新たに現役並み所得者に移行する70歳以上の高齢者については、平成
18年8月から2年間、自己負担限度額を一般並みに据え置く。
1割負担から2割負担となる70歳から74歳までの低所得者については、自己負担限度額を据え置く措置を講ずる。

1.70歳以上の高齢者の患者負担 (平成18年10月〜
現役並み所得者
2割  →  3割
(経過措置)公的年金等控除の縮減及び老年者控除の廃止に伴い、新たに現役並み所得者に移行する70歳以上の高齢者については、平成18年8月から2年間、自己負担限度額を一般並みに据え置く。
現役並み所得者 80,100円+<医療費>×1% → 一般 44,400円
2.70歳以上の高齢者の患者負担 (平成20年4月〜
70歳〜74歳の高齢者
1割  →  2割
(配慮措置)70〜74歳の低所得者については、自己負担限度額を据え置く。  《外来》
自己負担限度額 低所得者II 《8,000円》 24,600円
  低所得者I 《8,000円》 15,000円
(参考)65〜69歳の3割負担、75歳以上の1割負担については、変更なし。

(参考)現役並み所得者…月収28万円以上(サラリーマンの場合)・課税所得145万円以上の高齢者  
(注) 低所得者II… 市町村民税非課税の世帯に属する者等
低所得者I… 市町村民税非課税の世帯に属する者等
のうち、年金受給額80万円以下等の者
<現役並み所得となる世帯の収入> 改正前 改正後
高齢者 夫婦2人世帯  621万円以上  520万円以上(年収ベース)
単身世帯  484万円以上  383万円以上(年収ベース)


療養病床に入院する高齢者の食費・居住費の負担について

見直し案の概要
( 対 象 者 ) 療養病床に入院する70歳以上の高齢者(18年10月以降)
※介護保険と同額
( 標準負担額 ) (1) 食費   食材料費及び調理コスト相当を負担(4.2万円)
(2) 居住費  光熱水費相当を負担(1.0万円)
※ 現行は食材料費相当を負担(2.4万円)
※ 1割の定率自己負担と合計した場合の平均的な負担額は、9.4万円(介護保険は8.9万円)
  ( 保険給付 ) 入院時生活療養の基準額から標準負担額を控除した額を入院時生活療養費として支給
現行の入院時食事療養費は、入院時食事療養の基準額(日額1,920円)から標準負担額(一般所得で
日額780円)を控除した額を入院時食事療養費として支給
低所得者対策
所得の状況に応じて食費及び居住費の標準負担額を設定し、負担の軽減を図る。
<低所得者の食費・居住費負担額> 低所得者II  (住民税非課税世帯) − 3.0万円 ¬
|
介護保険と同じ水準
低所得者I(2)(年金受給額80万円以下等) − 2.2万円
低所得者I(1)(老齢福祉年金受給者) − 1.0万円
負担の対象外となる患者
入院医療の必要性の高い患者(人工呼吸器、中心静脈栄養等を要する状態や脊髄損傷(四肢麻痺が見られる状態)、難病等及び回復期リハを受ける患者等)については、現行どおり食材料費相当のみを負担することとする。
新たな高齢者医療制度の創設に伴う措置
新たな高齢者医療制度の創設と併せて、65歳以上70歳未満の者について同様の負担の見直しを行う。
(平成20年4月〜)


高額療養費の基準額(自己負担限度額)の見直し

高額療養費の自己負担限度額について、低所得者に配慮しつつ、賞与を含む報酬総額に見合った水準となるよう引上げを行う。
人工透析患者のうち所得の高い者については、自己負担限度額の引上げを行う。 (平成18年度)

70歳未満
【現 行】 【平成18年10月〜】
上位所得者 139,800円 + 150,000円 +
77,700円 83,400円)
一 般 72,300円 + 80,100円 +
40,200円) 44,400円)
低所得者 35,400円 35,400円 [据え置き]
(24,600円) (24,600円)
70歳以上
《外来》 《外来》
現役並み所得者
40,200円》 72,300円+
40,200円)
44,400円》 80,100円 +
44,400円)
一 般
《12,000円》 40,200
《12,000円》 44,400円
低所得者II
《 8,000円》 24,600円
[据え置き]
《 8,000円》 24,600円 [据え置き]
低所得者I
《 8,000円》 15,000円
《 8,000円》 15,000円 [据え置き]
( )内は多数該当(4ヶ月以上入院するような場合)の限度額
人工透析を要する70歳未満の上位所得者及びその被扶養者については、自己負担限度額を1万円から2万円に引き上げる。
上位所得者の基準は、(1)被用者保険においては標準報酬月額56万円以上から標準報酬月額53万円以上に、(2)国民健康保険
においては、年間所得670万円超から600万円超に改正


70歳以上75歳未満の高齢者の自己負担限度額の見直し(平成20年4月)

  【18年10月〜】 【平成20年4月〜】
  《外来》   《外来》  
現役並み所得者 《44,400円》 80,100円 + 《44,400円》 80,100円+
一 般 12,000円 44,400円 24,600円 62,100円
44,400円
低所得者II 《 8,000円》 24,600円 《 8,000円》 24,600円  [据え置き]
低所得者I 《 8,000円》 15,000円 《 8,000円》 15,000円  [据え置き]
( )内は多数該当(4ヶ月以上入院するような場合)の限度額
【20年度における見直しの考え方】
(1) 高齢者医療制度の創設にあわせ、70歳以上75歳未満の患者負担が1割から2割に変更と
なることに伴い、一般の者の自己負担限度額を70歳未満の者(80,100円)と75歳以上の者
(44,400円)の中間水準に設定する。
(2) 低所得者の自己負担限度額については、据え置く。

(注)

現役並み所得者については、3割負担のままであることから、変更なし。



高額医療・高額介護合算制度について

医療保険及び介護保険の自己負担の合計額が著しく高額になる場合に負担を軽減する仕組みを設ける。
○制度の基本的枠組み
(1)対象世帯  医療保険各制度(被用者保険、国保、後期高齢者医療制度)の世帯に介護保険受給者が存在
する場合に、各医療保険者が、被保険者からの申請に基づき、高額療養費の算定対象世帯単位
で、医療と介護の自己負担額を合算し、新たに設定する自己負担限度額を超える額を支給する。
(2)限 度 額  年額56万円(老人医療と介護保険の自己負担を合算した額の分布状況を踏まえて設定)
を基本とし、医療保険各制度や所得区分ごとの自己負担限度額を踏まえてきめ細かく設定
後期高齢者医療制度 (一般所得者) 56万円
被用者保険又は国保 (70歳〜74歳のみ・一般所得者) 62万円
  (70歳未満を含む・一般所得者) 67万円
(3)費用負担  医療保険、介護保険両方で、自己負担額の比率に応じて負担し合う。
高額医療・高額介護合算制度について


2 新たな高齢者医療制度の創設

新たな高齢者医療制度の創設(平成20年4月)

75歳以上の後期高齢者については、その心身の特性や生活実態等を踏まえ、平成20年度に独立した医療制度を創設する。
あわせて、65歳から74歳の前期高齢者については、退職者が国民健康保険に大量に加入し、保険者間で医療費の負担に
不均衡が生じていることから、これを調整する制度を創設する。
現行の退職者医療制度は廃止する。ただし、現行制度からの円滑な移行を図るため、平成26年度までの間における65歳未
満の退職者を対象として現行の退職者医療制度を存続させる経過措置を講ずる。

新たな高齢者医療制度の創設(平成20年4月)


後期高齢者医療制度の運営の仕組み(平成20年度)

財源構成は、患者負担を除き、公費(約5割)、現役世代からの支援(約4割)のほか、高齢者から広く薄く保険料(1割)を
徴収する。
現役世代からの支援は、国保(約4,200万人)・被用者保険(約7,100万人)の加入者数に応じた支援とする。

<対象者数>  75歳以上の後期高齢者 約1,300万人
<後期高齢者医療費>  11.4兆円
給付費 10.3兆円  患者負担1.1兆円

【全市町村が加入する広域連合】



国・都道府県による財政リスクの軽減

運営については、保険料徴収は市町村が行い、財政運営は都道府県単位で全市町村が加入する広域連合が行う。
広域連合の財政リスクの軽減については、国・都道府県が共同して責任を果たす仕組みとする。このため、広域連合に対する高額
な医療費等についての国・都道府県による財政支援、国・都道府県も拠出する基金による保険料未納等に対する貸付・交付の仕組
みを設ける。また、保険料の年金からの特別徴収(天引き)を導入する。



財政リスクの分散・軽減策

全市町村が加入する都道府県単位の広域連合が財政運営を行うことにより、財政運営の安定化を図るほか、
次のような財政リスクの分散、軽減措置を講ずる。 

(保険料徴収リスク)
・給付費のうち9割は、公費と後期高齢者支援金により賄うこととしており、保険料収入で対応すべき部分は1割のみ
・1割部分についても、
年金天引きを導入することなどにより、平均的には99%の徴収が確保される見込みであるほか、
1%の未納リスクについても、都道府県に設置された財政安定化基金により貸付を行うとともに、
通常の徴収努力で徴収できない場合には、未納分の半額を財政安定化基金から交付することとしている。


(給付増リスク)
・ 給付費のうち9割は、公費と後期高齢者支援金により賄うこととしており、保険料収入で対応すべき部分は1割のみ。
・ 高額な医療費については、その2分の1を国・都道府県が負担
・ さらに見込み以上の給付増について、都道府県に設置された財政安定化基金により貸付



後期高齢者負担率の改定方法について

保険料の算定方法

具体的な保険料の額
基礎年金受給者(基礎年金79万円)
応益 900円 + 応能 なし = 900円/月
(7割軽減)
厚生年金の平均的な年金額の受給者(厚生年金208万円)
応益 3100円 + 応能 3100円 = 6200円/月
自営業者の子供と同居する者(子 年収390万円、親 基礎年金79万円)
応益 3100円 + 応能 なし = 3100円/月
被用者の子供と同居する者(子 政管平均年収390万円、親 基礎年金79万円)
応益 3100円 + 応能 なし = 3100円/月
被用者保険の被扶養者については、激変緩和措置として、後期高齢者医療制度への加入時から、2年間応益
保険料を5割軽減し、1500円とすることとしている。
※ 保険料の額は、国民健康保険と同様の基準により試算した全国平均の額  具体的な保険料の額は条例で定める。


後期高齢者医療制度の保険料(平成20年度推計)

世代間の負担の公平を維持するため、人口構成に占める後期高齢者と現役世代の比率の変化に応じて、それぞれの負担割合を
変えていく仕組みを導入する。これにより、高齢者の保険料による負担割合(1割)は高まり、現役世代の支援の割合は、約4割を上
限として減っていくことになる。

(1)  後期高齢者医療制度における後期高齢者の保険料の負担率と若人が負担する後期高齢者
支援金(若人の保険料が財源)の負担率は、制度発足時は後期高齢者は1割、若人は約4割
である。
(2) しかし、今後、後期高齢者人口は増加すると見込まれる一方、若人人口は減少すると見込ま
れる
ため、後期高齢者の負担分は支え手が増えるが、若人の負担分は支え手が減っていく
したがって、仮に後期高齢者の保険料の負担率と後期高齢者支援金の負担率を変えないこ
ととすると、後期高齢者一人当たりの負担の増加割合と比較して、若人一人当たりの負担はよ
り大きな割合で増加していくこととなる。
(3)  このため、「若人人口の減少」による若人一人当たりの負担の増加については、後期高齢者
と若人とで半分ずつ負担するよう、後期高齢者の保険料の負担割合について、若人減少率の
1/2の割合で引き上げ、後期高齢者支援金の負担率は引き下げることとする。
【参考1】保険料等の変化(試算) 【参考2】計算式
  平成20年度 矢印 平成27年度
後期高齢者負担率 10% 10.8%
1人当たり後期高齢者保険料/年 6.1万円 8.5万円
(参考)    
1人当たり国保保険料/年 7.9万円 9.7万円
(注)人口推計は「日本の将来推計人口(平成14年1月推計)」による。
(1) 平成20・21年度における後期高齢者の負担割合: 10%
(2) 平成22年度以降の後期高齢者の負担割合: 2年ごとに、以下のとおり改定
 

10% + 平成20年度の若人負担割合(約4割)

× 平成20年度から改定年度までの若人減少率 × 1/2
 
* 若人減少率 = 平成20年度の若人人口 − 改定年度の若人人口
平成20年度の若人人口
   


前期高齢者医療費に関する財政調整(平成20年度)

 65歳から74歳の前期高齢者については、国保・被用者保険の従来の制度に加入したまま、前期高齢者の偏在による保険
者間の負担の不均衡を、各保険者の加入者数に応じて調整する仕組みを創設する。
現役世代からの支援は、国保(約4,200万人)・被用者保険(約7,100万人)の加入者数に応じた支援とする。

<対象者数>  65〜74歳の前期高齢者 約1,400万人
<前期高齢者医療費>  6.1兆円
給付費 5.0兆円  患者負担 1.1兆円
前期高齢者医療費に関する財政調整(平成20年度)


老人保健法の改正について
− 生活習慣病の予防健診を充実、他の各種健診や保健事業も引き続き漏れなく実施 −

老人保健法の改正について

3 都道府県単位を軸とした

保険者の再編・統合

都道府県単位を軸とする医療保険者の再編・統合

保険財政運営の規模の適正化、地域の医療費水準に見合った保険料水準の設定の
ため、保険者について、都道府県単位を軸とした再編・統合を推進する。

都道府県単位を軸とする医療保険者の再編・統合
都道府県単位での市町村国保の保険
料の平準化や財政の安定化を図るため、
保険財政共同安定化事業を実施する。
高額医療費共同事業や保険者支援制
度等の、市町村国保の財政基盤強化策
を継続する。
小規模保険者の保険運営の広域化を
図るため、都道府県が積極的な役割を
果たす。
 
国とは切り離した全国単位の
公法人を保険者として設立
都道府県単位の財政運営を基
本とし、都道府県ごとに地域
の医療費を反映した保険料率
を設定する。
 
同一都道府県内の健保組合
の再編・統合の受け皿として、
企業・業種を超えた地域型健
保組合の設立を認める。


保険者の再編・統合(国民健康保険)

国民健康保険については、都道府県単位での保険運営を推進するため、保険財政の安定化と保険料平準化を
促進する観点から都道府県内の市町村の拠出により医療費を賄う共同事業の拡充を図る。あわせて、保険者
支援制度等の国保財政基盤強化策について、公費負担の在り方を含め総合的に見直す。

平成17年12月18日の総務・財務・厚生労働3大臣合意において、以下の内容を平成18年度以降行うことを決定

1.国保財政基盤強化策の継続【公布日施行(平成18年4月から適用)】

(1) 高額医療費共同事業
・高額な医療費の発生が国保財政に与える影響を緩和するために、都道府県単位で財政リスクを分散する事業
・事業規模:1,800億円程度(交付基準は70万円以上から80万円以上に引上げ)
・事業主体:国民健康保険団体連合会・負担区分:市町村国保1/2、都道府県1/4、国1/4
(2)保険者支援制度
・市町村国保の財政基盤を強化するために、低所得者を多く抱える保険者を財政的に支援する制度
・事業主体:市町村・負担区分:国1/2、都道府県1/4、市町村1/4
(3)国保財政安定化支援事業
・国保財政の安定化、保険料(税)負担の平準化等に資するために、市町村の一般会計から国保特会への繰入れを
地方財政措置で支援する事業(市町村に対する地方財政措置:1,000億円程度)

2.保険財政共同安定化事業【平成18年10月施行】

・都道府県内の市町村国保間の保険料の平準化、財政の安定化を図るため、一件30万円以上の医療費について、市町村国保
の拠出による保険財政共同安定化事業を平成18年10月から実施(国保医療費の約4割が対象)

3.上記は、平成21年度までの措置とし、市町村国保の財政状況や後期高齢者医療制度の創設に伴う影響を勘案し、
平成22年度において見直しを行うものとする。



共同事業拡充の内容

共同事業拡充の内容


保険者の再編・統合 〜政府管掌健康保険〜

 政府管掌健康保険については、国とは切り離した全国単位の公法人を保険者として設
立し、都道府県ごとに地域の医療費を反映した保険料率を設定するなど、都道府県単位
の財政運営を基本とする。
 公法人については、関係事業主、被保険者等の意見に基づく自主自律の運営を確保し
ていく。また、被用者保険の最後の受け皿であることを踏まえ、準備金の積立や、保険料
率に関する必要な国の関与、保険料率の上下限の見直しなど、必要な措置を講ずる。
1.政管健保の公法人化
健康保険組合に加入していない被用者の健康保険事業を行う保険者として全国健康保険協会(以下「協会」
という。)を設立する(平成20年10月)。適用・徴収業務は、ねんきん事業機構において行う。
組織
運営委員会(事業主3名、被保険者3名、学識経験者3名の計9名を大臣が任命)を設ける。予算、事業計画、
保険料率の変更等は運営委員会の議を経なければならないものとする
理事長は、運営委員会の意見を聴いて、大臣が任命する。
都道府県ごとに支部を設けるとともに、評議会(事業主、被保険者、学識経験者から支部長が委嘱)を置き、
支部の業務について意見を聴く。
2.都道府県単位の財政運営
都道府県ごとに、年齢構成や所得水準の違いを調整した上で、地域の医療費を反映した保険料率を設定する。
(なお、都道府県単位の保険料率への移行に伴い、保険料率が大幅に上昇する場合には、5年間に限り、激変緩和
措置を講ずる)
都道府県単位保険料率は、各支部の評議会の意見を聴いた上で、運営委員会の議を経て決定する。
協会成立後1年以内に都道府県単位保険料率を決定するものとし、それまでの間は政管健保の保険料率を適用
3.財政運営の安定化等
予算や事業計画、財務諸表等は大臣認可とする。
保険料率の変更は大臣認可とするとともに、保険料率の変更命令や職権変更の権限を大臣に付する。
保険料率の上下限(現行660/00〜910/00)は、健保組合と同様とし、300/00〜1000/00に改める。(次ページ参照)
2年ごとに5年間の収支の見通しの作成を義務づける。
準備金の積立てを義務づける。
借入金は大臣認可にする等の規制を行うとともに、借入金には政府保証を付すことができるものとする。
4.設立に係る措置等
厚生労働大臣は、設立委員を命じて、定款の作成等の設立に関する事務を処理させる。
設立委員は、協会の職員の労働条件及び採用基準を作成する。社会保険庁からの職員の採用については、社会保
険庁長官を通じて、募集を行う。
協会の成立の際、健康保険事業に関して国が有する資産及び負債は、政令で定めるものを除き、協会が承継する。
上記のほか、所要の経過措置を講ずる。


健康保険組合について

健保組合については、規制緩和等を通じて、再編・統合を進める。また、同一都道府県 内における健保
組合の再編・統合の受け皿として、企業・業種を超えた地域型健保組合の設立を認める。
(平成18年10月)

健保組合の約8割は概ね県内単位で設立
保険料率を高くせざるを得なかったり、小規模なため、安定した保険運営が困難な健保組合について、再
編・統合の受け皿を整備することが必要
矢印
地域型健保を設立し、その後5年間は不均一な保険料率を設定することを認めることとする。

生活習慣病の予防についての保険者の役割を明確化し、被保険者・被扶養者に対する効果的・効率的
な健診・保健指導を義務づけるなど、本格的な取組を展開する。
(平成20年4月)

健保組合の一般保険料率は、300/00から950/00の範囲内で健保組合が決定
健診・保健指導を義務づけることによる保健事業費の支出の増加に対応できるよう、一般保険料率の上
限値を引き上げることが必要
矢印
健保組合の一般保険料率の上限値を950/00から1000/00に引き上げることとする。



4 中医協の見直し

中央社会保険医療協議会の見直し(平成19年3月施行)

○ 委員構成の見直し
【現 行】   【改正後】
「支払側・診療側委員8名、公益委員4名」 「支払側・診療側委員7名、公益委員6名」
矢印
これに併せ、公益委員の主導的役割についての規
定を設ける。
 公益委員は、会議の日程、議題等、中医協の運営に関す
る事項について協議を行い、支払側委員、診療側委員はそ
の協議の結果を尊重
診療報酬等に係る答申等を行う場合には、あらかじめ公
益委員が診療報酬等の実施の状況について検証を行い、
その結果を公表
○ 団体推薦規定の廃止
【現 行】   【改正後】
支払側、診療側委員任命に当たっての
関係団体の推薦規定
団体推薦規定廃止
矢印
これに併せ、委員任命に当たっての、地域医療を担
う関係者等の意見の配慮に関する規定を設ける。
 保険者等を代表する委員の任命に当たっては、医療に要
する費用を支払う者の立場を適切に代表し得ると認められ
る者の意見に、医師、歯科医師及び薬剤師を代表する委
員の任命に当たっては、地域医療の担い手の立場を適切
に代表し得ると認められる者の意見に、それぞれ配慮


5 療養病床の再編成

療養病床の現状

療養病床の入院患者のうち医師の対応がほとんど必要ない人が概ね5割

○ 医師による直接医療提供頻度
〔中医協「慢性期入院医療実態調査」(平成17年11月11日中医協資料)〕

○ 医療保険適用、介護保険適用、それぞれに入院する患者の状態

〔医療経済研究機構「療養病床における医療提供体制に関する調査」(平成16年3月)〕


医療の必要性に応じた療養病床の再編成

(1) 療養病床については、医療の必要度の高い患者を受け入れるものに限定し、医療保険で対応するとともに、
(2) 医療の必要性の低い患者については、病院ではなくケアハウス等の居住系サービス又は老健施設等で受け止めることで対応する。

医療の必要性に応じた療養病床の再編成


療養病床が転換するときの支援措置

療養病床について、老人保健施設、ケアハウス等の居住系サービスへの転換を進めるため、
転換支援の助成等を行うとともに、介護保険において、平成23年度までに必要な受け入れ
を図る。

療養病床が転換するときの支援措置


健康保険法等の一部を改正する法律における検討規定

附 則(検討)
第二条
3    政府は、入所者の状態に応じてふさわしいサービスを提供する観
点から、介護保険法第八条第二十五項に規定する介護老人保健施設
及び同条第二十四項に規定する介護老人福祉施設の基本的な在り方
並びにこれらの施設の入所者に対する医療の提供の在り方の見直し
を検討するとともに、介護保険施設等の設備及び運営に関する基準
並びに利用者負担の在り方等について検討を加え、その結果に基づ
いて必要な措置を講ずるとともに、地域における適切な保健医療
サービス及び福祉サービスの提供体制の整備の支援に努めるものと
する。


参考

医療給付費の将来見通し
(平成18年医療制度改革ベース)
  2006年度
(平成18)
予算ベース
2010年度
(平成22)
2015年度
(平成27)
2025年度
(平成37)
改革後   27.5 兆円 31.2 兆円 37 兆円 48 兆円
国民所得比 7.3% 7.4% 〜 7.7% 8.0% 〜 8.5% 8.8% 〜 9.7%
GDP比 5.4% 5.4% 〜 5.6% 5.8% 〜 6.1% 6.4% 〜 7.0%
改革実施前   28.5 兆円 33.2 兆円 40 兆円 56 兆円
国民所得比 7.6% 7.9% 〜 8.2% 8.7% 〜 9.2% 10.3% 〜 11.4%
GDP比 5.5% 5.8% 〜 5.9% 6.3% 〜 6.6% 7.5% 〜 8.2%
国民所得 375.6 兆円 403  〜 420 兆円 432 〜 461 兆円 492 〜 540 兆円
GDP 513.9 兆円 558  〜 576 兆円 601 〜 634 兆円 684 〜 742 兆円

(試算の前提)
1. 「改革実施前」は、平成18年度の診療報酬改定及び健康保険法等改正を実施しなかった場合を起算点とし、1人当たり医療費の伸びについて
は従前通り、70歳未満2.1%、70歳以上3.2%と設定して試算している。
2. 「改革後」は、平成18年度予算を起算点とし、平成18年度の診療報酬改定及び健康保険法等改正の効果を織り込んで試算したもの。
3. 国民所得比及びGDP比の算出に用いた名目経済成長率は、2011年度までは「改革と展望2005」参考試算、2012年度以降は平成16年年金
財政再計算の前提を用いて、「基本ケース」及び「リスクケース」の2つのケースを設定している。

名目経済成長率の推移
  2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012〜
基本ケース 2.0% 2.5% 2.9% 3.1% 3.1% 3.2% 1.6%
リスクケース 2.0% 1.9% 2.1% 2.2% 2.1% 2.2% 1.3%


医療制度改革を実施した場合の総合的な財政影響

(1) 平成18年度の診療報酬改定及び健康保険法改正を実施しなかった場合の財政負担(平成20年度)

 
(75歳未満)
(75歳以上)
医療保険計
公費
政管健保
健保組合
共済組合
市町村国保
後期高齢者
国庫
都道府県
市町村
所要保険料(億円)
60,900
53,000
18,500
32,900
8,800
178,200
77,300
17,000
10,700
加入者数(万人)
3,400
2,800
900
3,800
1,300
12,700
 
加入者1人当たり
所要保険料(万円)
17.9
18.9
20.5
8.6
6.7
14.1

所要保険料は、医療給付費を賄うために必要な保険料である。
高齢者の所要保険料については、各制度の所要保険料のうち、高齢者が負担することとなる分を推計した。
一般制度は、75歳以上の高齢者に係る分を除いている。

(2) 上記の改定及び改正を実施した場合の財政負担(平成20年度)

 
政管健保
健保組合
共済組合
市町村国保
後期高齢者
医療制度
医療保険計
公費
国庫
都道府県
市町村
所要保険料(億円)
57,400
52,400
17,500
30,500
8,100
169,900
71,600
16,500
10,100
加入者数(万人)
3,400
2,800
900
3,800
1,300
12,700
 
加入者1人当たり
所要保険料(万円)
16.9
18.7
19.4
7.9
6.1
13.4

(2)−(1) 財政影響

 
政管健保
健保組合
共済組合
市町村国保
後期高齢者
医療制度
医療保険計
公費
国庫
都道府県
市町村
所要保険料(億円)
△3,500
△600
△1,000
△2,500
△800
△8,300
△5,700
△500
△600
加入者1人当たり
所要保険料(万円)
△1.0
△0.2
△1.1
△0.7
△0.6
△0.7
 

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